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ケイツーN静注10mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ケイツーN静注10mg

添付文書番号

3160401A6041_1_04

企業コード

170033

作成又は改訂年月

2023年5月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

87316

薬効分類名

止血機構賦活ビタミン

承認等

ケイツーN静注10mg

販売名コード

YJコード

3160401A6041

販売名英語表記

Kaytwo N Injection 10mg

販売名ひらがな

けいつーNじょうちゅう10mg

承認番号等

承認番号

22100AMX00454000

販売開始年月

1991年8月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

メナテトレノン製剤

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者,,,

3. 組成・性状

3.1 組成

ケイツーN静注10mg

有効成分メナテトレノン   10mg(1管(2mL)中の分量)
添加剤ゴマ油   4mg(1管(2mL)中の分量)
水酸化ナトリウム   適量(1管(2mL)中の分量)
精製ダイズレシチン   16mg(1管(2mL)中の分量)
D-ソルビトール   100mg(1管(2mL)中の分量)
タウリン   6mg(1管(2mL)中の分量)
濃グリセリン   100mg(1管(2mL)中の分量)

3.2 製剤の性状

ケイツーN静注10mg

pH6.0~8.0
浸透圧比約3(生理食塩液に対する比)
性状淡黄色半透明の液

4. 効能又は効果

ビタミンKの欠乏による次の疾患及び症状

  • 胆道閉塞・胆汁分泌不全による低プロトロンビン血症
  • 新生児低プロトロンビン血症
  • 分娩時出血
  • クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症
  • クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 ビタミンK拮抗作用を有し、低プロトロンビン血症を生じる殺鼠剤として、ワルファリン、フマリン、クマテトラリル、ブロマジオロン、ダイファシノン、クロロファシノン等がある。投与にあたっては抗凝血作用を有する殺鼠剤の中毒であることを血液凝固能検査にて確認すること。
  2. 5.2 ビタミンK依存性凝固因子の異常がある場合以外は投与しないこと。
  3. 5.3 経口ビタミンK製剤の効果が期待できない場合にだけ投与を考慮すること。
  4. 5.4 本剤の適用対象となる新生児低プロトロンビン血症は、例えばトロンボテスト値20%以下又はヘパプラスチンテスト値30%以下の症例をいう。

6. 用法及び用量

  • 〈胆道閉塞・胆汁分泌不全による低プロトロンビン血症、分娩時出血、クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症〉

    通常、成人には1日1回メナテトレノンとして10~20mgを静注する。

  • 〈新生児低プロトロンビン血症〉

    生後直ちに1回メナテトレノンとして1~2mgを静注し、また症状に応じて2~3回反復静注する。

  • 〈クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症〉

    メナテトレノンとして1回20mgを静注し、症状、血液凝固能検査結果に応じて1日量40mgまで増量する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤は、ビタミンK欠乏の関与する出血傾向に対し、ビタミンKを補給することにより効果を発揮するものであるので、次の点に注意すること。
    • ビタミンK欠乏の患者以外の止血には無効なので、投与しないこと。
    • 原則として、プロトロンビン時間、トロンボテスト、ヘパプラスチンテストの検査の実施、さらにPIVKA(protein induced by vitamin K absence or antagonist)の証明を行い、ビタミンK依存性凝固因子の異常を確認すること。
      継続的に投与する場合には、定期的にこれらの検査を実施すること。
    • 肝硬変等の肝細胞障害を伴う凝固障害には、ビタミンKを補給しても止血には無効なので、投与しないこと。
    • 投与後約3時間を経て効果を発現するので、速効性が期待できないことに留意すること。
  2. 8.2 重篤な出血が見られる場合には、本剤の投与と共に新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置を行うこと。
  3. 8.3 投与に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。,,,
  4. 8.4 投与に際しては少量注入後患者の症状をよく観察し、異常が認められた場合には速やかに投与を中止すること。,
  5. 8.5 クマリン系殺鼠剤の中には長時間作用型のものもあるので、一時的に凝固能が戻った場合でも引き続き凝固能検査を実施し、完全に回復するまで投与を継続すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者

    ,,

  2. 9.1.2 薬物過敏症の既往歴のある患者

    ,,

  3. 9.1.3 遺伝性果糖不耐症の患者

    本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    クマリン系抗凝血薬

    • (ワルファリンカリウム)

    併用に注意すること。

    ワルファリンの作用を減弱する。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック(頻度不明),,,,,

    11.2 その他の副作用

    0.5~1%未満

    過敏症

    発疹

    注)発現頻度は製造販売後調査を含む。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 点滴静注を行う場合には、日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖液で希釈し、単独の点滴ラインで持続投与すること。
    2. 14.1.2 本剤は可溶化剤として精製ダイズレシチンを使用しており、他の薬剤との配合により可溶化力が低下し配合変化を起こすことがある。ファイナルフィルターを使用し点滴静注すると、通常より早くフィルターの目詰まりを起こす可能性がある。
    3. 14.1.3 本剤は、血漿増量剤(デキストラン製剤等)、ヘパリン製剤と配合変化を起こすため、配合は避けること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 点滴静注する場合は、本剤の光分解を防ぐため、遮光カバーを用いるなど十分に注意すること。
    2. 14.2.2 急速に投与するとショック症状があらわれることがあるので、点滴静注が望ましいが、静注する場合は、緩徐に注射すること。,
    3. 14.2.3 ポリ塩化ビニル製の輸液セット等を使用した場合、可塑剤であるDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕が製剤中に溶出するおそれがあるので、DEHPを含まない輸液セット等を使用することが望ましい。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      健康成人男子にケイツーN静注10mgをメナテトレノンとして10mg(4名)・30mg(8名)・501)mg(4名)単回静脈内投与後の血漿中メナテトレノン濃度はほぼ投与量公比に比例して上昇した。10mgを投与した時、投与開始後6分の平均血漿中濃度は2.76μg/mLであり、以後直線的に減少し、2時間後には、0.57μg/mLの値を示した。血漿中濃度の消失は2相性を示し、その平均消失半減期はα相が0.71時間、β相が17.52時間であった。この時の投与後48時間までのAUC値は3.90μg・hr/mLであった。

      静脈内投与時の平均血漿中メナテトレノン濃度
      メナテトレノン静脈内投与時の薬物動態パラメータ

      投与量
      (mg)

      t1/2α
      (hr)

      t1/2β
      (hr)

      AUC480
      (μg・hr/mL)

      10

      0.71

      17.52

      3.90

      1) 本剤の承認最大用量は、成人20mg、新生児2mg、クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症時40mgである。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内臨床試験(胆道閉塞・胆汁分泌不全による低プロトロンビン血症)

      胆道閉塞、胆汁分泌不全に伴う低プロトロンビン血症に対してケイツーN静注10mgとビタミンK2注射剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油含有)をともにメナテトレノンとして10mgを7日間静脈内投与し、二重盲検試験によりその効果を比較したところ、両薬剤間に有意な差はなく、同等の改善効果が認められた。また、本試験における副作用の発現はなかった1)

    2. 17.1.2 国内臨床成績(新生児低プロトロンビン血症)

      新生児低プロトロンビン血症を対象とした特別調査(投与前の血液凝固能検査において少なくとも1項目の検査値が正常範囲外であった症例を対象)において、有効性解析対象とされた53例のうち、投与前に出血症状の認められた症例は27例であり、このうち26例(96%)で改善が認められた。なお、出血症状及び血液凝固能検査の推移に基づく全般改善度では53例中28例(53%)が改善と判定された。また、副作用として血小板増多が1.5%(1/67例)報告された2)

    3. 17.1.3 外国臨床成績(クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症)

      外国において、クマリン系殺鼠剤中毒患者にビタミンK製剤を投与し、回復したとの報告がある3),4)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    ビタミンK2(以下K2)は、血液凝固因子(プロトロンビン、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の蛋白合成過程で、グルタミン酸残基が、生理活性を有するγ-カルボキシグルタミン酸に変換する際のカルボキシル化反応に関与する。
    すなわち、K2は正常プロトロンビン等の肝合成を促進し、生体の止血機構を賦活して生理的に止血作用を発現する5)

    18.2 低プロトロンビン血症改善作用

    1. 18.2.1 ウサギにK2又はビタミンK1(以下K1)5mg静脈内投与後の摘出肝臓を用いて低プロトロンビン血症改善作用を検討した。K2群は、K1群に比較して、ワルファリンカリウム誘発低プロトロンビン血症ウサギ血液のプロトロンビン時間の改善効果が速やかで、1時間で約3倍、2時間で約2倍の改善効果が確認された6)
    2. 18.2.2 ジクマロール20mg/kg投与によって凝血因子の低下を誘発した出血傾向ラット及び四塩化炭素0.1mL/kg投与による肝障害ラットは出血時間を著明に延長したが、これらの病態ラットにK2 10mg/kgを筋肉内投与したところ、ともに投与3~4時間後に出血時間を有意(p<0.05)に短縮した7)

    18.3 ビタミンK2注射剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油含有)との薬効比較

    ケイツーN静注10mgとビタミンK2注射剤との薬効比較をワルファリンカリウムによる低プロトロンビン血症ラットを用いて行った。ケイツーN静注10mg及びビタミンK2注射剤についてそれぞれメナテトレノンとして、0(プラセボ),0.008,0.04,0.2,1.0mg/kgを静注し、投与1,3,6時間後の血液凝固活性をヘパプラスチンテストで検討した。その結果、いずれの投与量においても薬効の経時変化は両製剤間に差がなく、各投与時間後における用量・活性曲線においても両製剤はほぼ同等であった8)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    メナテトレノン(Menatetrenone)

    化学名

    2-Methyl-3-[(2E,6E,10E)-3,7,11,15-tetramethylhexadeca-2,6,10,14-tetraen-1-yl]-1,4-naphthoquinone

    分子式

    C31H40O2

    分子量

    444.65

    性状

    メナテトレノンは黄色の結晶、結晶性の粉末、ろう様の塊又は油状である。
    本品はヘキサンに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノールにやや溶けにくく、メタノールに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
    本品は光によって分解し、着色が強くなる。

    化学構造式

    融点

    約37℃

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 本剤は、保管中の品質の安定性確保のためLPEパック(Light Protect Easy open pack)を使用しているので、LPEパックの状態で保存し、使用直前にLPEパックから取り出すこと。アンプルのままでは、光で分解し、含量が低下する。

    22. 包装

    10管(褐色ガラスアンプル)
    50管(褐色ガラスアンプル)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    エーザイ株式会社 hhcホットライン

    〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10

    フリーダイヤル 0120-419-497

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    エーザイ株式会社

    東京都文京区小石川4-6-10

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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