医療用医薬品 詳細表示

サイレース静注2mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2睡眠作用、麻酔・鎮痛増強作用
18.3ヒト臨床脳波試験
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

サイレース静注2mg

添付文書番号

1124400A1058_1_09

企業コード

170033

作成又は改訂年月

2023年4月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

871124

薬効分類名

麻酔導入剤

承認等

サイレース静注2mg

販売名コード

YJコード

1124400A1058

販売名英語表記

Silece Injection

販売名ひらがな

さいれーすじょうちゅう2mg

承認番号等

承認番号

21900AMX00116000

販売開始年月

1984年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

フルニトラゼパム

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 急性閉塞隅角緑内障の患者
    [抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
  3. 2.3 重症筋無力症の患者
    [重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

サイレース静注2mg

有効成分  フルニトラゼパム 2mg
(1管(1mL)中の分量)
添加剤  氷酢酸 適量
(1管(1mL)中の分量)
  プロピレングリコール 適量
(1管(1mL)中の分量)
  ベンジルアルコール 30mg
(1管(1mL)中の分量)
  無水エタノール 159mg
(1管(1mL)中の分量)

3.2 製剤の性状

サイレース静注2mg

pH3.5~5.5(本剤に等容量の水を加えた液)
浸透圧比約25(本剤に等容量の水を加えた時、生理食塩液に対する比)
性状無色~淡黄色澄明の液

4. 効能又は効果

全身麻酔の導入
局所麻酔時の鎮静

6. 用法及び用量

本剤は用時注射用蒸留水にて2倍以上に希釈調製し、できるだけ緩徐に(フルニトラゼパムとして1mgを1分以上かけて)静脈内に注射する。
用量は通常成人に対し全身麻酔の導入としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.02~0.03mg、局所麻酔時の鎮静としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.01~0.03mgとし、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。
なお、患者の年齢、感受性、全身状態、手術術式、麻酔方法などに応じて適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 麻酔を行う際には原則としてあらかじめ絶食をさせておくこと。
  2. 8.2 麻酔を行う際には原則として麻酔前投薬を行うこと。
  3. 8.3 麻酔・鎮静の深度は、手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
  4. 8.4 本剤投与前に、酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備しておくこと。また、必要に応じてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を手もとに準備しておくこと。
  5. 8.5 本剤投与中は、気道に注意して呼吸・循環に対する観察を怠らないこと。観察を行う際には、パルスオキシメーターや血圧計等を用いて、継続的に患者の呼吸及び循環動態を観察すること。
  6. 8.6 術後引き続き鎮静及び前向性健忘が認められることがあるので注射後24時間は観察下におくこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 心障害のある患者

    呼吸抑制があらわれやすい。

  2. 9.1.2 脳に器質的障害のある患者

    作用が強くあらわれやすい。

  3. 9.1.3 衰弱患者

    作用が強くあらわれる。

  4. 9.1.4 高度重症患者、呼吸予備力の制限されている患者

    無呼吸、心停止がおこりやすい。

9.2 腎機能障害患者

本剤の排泄が遅延するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

本剤の排泄が遅延するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  1. 9.5.1 妊娠動物(ラット)に経口投与した実験で、50mg/kgの用量で催奇形作用が認められる。
  2. 9.5.2 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム、クロルジアゼポキシド等)を服用していた患者が出産した新生児において、口唇裂、口蓋裂等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
  3. 9.5.3 ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
  4. 9.5.4 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。

  1. 9.6.1 ヒト母乳中へ移行することが報告されており、また、新生児の黄疸を増強する可能性がある。
  2. 9.6.2 ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  2. 9.7.2 低出生体重児、新生児に投与する場合には十分注意すること。
    本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99~234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。

9.8 高齢者

運動失調等の副作用が発現しやすい。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    アルコール
    (飲酒)

    中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。
    アルコールとの併用は避けることが望ましい。

    ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。

    中枢神経抑制剤

    • フェノチアジン誘導体
      バルビツール酸誘導体
      鎮痛薬
      麻酔薬 等

    中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。
    アルコールとの併用は避けることが望ましい。

    ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。

    モノアミン酸化酵素阻害剤

    クロルジアゼポキシドで舞踏病が発現したとの報告がある。

    機序は不明である。

    シメチジン

    本剤の中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。

    シメチジンが肝薬物代謝酵素(CYP3A4)を阻害するため本剤の血中濃度が上昇する。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下(各0.1~5%未満)

      重篤な転帰をたどることがあるので観察を十分に行うこと。このような場合には、気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を行うこと。,

    2. 11.1.2 錯乱(0.1%未満)

    11.2 その他の副作用

    1%以上

    0.1~1%未満

    0.1%未満

    精神神経系

    覚醒困難、興奮、多弁

    麻酔後睡眠

    肝臓

    AST上昇

    ALT上昇

    呼吸器

    しゃっくり

    循環器

    血圧低下

    徐脈

    頻脈

    消化器

    嘔吐

    過敏症

    発疹

    その他

    体動

    尿閉、乏尿

    注)発現頻度は製造販売後調査を含む。

    13. 過量投与

    1. 13.1 症状

      昏睡等の中枢神経抑制作用に基づく症状

    2. 13.2 処置

      本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調整時の注意

    1. 14.1.1 希釈調製後は速やかに使用すること。
    2. 14.1.2 他の注射剤と配合した場合は、経時的に変化することがあるので注意すること。
    3. 14.1.3 アルカリ性薬剤との配合には注意する(黄変化を起こすことがある)。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 急速に静脈内に注射した場合、あるいは細い静脈内に注射した場合には血栓性静脈炎を起こすおそれがあるので、なるべく太い静脈を選んで投与すること。
    2. 14.2.2 動脈内に注射した場合には、末梢の壊死を起こすおそれがあるので動脈内には絶対に注射しないこと。
    3. 14.2.3 筋肉内に注射した場合には、局所障害を起こすおそれがあるので筋肉内には注射しないこと。
    4. 14.2.4 静脈内注射時に血管痛がみられることがある。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    1. 15.1.1 本剤は鎮痛作用を有しないので、必要ならば鎮痛剤を併用すること。
    2. 15.1.2 投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    健康成人男子5名にフルニトラゼパム2mg静脈内投与したとき、未変化体の血中濃度は3相性の減少を示し、各相の平均半減期はそれぞれ8分、2時間及び24時間であった。また、投与後4時間以降は緩徐な消失を示した1)

    健康成人におけるフルニトラゼパム2mg静脈内投与時の血中未変化体濃度推移
    Mean±S.E.M., n=5
    フルニトラゼパム2mg単回静脈内投与時の薬物動態パラメータ

    Cmax
    (ng/mL)

    t1/2π
    (min)

    t1/2α
    (hr)

    t1/2β
    (hr)

    AUC0-24h
    (ng・hr/mL)

    47.5±5.3

    8

    2

    24

    232.8±28.3

    Mean±S.E.M., n=5

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内臨床試験
      1. (1) 麻酔導入剤として、本剤0.013~0.038注)mg/kgの静注により手術患者357例中323例(90.5%)に入眠が得られた2)
        注)本剤の承認された用量は「通常成人に対し全身麻酔の導入としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.02~0.03mg、局所麻酔時の鎮静としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.01~0.03mgとし、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。なお、患者の年齢、感受性、全身状態、手術術式、麻酔方法などに応じて適宜増減する。」である。
      2. (2) 手術患者を対象とした比較試験で、入眠効果、導入状態、深度ともに本剤の有用性が認められている3)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜に存在するベンゾジアゼピン受容体にアゴニストとして高い親和性で結合し、GABA親和性を増大させることにより、GABAニューロンの作用を特異的に増強すると考えられている4)

    18.2 睡眠作用、麻酔・鎮痛増強作用

    本薬は各種動物試験(マウス、ラット、ネコ、カニクイザル)において、他のベンゾジアゼピン系化合物と同様の薬理学的スペクトラム(静穏・馴化、睡眠誘起・睡眠増強、抗痙攣、筋弛緩作用等)を示したが、特にネコに静脈内投与したとき、脳波は睡眠パターンを示し、各種刺激による脳波覚醒反応の著明な抑制が認められた。またマウス、ラットにおいて麻酔剤、鎮痛剤の作用を増強することが認められた5),6)

    18.3 ヒト臨床脳波試験

    手術患者に本剤0.02~0.04注)mg/kgを静脈内投与し、脳波、呼吸曲線、心電図等を測定したところ、著明な入眠作用が認められたが、血圧、脈拍、呼吸にはほとんど変化が認められなかった7)
    注)本剤の承認された用量は「通常成人に対し全身麻酔の導入としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.02~0.03mg、局所麻酔時の鎮静としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.01~0.03mgとし、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。なお、患者の年齢、感受性、全身状態、手術術式、麻酔方法などに応じて適宜増減する。」である。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    フルニトラゼパム(Flunitrazepam)

    化学名

    5-(2-Fluorophenyl)-1-methyl-7-nitro-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one

    分子式

    C16H12FN3O3

    分子量

    313.28

    性状

    フルニトラゼパムは白色~微黄色の結晶性の粉末である。
    本品は酢酸(100)に溶けやすく、無水酢酸又はアセトンにやや溶けやすく、エタノール(99.5)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。

    化学構造式

    融点

    168~172℃

    20. 取扱い上の注意

    外箱開封後は、遮光して保存すること。本剤は、光により含量が低下する。

    22. 包装

    10管(褐色ガラスアンプル)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    エーザイ株式会社 hhcホットライン

    〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10

    フリーダイヤル 0120-419-497

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元(輸入元)

    エーザイ株式会社

    東京都文京区小石川4-6-10

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

    画面を閉じる

    Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.