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アリケイス吸入液590mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2耐性の機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

アリケイス吸入液590mg

添付文書番号

6169700G1025_1_07

企業コード

150949

作成又は改訂年月

**2022年6月改訂(第3版)
2021年7月改訂

日本標準商品分類番号

876169

薬効分類名

アミノグリコシド系抗生物質製剤

承認等

アリケイス吸入液590mg

販売名コード

YJコード

6169700G1025

販売名英語表記

ARIKAYCE

販売名ひらがな

ありけいすきゅうにゅうえき

承認番号等

承認番号

30300AMX00245000

販売開始年月

2021年7月

貯法・有効期間

貯法

凍結を避け、2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

一般的名称

アミカシン硫酸塩

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分並びに他のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

アリケイス吸入液590mg

有効成分1バイアル(8.4mL)中にアミカシン硫酸塩をアミカシンとして590mg(力価)含有  
添加物  ジパルミトイルホスファチジルコリン (DPPC)
コレステロール
水酸化ナトリウム
塩化ナトリウム

注)本剤は専用のネブライザにより薬液8.4mLが投与できるように、1バイアル中に薬液8.9mLが充填されている。

3.2 製剤の性状

アリケイス吸入液590mg

pH6.1~7.1
剤形・性状白色の乳状懸濁液
その他無菌製剤

4. 効能又は効果

適応菌種:アミカシンに感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)
適応症:マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤の適用は、肺MAC症に対する多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者に限定すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはアミカシンとして590mg(力価)を1日1回ネブライザを用いて吸入投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤を吸入する際には、専用のネブライザであるラミラネブライザシステムを使用すること。
  2. 7.2 使用にあたっては、ガイドライン等を参照し、多剤併用療法と併用すること。
  3. 7.3 喀痰培養陰性化が認められた以降も、一定期間は本剤の投与を継続すること。臨床試験においては、喀痰培養陰性化が認められた以降に最大12ヵ月間、本剤の投与を継続した。
  4. 7.4 投与開始後12ヵ月以内に喀痰培養陰性化が得られない場合は、本剤の継続投与の必要性を慎重に再考すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 めまい、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので、特に血中濃度が高くなりやすい患者(腎機能障害患者、高齢者、長期間投与患者等)では聴力検査を実施することが望ましい。
  2. 8.2 急性腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  3. 8.3 ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 第8脳神経障害又はその疑いのある患者

    第8脳神経障害が発現又は増悪するおそれがある。

  2. 9.1.2 重症筋無力症等の神経筋障害又はその疑いのある患者

    本剤は神経筋遮断作用を有するため、呼吸抑制があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害患者では高い血中濃度が持続し、腎障害の悪化及び第8脳神経障害の副作用が強くあらわれるおそれがある。腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。妊婦に投与すると新生児に第8脳神経障害があらわれるおそれがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤吸入投与によるヒト母乳中への移行は不明であるが、アミカシンを筋肉内投与した場合、ヒト母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下しているため、高い血中濃度が持続し、第8脳神経障害等の副作用が強くあらわれるおそれがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    ループ利尿剤
    エタクリン酸
    フロセミド
    アゾセミド

    腎障害及び聴力障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。

    機序は明確でないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある。

    腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤
    バンコマイシン
    エンビオマイシン
    白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)

    腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。

    両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが、相互作用の機序は不明。

    神経筋遮断剤
    麻酔剤
    筋弛緩剤
    ツボクラリン
    パンクロニウム臭化物
    ベクロニウム臭化物
    トルペリゾン
    A型ボツリヌス毒素製剤

    呼吸抑制があらわれるおそれがある。呼吸抑制があらわれた場合には必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと。

    両薬剤とも神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される。

    腎毒性を有する薬剤
    シクロスポリン
    アムホテリシンB

    腎障害が発現、悪化するおそれがある。

    両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明。

    11. 副作用

    11.1 重大な副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 11.1.1 過敏性肺臓炎(2.7%)
    2. 11.1.2 気管支痙攣(21.5%)
    3. 11.1.3 第8脳神経障害(15.1%)

      めまい、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがある。

    4. 11.1.4 急性腎障害(3.2%)

    5. 11.1.5 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)

    11.2 その他の副作用

    5%以上

    1%以上5%未満

    1%未満

    血液及びリンパ系

    白血球減少

    心臓障害

    動悸

    耳及び迷路

    耳鳴

    耳の不快感
    難聴

    耳痛
    めまい

    眼障害

    流涙低下

    胃腸障害

    口内乾燥
    悪心
    下痢

    腹痛
    舌炎
    舌変色
    嘔吐

    全身障害及び投与部位の状態

    疲労

    胸部不快感

    悪寒
    発熱
    無力症

    感染症及び寄生虫症

    気管支炎
    喉頭炎
    口腔カンジダ症

    臨床検査

    体重減少

    呼吸音異常

    代謝及び栄養障害

    食欲減退

    筋骨格系及び結合組織障害

    関節痛

    胸筋骨格痛
    筋肉痛

    神経系障害

    失声
    めまい
    味覚不全
    頭痛

    錯感覚
    平衡障害

    精神障害

    不眠症

    腎及び尿路障害

    血尿

    呼吸器、胸郭及び縦隔障害

    咳嗽
    発声障害
    呼吸困難
    喀血
    口腔咽頭痛

    喀痰を伴う咳嗽
    鼻漏
    唾液増加
    喉の炎症
    喘鳴
    慢性閉塞性肺疾患

    咽頭紅斑
    ラ音
    鼻詰まり
    声帯炎症

    皮膚及び皮下組織障害

    寝汗
    掻痒
    発疹

    皮膚乾燥
    多汗症

    13. 過量投与

    アミカシンの除去には血液透析が有用であるとの報告がある。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤交付時の注意

    ラミラネブライザシステムの使用方法を患者に十分に指導すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    本剤は使用前に室温20~25℃に戻してから使用すること。使用時にはバイアルを少なくとも10~15秒間激しく振り混ぜ、内容物が均一でよく混ざるようになるまで本剤を調製する。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 喀痰濃度(反復投与時)

      肺MAC症患者に対する本剤の1日1回の吸入において、吸入後1~4時間の喀痰濃度は、それぞれ、1、3、6ヵ月でそれぞれ1720、884、1300µg/gで、アミカシン濃度の高い変動を認めた(CV%>100%)。吸入48~72時間後、アミカシン喀痰濃度は吸入1~4時間後の濃度の約5%に低下した1)

    2. 16.1.2 血清濃度(反復投与時)

      肺MAC症患者(53例、日本人28例を含む)に本剤590mg 1日1回吸入反復投与したときの血清中アミカシン濃度データ(53例、418点)及び尿中アミカシン濃度データ(14例、23点)を用いて母集団薬物動態解析を行った結果、平均血清AUC0-24は20.4µg・hr/mL(範囲:4.3~55.6µg・hr/mL)、平均血清Cmaxは2.27µg/mL(範囲:0.48~6.87µg/mL)、平均血清Cminは0.16µg/mL(範囲:0.02~0.84µg/mL)であり、平均血清消失半減期は5.70時間(範囲:3.29~14.0)であった。

    16.2 吸収

    本剤のバイオアベイラビリティは、主に吸入送達効率の個人差及び患者の気道病変状態の違いにより異なることが予想される。

    16.3 分布

    アミカシンは血清タンパク質に10%以下で結合している2)。本剤投与後の平均の総見かけ分布容積は約5.0L/kgである1)

    16.4 代謝

    アミカシンは著しい代謝を受けない。

    16.5 排泄

    本剤投与後、全身に吸収されたアミカシンは、主に糸球体ろ過により排泄される。肺MAC症患者に本剤590mg1日1回反復吸入投与した時の投与終了後24時間までの累積尿中未変化体排泄率の平均値(14例)は7.42%(範囲:0.72~22.6%)であった。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国際共同第Ⅲ相試験

      多剤併用療法(2剤以上の抗菌薬)で最低6ヵ月連続して治療しても喀痰培養でMAC菌陽性が確認される肺MAC症患者(336例、日本人48例を含む)を対象に、多剤併用標準治療法を対照とした無作為化オープンラベル並行群間比較試験(国際共同試験)を実施し、本剤590mg1日1回吸入投与を多剤併用標準治療に上乗せして最長16ヵ月投与(投与した最初の時点から6ヵ月までに培養陰性化となり、その後に再発/再燃しなかった被験者は、培養陰性化を示した最初の時点から12ヵ月間まで本剤の投与を継続した)及び投与終了12ヵ月後までの有効性及び安全性を検討した。
      本剤上乗せ群及び多剤併用治療群の治療6ヵ月目までの喀痰培養陰性化達成率は、それぞれ29.0%(65/224例)及び8.9%(10/112例)であり、統計学的に有意な差が認められた(p<0.0001,Cochran-Mantel-Haenszel検定)。
      本剤+多剤併用療法群223例のうち、185例(83.0%)で本剤との因果関係を否定できない有害事象が発生した。主な副作用は、発声障害(44.4%)、咳嗽(33.2%)、呼吸困難(17.0%)、喀血(11.2%)、疲労(9.0%)、口腔咽頭痛(8.5%)、頭痛(6.7%)、耳鳴(6.7%)、下痢(5.8%)、悪心(5.4%)であった3)

    2. 17.1.2 国際共同第Ⅲ相長期投与試験

      国際共同第Ⅲ相試験で喀痰培養陰性化が達成できなかった肺MAC症患者(試験開始6ヵ月目までに培養陰性化を達成しなかった被験者又は試験開始6ヵ月目までに再発又は再燃が認められた被験者)を対象に非対照非盲検試験を実施し、本剤590mg1日1回吸入投与を多剤併用標準治療に上乗せして最長12ヵ月投与までの安全性及び忍容性を検討した。163例(先の試験で本剤上乗せ群73例、先の試験で多剤併用治療群90例)うち日本人被験者30例(同17例、13例)が対象となった。
      本試験開始から投与6ヵ月目及び12ヵ月目までの喀痰培養陰性化達成割合は、投与6ヵ月目までに19.0%(31/163例)[先の試験で本剤上乗せ群9.6%(7/73例)、先の試験で多剤併用治療群26.7%(24/90例)]、投与12ヵ月目までに24.5%(40/163例)[先の試験で本剤上乗せ群13.7%(10/73例)、先の試験で多剤併用治療群33.3%(30/90例)]であった。
      105例(64.4%)[先の試験で本剤上乗せ群31例(42.5%)、先の試験で他剤併用治療群74例(82.2%)]で本剤との因果関係を否定できない有害事象が発生した。主な副作用は、発声障害(26.4%)、咳嗽(19.6%)、呼吸困難(9.8%)、喀血(5.5%)であった4)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    アミカシンは、ポリカチオン性、半合成アミノグリコシド系抗生物質であり、タンパク質合成を阻害することにより抗菌活性を示す。
    リポソーム化製剤である本剤はヒトの喀痰を透過し、バイオフィルムに浸透することができる。培養ヒトマクロファージにおいて、本剤は、アミカシンのマクロファージへの取り込みを増加させ、遊離アミカシンよりも本剤による細胞内マイコバクテリアの死滅数が多かった5)

    18.2 耐性の機序

    マイコバクテリアのアミカシンに対する耐性のメカニズムは、16S rRNAのrrs遺伝子の変異に関連している。臨床試験では、ベースライン後に64µg/mLを超えるアミカシンMIC(最小発育阻止濃度)を発現するMAC分離株が、多剤併用標準治療法のみで治療された被験者よりも高い割合で本剤上乗せで治療された被験者で観察された。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    アミカシン硫酸塩(Amikacin sulfate)

    化学名

    3-Amino-3-deoxy-α-D-glucopyranosyl-(1→6)-[6-amino-6-deoxy-α-D-glucopyranosyl-(1→4)]-1-N-[(2S)-4-amino-2-hydroxybutanoyl]-2-deoxy-D-streptamine disulfate

    分子式

    C22H43N5O13•2H2SO4

    分子量

    781.76

    性状

    アミカシン硫酸塩は白色~黄白色の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノールにはほとんど溶けない。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    凍結を避け、冷蔵庫に保管(2℃-8℃)。
    アリケイスは、最大25℃の室温で最大4週間保存が可能である。一旦室温で保存された場合、未使用の薬剤は4週間で廃棄する必要がある。

    21. 承認条件

    医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    アリケイス吸入液 590mg:7バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    「主要文献」に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
    インスメッド合同会社
    メディカルインフォメーションセンター

    東京都千代田区永田町二丁目10番3号
    東急キャピトルタワー13階

    電話: 0120-118808

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売業者

    インスメッド合同会社

    東京都千代田区永田町二丁目10番3号
    東急キャピトルタワー13階
    https://insmed.jp

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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