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日本薬局方
ドネペジル塩酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
ドネペジル塩酸塩細粒
本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。(参考)細粒:通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1~2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により適宜減量する。
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。投与開始12週間後までを目安に、認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い、認知機能、精神症状・行動障害、日常生活動作等を総合的に評価してベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は、投与を中止すること。投与開始12 週間後までの有効性評価の結果に基づき投与継続を判断した場合であっても、定期的に有効性評価を行い、投与継続の可否を判断すること。(参考)細粒:通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1~2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により1.0gまで減量できる。
QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがある。
迷走神経刺激作用により徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。
胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。
気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により症状が悪化する可能性がある。
線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率の減少、死産児頻度の増加及び生後体重の増加抑制が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
スキサメトニウム塩化物水和物
筋弛緩作用を増強する可能性がある。
併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある。
**コリン賦活剤
コリンエステラーゼ阻害剤
迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。
本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している。
CYP3A阻害剤
本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。
併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。
ブロモクリプチンメシル酸塩イストラデフィリン
キニジン硫酸塩水和物等
併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による。
カルバマゼピンデキサメタゾンフェニトインフェノバルビタールリファンピシン等
本剤の代謝を促進し、作用を減弱させる可能性がある。
併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による。
**,*中枢性抗コリン剤
アトロピン系抗コリン剤
本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。
本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
消化性潰瘍を起こす可能性がある。
コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される。
心停止に至ることがある。
本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある。
寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
1~3%未満
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、瘙痒感
消化器
食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢
腹痛、便秘、流涎
嚥下障害、便失禁
精神神経系
興奮、不穏、不眠、眠気、易怒性、幻覚、攻撃性、せん妄、妄想、多動、抑うつ、無感情
リビドー亢進、多弁、躁状態、錯乱
悪夢
中枢・末梢神経系
徘徊、振戦、頭痛、めまい
昏迷
肝臓
LDH、AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇
循環器
動悸、血圧上昇、血圧低下、上室性期外収縮、心室性期外収縮
心房細動
泌尿器
BUNの上昇、尿失禁、頻尿
尿閉
血液
白血球減少、ヘマトクリット値減少、貧血
その他
CK、総コレステロール、トリグリセライド、アミラーゼ、尿アミラーゼの上昇、倦怠感、むくみ、転倒、筋痛、体重減少
顔面紅潮、脱力感、胸痛
発汗、顔面浮腫、発熱、縮瞳
コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。
アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.0~2.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。
〈錠〉
外国において、NINDS-AIREN診断基準に合致した脳血管性認知症(本適応は国内未承認)と診断された患者を対象(アルツハイマー型認知症と診断された患者は除外)に6カ月間のプラセボ対照無作為二重盲検試験3試験が実施された。最初の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.0%(2/198例)、ドネペジル塩酸塩10mg群2.4%(5/206例)及びプラセボ群3.5%(7/199例)であった。2番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.9%(4/208例)、ドネペジル塩酸塩10mg群1.4%(3/215例)及びプラセボ群0.5%(1/193例)であった。3番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.7%(11/648例)及びプラセボ群0%(0/326例)であり両群間に統計学的な有意差がみられた。なお、3試験を合わせた死亡率はドネペジル塩酸塩(5mg及び10mg)群1.7%、プラセボ群1.1%であったが、統計学的な有意差はなかった。
動物実験(イヌ)で、ケタミン・ペントバルビタール麻酔又はペントバルビタール麻酔下にドネペジル塩酸塩を投与した場合、呼吸抑制があらわれ死亡に至ったとの報告がある。
健康成人男子を対象に、錠剤を絶食下単回経口投与したときの平均血漿中濃度推移を図に示した。最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は投与量の増加に依存して高くなった。5mg又は10mg単回投与時における薬物動態パラメータを表に示した。
投与量
Cmax(ng/mL)
tmax(hr)
AUC(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
CL/F(L/hr/kg)
5mg
9.97±2.08
3.00±1.10
591.72±155.87
89.3±36.0
0.141±0.040
10mg
28.09±9.81
2.42±1.24
1098.40±304.63
75.7±17.3
0.153±0.043
CL/F:総クリアランス(Mean±S.D., n=6)
健康成人男子を対象に、錠剤5mg又は8mg注)を1日1回14日間反復経口投与した。図に示すように、反復投与後の血漿中濃度は投与後約2週間で定常状態に達し、蓄積性あるいは体内動態に変化はないと考えられた。
健康成人男子13名を対象に実施した生物学的同等性試験の結果、細粒0.5%、錠5mg、錠3mgは生物学的に同等であることが確認された。また、錠10mgは錠5mgを標準製剤としたとき溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。
健康成人男子を対象に吸収に及ぼす食事の影響を錠2mg注)で検討した結果、摂食時投与の血漿中濃度は絶食時とほぼ同様な推移を示し、食事による影響は認められなかった。
In vitro試験において、ヒト血漿蛋白結合率は88.9%であり、in vivoでの血清蛋白結合率は92.6%であった。
主代謝経路はN-脱アルキル化反応であり、それに次いでO-脱メチル化反応とそれに続くグルクロン酸抱合反応であると考えられた。N-脱アルキル化反応には主としてCYP3A4が、またO-脱メチル化反応には主としてCYP2D6が関与していることが示唆された1)。
健康成人男子を対象に錠2mg注)を単回経口投与したとき、投与後7日目までに尿中に排泄された未変化体は投与量の9.4%であり、代謝物を含めると29.6%であった。また、10mgの単回経口投与後、11日目までに排泄された未変化体は尿中で10.6%、糞中で1.7%であった。未変化体及び代謝物を合計した尿中排泄率は35.9%であり、糞中排泄率は8.4%であった。
腎機能障害患者を対象に錠5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータには、健康成人のそれと有意差は認められなかった2)(外国人データ)。
アルコール性肝硬変患者を対象に錠5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して肝疾患患者のCmaxが1.4倍高く有意差が認められたが、他のパラメータに有意差は認められなかった3)(外国人データ)。
高齢者を対象に錠2mg注)を単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して、消失半減期が1.5倍有意に延長したが、Cmax、tmax及びAUCに有意な差は認められなかった。注)承認用法及び用量は、アルツハイマー型認知症では「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。」、レビー小体型認知症では「通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。」である。
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者268例を対象に本剤5mg(3mg/日を1週間投与後、5mg/日を23週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。最終全般臨床症状評価において5mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた。「改善」以上の割合は5mg群17%、プラセボ群13%、「軽度悪化」以下の割合は5mg群17%、プラセボ群43%であった。
判定投与群
著明改善
改善
軽度改善
不変
軽度悪化
悪化
著明悪化
判定不能
合計
例数
1
19
40
36
15
4
0
116
%
(1)
(16)
(34)
(31)
(13)
(3)
(0)
区分%
(17)
プラセボ
13
10
21
5
112
(12)
(9)
(36)
(19)
(4)
(43)
認知機能を評価するADAS-Jcog得点の経時変化を表に示す(最終解析対象:205例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。最終時の5mg群とプラセボ群の投与前後の変化量の差は2.44点であった。
評価時期
投与群
0週からの変化量※1
変化量の群間比較
平均値±S.E.(n)
平均差※2
12週
-3.03±0.47(106)
-
-0.84±0.50(101)
2.19
24週
-3.07±0.50 (96)
-0.11±0.56 (86)
2.96
最終※3
-2.70±0.48(107)
-0.26±0.52 (98)
2.44
(マイナス値は改善を示す。)
重症度評価尺度であるCDRの経時変化を表に示す(最終解析対象:228例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた4)。
-0.12±0.08(113)
0.23±0.10(109)
0.35
-0.14±0.13(104)
0.72±0.17 (95)
0.86
-0.10±0.12(116)
0.75±0.15(112)
0.85
(マイナス値は改善を示す。)※1:[各評価時期の値]-[0週の値]※2:[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]-[5mg群の0週からの変化量の平均値]※3:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、12週以上の服薬がある場合の最終データを解析の対象とした。
高度のアルツハイマー型認知症患者302例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を18週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を22週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。CIBIC plus(全般的臨床症状評価)において10mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた(最終解析対象:287例)。
7
35
20
9
90
(8)
(39)
(22)
(21)
(10)
27
26
30
96
(28)
(27)
6
18
34
11
101
(6)
(18)
(30)
(11)
認知機能を評価するSIB得点の最終時の変化量を表に示す(最終解析対象:288例)。投与開始時との得点差の平均では、5mg群、10mg群それぞれ、6.7点、9.0点であり、プラセボ群と比較して有意な改善が認められた5)。
0週からの変化量※2
平均差※3
4.7±1.1 (92)
9.0
2.5±1.0 (95)
6.7
-4.2±1.0(101)
(プラス値は改善を示す。)※1:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。※2:[最終の値]-[0週の値]※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]-[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]
レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)140例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)、3mg又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。全般臨床症状を評価するCIBIC plusにおいて、3mg群、5mg群、10mg群はいずれもプラセボ群と比較して有意に優れていた。
3
8
(50)
2
28
(14)
(7)
3mg
14
(37)
認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ1.8点、4.1点、2.8点であり、全ての群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。
平均値±S.D.(n)
2.3±3.2(30)
2.8
3.5±3.2(30)
4.1
1.2±3.8(30)
1.8
-0.6±2.7(28)
(プラス値は改善を示す。)
精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ-2.4点、-3.6点、-5.2 点であり、5mg群、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。
-5.1±4.6(31)
-5.2
-3.4±3.9(30)
-3.6
-2.2±6.1(30)
-2.4
0.2±4.0(28)
本試験は探索的試験であり、主要評価項目は選択せず、評価項目毎・用量毎の検定の多重性も制御していない6),7)。
レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)142例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、5mg群、10mg群それぞれ0.8点、1.6点であり、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。
2.2±0.4(49)
1.6
1.4±0.5(43)
0.8
0.6±0.5(44)
精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量では、5mg群、10mg群ともにプラセボ群との間に有意差は認められなかった。
-2.8±0.5(49)
-0.7
-1.8±0.6(45)
0.4
-2.1±0.6(44)
(マイナス値は改善を示す。)※1:最終時は原則として12週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。※2:[最終の値]-[0週の値]※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]-[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]
本試験では、認知機能障害、精神症状・行動障害の両症状に対する本剤の有効性がプラセボに比較して優れているという検証仮説は検証されていない8)。
レビー小体型認知症患者(MMSE 得点:10点以上26点以下)を対象に、本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日又は減量時5mg/日を6週間投与)又はプラセボを12週間投与する治療期(二重盲検プラセボ対照)と、治療期を完了した被験者に本剤10mg(治療期本剤群では10mg/日又は減量時5mg/日、治療期プラセボ群では3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、その後は10mg/日又は減量時5mg/日)を48週間投与する継続投与期(非盲検非対照)からなる製造販売後臨床試験を実施した。治療期では160例に本剤又はプラセボが投与され、主要評価項目である治療期における最終評価時の全般臨床症状(CIBIC plus 総合評価)の分布において、プラセボ群と本剤群との間に有意差は認められなかった(p=0.408、2標本Wilcoxon 検定、最終解析の有意水準は両側 0.046)。
本剤
22
17
74
(23)
(26)
32
76
(24)
(42)
なお、投与開始前の幻視の有無別での治療期における最終評価時の全般臨床症状(CIBIC plus 総合評価)の分布は以下のとおりであった。
幻視あり
48
(2)
(29)
51
(20)
幻視なし
25
(52)
143例が治療期を完了し、そのうち139例が継続投与期に移行し、105例が継続投与期を完了した。副次評価項目である各評価時期(治療期及び継続投与期)におけるMMSEのベースラインからの変化量の推移は下図のとおりであった。
本試験では、全般臨床症状に対する本剤の有効性がプラセボに比較して優れているという検証仮説は検証されていない。
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する9),10),11),12)。
In vitroでのAChE阻害作用のIC50値は6.7nmol/Lであり、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用のIC50値は7,400nmol/Lであった。AChEに対し選択的な阻害作用を示した9)。
経口投与により、ラット脳のAChEを阻害し、また脳内AChを増加させた10),11)。
脳内コリン作動性神経機能低下モデル(内側中隔野の破壊により学習機能が障害されたラット)において、経口投与により学習障害改善作用を示した12)。
ドネペジル塩酸塩(Donepezil Hydrochloride)
(2RS)-2-[(1-Benzylpiperidin-4-yl)methyl]-5,6-dimethoxy-2,3-dihydro-1H-inden-1-one monohydrochloride
C24H29NO3・HCl
415.95
ドネペジル塩酸塩は白色の結晶性の粉末である。本品は水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。本品の水溶液(1→100)は旋光性を示さない。本品は結晶多形が認められる。
223.5℃(分解)
log P=4.27(1-オクタノール/水)
〈細粒〉細粒バラ包装は開栓後、光を遮り保存すること(光により含量が低下することがある。なお、細粒分包は遮光フィルムを使用している)。
14錠[14錠(PTP)×1]、28錠[14錠(PTP)×2]、140錠[14錠(PTP)×10]
56錠[14錠(PTP)×4]、100錠[ボトル、バラ]、140錠[14錠(PTP)×10]
16.8g[0.6g(分包)×2×14)、56g[1.0g(分包)×2×28)、100g[ボトル、バラ]
1) 松井賢司ら:薬物動態, 2000;15(2):101-111[ART-0258]
2) Tiseo P. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 1998;46.(S.1):56-60[ART-0033]
3) Tiseo P. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 1998;46.(S.1):51-55[ART-0032]
4) Homma A. et al.:Dement. Geriatr. Cogn. Disord., 2000;11(6):299-313[ART-0247]
5) Homma A. et al.:Dement. Geriatr. Cogn. Disord., 2008;25(5):399-407[ART-1700]
6) 社内資料:レビー小体型認知症を対象とした臨床第Ⅱ相試験(2014年9月19日承認、CTD 2.7.6.1)[ART-2876]
7) Mori E. et al.:Ann. Neurol., 2012;72(1):41-52[ART-2536]
8) Ikeda M. et al.:Alzheimers Res. Ther., 2015;7(4):1-10[ART-2877]
9) 山西嘉晴ら:薬理と治療, 1998;26(S):S1277-S1282[ART-0011]
10) 山西嘉晴ら:薬理と治療, 1998;26(S):S1283-S1294[ART-0012]
11) 小笹貴史ら:薬理と治療, 1998;26(S):S1303-S1311[ART-0014]
12) 小倉博雄ら:薬理と治療, 1998;26(S):S1313-S1320[ART-0015]
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