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劇薬
処方箋医薬品注)
HIV感染症
通常、成人には1回1錠(ラミブジンとして300mg及びアバカビルとして600mg)を1日1回経口投与する。
膵炎を再発又は発症する可能性がある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。,
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。
ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。,
血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。ラミブジンに関連する副作用の発現が疑われる場合は、個別のラミブジン製剤又はアバカビル製剤を用いてラミブジンの用量調節を考慮すること。ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。,,
投与しないこと。アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。,
アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。,
ラミブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。
動物において、アバカビル又はその代謝物は胎盤を通過することが示されている。また、動物(ラットのみ)において、アバカビルの500mg/kg/日又はそれ以上の投与量(ヒト全身曝露量(AUC)の32~35倍)で、胚又は胎児に対する毒性(胎児の浮腫、変異及び奇形、吸収胚、体重減少、死産の増加)が認められたとの報告がある。
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)4)(外国人データ)。ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。乳児の血清中ラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。
アバカビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.9であることが報告されている5)(外国人データ)。
ラミブジン又はアバカビルの用量調節が必要である12歳未満の小児患者には、個別のラミブジン製剤(エピビル錠)又はアバカビル製剤(ザイアジェン錠)を用いること。
患者の肝、腎、及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分考慮し慎重に投与すること。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
ラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。
腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている。
ソルビトール
経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。
ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。
アルコール(飲酒),,
アバカビルの代謝はエタノールによる影響を受ける。アバカビルのAUCが約41%増加したが、エタノールの代謝は影響を受けなかったとの報告がある16)。
アルコールデヒドロゲナーゼの代謝基質として競合すると考えられている。
メサドン塩酸塩
メサドンのクリアランスが22%増加したことから、併用する際にはメサドン塩酸塩の増量が必要となる場合があると考えられる。なお、アバカビルの血中動態は臨床的意義のある影響を受けなかった(Cmaxが35%減少し、tmaxが1時間延長したが、AUCは変化しなかった)。
機序不明
リオシグアト
本剤とリオシグアトの併用により、リオシグアトのAUCが増加するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。
アバカビルのCYP1A1阻害作用によりリオシグアトの代謝が阻害される。
アバカビルの投与により発熱又は皮疹を伴う多臓器及び全身性の過敏症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、以下に示すような徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,,,,,,
赤芽球癆、汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少
血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止すること。また、重度の腹痛、悪心・嘔吐等の症状がみられた場合にも直ちに本剤の投与を中止し、生化学的検査(血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等)及び画像診断等による観察を十分行うこと。,
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。ラミブジン及びアバカビルを含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)、肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。
1%~17%未満
1%未満
頻度不明
血液
リンパ節症、平均赤血球容積(MCV)増加、リンパ球減少
消化器
嘔気
下痢、腹痛、嘔吐、胃炎、食欲不振
痔核、腹部痙直、消化不良、鼓腸放屁
全身症状
倦怠感、発熱、頭痛、体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、無力症
体温調節障害、疼痛、体重減少、疲労、疲労感
肝臓
肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇)
腎臓
血清クレアチニン上昇
筋骨格
筋肉痛
関節痛、筋痙直、骨痛
精神神経系
めまい、睡眠障害、うつ病
感情障害、不安感、末梢神経障害、嗜眠、錯感覚
代謝・内分泌系
血中尿酸上昇
脱水(症)、高乳酸塩血症、アミラーゼ上昇
循環器
心筋症
呼吸器
咳、呼吸困難
肺炎、咽頭痛、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎、耳管炎、呼吸障害、上気道炎
過敏症
アレルギー反応
皮膚
発疹(皮膚炎、湿疹、皮疹を含む)
そう痒
脱毛、発汗、痤瘡・毛嚢炎
その他
トリグリセリド上昇・血清コレステロール上昇
CK上昇、血糖値上昇
重炭酸塩上昇、重炭酸塩低下、血糖値低下、総蛋白上昇、総蛋白低下、敗血症
ラミブジンは血液透析により一部除去される(ラミブジン300mg投与時に、投与約2時間後から4時間血液透析したとき、AUC0-infが約24%低下することが報告されている)34)。
遺伝毒性試験において弱い染色体異常誘発作用を示したとの報告がある。また、長期のがん原性試験において発がん性を認めなかったとの報告がある。ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験では300μg/mL以上、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では2000μg/mL以上で陽性を示した。マウス及びラットを用いた長期のがん原性試験では、臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の10倍(マウス)及び58倍(ラット)までの曝露量において、発がん性は認められなかった。
HIV感染症患者9例に本剤を空腹時単回投与した時のラミブジン、アバカビルの血漿中濃度の推移を図-1及び図-2に、薬物動態パラメータを表-1に示した6) 。
Cmax(μg/mL)
AUClast(h・μg/mL)
AUC0-τ(h・μg/mL)
tmax注1)(h)
t1/2(h)
ラミブジン
3.58±0.61
13.81±3.56
16.30±5.058
2.00(1.00-3.00)
2.49±0.55
アバカビル
5.68±2.04
12.56±4.01
12.89±4.22
1.00(0.50-1.03)
1.50±0.16
平均値±標準偏差、9例注1)中央値(範囲)
健康成人76例にドルテグラビル・ラミブジン50mg・300mgを空腹時に単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移を図-3に、薬物動態パラメータを表-2に示した37)(外国人データ)。
AUC0-inf(μg・h/mL)
Tmax(h)注1)
13.59(17.99)
3.22(29.30)
1.00(0.50,3.50)
18.63(26.85)
幾何学平均値(CV%)注1)中央値(範囲)
健康成人25例に、本剤1錠、及びエピビル錠(ラミブジン150mgを含有する製剤)及びザイアジェン錠(アバカビル300mgを含有する製剤)各2錠を空腹時単回経口投与し、生物学的同等性を評価した。本剤投与時とラミブジン製剤及びアバカビル硫酸塩製剤の併用投与時のラミブジン及びアバカビルのAUClast、AUC∞及びCmaxは、生物学的同等性の判定基準(平均値の比の90%信頼区間が0.80~1.25の範囲内)を満たし、生物学的同等性が示された(外国人データ)。
健康成人25例に、高脂肪食(約1000kcal、約50%が脂肪由来)摂取後に本剤を経口投与した時、空腹時投与時と比較して、ラミブジンのAUClast、AUC∞、Cmax、及びアバカビルのAUClast、AUC∞に変化は認められなかったが、アバカビルのCmaxは24%低下した(外国人データ)。
成人HIV感染症患者にラミブジン4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった7) (外国人データ)。
HIV感染症患者6例を対象にアバカビル150mgを静脈内投与注)した時の見かけの分布容積は約0.86L/kgであり、広く組織に分布することが示唆された8),9) (外国人データ)。
HIV感染症患者におけるアバカビルの脳脊髄液(CSF)への移行は良好で、血漿中AUCに対するCSF中AUCの比は31~44%であった10) (外国人データ)。アバカビル600mg1日2回投与時の最高濃度の実測値はIC50(0.08μg/mLあるいは0.26μM)の9倍超であった9) (外国人データ)。
In vitroにおいて、アバカビルは10μg/mLまでの添加濃度範囲で、ヒト血漿蛋白結合率は49%と一定であった9) 。
血液及び血漿中放射能濃度が同じであったことから、アバカビルは血球に直ちに分布することが示された9) 。
ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R,5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった11) (外国人データ)。
ヒトでの主代謝物は、5'-カルボン酸体及び5'-グルクロン酸抱合体であった10) (外国人データ)。ヒト肝由来試料を用いたin vitro試験から、アバカビルは肝可溶性画分により酸化的代謝を受け5'-カルボン酸体を生成したが、肝ミクロソーム画分ではアバカビルの酸化的代謝は起こらなかった。アバカビルの酸化的代謝にはCYPではなく、アルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼが関与していた。なお、これらの代謝物には抗ウイルス活性はなかった。,,アバカビルは細胞内で活性代謝物であるカルボビル三リン酸に代謝される。HIV感染症患者20例にアバカビル300mg1日2回投与した時の定常状態における細胞内カルボビル三リン酸の半減期は20.6時間であった(外国人データ)。
成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排泄された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された11) (外国人データ)。
HIV感染症患者6例を対象に14C標識アバカビル600mgを単回経口投与後、薬物体内動態を検討した。総放射能の約99%が排泄され、主な排泄経路は尿(約83%)であり、糞中には約16%排泄された。尿中に排泄された放射能の約1%は未変化体であり、約30%が5'-カルボン酸体、約36%が5'-グルクロン酸抱合体であった10) (外国人データ)。
腎機能の低下したHIV感染症患者にラミブジン300mgを単回経口投与した時、Ccrの低下につれてAUC及び最高血中濃度が増加し、半減期が延長し、見かけの全身クリアランスが減少した12) (外国人データ)。,,
腎機能障害患者(GFR:<10mL/min)におけるアバカビルの薬物動態は、腎機能が正常な患者の薬物動態と同様であった13) (外国人データ)。,,
中等度及び重度の肝障害を有する患者における成績より、ラミブジンの薬物動態は、肝障害によって重大な影響を受けないことが示されている14) (外国人データ)。,,
軽度の肝障害(Child-Pugh分類の合計点数:5)を有するHIV感染症患者におけるアバカビルの薬物動態を検討した結果、AUC及び消失半減期は肝障害を有さないHIV感染症患者のそれぞれ1.89倍及び1.58倍であった。代謝物の体内消失速度にも変化が認められたが、AUCは肝障害による影響を受けなかった15) (外国人データ)。なお、これら患者に対する推奨投与量は明らかでない。,,,
アバカビルは、アバカビルの主代謝酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害しなかった。,,また、in vitro試験において、アバカビルはCYP1A1を阻害し、CYP3A4もわずかに阻害した35)が、CYP2D6及び2C9を阻害しなかった36)。ヒト肝スライスを用いたin vitro試験において、HIVプロテアーゼ阻害剤であるアンプレナビルはアバカビルの代謝を阻害しなかった。
HIV感染症患者25例を対象にアバカビル600mgをエタノール0.7g/kgと併用して単回投与した場合、アバカビルのAUC∞の上昇及びt1/2の延長がみられたが臨床上重要なものではなかった。また、アバカビルはエタノールの薬物動態に影響を示さなかった16) (外国人データ)。,,HIV感染症患者15例を対象にアバカビル600mgとジドブジン300mg及びラミブジン150mg注)のどちらか1剤あるいは両剤を併用した場合、いずれの併用においても併用薬によるアバカビル血中濃度への影響はみられなかった。一方、アバカビルと併用したラミブジンのAUC∞及びCmaxは、ジドブジン併用、非併用に関わらずいずれも低下した。また、アバカビルと併用したジドブジンは、ラミブジン併用時及び非併用時においてAUC∞の上昇がみられたが、Cmaxは低下した。これらの変化は臨床上重要なものではなかった17) (外国人データ)。アバカビル・ドルテグラビル・ラミブジン600mg・50mg・300mg注)を投与中の成人HIV感染症患者にリオシグアト0.5mgを単回経口投与した時、リオシグアトのAUCが健康成人に単独投与したヒストリカルコントロールと比べて約2.6倍に増加した35),38)(外国人データ)。注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人には1回1錠(ラミブジンとして300mg及びアバカビルとして600mg)を1日1回経口投与する。」である。
治療経験がない成人のHIV感染症患者770例を対象としてアバカビルの投与回数を比較する無作為二重盲検比較試験(ラミブジン300mg1日1回とエファビレンツ600mg1日1回の併用による、アバカビル600mg1日1回投与群384例又はアバカビル300mg1日2回投与群386例)を実施した。投与48週後にHIV-1 RNA量が400copies/mL未満であった患者の比率は、アバカビル600mg1日1回投与群、300mg1日2回投与群ともに72%であった。さらに、投与48週後にHIV-1 RNA量が50copies/mL未満であった患者の比率は、アバカビル600mg1日1回投与群が66%、アバカビル300mg1日2回投与群が68%であった(図-1)。また、投与48週後のCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、それぞれ188/mm3、200/mm3であった。(Intent-to-treat analysis)
注1)Roche AMPLICOR HIV-1 MONITOR注2)治療が中止されることなく血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満を達成しかつ維持された患者の比率なお、本試験における試験成績の要約を表-1に示した。
結果
アバカビル600mg1日1回+ラミブジン+エファビレンツ(n=384)
アバカビル300mg1日2回+ラミブジン+エファビレンツ(n=386)
レスポンダー注1)
66%(72%)
68%(72%)
ウイルス学的な治療失敗注2)
10%(4%)
8%(4%)
有害事象による中止
13%
11%
その他の理由による中止注3)
(n=Intent-to-treat analysis)注1)血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満(400copies/mL未満)となり投与48週後まで維持された患者の比率注2)血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満(400copies/mL未満)となったが投与48週後までにリバウンドを起こした患者、ウイルス学的に治療が失敗した患者、ウイルス学的な効果が不十分と判断された患者注3)同意の撤回、試験途中でフォローアップ不可、プロトコール違反、症状の進行等
ラミブジン300mg及びアバカビル600mg1日1回併用投与群において、384例中283例(73.7%)に副作用が認められ、主な副作用はめまい73例(19.0%)、異常な夢62例(16.1%)、不眠54例(14.1%)、嘔気53例(13.8%)であった。
抗HIV薬の治療経験がある18歳以上の患者182例を対象として本剤とアバカビル及びラミブジンの併用療法を比較する無作為オープン比較試験(テノホビル300mg1日1回と使用経験のないHIVプロテアーゼ阻害剤又は非核酸系逆転写酵素阻害剤1剤の併用による、本剤1日1回投与群94例又はアバカビル300mg1日2回+ラミブジン300mg1日1回投与群88例)を実施した。48週間の治療により、血漿中HIV-1 RNA AAUCMB値は、本剤投与群で-1.65log10 copies/mL、アバカビル+ラミブジン併用投与群で-1.83log10 copies/mLであり、非劣性であった。48週間の治療後の血漿中HIV-1 RNA量が50copies/mL未満の患者の比率はそれぞれ50%、47%と同等であり、また、血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mL未満の患者の比率もそれぞれ54%、57%と同等であった。48週間の治療後のCD4リンパ球数の増加量(中央値)は、本剤投与群で47.5/mm3、アバカビル+ラミブジン併用投与群で95.0/mm3であった。本剤1日1回投与群において、93例中45例(48.4%)に副作用が認められ、主な副作用は嘔気11例(11.8%)、下痢10例(10.8%)であった。
ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される18) 。ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する19) 。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する19) 。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞20) 及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。
アバカビルは細胞内で活性化型のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質デオキシグアノシン三リン酸に代わってウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、カルボビル三リン酸はHIV逆転写酵素を競合的に阻害する。21),22),23)
In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びⅢB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであった20) 。In vitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた24) 。また、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66~80%低下させた(in vitro)。In vitroでの26種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)]並びに3種類のHIV-2臨床分離株に対するラミブジンのIC50値(平均値)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ40nM(範囲は1~120nM)及び42nM(範囲は2~120nM)であった。
アバカビルのHIV-1に対するIC50値はHIV-1 ⅢBに対して3.7~5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(n=8)、HIV-1 BaLに対して0.07~1.0μMであった。また、HIV-2に対するIC50値はHIV-2(Zy)に対して4.1μM、HIV-2 LAV-2に対して7.5μMであった。In vitroでNRTIのジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル、ザルシタビン及びジドブジン、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)のネビラピン、及びプロテアーゼ阻害剤のアンプレナビルとの相加又は相乗作用が認められた23) 。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる25) 。
ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる26) 。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し26),27) 、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する28) 。In vitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する29) 。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている30),31)。,
アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された21)。
ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する27),29),32) 。アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する21) 。また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというin vitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない33) 。
2種以上のアバカビル関連耐性変異を獲得したHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した21) 。アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害剤とは標的酵素が異なることから、両者間で交差耐性を示す可能性は低く、NNRTIも逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性を示す可能性は低いものと考えられる。
ラミブジン(Lamivudine)
(-)-1-[(2R,5S)-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-5-yl]cytosine
C8H11N3O3S
229.26
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
約176℃
-0.9(1-オクタノール/水系)
アバカビル硫酸塩(Abacavir Sulfate)
(-)-{(1S,4R)-4-[2-amino-6-(cyclopropylamino)purin-9-yl]cyclopenta-2-enyl}methanol hemisulfate
(C14H18N6O)2・H2SO4
670.74
白色~微黄白色の粉末である。トリフルオロ酢酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液及び希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
約219℃(分解)
1.20(pH7.1~7.3, 1-オクタノール/水)
本剤を使用する場合は重篤な過敏症に留意し、過敏症の兆候又は症状が発現した場合には本剤の使用を中止する等の適切な処置をとるよう、医師に要請すること。
30錠[瓶、バラ]
1) DHHS:Guidelines for Using Antiretroviral Agents Among HIV-Infected Adults and Adolescents. http://www.aidsinfo.nih.gov/Guidelines/
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