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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
CCR5指向性HIV-1感染症
通常、成人にはマラビロクとして1回300mgを1日2回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬を併用し、併用薬に応じて適宜増減すること。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。
併用薬
本剤の用量
以下の強力なCYP3A阻害剤(CYP3A誘導剤の有無を問わない):
150mg1日2回
tipranavir+リトナビル、ネビラピン、ラルテグラビル、あらゆるヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)及びenfuvirtide等のその他の併用薬
300mg1日2回
以下の強力なCYP3A誘導剤(強力なCYP3A阻害剤の併用なし):
等
600mg1日2回
Ccr<80mL/min
強力なCYP3A4阻害剤を併用しない時又はtipranavir+リトナビル併用時
投与間隔の調節は必要ない(300mgを12時間毎)
ホスアンプレナビル+リトナビル併用時
150mgを12時間毎
以下の強力なCYP3A4阻害剤の併用時:
150mgを24時間毎
心筋虚血等をおこすおそれがある。
肝機能が悪化するおそれがある。,
起立性低血圧をおこすおそれがある。
患者の臨床症状等を十分に観察すること。ブーストした本剤とプロテアーゼ阻害剤を併用する時は、本剤の血中濃度が上昇し、起立性低血圧を起こす危険性が高まるおそれがある。特に強力なCYP3A4阻害作用を有するプロテアーゼ阻害剤と併用する時は注意すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。,,
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で乳汁への移行が報告されている。また、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下していることが多い。
HIVプロテアーゼ阻害剤
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の用量を150mg1日2回に減量すること。
これらのプロテアーゼ阻害剤はCYP3A4の代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
HIVプロテアーゼ阻害剤+非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
HIVプロテアーゼ阻害剤(tipranavir/リトナビルを除く)+リファブチン
NNRTI
これらの薬剤はCYP3A4の代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
抗真菌剤
抗菌剤
テラプレビル,
nefazodone
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、強力なCYP3A4阻害剤を併用せずにこれらの薬剤を併用投与する場合、本剤の用量を600mg1日2回に増量すること。
これらの薬剤はCYP3A4の代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
カルバマゼピンフェノバルビタールフェニトイン
リファンピシン+エファビレンツ,
本剤の血中濃度が著しく低下して至適水準を下回り、ウイルス学的効果の消失や本剤に対する耐性が生じる可能性があるので、本剤とこれらの薬剤の併用は推奨されない。
これらの薬剤等はCYP3A4の代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度が著しく低下するおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が著しく低下して至適水準を下回り、ウイルス学的効果の消失や本剤に対する耐性が生じる可能性があるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないように注意すること。
降圧作用を有する薬剤
本剤の血中濃度の上昇に相関して、起立性低血圧が発現することが確認されている。本剤と降圧作用を有する薬剤とを併用した場合に起立性低血圧が発現することを示す試験はないものの、降圧作用を有する薬剤を併用中の患者は、起立性低血圧及び低血圧に関連する症状の発現に十分注意する必要がある。
機序不明
,
2%以上
2%未満
血液
貧血
ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、好中球数減少、白血球数減少、血小板数減少
感染症及び寄生虫症
鼻咽頭炎、耳感染、真菌感染、感染性筋炎、インフルエンザ、ウイルス感染
代謝及び栄養障害
高トリグリセリド血症、高血糖、食欲亢進、食欲減退、インスリン抵抗性糖尿病、多飲症
精神障害
不眠症
異常な夢、うつ病、感情障害、気分循環性障害、失見当識、多幸気分、リビドー減退、気分変動
神経系障害
浮動性めまい、味覚異常、頭痛
錯感覚、傾眠、感覚鈍麻、末梢性ニューロパシー、失神、精神運動亢進、レストレスレッグス症候群、振戦、味覚消失、健忘、記憶障害、異常感覚、副鼻腔炎に伴う頭痛、三叉神経痛
眼障害
眼刺激、眼乾燥、眼痛、弱視、アレルギー性結膜炎
耳及び迷路障害
耳痛、乗物酔い、耳漏、鼓膜充血
心臓障害
第一度房室ブロック、徐脈、頻脈、動悸
血管障害
ほてり、レイノー現象、起立性低血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
咳嗽
鼻閉、鼻乾燥、季節性鼻炎、呼吸困難、発声障害、肺気腫、肺障害、咽頭紅斑、咽喉頭不快感、咽喉頭疼痛、咽喉絞扼感、低音性連続性ラ音、上気道うっ血
胃腸障害
便秘、腹痛、消化不良、悪心、鼓腸、嘔吐、下痢
口の錯感覚、口の感覚鈍麻、口唇水疱、口腔内潰瘍形成、口唇のひび割れ、舌痛、歯痛、嚥下障害、おくび、レッチング、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、腹部不快感、消化器痛、白色便、異常便、排便痛
肝胆道系障害
肝脾腫大、黄疸
皮膚及び皮下組織障害
発疹
脱毛症、紅斑、体脂肪の再分布/蓄積、ざ瘡、冷汗、湿疹、過角化、爪の障害、爪変色、皮膚灼熱感、皮膚剥脱、皮膚刺激、そう痒症、毛包炎
筋骨格系及び結合組織障害
背部痛、頚部痛、筋痙縮、四肢痛、筋痛、肋軟骨炎、鼡径部腫瘤、筋緊張、筋骨格痛、ミオパシー
腎及び尿路障害
夜間頻尿、尿失禁、蛋白尿、着色尿、血尿
生殖系及び乳房障害
勃起不全、良性前立腺肥大症、乳房腫瘤、乳房圧痛、不正子宮出血、乳頭痛、骨盤痛
全身障害及び投与局所様態
疲労
無力症、異常感、胸部不快感、胸痛、易刺激性、口渇、脂肪織増加、全身性浮腫、炎症、インフルエンザ様疾患、薬物不耐性、注射部位反応、注射部位硬結、注射部位疼痛
臨床検査
ALT増加、AST増加、γGTP増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血中トリグリセリド増加、血中コレステロール増加、血中クレアチニン増加、血中鉄減少、血中カリウム減少、血中カリウム増加、ウイルス負荷増加、心電図QT延長、体温上昇、体重増加、体重減少
傷害、中毒及び処置合併症
転倒、筋損傷、肋骨骨折
イヌ及びサルにおいて、ヒトに300mgを1日2回投与した場合のそれぞれ6倍及び12倍の血漿中濃度で、QT間隔の延長が認められた1),2)。
健康成人男性12例に本剤300mgを空腹時単回経口投与した時、マラビロクは投与後1.5~5.0時間(中央値では3.0時間)に最高血漿中濃度(Cmax)に到達した。Cmax及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)の幾何平均値(変数係数%)はそれぞれ736ng/mL(42%)及び2763ng・h/mL(29%)であり、終末相の消失半減期(t1/2)の算術平均値(変数係数%)は13.0時間(23%)であった。健康成人を対象に本剤300mgを単回経口投与した時、マラビロクは投与後0.5~4時間(中央値では2時間)でCmaxに到達した3) 。健康成人を対象にマラビロク1~1200mg注)を単回経口投与した時、マラビロクの薬物動態は投与量に比例しなかった4) (外国人データ)。
健康成人及びHIV感染患者にマラビロクを投与した時の定常状態の薬物動態パラメータを表1に示す5) (外国人データ)。
マラビロクの用量
例数
Cmax(ng/mL)
AUC12(ng・h/mL)
Cmin(ng/mL)
健康成人(第Ⅰ相)
300mg 1日2回
64
888
2908
43.1
無症候性HIV感染患者(第Ⅱa相)
8
618
2550
33.6
治療歴のあるHIV感染患者(第Ⅲ相)注1)
94
266
1513
37.2
150mg 1日2回(CYP3A4阻害剤併用)
375
332
2463
101
注1)患者の血漿中濃度データを用いた母集団薬物動態解析により各パラメータを推定した。
健康成人を対象にマラビロク300mgを高脂肪食(朝食)と共に投与した時、マラビロクのCmax及びAUCは33%低下した6) 。HIV-1感染患者を対象とした海外臨床試験では食事制限を設定することなく有効性及び安全性が示されているため、マラビロクは食事の有無にかかわらず定められた用法及び用量を投与することができる6) (外国人データ)。
健康成人にマラビロク100 mg注)を経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは23%であり7) 、300mgでは33%と推定されている7) (外国人データ)。
健康成人にマラビロク100 mg注)を投与した時の分布容積は約194Lであった7) (外国人データ)。
In vitroでのマラビロクのヒト血漿蛋白結合率は約76%であった8),9) 。
In vitroで、マラビロクはアルブミン及びα1酸性糖蛋白と中等度の親和性を示す9) 。
ヒトにおける試験及びヒト肝ミクロソームと発現酵素系ミクロソームにおけるin vitro試験から、マラビロクは主にCYPを介し、HIV-1に対する効果を持たない代謝物に変換されることが示されている。In vitroで、主な代謝酵素はCYP3A4であり、CYP2C9、CYP2D6、及びCYP2C19の代謝への寄与は小さいことが示されている。,
14C-マラビロク300mgを単回経口投与した時、血漿中には主として未変化体(マラビロク)が存在し、体循環している放射能の約42%を占めた。血漿中の主な代謝物はN-脱アルキル化によって形成される2級アミンであり、体循環している放射能の約22%を占めた。この極性代謝物に顕著な薬理活性はない。その他の代謝物はモノ酸化体であるが、血漿中の放射能としては微量成分であった4),7),10) (外国人データ)。
健康成人を対象にマラビロクを経口投与した時、定常状態におけるマラビロクの終末相の半減期は、14~18時間であった。14C-マラビロク300mgを単回投与したマスバランス試験において、投与後168時間で放射能の約20%が尿中に回収され、76%が糞便中に回収された。尿中及び糞便中へは主として未変化体として排泄され、それぞれ投与量の8%及び25%(平均値)であった。その他は代謝物として排泄された7) (外国人データ)。
マラビロクの腎クリアランスは、CYP3A4を阻害する薬剤の非併用時では総クリアランスの約23%であるが、併用時では約70%を占める可能性がある。腎機能障害患者における薬物動態のシミュレーション検討結果から、強力なCYP3A4阻害剤との併用時には、マラビロクの血中濃度が増加するため、投与量を減量する必要がある。
マラビロクは主に肝臓で代謝され消失する。軽度(Child-Pugh分類A:8例)又は中等度(Child-Pugh分類B:8例)の肝機能障害を有する患者にマラビロク300mgを単回投与した時のマラビロクの薬物動態が検討されている。肝機能の正常な被験者(8例)と比較して軽度の肝機能障害患者のCmax及びAUC(平均値)はそれぞれ11%及び25%、中等度の肝機能障害患者ではそれぞれ32%及び46%高い値を示した11) 。重度の肝機能障害を有する患者の薬物動態は検討されていない(外国人データ)。
小児患者における本剤の薬物動態は確立されていない(外国人データ)。
臨床第Ⅰ相、第Ⅱa相及び第Ⅲ相試験データを用いた母集団薬物動態解析の結果、年齢(16~65歳)の影響は認められなかった12),13) (外国人データ)。
臨床第Ⅰ相及び第Ⅱa相試験データを用いた母集団薬物動態解析の結果、性別(女性:96例、全集団の23.2%)はマラビロクの血中濃度には影響を及ぼさないことが示されている12) 。性別による用量調節は不要である(外国人データ)。
臨床第Ⅰ相及び第Ⅱa相試験データを用いた母集団薬物動態解析では、アジア人(95例)及び黒人(14例)が含まれた。母集団薬物動態解析においてアジア人と非アジア人(318例)で人種の影響を検討したところアジア人の曝露量が26.5%高いことが示されたが、薬物動態試験による白人(12例)とアジア人(12例)の比較では、両集団に薬物動態の相違は認められなかった12),14) 。人種に基づく用量調節は不要である(外国人データ)。
In vitroにおいてマラビロクはP糖蛋白質(P-gp)及びOATP1B1の基質であり、P-gpを阻害する(IC50:183μM)8) 。
in vitroで、臨床的に意味のある濃度でCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4の活性を阻害しなかった10) 。
併用薬及び用量
マラビロクの用量注)
マラビロクの薬物動態パラメータの比(併用薬の併用時/非併用時)及び90%信頼区間(影響なし=1.00)
Cmax
AUCtau
Cmin
CYP3A4又は、CYP3A4及びP-gpを阻害する薬剤
ケトコナゾール400mg QD16)
12
100mg BID
3.38(2.38, 4.78)
5.00(3.98, 6.29)
3.75(3.01, 4.69)
リトナビル100mg BID16)
1.28(0.79, 2.09)
2.61(1.92, 3.56)
4.55(3.37, 6.13)
サキナビル(ソフトゲルカプセル)+リトナビル1000mg+100mg BID16)
11
4.78(3.41, 6.71)
9.77(7.87, 12.14)
11.3(8.96, 14.1)
ロピナビル・リトナビル400 mg・100mg BID16)
300mg BID
1.97(1.66, 2.34)
3.95(3.43, 4.56)
9.24(7.98, 10.7)
アタザナビル400mg QD16)
2.09(1.72, 2.55)
3.57(3.30, 3.87)
4.19(3.65, 4.80)
アタザナビル+リトナビル300mg+100mg QD16)
2.67(2.32, 3.08)
4.88(4.40, 5.41)
6.67(5.78, 7.70)
ダルナビル+リトナビル600mg+100mg BID16)
150mg BID
2.29(1.46, 3.59)
4.05(2.94, 5.59)
8.00(6.35, 10.1)
テラプレビル750mg TID
14
7.81(5.92, 10.32)
9.49(7.94, 11.34)
10.17(8.73, 11.85)
CYP3A4又は、CYP3A4及びP-gpを誘導する薬剤
エファビレンツ600mg QD16)
0.486(0.377, 0.626)
0.552(0.492, 0.620)
0.55(0.43, 0.72)
エトラビリン200mg BID16)
0.400(0.282, 0.566)
0.468(0.381, 0.576)
0.609(0.525, 0.707)
リファンピシン600mg QD16)
0.335(0.260, 0.431)
0.368(0.328, 0.413)
0.22(0.17, 0.28)
ネビラピン注1)(+ラミブジン+テノホビル)200mg BID(+150mg BID+300mg QD)16)
300mg 単回
1.54(0.94, 2.51)
1.01(0.65, 1.55)
-
CYP3A4又は、CYP3A4及びP-gpを阻害及び誘導する薬剤
ロピナビル・リトナビル+エファビレンツ400mg・100mg BID+600mg QD16)
1.25(1.01, 1.55)
2.53(2.24, 2.87)
6.29(4.72, 8.39)
サキナビル(ソフトゲルカプセル)+リトナビル+エファビレンツ1000mg+100mg BID+600mg QD16)
2.26(1.64, 3.11)
5.00(4.26, 5.87)
8.42(6.46, 10.97)
ダルナビル+リトナビル+エトラビリン600mg+100mg BID+200mg BID16)
10
1.77(1.20, 2.60)
3.10(2.57, 3.74)
5.27(4.51, 6.15)
tipranavir+リトナビル500mg+200mg BID16)
0.86(0.61, 1.21)
1.02(0.850, 1.23)
1.80(1.55, 2.09)
CYP3A4又は、CYP3A4及びP-gpを阻害及び誘導しない薬剤
ラルテグラビル400mg BID
17
0.79(0.67, 0.94)
0.86(0.80, 0.92)
0.90(0.85, 0.96)
注1)マラビロク単独療法の試験成績との比較
マラビロクはジゴキシン(P糖蛋白の基質)の薬物動態に臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった。マラビロクは、ジドブジン(CYP以外による代謝及び腎で消失)又はラミブジン(主に腎で消失)の薬物動態に影響を及ぼさなかった17) 。マラビロクは、ミダゾラム、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)の薬物動態には臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった17) 。また、尿中6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比にも影響はなく、マラビロクはin vivoにおいてCYP3A4を誘導しないことが示唆された4) 。マラビロクの曝露量が増加した場合にマラビロクがCYP2D6を阻害する可能性は否定できないが、in vitro試験及び臨床試験成績から併用薬の薬物動態に影響を与える可能性は低いものと考えられる(外国人データ)。注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはマラビロクとして1回300mgを1日2回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬を併用し、併用薬に応じて適宜増減すること。」である。
他の抗HIV薬による治療歴のあるCCR5指向性HIV-1感染患者1076例を対象に、マラビロク(300mg、1日1回又は1日2回)注)又はプラセボと最適背景療法を併用した多施設共同二重盲検試験2試験を実施した結果、以下の成績が得られた18) (外国人データ)。
マラビロク+OBT注1)300mg、1日2回(n=426)
プラセボ+OBT注1)(n=209)
HIV-1 RNA量ベースラインからの変化量(log10 copies/mL)
-1.84
-0.78
-1.05(-1.33,-0.78)注2)
HIV-1 RNA量が<400copies/mLとなった症例数の割合
56.1%
22.5%
オッズ比:4.76(3.24, 7.00)注2)
HIV-1 RNA量が<50copies/mLとなった症例数の割合
45.5%
16.7%
オッズ比:4.49(2.96, 6.83)注2)
CD4陽性リンパ球数ベースラインからの変化量(/mm3)
124.07
60.93
63.13(44.28, 81.99)注2)
注1)OBT(最適背景療法)との併用注2)プラセボ投与群との差。括弧内は95%信頼区間を示す。ただし、HIV-1 RNA量のベースラインからの変化量では97.5%信頼区間を示す。
ベースライン HIV-1 RNA量
58.4%34.7%
26.0%9.5%
ベースラインCD4陽性リンパ球数(/mm3)
16.5%36.4%56.7%57.8%72.9%
2.6%12.0%21.8%21.0%38.5%
併用した抗HIV薬の数注2),注3)
32.7%44.5%58.2%62.0%
2.0%7.4%31.7%38.6%
注1)OBT(最適背景療法)との併用注2)治療中断又はウイルス学的効果がなかった場合は治療失敗とした。注3)遺伝子型感受性スコアに基づく
マラビロク(300mg、1日2回)及び最適背景療法を併用した際にみられた副作用発現頻度は50.0%(213/426例)であった。主な副作用は、悪心12.0%(37/426例)、下痢8.7%(51/426例)、疲労7.3%(31/426例)及び頭痛7.0%(30/426例)であった18) (外国人データ)。
他の抗HIV薬による治療歴のあるCXCR4指向性HIV-1感染患者、CCR5/CXCR4二重又は混合指向性HIV-1感染患者を対象に、マラビロク(300mg、1日1回又は1日2回)注)又はプラセボと最適背景療法を併用した多施設共同二重盲検試験を実施した。その結果、マラビロクはCXCR4指向性、CCR5/CXCR4二重又は混合指向性のHIV-1感染患者において、HIV-1 RNA量及びCD4陽性リンパ球数に対し、有意な影響を及ぼさないことが確認された19) (外国人データ)。
他の抗HIV薬による治療歴のないCCR5指向性HIV-1感染患者を対象に、マラビロク(300mg、1日1回又は1日2回)注)又はエファビレンツと併用薬(ジドブジン300mg及びラミブジン150mg、各1日2回)を投与した多施設共同二重盲検試験を実施した。高精度指向性検査を用いてCCR5指向性HIV-1感染例を選択した結果、以下の成績が得られた(外国人データ)。
項目
マラビロク投与群(N=311)
エファビレンツ投与群(N=303)
両投与群間の差
割合の差
片側97.5%CIの下限
48週後
<400 copies/mL
73.3%(228)
72.3%(219)
0.6
-6.4
<50 copies/mL
68.5%(213)
68.3%(207)
-0.2
-7.4
96週後
64.0%(199)
64.4%(195)
-0.4
-7.9
58.8%(183)
62.7%(190)
-3.9
-11.5
48週
96週
マラビロク投与群
エファビレンツ投与群
レスポンダー
213例
216例
188例
184例
ノンレスポンダー
98例
87例
123例
119例
ウイルス学的な治療失敗
26%
9%
22%
7%
リバウンド
14%
31%
24%
(治療中止例)
有害事象
13%
49%
15%
40%
不参加
20%
16%
死亡症例
1%
0
2%
その他
11%
注1)TLOVR(ウイルス学的効果消失までの期間)法による評価
治療
治療失敗例での耐性
Tropism Status
R5
X4/DM
NA
マラビロク投与群300mg BID(N=39)
チミジン誘導体関連変異
5.1%
M184VI注1)
25.6%
20.5%
エファビレンツ耐性
エファビレンツ投与群600mg QD(N=18)
11.1%
27.8%
38.9%
22.2%
DM=dual/mixed,NA=not available,BID=twice daily,QD=once daily注1)M184VI:ラミブジン高度耐性変異
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはマラビロクとして1回300mgを1日2回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬を併用し、併用薬に応じて適宜増減すること。」である。
マラビロクは、HIVが細胞に侵入する際に利用する補受容体であるCC Chemokine Receptor 5(CCR5)阻害剤である。マラビロクは、細胞膜上のCCR5に選択的に結合し、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120とCCR5との相互作用を遮断することにより、CCR5指向性HIV-1の細胞内への侵入を阻害する。なお、マラビロクは、CXCR4指向性及びCCR5/CXCR4二重指向性HIV-1の細胞内への侵入を阻害しない20) 。
CCR5指向性HIV-1初代臨床分離株43株においてマラビロクの抗ウイルス活性を評価した結果、マラビロクのIC90値はウイルスのサブタイプ間で有意な差はなく、その平均値は血清補正後の非結合型濃度として0.57ng/mLであった。一方、CXCR4使用ウイルス注)に対する抗ウイルス作用は示さなかった。HIV-2に対するマラビロクの抗ウイルス活性は検討されていない20),21) 。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI:アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、ジドブジン)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI:デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン)、プロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル)、又はHIV融合阻害剤(enfuvirtide)とマラビロクを併用した場合、抗ウイルス活性に拮抗作用は認められなかった20) 。注)CXCR4使用ウイルス:CXCR4指向性又はCCR5/CXCR4二重指向性ウイルス
CCR5指向性HIV-1臨床分離株2株を連続継代培養した結果、マラビロクに対する感受性が低下した変異株が分離された。これらのマラビロク耐性ウイルスはCCR5指向性を維持しており、CXCR4指向性又はCCR5/CXCR4二重指向性への変化は認められなかった22) 。
マラビロク耐性ウイルスの特徴は、in vitro抗ウイルス作用試験でマラビロクが100%阻害作用を示さないことであった22) 。表現型耐性の指標として通常用いられるIC50値は、マラビロクに対する感受性の低下にもかかわらず変動しない場合があり、表現型耐性の判定には有用ではない。
アミノ酸残基の変異はgp120に集中していた。しかしながら、変異の部位は分離株ごとに異なっており、これらの変異とマラビロク感受性との関連は明らかではない22) 。
培養細胞を用いた系で、マラビロクは、NRTI、NNRTI、プロテアーゼ阻害剤及びenfuvirtideに耐性を有するHIV-1臨床分離株に対し、抗ウイルス活性を示した。In vitroで生じたマラビロク耐性ウイルスは、enfuvirtide及びサキナビルに対し、感受性を維持していた23) 。
抗HIV薬による治療歴のあるCCR5指向性HIV-1感染患者を対象とした試験(試験A4001027及び試験A4001028)において、スクリーニング期からベースライン時までの間(4~6週間)で、7.6%の被験者のウイルスの指向性がCCR5指向性からCXCR4指向性又は二重/混合指向性へ変化した23),24) 。また、抗HIV薬による治療歴のない患者を対象とした試験(試験A4001026)において、スクリーニング期からベースライン時までの間(4~6週間)で、3.6%の被験者のウイルスの指向性がCCR5指向性からCXCR4指向性又は二重/混合指向性へ変化した。
マラビロクによる治療が成功しなかった患者の約60%において、治療失敗時にCXCR4使用ウイルスが検出された。これに対し、プラセボ群(最適背景療法の併用)の治療失敗例でCXCR4使用ウイルスが検出された患者数は6%であった。これらのCXCR4使用ウイルスの起源を検討するため、治療失敗時にCXCR4使用ウイルスが検出された20例(マラビロク群16例、プラセボ群4例)のウイルスのクローン分析を行った結果、CXCR4使用ウイルスは、指向性変異(CCR5指向性ウイルスがCXCR4指向性に変化した)によるのではなく、治療前の指向性検査では検出することのできなかったわずかな量のCXCR4使用ウイルスに由来することが示唆された。ベースライン時にはCCR5指向性ウイルスを有したがその後CXCR4使用ウイルスが検出され治療が失敗した患者のうち38例で、投与中止後35日間以上の追跡観察を行った。これら38例のうち、最終観察までにCCR5指向性に戻らなかった症例は、3例のみであった。CXCR4使用ウイルスが検出された治療失敗時の他の抗HIV薬に対する耐性パターンは、ベースライン時のCCR5指向性ウイルスと変わらなかった。したがって、抗HIV薬療法を選択する際には、ベースライン時には検出できないCXCR4使用ウイルスが、ベースライン時に検出されるCCR5指向性ウイルスと同じ耐性パターンを有している可能性を考慮する必要がある23),24) 。
表現型耐性:マラビロクによる治療の失敗時にCCR5指向性ウイルスが検出された58例中、22例でマラビロクに対する感受性が低下したウイルスが認められた。一方、他の36例では感受性の低下はみられなかった。これらの症例では、コンプライアンスが不良であったことを示唆する血中濃度の低値あるいはばらつきが認められた。遺伝子型耐性:V3ループのアミノ酸変異は多様であり、また現時点では検討例が少数のため、マラビロクに対する感受性低下と関連した特定の変異は明らかではない23),25),26) 。
マラビロク(Maraviroc)
4,4-Difluoro-N-[(1S)-3-{(1R,3s,5S)-3-[3-methyl-5-(propan-2-yl)-4H-1,2,4-triazol-4-yl]-8-azabicyclo[3.2.1]octan-8-yl}-1-phenylpropyl]cyclohexanecarboxamide
C29H41F2N5O
513.67
白色~微黄色の結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
2.1(pH 7.4、1-オクタノール/水系)
60錠[瓶、バラ]
1) 社内資料:安全性薬理試験(2008年12月25日承認、CTD2.6.2.4)
2) 社内資料:反復投与毒性試験(2008年12月25日承認、CTD2.6.6.3)
3) 社内資料:健康成人を対象とした単回経口投与試験(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2)
4) Abel S, et al.:Br J Clin Pharmacol.2008;65(Suppl. 1):5
5) 社内資料:健康成人及びHIV感染患者の定常状態の薬物動態パラメータ(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.2)
6) 社内資料:健康成人及びHIV感染患者を対象とした食事の影響の検討(2008年12月25日承認、CTD2.7.1.2.3)
7) Abel S, et al.:Br J Clin Pharmacol.2008;65(Suppl. 1):60
8) Walker DK, et al.:Drug Metab Dispos.2005;33(4):587
9) 社内資料:蛋白結合に関する検討(2008年12月25日承認、CTD2.6.4.4.3)
10) Hyland R, et al.:Br J Clin Pharmacol.2008;66(4):498
11) 社内資料:健康成人及び肝障害患者を対象とした薬物動態試験
12) 社内資料:母集団薬物動態の検討(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.1.3)
13) 社内資料:薬物動態に及ぼす年齢の影響(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.3.4.1)
14) 社内資料:アジア人及び白人健康成人を対象とした薬物動態試験(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.2.4)
15) Abel S, et al.:Br J Clin Pharmacol.2008;65(Suppl. 1):47
16) 社内資料:薬物相互作用の検討(2008年12月25日承認、CTD2.7.2.2.6)
17) Abel S, et al.:Br J Clin Pharmacol.2008;65(Suppl. 1):19
18) 社内資料:他の抗HIV薬による治療歴のあるCCR5指向性HIV-1感染患者を対象とした多施設共同二重盲検試験
19) 社内資料:他の抗HIV薬による治療歴のあるCXCR4指向性HIV-1感染患者及びCCR5/CXCR4二重又は混合指向性HIV-1感染患者を対象とした多施設共同二重盲検試験
20) Dorr P, et al.:Antimicrob Agents Chemother.2005;49(11):4721
21) 社内資料: HIV-1初代臨床分離株に対する抗ウイルス活性(2008年12月25日承認、CTD2.6.2.2.1)
22) Westby M, et al.:J Virol .2007;81(5):2359
23) 社内資料:耐性及び指向性変化のメカニズムの検討(2008年12月25日承認、CTD2.6.2.2)
24) 社内資料:治療失敗例における指向性の検討
25) 社内資料:治療失敗例における感受性の検討
26) 社内資料:治療失敗例におけるCCR5指向性ウイルスの検討
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