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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌
通常、成人には、タスルグラチニブとして1日1回140mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
減量レベル
投与量
通常投与量
140mg
1段階減量
105mg
2段階減量
70mg
3段階減量
35mg
4段階減量
投与中止
副作用
程度*
処置
高リン血症
血清リン濃度が5.5mg/dL以上7.0mg/dL以下
食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う。
血清リン濃度が7.1mg/dL以上9.0mg/dL以下
食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う。血清リン濃度が7.1mg/dL以上が2週間継続する場合、7.0mg/dL以下に回復するまで休薬する。その後、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
血清リン濃度が9.1mg/dL以上
食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う。血清リン濃度が7.0mg/dL以下に回復するまで休薬する。本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
角膜障害及び網膜障害
忍容性がないGrade 2又はGrade 3
本剤の投与開始前の状態又はGrade 1以下に回復するまで休薬する。本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
Grade 4
投与を中止する。
血液障害
Grade 3
Grade 2以下に回復するまで休薬する。本剤の投与を再開する場合、同一用量とする。
Grade 2以下に回復するまで休薬する。本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
上記以外の副作用
忍容性がないGrade 2
本剤の投与開始前の状態又はGrade 1以下に回復するまで休薬する。本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。ただし、初回減量時(140mgから105mg)には、休薬せずに減量可能である。
Grade 4(生命を脅かさない臨床検査値異常の場合は、Grade 3と同じ処置とする)
*:GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じる。
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量未満に相当する用量で催奇形性(骨格、内臓及び外表異常等)が報告されている。,
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
,
網膜剥離(8.7%)、漿液性網膜剥離(8.7%)等があらわれることがある。霧視、飛蚊症、視野欠損、光視症、視力低下等が認められた場合には、眼科検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。,
20%以上
5~20%未満
5%未満
血液及びリンパ系障害
血小板減少、白血球減少、好中球減少
リンパ球減少、ヘモグロビン減少
眼障害
ドライアイ、角膜炎、角膜上皮欠損、眼球乾燥症、黄斑浮腫、霧視、網膜下液
白内障、角膜混濁、角膜障害、黄斑変性、点状角膜炎
胃腸障害
下痢(33.3%)、口内炎(24.6%)
口内乾燥、便秘、悪心、嘔吐
腹痛、口腔内潰瘍形成、腹部膨満、食道炎
一般・全身障害
倦怠感
疲労、口渇
肝胆道系障害
AST増加、ALT増加、ALP増加、血中ビリルビン増加
肝損傷、抱合ビリルビン増加、γ-GTP増加
感染症
爪囲炎(26.1%)
咽頭炎、鼻炎
代謝及び栄養障害
リパーゼ増加、食欲減退、高カルシウム血症、高尿酸血症
低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン血症、低アルブミン血症、低クロール血症、低カリウム血症
筋骨格系及び結合組織障害
関節痛
CK増加
神経系障害
味覚障害(24.6%)
精神障害
不眠症
腎及び尿路障害
血中クレアチニン増加
尿中蛋白陽性、尿中白血球陽性
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
鼻出血、鼻乾燥
皮膚及び皮下組織障害
爪障害(72.5%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(49.3%)
脱毛症、皮膚乾燥、発疹
過角化、瘙痒症、皮膚亀裂
その他
高血圧
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
本剤のラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、種々の組織における異所性石灰化、上皮の萎縮、骨・軟骨形成異常等の変化が臨床曝露量未満に相当する用量で認められた。
日本人進行固形癌患者3例に本剤140mgを1日1回反復経口投与したときの、投与8日目の血漿中タスルグラチニブ及びM2(タスルグラチニブの主要な活性代謝物)の濃度推移を図に、初回投与後及び反復投与8日目の薬物動態パラメータを表に示した。反復投与8日目の薬物動態は、初回投与の結果から推測可能であり、タスルグラチニブ及びM2のAUC(0-24h)の累積係数の平均値は1.97及び2.35であった1) 。
投与時期
例数
Cmax(ng/mL)
tmax(h)
AUC(0-24h)(ng・h/mL)
t1/2(h)
タスルグラチニブ
単回投与
3
227(118)
4.88(3.00、5.08)
2460(1580)
18.3(5.13)
反復投与8日目
372(173)
5.00(2.98、5.08)
4800(3480)
−
M2
63.8(36.1)
5.00(4.88、5.08)
741(290)
26.0(8.52)
106(51.8)
1620(460)
平均値(標準偏差)、ただしtmaxは中央値(最小値、最大値)
健康成人14例に本剤35mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食(約800-1000kcal、脂質含量約50%)後投与におけるタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.672及び0.771であり、tmaxは1時間遅延した。また、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.532及び0.702であり、tmaxは空腹時投与と高脂肪食後投与で同程度であった2) 。
タスルグラチニブ及びM2のヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は、それぞれ約93.7%(検討濃度:100~3000ng/mL)及び約90.0%(検討濃度:30~1000ng/mL)であった。タスルグラチニブ及びM2は、アルブミン、α1-酸性糖蛋白質及びγ-グロブリンのうち、アルブミンに対して最も強い結合を示した3) 。
タスルグラチニブは、主としてCYP4F12を介してM2に代謝され、CYP2J2及びCYP3A4によっても代謝された。M2はCYP2J2、CYP3A4及びCYP4F12によって代謝された4) (in vitro)。健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回経口投与したとき、投与後48時間までの血漿中において主に未変化体、M2及びM9(M2の酸化誘導体)が検出された(血漿中総放射能に対する割合は、それぞれ30.9、20.6及び12.3%)5) (外国人データ)。
健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回投与したとき、投与後672時間までに投与した放射能の79.7%が糞中、5.84%が尿中に排泄された。投与後672時間までの糞及び尿中における未変化体の割合(投与放射能に対する割合)は、それぞれ32.08及び2.05%であった。また、糞及び尿中における主な代謝物としてM2が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ30.53及び2.55%)5) (外国人データ)。
健康成人14例にラベプラゾール20mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するラベプラゾール併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.07及び1.08であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.09及び1.18であった6) 。
健康成人14例にリファンピシン600mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.02及び0.841であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び0.878であった7) 。
タスルグラチニブ及びM2はP-gpの基質である。また、タスルグラチニブはCYP3A、CYP4F12及びMATE1を阻害し、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3Aを誘導した。さらに、タスルグラチニブがP-gp及びBCRPを阻害する可能性が示唆された。M2はMATE1を阻害した(in vitro)。
化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性注1) の治癒切除不能な胆管癌(肝内胆管癌又は肝門部胆管癌)患者63例(うち日本人患者28例)に、本剤140mgを1日1回空腹時に経口投与した。主要評価項目であるRECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率(%)は、30.2(90%信頼区間:20.7-41.0)であった8) 。
本剤が投与された63例中61例(96.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、高リン血症51例(81.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群28例(44.4%)、下痢20例(31.7%)、爪囲炎、口内炎14例(各22.2%)等であった。
タスルグラチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。タスルグラチニブは、FGFR融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている9),10) 。
タスルグラチニブは、FGFR融合タンパクを発現する胆管癌患者由来CC6204腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した11) 。
タスルグラチニブコハク酸塩(Tasurgratinib Succinate)
5-[2-({4-[1-(2-Hydroxyethyl)piperidin-4-yl]benzoyl}amino)pyridin-4-yl]oxy-6-(2-methoxyethoxy)-N-methyl-1H-indole-1-carboxamide sesquisuccinate
(C32H37N5O6)2・(C4H6O4)3
1529.60
白色の粉末である。N-メチルピロリドンに溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
185℃
4.0
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
56錠[14錠(PTP)×4]
1) 社内資料:固形がん患者における単回及び反復投与試験(101試験)(2024年9月24日承認、CTD2.7.2.2.2.1)[TAS-0001]
2) 社内資料:健康成人を対象とした食事の影響試験(003試験、Part A)(2024年9月24日承認、CTD2.7.1.2.2)[TAS-0002]
3) 社内資料:In vitro血漿タンパク結合率(2024年9月24日承認、CTD2.6.4.4.2)[TAS-0003]
4) 社内資料:代謝に関与するCYP(2024年9月24日承認、CTD2.6.4.5.4)[TAS-0004]
5) 社内資料:マスバランス試験(002試験)(2024年9月24日承認、CTD2.7.2.2.2.3)[TAS-0005]
6) 社内資料:国内第I相試験(003試験、Part B)(2024年9月24日承認、CTD2.7.1.2.3)[TAS-0028]
7) 社内資料:国内第I相試験(003試験、Part C)(2024年9月24日承認、CTD2.7.2.2.2.4.3)[TAS-0029]
8) 社内資料:国際共同第II相試験(201試験)(2024年9月24日承認、CTD2.7.6.4)[TAS-0006]
9) 社内資料:In vitro試験(作用機序)(2024年9月24日承認、CTD2.6.2.2.1)[TAS-0007]
10) Watanabe Miyano S. et al. : Mol Cancer Ther. 2016 ; 15 (11) : 2630-2639[TAS-0008]
11) 社内資料:In vivo試験(抗腫瘍効果)(2024年9月24日承認、CTD2.6.2.2.2)[TAS-0009]
エーザイ株式会社 hhcホットライン
〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10
フリーダイヤル 0120-419-497
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2025年11月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。
エーザイ株式会社
東京都文京区小石川4-6-10
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