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最適使用推進ガイドライン対象品目
処方箋医薬品注)
生物由来製品
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
片頭痛発作の発症抑制
通常、成人にはエレヌマブ(遺伝子組換え)として70mgを4週間に1回皮下投与する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。生殖発生毒性試験(カニクイザル)において胎盤移行が認められた1)。なお、臨床用量の40倍の曝露量で実施した生殖発生毒性試験(カニクイザル)において、妊娠、胚胎児又は出生後の発達(生後6カ月まで)に影響は認められなかった1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁中への移行及び授乳された乳児への影響は不明である。ヒトIgGは乳汁中へ移行することから、本剤も移行する可能性がある。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
発疹、血管浮腫及びアナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応があらわれることがある。
重篤な合併症(腸閉塞、糞塊、腹部膨満及びイレウス等)を伴う便秘があらわれることがある。多くの症例では、本剤の初回投与後に発現している。
1%以上
1%未満
頻度不明
胃腸障害
便秘
下腹部痛、上腹部痛、慢性胃炎、出血性腸憩室、排便困難、胃炎、悪心、口内炎
口腔内潰瘍形成、口腔粘膜水疱形成
一般、全身障害および投与部位の状態
注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)
異常感、インフルエンザ様疾患、発熱
感染症および寄生虫症
帯状疱疹、上咽頭炎
臨床検査
白血球数減少、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、好中球数減少
筋骨格系および結合組織障害
四肢痛、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス
筋痙縮
良性、悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)
乳癌
神経系障害
傾眠
後頭神経痛、振戦
精神障害
不安
腎および尿路障害
頻尿
生殖系および乳房障害
子宮頚部上皮異形成
呼吸器、胸郭および縦隔障害
喉頭肉芽腫、逆流性喉頭炎
皮膚および皮下組織障害
円形脱毛症、発疹、そう痒性皮疹、蕁麻疹
そう痒症、脱毛症、丘疹性皮疹、剥脱性発疹、紅斑性皮疹、水疱
血管障害
高血圧
健康成人にエレヌマブ21mg、70mg又は140mgを単回皮下投与注)したときの血清中エレヌマブの濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1にそれぞれ示す2)。
用量
N
tmax(day)
Cmax(µg/mL)
AUClast(day・µg/mL)
21mg
6
7.0(3.0–12)
1.43(0.38)
33.6(10.8)
70mg
5.6(4.0–7.0)
6.13(0.56)
178(33)
140mg
4.0(3.0–11)
12.6(3.9)
461(104)a
AUClast及びCmax:平均値(標準偏差)tmax:中央値(最小値-最大値)a:5例
反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者にエレヌマブを4週間に1回、70mgを反復皮下投与したときのエレヌマブの血清中トラフ濃度は表2のとおりであった3)。
4週間後
8週間後
12週間後
24週間後
平均値
4.14
6.11
6.94
8.44
標準偏差
1.36
2.08
2.49
3.07
例数
129
128
127
母集団薬物動態解析4)において、健康成人にエレヌマブ70mg又は140mgを単回皮下投与注)したときの絶対バイオアベイラビリティは82%と推定された(外国人データ)。
エレヌマブ140mgを単回静脈内投与注)したところ、終末相の分布容積の平均値(標準偏差)は3.86(0.77)Lと推定された5)(外国人データ)。
エレヌマブには二種の消失経路がある。低濃度では主に標的(CGRP-R)との飽和性の結合による経路を介し、高濃度では主にタンパク質の異化作用により消失する6)。
母集団薬物動態解析4)において、軽度(eGFR:50~80mL/min/1.73m2以上)又は中等度(30~50mL/min/1.73m2)の腎機能障害患者と健康成人(eGFR:80mL/min/1.73m2以上)との間で、エレヌマブの薬物動態に差は認められなかった(外国人データ)。
肝機能障害患者におけるエレヌマブの薬物動態に関する検討は行っていない。モノクローナル抗体であるエレヌマブは主にタンパク質の異化作用により消失することから、肝機能障害はエレヌマブのクリアランスに影響しないと考えられる。
健康成人女性を対象とした非盲検薬物相互作用試験において、エレヌマブ(140mg皮下、単回投与)注)は、併用した経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びノルゲスチメートを含む)の薬物動態に影響を及ぼさなかった7)(外国人データ)。
健康成人を対象としたランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験で、エレヌマブ(140mg静脈内、単回投与)注)とスマトリプタン(1時間間隔で6mgを2回皮下投与)を併用したところ、スマトリプタン単独と比較して、安静時の血圧に対する影響は認められなかった8)(外国人データ)。また、エレヌマブはスマトリプタンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。注)本剤の承認用法・用量は70mgを4週間に1回皮下投与である。
ベースラインの月間片頭痛日数(MMD)が4日以上、月間頭痛日数(MHD)が15日未満の成人の反復性片頭痛患者(473例)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験9)において、エレヌマブ28mg、70mg、140mg又はプラセボを4週間に1回6カ月間(24週間)投与した。二重盲検投与期に続き、非盲検投与期としてエレヌマブ70mg又は140mgを4週に1回、最長76週間投与した。主要評価項目である投与開始から4、5、6カ月目における平均のMMDのベースラインからの変化量は表1の通りであり、エレヌマブ28mg群、70mg群及び140mg群でプラセボ群との差は統計学的に有意な片頭痛日数の改善が認められた注)。非盲検投与期に70mgのみ投与された患者におけるMMDのベースラインからの変化量を図1に示す。
プラセボ(N=136)
エレヌマブ
28mg(N=66)
70mg(N=135)
140mg(N=136)
ベースラインのMMD(日)a
7.67(2.34)
7.75(2.08)
7.84(2.31)
8.18(2.40)
4、5、6カ月目における平均MMDのベースラインからの変化量(日)b, c
0.06(-0.46, 0.58)
-1.19(-1.91, -0.47)
-2.25(-2.78, -1.73)
-1.83(-2.35, -1.31)
4、5、6カ月目における平均MMDのプラセボ群との差(日)b, c
-
-1.25(-2.10, -0.41)
-2.31(-3.00, -1.62)
-1.89(-2.58, -1.20)
p値c
0.004
<0.001
a: 上段:平均 下段:標準偏差b: 上段:最小二乗平均 下段:95%信頼区間c: 投与群、予定された来院、片頭痛予防薬の使用状況(あり[使用中]、あり[過去に使用]、使用歴なし)、投与群と予定された来院の交互作用を因子とし、月間片頭痛日数のベースライン値を共変量とした反復測定線形混合効果モデル(共分散構造:一次自己回帰)にて算出した。
6カ月間の二重盲検投与期における副作用の発現割合注)は、474例中、エレヌマブ28mg群で7.6%(5/66例)、エレヌマブ70mg群で12.6%(17/135例)、エレヌマブ140mg群で9.5%(13/137例)、プラセボ群で4.4%(6/136例)であった。エレヌマブ各投与群で発現割合が1%以上の副作用は、エレヌマブ28mg群で口内炎1.5%(1/66例)、注射部位そう痒感1.5%(1/66例)、上咽頭炎1.5%(1/66例)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加1.5%(1/66例)、筋肉疲労1.5%(1/66例)、感覚鈍麻1.5%(1/66例)、エレヌマブ70mg群で便秘1.5%(2/135例)、注射部位反応1.5%(2/135例)、白血球数減少1.5%(2/135例)、傾眠2.2%(3/135例)、エレヌマブ140mg群で便秘3.6%(5/137例)、注射部位紅斑1.5%(2/137例)であった。非盲検投与期におけるエレヌマブ投与による副作用の発現割合は、8.9%(41/459例)であり、発現割合が1%以上の副作用は、注射部位紅斑2.0%(9/459例)、注射部位反応1.1%(5/459例)であった。
ベースラインのMMDが4日以上、MHDが15日未満の成人の反復性片頭痛患者及びベースラインのMMDが8日以上、MHDが15日以上の成人の慢性片頭痛患者(それぞれ159例及び102例、合計261例)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験3)において、エレヌマブ70mg又はプラセボを4週間に1回6カ月間(24週間)投与した。主要評価項目である投与開始から4、5、6カ月目における平均のMMDのベースラインからの変化量は表2の通りであり、エレヌマブ70mg群のプラセボ群との差は統計学的に有意であった注)。反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者での各サブグループの4、5、6カ月目における平均MMDのエレヌマブ70mg群とプラセボ群との差(点推定値)は、-1.0日を下回り(反復性片頭痛患者:-1.67日 95%信頼区間[-2.56, -0.78]、慢性片頭痛患者:-1.57日 95%信頼区間[-3.39, 0.24])、臨床的に意義のある差が認められた。
プラセボ(N=131)
エレヌマブ70mg(N=130)
11.84(5.70)
12.40(5.99)
-1.98(-2.72, -1.24)
-3.60(-4.36, -2.85)
-1.62(-2.52, -0.73)
a: 上段:平均 下段:標準偏差b: 上段:最小二乗平均 下段:95%信頼区間c: 投与群、片頭痛のタイプ(反復性片頭痛/慢性片頭痛)、片頭痛予防薬の使用状況(あり[使用中/過去に使用]、使用歴なし)、予定された来院、投与群と予定された来院の交互作用を因子とし、ベースラインの月間片頭痛日数を共変量とした反復測定線形混合効果モデル(共分散構造:一次自己回帰)にて算出した。
6カ月間の二重盲検投与期における副作用の発現割合注)は、261例中、70mg群で7.7%(10/130例)、プラセボ群で3.8%(5/131例)であった。エレヌマブ70mg群で発現割合が1%以上の副作用は、注射部位紅斑1.5%(2/130例)であった。注)本剤の承認用法・用量は、70mgを4週間に1回皮下投与である。
エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に直接作用するヒトIgG2モノクローナル抗体である。エレヌマブによる片頭痛発作の発症抑制の作用機序は、エレヌマブが内因性のCGRPのCGRP受容体への結合を防ぐことにより、片頭痛発作の発現に関与するとされるCGRP受容体シグナルの伝達を阻害することである10)。
エレヌマブは、ヒトCGRP受容体への[125I]-CGRPの結合に対して競合的に拮抗した(Ki値:0.02nM)。エレヌマブは、細胞を用いた機能解析(ヒトCGRP受容体)において、CGRP刺激によるcAMPの産生を阻害し(IC50:2.3nM)、アドレノメデュリン、カルシトニン、アミリン受容体を含む他のヒトカルシトニンファミリー受容体よりもCGRP受容体に対して5000倍以上高い選択性を示した11)。
エレヌマブは、カニクイザルへの単回静脈内投与により、カプサイシンによる皮膚血流量増加を用量依存的に抑制した11)。
エレヌマブ(遺伝子組換え)Erenumab(Genetical Recombination)
エレヌマブは、ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)1型受容体に対する遺伝子組換えヒトIgG2モノクローナル抗体である。エレヌマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。エレヌマブは、456個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ2鎖)2本及び216個のアミノ酸残基からなるL鎖(λ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約149,000)である。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
ペン1本
1) 社内資料:113734試験 生殖発生毒性試験(2021年6月23日承認、CTD 2.6.6.6)
2) 社内資料:20120130試験 日本人第Ⅰ相試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.4)
3) 社内資料:20170609試験 日本人第Ⅲ相試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.11)
4) 社内資料:ポピュレーションPK試験報告書(2021年6月23日承認、CTD 2.7.2.3.8)
5) 社内資料:20101267試験 海外第Ⅰ相試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.5)
6) 社内資料:20101267試験 海外第Ⅰ相試験及び20120130試験 日本人第Ⅰ相試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.2.3.1.1)
7) 社内資料:20150334試験 薬物相互作用試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.8)
8) 社内資料:20140255試験 薬物相互作用試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.7)
9) 社内資料:20120309試験 日本人第Ⅱ相試験(2021年6月23日承認、CTD 2.7.6.10)
10) Manoukian R, et al. :J Headache and Pain 2019; 20:44.
11) Shi L, et al. : J Pharmacol Exp Ther 2016; 356:223-231.
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