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日本薬局方
フレカイニド酢酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合
成人
小児
成人○頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、 1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。○頻脈性不整脈(心室性)通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、 1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。小児○頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、発作性上室性、心室性)通常、6ヵ月以上の乳児、幼児及び小児にはフレカイニド酢酸塩として1日50~100mg/m2(体表面積)を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2とする。通常、6ヵ月未満の乳児にはフレカイニド酢酸塩として1日50mg/m2(体表面積)を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2とする。
成人○頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mg(細粒として1g)から投与を開始し、効果が不十分な場合は200mg(細粒として2g)まで増量し、1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。○頻脈性不整脈(心室性)通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mg(細粒として1g)から投与を開始し、効果が不十分な場合は200mg(細粒として2g)まで増量し、1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。小児○頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、発作性上室性、心室性)通常、6ヵ月以上の乳児、幼児及び小児にはフレカイニド酢酸塩として1日50~100mg/m2(体表面積)(細粒として0.5~1g/m2(体表面積))を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2(細粒として2g/m2)とする。通常、6ヵ月未満の乳児にはフレカイニド酢酸塩として1日50mg/m2(体表面積)(細粒として0.5g/m2(体表面積))を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2(細粒として2g/m2)とする。
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。特に、心不全を来すおそれのある患者では少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。また、心室性不整脈患者に投与する場合には、心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高いため、開始後1~2週間は入院させること。
本剤は房室伝導、洞房伝導等を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。
本剤は洞結節機能を抑制することがある。
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。
催不整脈作用が生じやすく、高度の不整脈に発展するおそれがある。
心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性があるので、恒久的ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者に対しては十分注意して投与すること。また、ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定すること。異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること。
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。有効性、安全性が確立していない。
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすい。,
血中濃度が高くなりやすい。本剤は腎臓から排泄されるため、過量投与になるおそれがある。,,
本剤は肝臓で代謝されるため、過量投与になるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において催奇形性が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。ヒトにおいて乳汁中へ移行することが報告されている。
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。心室性不整脈患者に投与する場合には、入院させて開始することが望ましい。肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。
リトナビル(ノービア)
不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される。
ミラベグロン(ベタニス)
QTが延長し、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれがある。
本剤並びにミラベグロンは催不整脈作用を有する。また、ミラベグロンのチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
テラプレビル(テラビック)
本剤並びにテラプレビルはQT延長作用を有する。
ジギタリス配糖体
相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。
機序は不明である。
β遮断剤
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。また、プロプラノロールとの併用においては、本剤並びにプロプラノロールの血中濃度が上昇することがある。
本剤並びにβ遮断剤(プロプラノロール等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。また、本剤並びにプロプラノロールはともにCYP2D6の基質であるため、相手薬剤の代謝を競合的に阻害する。
パロキセチン塩酸塩水和物
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
相手薬剤が肝代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
シメチジンキニジン硫酸塩水和物
本剤の血中濃度が上昇することがある。
相手薬剤のチトクロームP450阻害作用に基づく。
フェニトインフェノバルビタールカルバマゼピン
本剤の血中濃度が低下することがある。
相手薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用に基づく。
アミオダロン塩酸塩
本剤の血中濃度が1.5倍に上昇するとの報告があるので、本剤を2/3に減量すること。
Ca拮抗剤
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。
本剤並びにCa拮抗剤(ベラパミル等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。
塩酸リドカインプロカインアミド塩酸塩
実験的不整脈モデルにおいて抗不整脈活性あるいは毒性症状が増強するとの報告がある。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、心房粗動、高度房室ブロック、一過性心停止、洞停止(又は洞房ブロック)、心不全の悪化、Adams-Stokes発作があらわれることがある。このような場合には、本剤の投与を中止し、次の処置法を考慮すること。,
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
0.1~5%未満
0.1%未満
循環器注)
PQ・QRS・QTの延長、胸部不快感、動悸、その他の徐脈、心房細動、血圧上昇、浮腫
血圧低下、胸痛
精神神経系
めまい、ふらつき、頭痛、頭重、振戦、眠気、手足のしびれ感
耳鳴
消化器
悪心、嘔吐、腹痛、腹部膨満感、口渇、食欲不振、下痢、便秘、消化不良
口内炎
呼吸器
呼吸困難
視覚器
複視、羞明、視力異常
霧視
肝臓
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDH、総ビリルビン値の上昇等
腎臓
BUN、血清クレアチニン値の上昇等
過敏症
瘙痒、発疹
血液
白血球増多、ヘモグロビン・ヘマトクリット値増加
その他
倦怠感、舌のしびれ感、苦味感・味覚異常、顔面潮紅、発汗
頻尿等の排尿障害
過量投与時に心電図諸計測値の延長、心拍数や心収縮性の減少、伝導障害、致死的不整脈、痙攣、低血圧、呼吸不全による死亡等の報告がある。
現状で本剤の過量投与に対する特別な処置法はない。なお、次の処置法を考慮すること。
〈錠〉
心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは非持続型心室頻拍を対象として突然死に関する臨床試験(CAST)が実施された。その結果プラセボ投与群の死亡率に対し、本剤投与群の死亡率が高かったとの報告がある1)。
健康成人男子12名にフレカイニド酢酸塩50mg、100mgを単回経口投与した場合、消化管からの吸収は良好であり、血漿中濃度は投与後2~3時間で最高値に達し、半減期約11時間で消失する。血漿中濃度はほぼ投与量公比に比例して上昇する。不整脈患者においてもほぼ同様の薬物動態を示す。また、健康成人男子10名にフレカイニド酢酸塩50mg,100mgを1日2回食後に7日間反復投与した際、血漿中濃度は投与後4日目でほぼ定常状態に達し、その血漿中濃度は初回投与時の約2倍を示す2),3)。
投与量
分布容積(L/kg)
CL(mL/min/kg)
t1/2(hr)
AUC0→∞(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
50mg
10.1±0.78
11.2±1.21
10.8±0.96
1,253±176.3
95±13.5
100mg
9.4±0.34
10.2±1.16
11.0±0.78
2,843±234.6
202±9.6
(Mean±S. E., n=6)
健康成人男子16名を対象に、細粒10% 0.5g及び錠50mgをクロスオーバー法により絶食下単回経口投与したときのフレカイニド酢酸塩の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。錠50mgに対する細粒10% 0.5g投与時のAUC及びCmaxの幾何平均値の比の90%信頼区間は、生物学的同等性の基準である0.80~1.25の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
Cmax(ng/mL)
tmax(hr)
AUC0→48h(ng・hr/mL)
細粒10% 0.5g
97.0±19.0
1.5(1-3)
1,360±419
11.8±2.44
錠50mg
100±29.5
1.5(1-4)
1,350±488
11.6±2.29
(Mean±S.D., ただしtmax は中央値(最小値-最大値)、n=16)
発作性上室性頻拍の新生児1名において、フレカイニド酢酸塩25mgを6時間ごとに経口投与(40mg/kg/日注))した際の投与2時間後の血清中濃度を、母乳摂取下及び非摂取下で比較すると、母乳摂取下では990ng/mLであったが、母乳非摂取下では1,824ng/mLに上昇したとの報告がある4)。,注)本剤の承認された用量は、成人は通常1日100-200mg、小児の1日最高用量は200mg/m2(体表面積)である。
本薬の主代謝経路はメタ位のO-脱アルキル化とその代謝物のグルクロン酸抱合である。他にピペリジン環の酸化的ラクタム生成がある。O-脱アルキル化反応には主としてP450分子種のCYP2D6が関与している5)。
健康成人に単回経口投与した場合、未変化体の尿中排泄率は24時間以内に投与量の約30%である2)。健康成人に14C-フレカイニド酢酸塩を経口投与した場合、投与放射能量の約86%(Flecainideとして約40%)が6日間以内に尿中に、約5%が糞中に排泄される5)。(外国報告),,
有効血漿中濃度:200~1,000ng/mL測定頻度:月1回
疾患名
対象症例
全般改善度(%)
著明改善
中等度改善以上
心室性期外収縮
448
254(56.7)
328(73.2)
心室頻拍
59
29(49.2)
45(76.3)
心室性不整脈と上室性不整脈の合併
19
11(57.9)
13(68.4)
合計
526
294(55.9)
386(73.4)
発作性心房細動・粗動については、携帯型電話伝送心電図を用いて28日間の非再発率を評価した。非再発率はプラセボが3.1%(1/32例)であったのに対し、本剤100mg/日では9.4%(3/32例)、200mg/日では39.4%(13/33例)であった(二重盲検比較試験)。なお、これまでの臨床試験において本剤が延命率を改善するとの成績がないので、症候性の患者であったとしても軽症の心室性不整脈患者に対しては本剤が一般的に危険であることを考慮すること。
心筋細胞に作用し、Na チャネルの抑制作用により活動電位最大立ち上がり速度(Vmax)を抑制し、興奮伝導を遅延する。
不整脈患者に本剤250mg注)を経口投与した場合、洞周期、洞結節回復時間に影響せず、H-V伝導を遅延させ、心室筋の有効不応期を延長する。また、逆行性副伝導路を抑制し、室房伝導系の有効不応期を延長する17)。注)本剤の承認された用量は、成人は通常1日100-200mg、小児の1日最高用量は200mg/m2(体表面積)である。
フレカイニド酢酸塩(Flecainide Acetate)
N-[(2RS)-Piperidin-2-ylmethyl]-2,5-bis(2,2,2-trifluoroethoxy)benzamide monoacetate
C17H20F6N2O3・C2H4O2
474.39
フレカイニド酢酸塩は白色の結晶性の粉末で、わずかに特異なにおい又はわずかに酢酸様のにおいがある。本品はメタノール、エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく、水にやや溶けにくい。本品のメタノール溶液(1→25)は旋光性を示さない。
約150℃(分解)
0.34(水-1-オクタノール系)
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠(ボトル、バラ、乾燥剤セットキャップ)、500錠[10錠(PTP)×50]
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]
50g(ボトル、乾燥剤セットキャップ)
1) Echt D. S. et al.: N. Engl. J. Med., 1991;324(12):781-788[TMB-0036]
2) 新博次ら:臨床薬理, 1988;19(3):563-572[TMB-0015]
3) 加藤林也ら:臨床薬理, 1989;20(3):505-513[TMB-0017]
4) Russell G. A. B. et al.: Arch. Dis. Child., 1989;64(6):860-862[TMB-0624]
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6) Atarashi H. et al.: Circ. J., 2007;71:294-300[TMB-0521]
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11) 加藤浩嗣ら:薬理と治療, 1997;25(1):121-130[TMB-0251]
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16) 加藤浩嗣ら:基礎と臨床, 1991;25(15):4785-4794[TMB-0096]
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