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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、悪性脳腫瘍の外科手術及び薬物療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の留置が適切と判断される症例についてのみ実施すること。
悪性神経膠腫
通常、成人には、腫瘍切除腔の大きさや形状に応じて、本剤8枚(カルムスチンとして61.6mg)又は適宜減じた枚数を脳腫瘍切除術時の切除面を被覆するように留置する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、留置しないこと。本剤の有効成分であるカルムスチンを妊娠動物(ウサギ、ラット)に投与したとき、胎児毒性や催奇形性が認められたとの報告がある。,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で14C標識カルムスチンを静脈内投与したとき、放射能の乳汁移行が認められている。
小児を対象とした臨床試験は実施していない。
創傷治癒に影響を及ぼす可能性が考えられ、脳脊髄液の漏出、創傷治癒遅延による創し開、創合併症があらわれることがある。
創傷感染、膿瘍、髄膜炎等の感染症があらわれることがある。
脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症等の血栓塞栓症があらわれることがある。
腫瘍出血、脳出血、頭蓋内出血等の出血症状があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
頻度不明
全身症状
発熱
低体温、浮腫
顔面浮腫、無力症、倦怠感、腫脹、腫瘤、嚢胞、疼痛、胸痛、体重減少
精神神経系
頭痛、片麻痺
失語症、感覚鈍麻、記憶障害、半盲、単麻痺
錯乱状態、うつ病、解離、感情不安定、激越、幻覚、思考異常、人格障害、不安、失見当識、不眠症、妄想症、認知症、傾眠、昏迷、ジスキネジア、異常感覚、会話障害、協調運動異常、構語障害、昏睡、錯感覚、刺激無反応、視野欠損、振戦、脳神経麻痺、めまい、部分発作、片頭痛、末梢性ニューロパチー、嗜眠
感覚器
斜視
眼筋麻痺、散瞳、視神経乳頭浮腫、視力障害、失明、弱視、複視、霧視、羞明、耳鳴
血液
リンパ球数減少
血小板数減少、白血球数増加
白血球数減少、プロトロンビン量減少、汎血球減少症、貧血、血液量減少症
肝臓
ALT増加
肝機能検査異常、Al-P増加
腎臓・泌尿器
尿失禁
尿閉、膀胱感覚消失、頻尿、多尿、尿糖
循環器
ショック、高血圧、低血圧、チアノーゼ、頻脈、心電図異常、心拍出量異常
消化器
悪心、嘔吐、食欲減退
腹部不快感
下痢、便秘
皮膚
そう痒症、皮膚変色、蕁麻疹、多汗症、発疹
筋骨格系
筋攣縮、筋骨格硬直、頚部痛、背部痛、四肢痛、筋力低下
呼吸器
しゃっくり、呼吸困難、誤嚥性肺炎
代謝・内分泌
尿崩症、高血糖、脱水、低ナトリウム血症、低マグネシウム血症
感染症
敗血症、カンジダ症、帯状疱疹、尿路感染、蜂巣炎
その他
不規則月経、CRP増加、CK増加
処置後血腫、切開部位痛、切開部位浮腫、切開部位紅斑、帽状腱膜下血腫、創腐敗、創部炎症、髄液貯留、脳室炎、嚢胞性リンパ管腫、髄液細胞増加
本剤の有効成分であるカルムスチンは、他のアルキル化剤と同様に遺伝毒性を有し、マウス、ラットのリンパ組織、肺等において腫瘍が発生したとの報告がある。
本剤は、腫瘍切除腔に留置後、ポリフェプロサン20の加水分解とともに、カルムスチン、1,3-ビス(4-カルボキシフェノキシ)プロパン(CPP)及びセバシン酸(SA)を放出すると考えられている。ヒトでのポリフェプロサン20の薬物動態は不明である。日本人初発悪性神経膠腫患者及び再発膠芽腫患者6例に、本剤を平均7.3枚(5~8枚)留置して全血中カルムスチン濃度を測定した結果、留置後約3時間に6.5~19.4ng/mLの濃度が得られたが、24時間又はそれ以降では定量下限(2.0ng/mL)未満であった。なお、本剤留置後ヒト脳組織に移行するカルムスチンの濃度は確認されていない1)。
サル脳内に3H標識カルムスチン20%含有ポリマー(カルムスチン含有量は本剤の約5倍)を留置したとき、放射能の脳組織への浸透範囲(放射能濃度がポリマー/組織接触面の10%以上の範囲)は、留置後1日で6.1mm、留置後14日で2.9mmであったことが報告されている2)。
In vitro(0℃)におけるカルムスチンのヒト血漿たん白結合率は、約80%であったことが報告されている3)。
ヒト肝ミクロソーム及びサイトソールを用いたin vitro代謝試験結果から、カルムスチンは、ミクロソームでの脱ニトロソ反応によって1,3-ビス(2-クロロエチル)ウレアに代謝されると推察された。また、非酵素的に2-クロロエチルイソシアネートに分解した後、グルタチオンと抱合体を形成すると推察された4)。
初発悪性神経膠腫患者16例及び再発膠芽腫患者8例を対象に、非対照、非盲検臨床試験を行った。この試験では、腫瘍切除術時に本剤を留置した時の有効性及び安全性について評価した。中央病理診断による24例の病理組織型は、初発例では膠芽腫9例、膠芽腫以外7例(内訳:退形成性乏突起神経膠腫3例、乏突起神経膠腫2例、退形成性神経節膠腫及び乏突起星細胞腫各1例)、再発例では膠芽腫4例、膠芽腫以外4例(内訳:退形成性乏突起神経膠腫、退形成性乏突起星細胞腫、退形成性星細胞腫及び高グレード神経膠腫各1例)であり、本剤留置時の腫瘍摘出率(平均値±標準偏差)は、初発例で91.9±8.5%、再発例で87.3±17.0%、全体で90.3±11.8%であった。初発例では、本剤留置後にテモゾロミドと放射線療法との併用療法を行った。本剤の留置枚数は24例中21例に8枚が留置され、その他の3例は5枚、6枚、7枚であった。その結果、Kaplan-Meier法による初発例の12ヵ月生存率は100.0%であり、再発例の6ヵ月生存率は87.5%、12ヵ月生存率は62.5%であった。12ヵ月時点の生存期間中央値は、初発例及び再発例ともに算出できなかった。無増悪生存率は、初発例の6ヵ月で75.0%(95%信頼区間:46.3-89.8)、12ヵ月で62.5%(95%信頼区間:34.9-81.1)、無増悪生存期間中央値は、12ヵ月時点では算出できなかった。再発例の6ヵ月無増悪生存率は、37.5%(95%信頼区間:8.7-67.4)、12ヵ月では、25.0%(95%信頼区間:3.7-55.8)、無増悪生存期間中央値は170日であった1)。副作用(臨床検査値異常を含む)発現症例は13例(54.2%)で、主な副作用は、脳浮腫6例(25.0%)、発熱3例(12.5%)、リンパ球数減少3例(12.5%)、片麻痺(不全片麻痺を含む)3例(12.5%)、悪心2例(8.3%)、嘔吐2例(8.3%)、食欲減退2例(8.3%)、頭痛2例(8.3%)、ALT増加2例(8.3%)であった。(承認時)
カルムスチンは、DNAをアルキル化し、核酸合成を阻害することで、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導すると考えられている7),8),9),10)。
カルムスチンは、ヒト神経膠芽腫由来U-87MG細胞株を移植したマウスに対し、その生存期間を延長することが示されている11)。
カルムスチン(Carmustine)
1,3-Bis(2-chloroethyl)-1-nitrosourea
C5H9Cl2N3O2
214.05
淡黄色の粉末である。ジメチルスルホキシド、エタノール(95)、ジクロロメタン又はアセトニトリルに極めて溶けやすく、プロピレングリコール、メタノール又は無水ジエチルエーテルに溶けやすく、水に溶けにくい。
約31℃
8枚(分包1枚×8)4枚(分包1枚×4)1枚(分包1枚)
1) Aoki T., et al.:Neurol. Med. Chir.,(Tokyo)2014;54(4):290-301 GLI-0106
2) Fung L.K., et al.:Cancer Res., 1998;58(4):672-684 GLI-0047
3) Loo T.L., et al.:J. Pharm. Sci., 1966;55(5):492-497 GLI-0023
4) 社内資料:カルムスチンのヒト肝ミクロソーム、ヒト肝サイトソールに対する影響 GLI-0051
5) DeVita V.T., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 1967;8(4):566-577 GLI-0002
6) 社内資料:ラット及びウサギにおけるポリフェプロサン20の薬物動態 GLI-0052
7) Chabner B.A., et al.:Goodman & Gilman’s The pharmacological basis of therapeutics 11th ed., 2006;1324 GLI-0011
8) Tashima M., et al.:Biochem. Pharmacol., 1979;28(4):511-517 GLI-0048
9) Batista L.F.Z., et al.:Cancer Res., 2007;67(24):11886-11895 GLI-0049
10) Xu G.W., et al.:Int. J. Cancer, 2005;116(2):187-192 GLI-0050
11) 社内資料:ヒト神経膠芽腫細胞株(U-87MG)の頭蓋内移植モデルに対するカルムスチンの抗腫瘍効果 GLI-0053
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