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最適使用推進ガイドライン対象品目
劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制
通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。
重症度
MRI所見
軽度
脳溝、皮質、又は皮質下白質の1ヵ所に限局した、5cm未満のFluid Attenuated Inversion Recovery(FLAIR)高信号
中等度
最大径が5~10cmのFLAIR高信号が1ヵ所にみられる、又は10cm未満の高信号が複数部位にみられる。
重度
10cmを超えるFLAIR高信号で、脳回腫脹及び脳溝消失を伴う。1ヵ所又は複数ヵ所に独立した病変を認める。
脳微小出血
脳表ヘモジデリン沈着症
新規が1~4個
1ヵ所
新規が5~9個
2ヵ所
新規が10個以上
3ヵ所以上
画像上の重症度
臨床症状の有無
無症候性
症候性
投与継続可能注1)
症状及び画像所見消失まで投与中断注2)
画像所見消失まで投与中断注2)
投与継続可能注3)
症状消失及び画像所見安定化まで中断注4)
画像所見安定化まで中断注4)
重度・1cmを超える脳出血
画像所見安定化まで中断注5)
症状消失及び画像所見安定化まで中断注5)
MRIモニタリング
無症候性で投与を継続する場合、ARIA重症化の有無を確認するため、発現から約1~2ヵ月後にMRI検査の実施を考慮する。無症候性で投与を中断する場合、又は症候性の場合は、中等度、重度のMRIモニタリングに準ずる。
発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Eの消失が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
症候性の場合、発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
ノンキャリア
ヘテロ接合型キャリア
ホモ接合型キャリア
プラセボ
本剤
ARIA-E
0.3
5.4
1.9
10.9
3.8
32.6
ARIA-H
4.2
11.9
8.6
14.0
21.1
39.0
臨床試験での有害事象発現率(%)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していない。また、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。
本剤の副作用として脳出血の報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。
頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐等の症状があらわれることがある。徴候や症状を注意深く観察し、異常が認められた場合は、必要に応じて本剤の注入速度を下げるか、注入を中断又は中止し適切な処置を行うこと。Infusion reactionがあらわれた場合は、次回以降の投与に際し、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイドの予防的投与も考慮すること。
ARIA-EとしてARIA-浮腫/滲出液貯留(12.6%)、ARIA-HとしてARIA-微小出血及びヘモジデリン沈着(13.6%)、脳表ヘモジデリン沈着症(5.2%)、脳出血(0.4%)があらわれることがある。,,
1%以上
0.5~1%未満
0.5%未満
過敏症
皮疹
紅斑
消化器
悪心
肝臓
ALT増加
精神神経系
頭痛
めまい、平衡障害、錯乱状態、抑うつ症状、記憶障害、緊張性頭痛
一般・全身症状
倦怠感
起立性低血圧
筋骨格系
転倒
その他
注射部位反応
血中コレステロール増加、蛋白尿、注射部位血管外漏出
アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度認知症患者に、本剤10mg/kgを単回静脈内投与後6週間休薬注6) し、その後隔週で反復5回(計6回)静脈内投与したときの、単回及び反復5回目投与時の血清中レカネマブ濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示した。反復投与5回目におけるレカネマブのAUCに基づく累積係数は1.59であった4) 。
投与時期
Cmax(μg/mL)
tmax(h)
AUC(0-336h)(μg・h/mL)
t1/2(h)
単回投与(7例)
235(34.1)
2.1(1.1-2.9)
26800(6430)
159(16.0)
反復投与5回目(6例)
299(45.7)
2.0(1.0-4.9)
39500(7330)
−
平均値(標準偏差)、ただしtmaxは中央値(最小値-最大値)
母集団薬物動態解析によると、中心コンパートメントの分布容積の母集団推定値は3.24L(95%信頼区間:3.18~3.30L)である5) 。
レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、他の免疫グロブリンG1と同様に異化作用により分解されると推察される。
最終消失相の半減期は5~7日である。母集団薬物動態解析によると、レカネマブのクリアランスの母集団推定値は0.0154L/h(95%信頼区間:0.0147-0.0160L/h)である5),6) 。
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症856例(うち日本人34例)を対象に、本剤又はプラセボを18ヵ月静脈内投与する二重盲検並行群間比較用量設定試験を実施した。臨床認知症評価法(CDR)スコアが0.5~1、CDRの記憶スコアが0.5以上、MMSEスコアが22~30であり、アミロイドPET又はCSF検査でアミロイドβ病理を示唆する所見が確認された患者を登録した。プラセボ群247例、2.5mg/kg隔週投与群52例、5mg/kg月1回投与群51例、5mg/kg隔週投与群92例、10mg/kg月1回投与群253例、又は10mg/kg隔週投与群161例に割付けられた。主要評価項目であるADCOMSの投与12ヵ月後の変化量について、10mg/kg隔週群がADCOMSの悪化をプラセボ群と比較して少なくとも25%抑制する確率は64%と算出され、成功基準として設定した80%以上は達成されなかった。本剤の投与により、脳内アミロイドβ蓄積量を評価するPET SUVRの用量依存的かつ経時的な減少が認められた。また、投与開始後18ヵ月において、アルツハイマー病コンポジットスコアADCOMS、CDR-Sum of Boxes(CDR-SB)、認知機能評価尺度ADAS-Cog14を指標とした用量依存的な臨床症状の悪化抑制が認められ、10mg/kg隔週群における抑制率はそれぞれ29.7%、26.5%、47.2%であった。これらの指標のベースラインからの変化量を表2に示す。10mg/kg隔週投与群で発現した主な有害事象(発現率5%以上かつプラセボ群より高頻度)は、注入に伴う反応(19.9%)、頭痛(13.7%)、ARIA-E(9.9%)、咳嗽(8.7%)、下痢(8.1%)、浮動性めまい(7.5%)、脳微小出血(5.6%)であった7),8) 。
評価項目
10mg/kg隔週
アミロイドPET SUVR
44例
98例
1.37
1.40
-0.31
0.00
ADCOMS
152例
238例
0.37
0.14
0.19
-0.06
CDR-SB
2.97
2.89
1.10
1.50
-0.40
ADAS-Cog14
237例
22.06
22.56
2.59
4.90
-2.31
*調整済み平均値(MMRM解析)
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症1795例(うち日本人152例)を対象に、本剤10mg/kg又はプラセボを隔週で18ヵ月静脈内投与する二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ群に897例(うち日本人64例)、本剤群に898例(うち日本人88例)が割付けられた。主な選択基準は以下のとおりであった。
本剤の投与開始後18ヵ月において、プラセボ群と比較して、CDR-SB(主要評価項目)を指標とした臨床症状の有意な悪化抑制が認められ、本剤群における抑制率は27.1%であった。また、ADAS-Cog14、ADCOMS、日常生活動作評価指標ADCS MCI-ADLを指標とした臨床症状の悪化抑制も認められ、本剤群における悪化抑制率はそれぞれ25.8%、23.5%、36.6%であった。本剤群では、脳内アミロイドβ蓄積量を評価するPETセンチロイドスケールの経時的な減少も認められた。これらの指標のベースラインからの変化量を表3に示す。本剤群で発現した主な副作用(発現率1%以上)は、注入に伴う反応(26.1%)、ARIA-H(16.5%)、ARIA-E(12.6%)、頭痛(1.8%)、過敏症(1.7%)であった。本剤群における症候性ARIA-E、ARIA-Hの有害事象発現率はそれぞれ2.8%、1.4%であった1),2) 。,
859例
875例
3.17
3.22
1.21
1.66
-0.45
<0.0001
アミロイドPET Centiloids
354例
344例
77.92
75.03
-55.48
3.64
-59.12
854例
872例
24.45
24.37
4.14
5.58
-1.44
857例
0.40
0.16
0.21
-0.05
ADCS MCI-ADL
783例
796例
41.2
40.9
-3.48
-5.50
2.02
アルツハイマー病は、脳内のアミロイド斑の蓄積を病理組織学的な特徴とする。レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するが、アミロイド斑の主要構成成分である不溶性アミロイドβ凝集体(フィブリル)にも結合性を示す9) 。レカネマブは、ラット海馬神経細胞へのプロトフィブリルの結合を阻害した10) 。レカネマブは、ミクログリア細胞によるFc受容体を介したアミロイドβの食作用を促進したことから11) 、ミクログリア細胞による食作用の活性化が脳内アミロイドβの減少作用に寄与すると考えられる。
レカネマブのマウスサロゲート抗体は、変異型アミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現するマウスにおいて、脳内のアミロイドβプロトフィブリル及びアミロイド斑を減少させた12) 。
レカネマブ(遺伝子組換え)Lecanemab(Genetical Recombination)
レカネマブは、遺伝子組換え抗ヒトアミロイドベータペプチドモノクローナル抗体であり、その相補性決定部はマウス抗体に由来し、その他はヒトIgG1に由来する。レカネマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。レカネマブは、454個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び219個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約150,000)である。
2mL[1バイアル]
5mL[1バイアル]
1) van Dyck C. H. et al.:N. Engl. J. Med., 2023;388(1):9-21[LEQ-0002]
2) 社内資料:国際共同臨床第III相試験(301試験)(2023年9月25日承認、CTD 2.7.6.5)[LEQ-0009]
3) Nicholas J. R. et al.:N. Engl. J. Med., 2023;388(5):478-479[LEQ-0031]
4) 社内資料:国内104試験(2023年9月25日承認、CTD 2.7.2.2.2.1.2)[LEQ-0010]
5) 社内資料:母集団薬物動態解析(2023年9月25日承認、CTD 2.7.2.3.2)[LEQ-0015]
6) 社内資料:薬物動態プロファイル(2023年9月25日承認、CTD 2.7.2.3.1)[LEQ-0016]
7) Swanson C. J. et. al.:Alz. Res. Therapy, 2021;13, 80[LEQ-0001]
8) 社内資料:国際共同臨床第II相試験(201試験)(2023年9月25日承認、CTD 2.7.6.3)[LEQ-0011]
9) 社内資料:種々アミロイドβへの結合性比較(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.1)[LEQ-0017]
10) 社内資料:ラット海馬神経細胞へのアミロイドβ凝集体の結合阻害(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.8)[LEQ-0018]
11) 社内資料:ミクログリアによるアミロイドβ除去に対する効果(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.15)[LEQ-0030]
12) 社内資料:APPNL-G-Fマウスにおける脳内アミロイドβに対する効果(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.2.3)[LEQ-0019]
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