医療用医薬品 詳細表示

レケンビ皮下注250mgペン

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2脳内アミロイドβに対する作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

レケンビ皮下注250mgペン

添付文書番号

11904A5G1028_1_01

企業コード

170033

作成又は改訂年月

2026年9月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

87119

薬効分類名

ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体

承認等

レケンビ皮下注250mgペン

最適使用推進ガイドライン対象品目

販売名コード

YJコード

11904A5G1028

販売名英語表記

LEQEMBI Pen

販売名ひらがな

れけんびひかちゅう250mgぺん

承認番号等

承認番号

30800AMX00344000

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

1.5年

規制区分

一般的名称

レカネマブ(遺伝子組換え)

1. 警告

  1. 1.1 本剤の投与は、アミロイドPET、MRI等の本剤投与にあたり必要な検査及び管理が実施可能な医療施設又は当該医療施設と連携可能な医療施設において、アルツハイマー病の病態、診断、治療に関する十分な知識及び経験を有し、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師の下で、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。
  2. 1.2 アポリポ蛋白E(ApoE)ε4ホモ接合型キャリアでARIAの発現割合が高かったことから、本剤の投与開始前に、APOE遺伝子検査の実施を考慮すること。本剤の投与開始に先立ち、本剤投与によるARIA及び脳出血の発現割合、ARIA及び脳出血のリスク及びリスク管理のために必要な検査、ARIA及び脳出血発現時の対処法について、患者及び家族・介護者に十分な情報を提供して説明し、同意を得てから投与すること。異常が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指導すること。,,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 本剤投与開始前に血管原性脳浮腫が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。],,
  3. 2.3 本剤投与開始前に5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症又は1cmを超える脳出血が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。],,

3. 組成・性状

3.1 組成

レケンビ皮下注250mgペン

有効成分レカネマブ(遺伝子組換え)   250mg
添加剤L-ヒスチジン   0.18mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物   6.31mg
L-アルギニン塩酸塩   52.66mg
ポリソルベート80   0.63mg
1製剤(1.25mL)中の分量

本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

レケンビ皮下注250mgペン

pH4.5~5.5
浸透圧比約1.4(生理食塩液に対する比)
性状無色~微黄色の澄明~乳白光を呈する液

4. 効能又は効果

アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤は、疾患の進行を完全に停止、又は疾患を治癒させるものではない。
  2. 5.2 承認を受けた診断方法、例えばアミロイドPET、脳脊髄液(CSF)検査、又は同等の診断法によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに本剤を使用すること。
  3. 5.3 無症候でアミロイドβ病理を示唆する所見のみが確認できた者、及び中等度以降のアルツハイマー病による認知症患者に本剤を投与開始しないこと。
  4. 5.4 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、レカネマブ静脈内投与製剤の国際共同第III相試験で用いられた診断基準、組み入れられた患者の臨床症状スコアの範囲、試験結果等を十分に理解した上で本剤投与の適否を判断すること。

6. 用法及び用量

通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として500mgを、1週間に1回、皮下投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤投与により、アミロイド関連画像異常(ARIA)として、ARIA-浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)、ARIA-脳微小出血・脳表ヘモジデリン沈着症(ARIA-H)、又は脳出血があらわれることがある。,,,,
    • (1)MRI画像上軽度かつ無症候性のARIA-E、ARIA-Hが認められた場合は、慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討すること。投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
    • (2)MRI画像上中等度及び重度のARIA-Eが認められた場合は、画像所見の消失まで投与を一時中断すること。MRI画像上1cmを超える脳出血並びに中等度及び重度のARIA-Hが認められた場合は、画像所見の安定化まで投与を一時中断すること。いずれの場合も注意深く経過観察し、投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。
    • (3)症候性ARIAが認められた場合は、これらの症状が消失するとともに、ARIA-Eでは画像所見の消失まで、ARIA-H及び脳出血では画像所見の安定化まで投与を一時中断すること。注意深く経過観察し、投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。
    • 【参考】
      〈ARIAの重症度分類:MRI画像による分類〉
      ARIA-E

      重症度

      MRI所見

      軽度

      脳溝、皮質、又は皮質下白質の1ヵ所に限局した、5cm未満のFluid Attenuated Inversion Recovery(FLAIR)高信号

      中等度

      最大径が5~10cmのFLAIR高信号が1ヵ所にみられる、又は10cm未満の高信号が複数部位にみられる。

      重度

      10cmを超えるFLAIR高信号で、脳回腫脹及び脳溝消失を伴う。1ヵ所又は複数ヵ所に独立した病変を認める。

      ARIA-H

      重症度

      MRI所見

      脳微小出血

      脳表ヘモジデリン沈着症

      軽度

      新規が1~4個

      1ヵ所

      中等度

      新規が5~9個

      2ヵ所

      重度

      新規が10個以上

      3ヵ所以上

    • 〈ARIA発現時の対応〉
      ARIA-E

      画像上の重症度

      臨床症状の有無

      無症候性

      症候性

      軽度

      投与継続可能注1)

      症状及び画像所見消失まで投与中断注2)

      中等度

      画像所見消失まで投与中断注2)

      重度

      注1) 慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
      注2) 注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。

      ARIA-H及び脳出血

      画像上の重症度

      臨床症状の有無

      無症候性

      症候性

      軽度

      投与継続可能注3)

      症状消失及び画像所見安定化まで中断注4)

      中等度

      画像所見安定化まで中断注4)

      重度・1cmを超える脳出血

      画像所見安定化まで中断注5)

      症状消失及び画像所見安定化まで中断注5)

      注3) 慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
      注4) 注意深く経過観察し、本剤の投与再開は慎重な臨床判断の上で行うこと。
      注5) 注意深く経過観察し、投与の中止を含め治療内容を検討すること。本剤を投与再開する場合には、慎重な臨床判断の上で行うこと。

    • 〈ARIA発現後のMRIモニタリング〉
      ARIA-E

      画像上の重症度

      MRIモニタリング

      軽度

      無症候性で投与を継続する場合、ARIA重症化の有無を確認するため、発現から約1~2ヵ月後にMRI検査の実施を考慮する。
      無症候性で投与を中断する場合、又は症候性の場合は、中等度、重度のMRIモニタリングに準ずる。

      中等度

      発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Eの消失が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。

      重度

      ARIA-H及び脳出血

      画像上の重症度

      MRIモニタリング

      軽度

      症候性の場合、発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。

      中等度

      発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-H及び脳出血の安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。

      重度・1cmを超える脳出血

  2. 7.2 本剤投与中は6ヵ月毎を目安に認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による臨床症状の評価を行い、臨床症状の経過、認知症の重症度等から本剤の有効性が期待できないと考えられる場合は本剤の投与を中止すること。なお、本剤投与中に認知症の重症度が中等度以降に進行した患者に投与を継続したときの有効性は確立していない。
  3. 7.3 レカネマブ静脈内投与製剤から本剤へ切り替える場合、静脈内投与製剤の最終投与から1週間あけること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤はARIA管理に関する適切な知識を有する医師の下で使用し、投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。,,
    1. 8.1.1 本剤投与開始前に、最新(1年以内)のMRI画像により、ARIAを含む異常所見の有無を確認すること。,,
    2. 8.1.2 ARIAの発現は、本剤投与開始から14週間以内に多いことから、この期間は特に注意深く患者の状態を観察すること。当該期間にかかわらず、ARIAを示唆する症状(頭痛、錯乱、めまい、視覚障害、吐き気、歩行障害、痙攣、言語障害、筋力低下等)が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するように患者及び家族・介護者に指導すること。速やかに臨床評価を行い、ARIAの発現が疑われる場合はMRI検査を実施すること。
    3. 8.1.3 ARIAを示唆する症状がみられない場合であっても、本剤の9回目の投与前(投与開始後2ヵ月までを目安)、13回目の投与前(投与開始後3ヵ月までを目安)及び27回目の投与前(投与開始後6ヵ月までを目安)、並びにそれ以降も定期的にMRI検査を実施し、ARIA及び脳出血の有無を確認すること。本剤の5回目投与前(投与開始後1ヵ月までを目安)にもMRI検査を実施することが望ましい。特に本剤投与開始前に脳微小出血が認められている患者、高血圧症を有する患者、他にARIAの発現に注意を要する患者では、5回目投与前のMRI検査の実施を考慮すること。
      画像上ARIA及び脳出血が検出された場合は、十分な観察の下、症状の発現に注意し、7.1項の表を参考に、必要に応じて追加のMRI検査を実施すること。
    4. 8.1.4 レカネマブ静脈内投与製剤の臨床試験において、ApoEε4ホモ接合型キャリアでApoEε4ヘテロ接合型キャリア及びノンキャリアよりもARIAの発現割合及び画像上の重症度、症候性ARIAの発現割合が高かった。ARIAのリスク管理のために、原則として本剤の投与開始前に、APOE遺伝子検査の実施を考慮すること。考慮した結果、投与開始前に検査を実施しなかった場合においても、本剤投与中に必要と考える場合には検査の実施を検討すること。遺伝子検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品を用い、最新のガイドライン等を参考にAPOE遺伝子検査の意義について患者及び家族・介護者に十分に説明し、同意を得ること。また、ApoEε4保因状況にかかわらず、8.1.1項~8.1.3項及び11.1.2項に規定のMRI検査を含むARIA管理を実施すること。なお、アルツハイマー病患者におけるApoEε4ホモ接合型キャリアの割合は約15%である1) 。
      レカネマブ静脈内投与時のApoEε4遺伝子型別ARIA発現状況

      ノンキャリア

      ヘテロ接合型キャリア

      ホモ接合型キャリア

      プラセボ

      レカネマブ

      プラセボ

      レカネマブ

      プラセボ

      レカネマブ

      ARIA-E

      0.3

      5.4

      1.9

      10.9

      3.8

      32.6

      ARIA-H注6)

      4.2

      11.9

      8.6

      14.0

      21.1

      39.0

      臨床試験での有害事象発現率(%)

      注6) 脳出血を含む割合を記載した。

  2. 8.2 1年以内の一過性脳虚血発作、脳卒中又は痙攣の既往のある患者において、レカネマブの投与を開始した経験はない。これらの既往がある場合は、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
  3. 8.3 本剤投与前に高血圧の有無を確認し、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行うこと。本剤投与中は適切な血圧管理を行うこと。
  4. 8.4 本剤の自己投与にあたっては、以下の点に留意すること。
    1. 8.4.1 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督の下で投与を行うこと。
    2. 8.4.2 自己投与の適用については、その妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与によるリスクと対処法について患者又は家族・介護者が理解し、患者又は家族・介護者が自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
    3. 8.4.3 自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
    4. 8.4.4 自己投与を適用する場合は、使用済みのペンを再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。
本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していない。また、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • 血液凝固阻止剤
      • ワルファリンカリウム
      • ヘパリンナトリウム
      • アピキサバン 等

    本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。

    本剤の副作用として脳出血の報告がある。
    併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。

    • 血小板凝集抑制作用を有する薬剤
      • アスピリン
      • クロピドグレル硫酸塩 等

    本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。

    本剤の副作用として脳出血の報告がある。
    併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。

    • 血栓溶解剤
      • アルテプラーゼ 等

    本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。
    ARIAは虚血性脳卒中と類似した局所神経脱落症候を呈する場合がある。本剤投与中の患者では、虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法を行う前に、症候がARIAに起因する可能性を考慮すること2),3) 。

    本剤の副作用として脳出血の報告がある。
    併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 Infusion reaction

      頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐等(26.1%注7) )があらわれることがある。徴候や症状を注意深く観察し、異常が認められた場合は、注射を中断又は中止し適切な処置を行うこと。これらの症状があらわれた場合は、次回以降の投与に際し、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイドの予防的投与も考慮すること。なお、皮下投与患者における全身性反応の発現頻度(1.4%注8) )は低く、その重症度は軽度であった。

    2. 11.1.2 アミロイド関連画像異常(ARIA)、脳出血

      ARIA-EとしてARIA-浮腫/滲出液貯留(12.6%注7) )、ARIA-HとしてARIA-微小出血及びヘモジデリン沈着(13.6%注7) )、脳表ヘモジデリン沈着症(5.2%注7) )、又は脳出血(0.4%注7) )があらわれることがある。,,

      1. (1) ARIAは臨床症状を伴わないことが多いが、痙攣やてんかん重積等の重篤な事象が起こることがある。ARIAに関連する症状としては、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害等が報告されている。
      2. (2) ARIAは再発することがあるため、投与を再開した場合は、注意深く患者の状態を観察するとともに、定期的なMRI検査の実施を検討すること。
      3. (3) ARIAが再発した患者において、本剤の投与を再開した経験は限られている。

    11.2 その他の副作用

    1%以上

    0.5~1%未満

    0.5%未満

    過敏症

    過敏症

    皮疹

    紅斑

    消化器

    悪心

    肝臓

    ALT増加

    精神神経系

    頭痛

    めまい、平衡障害、錯乱状態、抑うつ症状、記憶障害、緊張性頭痛

    一般・全身症状

    倦怠感

    起立性低血圧

    筋骨格系

    転倒

    その他

    注射部位反応(13.9%注8) )

    血中コレステロール増加、蛋白尿、注射部位血管外漏出

    注7) 本剤500mgの週1回皮下投与で新規にレカネマブ治療を開始された被験者のデータは得られていないことから、薬物動態の類似性が確認されている静脈内投与製剤を用いたレカネマブ10mg/kgの隔週投与の被験者から得られた臨床結果を記載した。
    注8) 皮下投与で新規にレカネマブ治療を開始された被験者の頻度として、バイアル製剤を用いたレカネマブ720mgの週1回皮下投与から得られた臨床結果を記載した。なお、承認された本剤の用法及び用量は、ペン製剤を用いたレカネマブ500mgの週1回皮下投与であるが、両者は曝露量が類似している。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤投与前の注意

    1. 14.1.1 冷蔵庫から取り出し、外箱に入れたまま室温に戻しておくこと。
    2. 14.1.2 投与前に、内容物を目視により確認すること。異物又は変色が認められる場合は使用しないこと。
    3. 14.1.3 投与の準備が整うまで、キャップを取り外さないこと。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 1回の投与では、本剤を2本使用すること。
    2. 14.2.2 注射部位は大腿部、腹部又は上腕部裏側を選び、順番に場所を変更し、短期間に同一部位へ繰り返し注射は行わないこと。2本目は、1本目の注射部位から3cm以内には注射しないこと。
    3. 14.2.3 皮膚病変のある部位又は皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発疹、発赤、ほくろ、硬結等の部位)には注射しないこと。
    4. 14.2.4 へそ周り3cm以内の部分には注射しないこと。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    1. 15.1.1 国際共同第III相試験において、本剤(ペン製剤)を用いて500mg週1回皮下投与したとき、レカネマブ投与後にレカネマブに対する抗体産生が認められた患者の割合は1.4%(3例/211例)であり、中和抗体は認められなかった。10mg/kg隔週静脈内投与群では、3.4%(30例/883例)にレカネマブ投与後に抗体産生が認められ、中和抗体は1.9%(17例/885例)に認められた。投与経路(皮下又は静脈内投与)にかかわらず、抗体産生はレカネマブの薬物動態、薬力学、有効性及び安全性に臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった4) 。
    2. 15.1.2 国際共同第III相試験の非盲検継続投与期において、レカネマブ静脈内投与中に脳出血又は重度のARIA-E/H(併発)を発現し、その後死亡に至った症例が報告されている(これらの事象が死因でない報告を含む)5) 。
    3. 15.1.3 一般的に脳アミロイド血管症は脳出血のリスクを高めること、ApoEε4アレルは脳アミロイド血管症と関連することが知られている。,,,

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      健康成人80例(日本人2例を含む)にレカネマブ720mgをペン製剤で単回皮下投与したときの血清中レカネマブ濃度推移を図1に示した。最高血清中濃度到達時間の中央値は約4日間であった6) 。

      図1 健康成人にレカネマブ720mgをペン製剤で単回皮下投与したときの血清中レカネマブ濃度(平均値±標準偏差)
      注)承認された本剤の用法及び用量は、ペン製剤を用いたレカネマブ500mgの週1回皮下投与である。
    2. 16.1.2 反復投与

      アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度認知症患者164例(日本人40例を含む)に、本剤(ペン製剤)を用いて500mgを週1回皮下投与したときの母集団薬物動態モデルにより推定した定常状態における血清中レカネマブの薬物動態パラメータは表1のとおりであった7) 。静脈内投与時注9) に対する本剤皮下投与時の2週間あたりのAUC(AUCss,2weeks)の幾何平均値の比[90%CI]は1.04[0.991, 1.09]であり、静脈内投与と皮下投与の薬物動態の類似性が確認された8) 。

      表1 薬物動態パラメータ

      AUCss,2weeks
      (μg・h/mL)

      Css,ave
      (μg/mL)

      Css,max
      (μg/mL)

      Css,min
      (μg/mL)

      50500
      (22300-104000)

      150
      (66.3-310)

      157
      (70.2-317)

      140
      (58.5-295)

      中央値(90%予測区間)、母集団薬物動態モデルに基づくシミュレーション

      注9) 静脈内投与の承認用法・用量であるレカネマブ10mg/kgを隔週で静脈内投与したときのAUCss,2weeksと比較

    16.2 吸収

    母集団薬物動態解析で得られた本剤皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、77.5%であった。また、本剤のバイオアベイラビリティに投与部位(腹部、大腿部、上腕部裏側)による違いは認められなかった7) 。

    16.3 分布

    母集団薬物動態解析によると、中心コンパートメントの分布容積の母集団推定値は3.24L(95%信頼区間:3.18~3.30L)である9) 。

    16.4 代謝

    レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、他の免疫グロブリンG1と同様に異化作用により分解されると推察される。

    16.5 排泄

    最終消失相の半減期は5~7日である。
    母集団薬物動態解析によると、レカネマブのクリアランスの母集団推定値は0.0154L/h(95%信頼区間:0.0147-0.0160L/h)である9),10) 。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈皮下投与製剤〉
      1. 17.1.1 国際共同第III相試験(301試験非盲検投与期)皮下投与サブスタディ(データカットオフ:2024年11月29日)

        アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症を対象に、非盲検下でレカネマブの皮下投与の薬物動態、安全性等を評価する皮下投与サブスタディを実施した。
        皮下投与には、バイアル製剤又はペン製剤を用いた。
        本サブスタディでは、レカネマブ新規投与例72例(うち日本人2例)及び静脈内投与製剤からの切替え例65例(うち日本人10例)の計137例に、バイアル製剤を用いてレカネマブ720mgを12ヵ月間週1回皮下投与した。また、静脈内投与製剤又はバイアル製剤からペン製剤への切替えが可能とされ、244例(うち日本人47例)にペン製剤を用いてレカネマブ500mgを週1回皮下投与した11) 。
        本サブスタディで新たにレカネマブ720mgが皮下投与されたレカネマブ新規皮下投与例注10) における本薬投与12ヵ月後のCDR-SB、ADAS-Cog14及びADCS MCI-ADLのベースラインからの変化量注11) はそれぞれ0.272[-0.148, 0.692]、2.608[0.961, 4.255]及び-2.040[-3.616, -0.464]であった12) 。また、脳内アミロイドβ蓄積量を評価するPETセンチロイドスケールについて、本薬投与12ヵ月後のベースラインからの変化量注12) は-58.800[2.219]、10mg/kg隔週静脈内投与に対する変化量の幾何平均値の比[90%CI]は1.18[1.10, 1.26]であった。
        レカネマブ新規皮下投与例で発現した主な副作用(発現率5%以上)は、ARIA-微小出血及びヘモジデリン沈着(20.8%)、ARIA-E(19.4%)、注射部位紅斑(12.5%)、脳表ヘモジデリン沈着症(6.9%)であった。
        レカネマブ新規皮下投与例における症候性ARIA-E、ARIA-Hの有害事象発現率はそれぞれ5.6%、0%であった11) 。注13)

        注10) レカネマブ720mgバイアル製剤週1回皮下投与、レカネマブ500mgペン製剤週1回皮下投与について、10mg/kg隔週静脈内投与に対するAUCss,2weeksの幾何平均値の比[90%CI]はそれぞれ1.12[1.02, 1.23]及び1.04[0.991, 1.09]であり、いずれも静脈内投与との薬物動態の類似性が確認された8),11) 。なお、新規皮下投与例について、レカネマブ500mgペン製剤週1回皮下投与された被験者はおらず、レカネマブ720mgバイアル製剤週1回皮下投与された被験者のみである。
        注11) 調整済み平均値[95%信頼区間]。MMRMより推定。
        注12) 調整済み平均値[標準誤差]。MMRMより推定。
        注13) 承認された本剤の用法及び用量は、ペン製剤を用いたレカネマブ500mgの週1回皮下投与である。

    • 〈(参考)静脈内投与製剤〉
      1. 17.1.2 国際共同第III相試験(301試験二重盲検期)

        アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症1795例(うち日本人152例)を対象に、レカネマブ10mg/kg又はプラセボを隔週で18ヵ月静脈内投与する二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ群に897例(うち日本人64例)、10mg/kg隔週静脈内投与群に898例(うち日本人88例)が割付けられた。主な選択基準は以下のとおりであった。

        1. (1) CDRスコアが0.5~1、CDRの記憶スコアが0.5以上
        2. (2) MMSEスコアが22~30
        3. (3) アミロイドPET又はCSF検査でアミロイドβ病理を示唆する所見が確認される。
        4. (4) スクリーニング前12ヵ月以内に一過性脳虚血発作、脳卒中又は痙攣発作の既往を有さない。
        5. (5) スクリーニング期の脳MRI検査で、以下に示すような臨床的意義のある所見が認められていない。
          • 5ヵ所以上の脳微小出血(最大径10mm以下)
          • 最大径10mm超の脳出血
          • 脳表ヘモジデリン沈着症
          • 血管原性脳浮腫
          • 脳挫傷、脳軟化、動脈瘤、血管奇形又は感染病巣
          • 多発性ラクナ梗塞、大血管支配領域の脳卒中、重度の小血管疾患又は白質疾患
          • 占拠性病変又は脳腫瘍(ただし、髄膜腫又はくも膜嚢胞と診断される病変で、最大径が1cm未満であれば除外する必要はないこととした)

        10mg/kg隔週静脈内投与開始後18ヵ月において、プラセボ群と比較して、CDR-SB(主要評価項目)を指標とした臨床症状の有意な悪化抑制が認められ、10mg/kg隔週静脈内投与群における抑制率は27.1%であった。また、ADAS-Cog14、ADCOMS、日常生活動作評価指標ADCS MCI-ADLを指標とした臨床症状の悪化抑制も認められ、10mg/kg隔週静脈内投与群における悪化抑制率はそれぞれ25.8%、23.5%、36.6%であった。10mg/kg隔週静脈内投与群では、PETセンチロイドスケールの経時的な減少も認められた。これらの指標のベースラインからの変化量を表2に示す。
        10mg/kg隔週静脈内投与群で発現した主な副作用(発現率1%以上)は、注入に伴う反応(26.1%)、ARIA-H(16.5%)注14) 、ARIA-E(12.6%)、頭痛(1.8%)、過敏症(1.7%)であった。
        10mg/kg隔週静脈内投与群における症候性ARIA-E、ARIA-Hの有害事象発現率はそれぞれ2.8%、1.4%注14) であった1),13) 。,

        注14) 脳出血を含む割合を記載した。

        表2 投与18ヵ月後の有効性及びバイオマーカーの結果

        評価項目

        10mg/kg隔週
        静脈内投与

        プラセボ

        CDR-SB

        859例

        875例

         ベースライン値

        3.17

        3.22

         ベースラインからの変化量*

        1.21

        1.66

         プラセボ群との差*

        -0.45

         P値

        <0.0001

        アミロイドPET Centiloids

        354例

        344例

         ベースライン値

        77.92

        75.03

         ベースラインからの変化量*

        -55.48

        3.64

         プラセボ群との差*

        -59.12

        ADAS-Cog14

        854例

        872例

         ベースライン値

        24.45

        24.37

         ベースラインからの変化量*

        4.14

        5.58

         プラセボ群との差*

        -1.44

        ADCOMS

        857例

        875例

         ベースライン値

        0.40

        0.40

         ベースラインからの変化量*

        0.16

        0.21

         プラセボ群との差*

        -0.05

        ADCS MCI-ADL

        783例

        796例

         ベースライン値

        41.2

        40.9

         ベースラインからの変化量*

        -3.48

        -5.50

         プラセボ群との差*

        2.02

        *調整済み平均値(MMRM解析)

        図2 CDR-SBのベースラインからの変化量(FAS+、MMRM、調整済み平均)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    アルツハイマー病は、脳内のアミロイド斑の蓄積を病理組織学的な特徴とする。レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するが、アミロイド斑の主要構成成分である不溶性アミロイドβ凝集体(フィブリル)にも結合性を示す14) 。レカネマブは、ラット海馬神経細胞へのプロトフィブリルの結合を阻害した15) 。レカネマブは、ミクログリア細胞によるFc受容体を介したアミロイドβの食作用を促進したことから16) 、ミクログリア細胞による食作用の活性化が脳内アミロイドβの減少作用に寄与すると考えられる。

    18.2 脳内アミロイドβに対する作用

    レカネマブのマウスサロゲート抗体は、変異型アミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現するマウスにおいて、脳内のアミロイドβプロトフィブリル及びアミロイド斑を減少させた17) 。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    レカネマブ(遺伝子組換え)
    Lecanemab(Genetical Recombination)

    本質

    レカネマブは、遺伝子組換え抗ヒトアミロイドベータペプチドモノクローナル抗体であり、その相補性決定部はマウス抗体に由来し、その他はヒトIgG1に由来する。レカネマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。レカネマブは、454個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び219個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約150,000)である。

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 凍結を避け、振とうしないこと。
    2. 20.2 遮光のため外箱に入れたまま保存すること。
    3. 20.3 冷蔵庫から取り出した後は、外箱に入れたまま25℃以下で保存し、14日以内に使用すること。

    21. 承認条件

    医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    1.25mL×2本

    23. 主要文献

    1) van Dyck C. H, et. al.: N. Engl. J. Med., 2023;388(1):9-21[LEQ-0002]

    2) 日本脳卒中学会 脳卒中医療向上・社会保険委員会 静注血栓溶解療法指針改訂PT:静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針 第三版 2023年9月追補. 2023

    3) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会:脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 2025

    4) 社内資料:免疫原性の評価(2026年9月16日承認、CTD 2.7.2.4)[LEQ-0182]

    5) Nicholas J.R. et al.: N. Engl. J. Med., 2023;388(5):478-479[LEQ-0031]

    6) 社内資料:バイオアベイラビリティ(2026年9月16日承認、CTD 2.7.1.2.2)[LEQ-0195]

    7) 社内資料:母集団薬物動態解析(2026年9月16日承認、CTD 2.7.2.3.1)[LEQ-0193]

    8) 社内資料:薬物動態類似性(2026年9月16日承認、CTD 2.7.2.3.6.1)[LEQ-0186]

    9) 社内資料:母集団薬物動態解析(2023年9月25日承認、CTD 2.7.2.3.2)[LEQ-0015]

    10) 社内資料:薬物動態プロファイル(2023年9月25日承認、CTD 2.7.2.3.1)[LEQ-0016]

    11) 社内資料:国際共同臨床第III相試験非盲検投与期(2026年9月16日承認、CTD 2.7.6.3)[LEQ-0185]

    12) 社内資料:新規皮下投与例の臨床的有効性(2026年9月16日承認、CTD 2.7.3.3.1)[LEQ-0196]

    13) 社内資料:国際共同臨床第III相試験(301試験)(2023年9月25日承認、CTD 2.7.6.5)[LEQ-0009]

    14) 社内資料:種々アミロイドβへの結合性比較(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.1)[LEQ-0017]

    15) 社内資料:ラット海馬神経細胞へのアミロイドβ凝集体の結合阻害(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.8)[LEQ-0018]

    16) 社内資料:ミクログリアによるアミロイドβ除去に対する効果(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.1.15)[LEQ-0030]

    17) 社内資料:APPNL-G-Fマウスにおける脳内アミロイドβに対する効果(2023年9月25日承認、CTD 2.6.2.2.2.3)[LEQ-0019]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    エーザイ株式会社 hhcホットライン

    〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10

    フリーダイヤル 0120-419-497

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    エーザイ株式会社

    東京都文京区小石川4-6-10

    26.2 販売提携

    バイオジェン・ジャパン株式会社

    〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目4番1号



    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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