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劇薬
処方箋医薬品注)
HIV感染症
通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、アバカビルとして1日量600mgを1日1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜減量する。
投与しないこと。血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。,
投与しないことが望ましいが、特に必要とする場合には慎重に投与すること。薬物動態は検討されていない。
薬物動態試験の結果、薬物動態に影響がみられたが、これら患者における推奨投与量は明らかとなっていない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物において、本剤又はその代謝物は胎盤を通過することが示されている。動物(ラットのみ)において、本剤の500mg/kg/日又はそれ以上の投与量(ヒト全身曝露量(AUC)の32~35倍)で、胚又は胎児に対する毒性(胎児の浮腫、変異及び奇形、吸収胚、体重減少、死産の増加)が認められたとの報告がある。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。また、非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
授乳を避けさせること。一般に、HIVの乳児への移行を避けるため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない。アバカビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.9であることが報告されている4)(外国人データ)。
生後3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。なお、小児等に対し本剤を投与した場合、本剤1日1回投与では、1日2回投与と比較して、曝露量が大きくなる可能性がある。
患者の肝、腎及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分考慮し慎重に投与すること。
アルコール(飲酒),,
本剤の代謝はエタノールによる影響を受ける。本剤のAUCが約41%増加したが、エタノールの代謝は影響を受けなかったとの報告がある14)。
アルコールデヒドロゲナーゼの代謝基質として競合すると考えられている。
メサドン塩酸塩
メサドンのクリアランスが22%増加したことから、併用する際にはメサドン塩酸塩の増量が必要となる場合があると考えられる。なお、アバカビルの血中動態は臨床的意義のある影響を受けなかった(Cmaxが35%減少し、tmaxが1時間延長したが、AUCは変化しなかった)。
機序不明
リオシグアト
本剤とリオシグアトの併用により、リオシグアトのAUCが増加するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。
本剤のCYP1A1阻害作用によりリオシグアトの代謝が阻害される。
アバカビルの投与により発熱又は皮疹を伴う多臓器及び全身性の過敏症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、以下に示すような徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,,,,,,
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)及び肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。
10%以上
5%~10%未満
5%未満
皮膚
発疹
消化器
悪心
嘔吐、下痢、食欲不振
精神神経系
頭痛
その他
体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)
疲労感、嗜眠、発熱、高乳酸塩血症
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
HIV感染症患者6例に本剤300mgを単回経口投与した場合の血清中濃度推移を図-1に、薬物動態パラメータを表-1に示した。未変化体の血清中濃度は、本剤投与後約1時間で最高濃度に達し、消失半減期は約1.4時間であった。また、アバカビルの投与後8時間までの投与量に対する尿中排泄率は、1.5~4.2%であった5)。
tmax(h)
Cmax(μg/mL)
AUC∞(μg・h/mL)
t1/2(h)
アバカビル
1.0±0.6
3.9±1.6
8.3±3.5
1.4±0.3
5’-カルボン酸体
1.2±0.7
2.5±1.2
6.3±2.4
1.6±0.2
5’-グルクロン酸抱合体
3.7±1.4
12.2±4.3
1.9±0.4
平均値±標準偏差、6例
HIV感染症患者9例にラミブジン300mg及びアバカビル600mgを含有する配合剤(エプジコム配合錠)を空腹時単回投与した場合のラミブジン、アバカビルの血漿中濃度の推移を図-2及び図-3に、薬物動態パラメータを表-2に示した6)。
AUClast(h・μg/mL)
AUC0-τ(h・μg/mL)
tmax注1)(h)
ラミブジン
3.58±0.61
13.81±3.56
16.30±5.058
2.00(1.00-3.00)
2.49±0.55
5.68±2.04
12.56±4.01
12.89±4.22
1.00(0.50-1.03)
1.50±0.16
平均値±標準偏差、9例注1)中央値(範囲)
HIV感染症患者12例を対象に本剤100、300、600、900、1200mg注)を単回経口投与した場合、Cmax及びAUC∞は投与量に依存して上昇した。未変化体の血漿中濃度は投与約1.5時間後に最高濃度に達し、消失半減期は約1.5時間であった7)(外国人データ)。
HIV感染症患者20例を対象に本剤300mgを1日2回投与した場合の定常状態におけるCmaxは約3μg/mL、12時間までのAUCは約6μg・h/mLであった8)(外国人データ)。HIV感染症患者27例を対象に本剤600mg1日1回投与時と本剤300mg1日2回投与時の定常状態における薬物動態パラメータを比較した結果、細胞内カルボビル三リン酸の曝露は、本剤600mg1日1回投与時の方が大きく、AUC0-24、Cmax及びCτがそれぞれ32%、99%及び18%増加した(外国人データ)。
HIV感染症患者18例を対象に本剤300mgを食後単回投与した場合、Cmaxは空腹時単回投与と比べ低下したが、AUC∞に変化はみられなかった9)(外国人データ)。
HIV感染症患者に本剤300mgを単回経口投与した時の生物学的利用率は約83%であった9)(外国人データ)。
HIV感染症患者6例を対象にアバカビル150mgを静脈内投与注)した場合の見かけの分布容積は約0.86L/kgであり、広く組織に分布することが示唆された9),10)(外国人データ)。
HIV感染症患者におけるアバカビルの脳脊髄液(CSF)への移行は良好で、血漿中AUCに対するCSF中AUCの比は31~44%であった11)(外国人データ)。本剤600mg1日2回注)投与時の最高濃度の実測値はIC50(0.08μg/mLあるいは0.26μM)の9倍超であった10)(外国人データ)。
In vitroにおいて、本剤は10μg/mLまでの添加濃度範囲で、ヒト血漿蛋白結合率は49%と一定であった10)。
血液及び血漿中放射能濃度が同じであったことから、本剤は血球に直ちに分布することが示された10)。
ヒトでの主代謝物は、5'-カルボン酸体及び5'-グルクロン酸抱合体であった11)(外国人データ)。ヒト肝由来試料を用いたin vitro試験から、本剤は肝可溶性画分により酸化的代謝を受け5'-カルボン酸体を生成したが、肝ミクロソーム画分では本剤の酸化的代謝は起こらなかった。本剤の酸化的代謝にはCYPではなく、アルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼが関与していた。なお、これらの代謝物には抗ウイルス活性はなかった。,,アバカビルは細胞内で活性代謝物であるカルボビル三リン酸に代謝される。HIV感染症患者20例にアバカビル300mg1日2回投与した時の定常状態における細胞内カルボビル三リン酸の半減期は20.6時間であった(外国人データ)。
HIV感染症患者6例を対象に14C標識アバカビル600mgを単回経口投与後、薬物体内動態を検討した。総放射能の約99%が排泄され、主な排泄経路は尿(約83%)であり、糞中には約16%排泄された。尿中に排泄された放射能の約1%は未変化体であり、約30%が5'-カルボン酸体、約36%が5'-グルクロン酸抱合体であった11)(外国人データ)。
腎機能障害患者(GFR:<10mL/min)におけるアバカビルの薬物動態は、腎機能が正常な患者の薬物動態と同様であった12)(外国人データ)。
軽度の肝障害(Child-Pugh分類の合計点数:5)を有するHIV感染症患者におけるアバカビルの薬物動態を検討した結果、AUC及び消失半減期は肝障害を有さないHIV感染症患者のそれぞれ1.89倍及び1.58倍であった。代謝物の体内消失速度にも変化が認められたが、AUCは肝障害による影響を受けなかった13)(外国人データ)。なお、これら患者に対する推奨投与量は明らかでない。,,,
アバカビルは経口投与後速やかにかつ良好に吸収され、成人と類似した薬物動態が認められる。生後3ヵ月以上で体重30kg未満の小児における推奨用量は8mg/kg1日2回であり、やや高い血漿中濃度が認められるが、成人に300mg1日2回投与した時に得られる血漿中濃度に相当する(外国人データ)。なお、2歳から13歳未満の小児HIV感染症患者を対象とした薬物動態試験において、アバカビル8mg/kg1日2回投与した場合のAUC0-24及びCmaxはそれぞれ9.91μg・h/mL及び2.14mg/Lであり、アバカビル16mg/kg1日1回投与した場合のAUC0-24及びCmaxはそれぞれ13.37μg・h/mL及び4.80mg/Lであった(外国人データ)。
生後3ヵ月未満の乳児におけるアバカビルの推奨用量及び用法は、安全性情報が十分に得られていないため明らかにされていない。現在までに得られている成績から、生後30日未満の新生児にアバカビル2mg/kg投与した時には、小児に8mg/kg投与した時と類似あるいは高値のAUCがみられることが示されている(外国人データ)。
本剤は主代謝酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害しなかった。,,また、in vitro試験において、本剤はCYP1A1を阻害し、CYP3A4もわずかに阻害した21)が、CYP2D6及び2C9を阻害しなかった8)。ヒト肝スライスを用いたin vitro試験において、HIVプロテアーゼ阻害剤であるアンプレナビルは本剤の代謝を阻害しなかった。
HIV感染症患者25例を対象に本剤600mgをエタノール0.7g/kgと併用して単回投与した場合、本剤のAUC∞の上昇及びt1/2の延長がみられたが臨床上重要なものではなかった。また、本剤はエタノールの薬物動態に影響を示さなかった14)(外国人データ)。,,
HIV感染症患者15例を対象に本剤600mgとジドブジン(300mg)及びラミブジン(150mg)のどちらか1剤あるいは両剤を併用した場合、いずれの併用においても併用薬による本剤血中濃度への影響はみられなかった。一方、本剤と併用したラミブジンのAUC∞及びCmaxは、ジドブジン併用、非併用に関わらずいずれも低下した。また、本剤と併用したジドブジンは、ラミブジン併用時及び非併用時においてAUC∞の上昇がみられたが、Cmaxは低下した。これらの変化は臨床上重要なものではなかった15)(外国人データ)。
アバカビル・ドルテグラビル・ラミブジン600mg・50mg・300mg注)を投与中の成人HIV感染症患者にリオシグアト0.5mgを単回経口投与した時、リオシグアトのAUCが健康成人に単独投与したヒストリカルコントロールと比べて約2.6倍に増加した21),22)(外国人データ)。注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、アバカビルとして1日量600mgを1日1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜減量する。」である。
CD4リンパ球数が100/mm3以上で抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者173例を対象とした二重盲検比較試験において、本剤(300mg1日2回)+ラミブジン(150mg1日2回)+ジドブジン(300mg1日2回)を併用投与した群(本剤併用群)あるいはプラセボ+ラミブジン(150mg1日2回)+ジドブジン(300mg1日2回)を併用投与した群(プラセボ併用群)に、それぞれ87例と86例の患者が無作為に割り付けられた。48週間の治療期間中に、血漿中HIV-1 RNA量が検出限界(400copies/mL)以下であった患者の比率は治療開始8週後より両群間で差がみられ、48週後ではそれぞれ61%と6%となり、プラセボ併用群に比べて本剤併用群の方が高い抗HIV効果を示した。
また、48週後のCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、本剤併用群とプラセボ併用群でそれぞれ150/mm3、164/mm3であった。本剤併用群の副作用発現頻度は65%(54/83例)であった。主な副作用は、悪心47%(39/83例)、倦怠感/疲労25%(21/83例)及び頭痛24%(20/83例)であった。
抗HIV薬による治療経験のある生後3ヵ月~12歳の小児HIV感染症患者205例を対象とした二重盲検比較試験において、アバカビル(8mg/kg1日2回)+ラミブジン(4mg/kg1日2回)+ジドブジン(180mg/m21日2回)を併用投与した群(アバカビル併用群)あるいはプラセボ+ラミブジン(4mg/kg1日2回)+ジドブジン(180mg/m21日2回)を併用投与した群(プラセボ併用群)に、それぞれ102例と103例の患者が無作為に割り付けられた。その結果、48週間の治療期間中に、血漿中HIV-1 RNA量が10000copies/mL以下又は検出限界(400copies/mL)以下であった患者の比率は、治療開始2週後より両群間で差がみられ、48週後ではそれぞれ10000copies/mL以下が36%、26%、検出限界以下が10%、<1%であり、プラセボ併用群に比べてアバカビル併用群の方が高い抗HIV効果を示した(他剤への変更例を無効とした解析)。
また、48週後のCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、プラセボ併用群が-14/mm3と減少したのに対しアバカビル併用群は99/mm3と増加した。なお、48週間を通じてCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、アバカビル併用群がプラセボ併用群に比し高値であったが有意差はみられなかった16)。アバカビル併用群の副作用発現頻度は38%(39/102例)であった。主な副作用は、悪心/嘔吐20%(20/102例)、頭痛6%(6/102例)及び栄養摂取の問題5%(5/102例)であった。
治療経験がない成人のHIV感染者770例を対象として投与回数を比較する二重盲検比較試験(ラミブジン300mg1日1回とエファビレンツ600mg1日1回の併用による、アバカビル600mg1日1回投与群384例又はアバカビル300mg1日2回投与群386例)を実施した。投与48週後にHIV-1 RNA量が400copies/mL未満であった患者の比率は、アバカビル600mg1日1回投与群、300mg1日2回投与群ともに72%であった。さらに、投与48週後にHIV-1 RNA量が50copies/mL未満であった患者の比率は、アバカビル600mg1日1回投与群が66%、アバカビル300mg1日2回投与群が68%であった(図-3)。また、投与48週後のCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、それぞれ188/mm3、200/mm3であった。
なお、本試験における試験成績の要約を表-1に示した。
結果
アバカビル600mg1日1回+ラミブジン+エファビレンツ(n=384)
アバカビル300mg1日2回+ラミブジン+エファビレンツ(n=386)
レスポンダー注1)
66%(72%)
68%(72%)
ウイルス学的な治療失敗注2)
10%(4%)
8%(4%)
有害事象による中止
13%
11%
その他の理由による中止注3)
(n=Intent-to-treat analysis)注1)血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満(400copies/mL未満)となり投与48週後まで維持された患者の比率注2)血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満(400copies/mL未満)となったが投与48週後までにリバウンドを起こした患者、ウイルス学的に治療が失敗した患者、ウイルス学的な効果が不十分と判断された患者注3)同意の撤回、試験途中でフォローアップ不可、プロトコール違反、症状の進行等
副作用発現頻度は、アバカビル600mg1日1回投与群で74%(283/384例)及びアバカビル300mg1日2回投与群で72%(276/386例)であった。主な副作用は、浮動性めまい[それぞれ19%(73/384例)、17%(64/386例)]、悪心[それぞれ14%(53/384例)、17%(66/386例)]、異常な夢[それぞれ16%(62/384例)、15%(56/386例)]及び不眠症[それぞれ14%(54/384例)、16%(61/386例)]であった。
CD4リンパ球数が500/mm3以下のHIV感染症患者16例を対象とした多施設共同オープン試験において、試験開始時のHIV RNA量の平均値は3.41 log10 copies/mLであったが、2週後:1.87 log10 copies/mL、4週後:1.69 log10 copies/mL、8週後:1.38 log10 copies/mL、12週後:1.34 log10 copies/mL、16週後:1.34 log10 copies/mLと、試験開始時から経時的に減少していることが観察され、試験開始時と最終観察時との差は有意であった(p=0.0010 Wilcoxon一標本検定)。
また、CD4数の推移をみると、試験開始時の平均値は243.4/mm3、中央値は223.5/mm3であったが、最終観察時(投与後16週)にはCD4数は平均値320.8/mm3、中央値365/mm3に増加した。
副作用発現率は87.5%(14/16例)であった。主な副作用は倦怠感、嘔気、疲労及び食欲不振であった5)。
アバカビルは細胞内で活性化型のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質デオキシグアノシン三リン酸に代わってウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、カルボビル三リン酸はHIV逆転写酵素を競合的に阻害する17),18),19)。
アバカビルのHIV-1に対するIC50値はHIV-1 ⅢB株に対して3.7~5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(n=8)、HIV-1 BaL株に対して0.07~1.0μMであった。また、HIV-2に対するIC50値はHIV-2(Zy)株に対して4.1μM、HIV-2 LAV-2株に対して7.5μMであった。In vitroでNRTIのジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル、ザルシタビン及びジドブジン、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)のネビラピン、及びプロテアーゼ阻害剤のアンプレナビルとの相加又は相乗作用が認められた18)。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる20)。
アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された19)。
2種以上のアバカビル関連耐性変異を獲得したHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した19)。アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害剤とは標的酵素が異なることから、両者間で交差耐性を示す可能性は低く、NNRTIも逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性を示す可能性は低いものと考えられる。
アバカビル硫酸塩(Abacavir Sulfate)
(-)-{(1S,4R)-4-[2-Amino-6-(cyclopropylamino)purin-9-yl]cyclopenta-2-enyl}methanol hemisulfate
(C14H18N6O)2・H2SO4
670.74
白色~微黄白色の粉末である。トリフルオロ酢酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液及び希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
約219℃(分解)
1.20(pH7.1~7.3,1-オクタノール/水)
100錠[10錠(PTP)×10]
1) DHHS:Guidelines for Using Antiretroviral Agents Among HIV-Infected Adults and Adolescents. http://www.aidsinfo.nih.gov/Guidelines/
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