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習慣性医薬品注)
処方箋医薬品注)
不眠症
二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。
通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。
症状を悪化させるおそれがある。
重度の呼吸機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。
作用が強くあらわれるおそれがある。
スボレキサントの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。
**治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。外国人女性12例を対象とした乳汁移行試験成績から、スボレキサント及びその水酸化代謝物が母乳中へ移行することが認められている。本剤20mgを経口投与した時の相対的乳児投与量(RID)は母体投与量の1%未満であり、水酸化代謝物の移行はスボレキサントより低かった。母乳中のスボレキサントに対する水酸化代謝物の曝露量比は約0.13であった。動物実験(ラット)でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。高齢者での薬物動態試験において、非高齢者と比較して血漿中濃度が高くなる傾向が認められている。
イトラコナゾール
ポサコナゾール
ボリコナゾール
クラリスロマイシン
ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン
ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン
リトナビル
ニルマトレルビル・リトナビル
エンシトレルビル
,
本剤の作用を著しく増強させるおそれがある。
スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。
アルコール(飲酒)
精神運動機能の相加的な低下を生じる可能性がある。本剤を服用時に飲酒は避けさせること。
本剤及びアルコールは中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)
中枢神経系に対する抑制作用を増強させるおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤は中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。
CYP3Aを中等度に阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等),
傾眠、疲労等の本剤の副作用が増強するおそれがあるため、併用する際には1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを中等度に阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を上昇させる。
CYP3Aを強く誘導する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)
本剤の作用を減弱させるおそれがある。
スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く誘導し、スボレキサントの血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。本剤と併用する場合は、ジゴキシンの血漿中濃度をモニタリングすること。
スボレキサントはP糖蛋白阻害作用を有する。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
心臓障害
動悸
胃腸障害
悪心、嘔吐
一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労
神経系障害
傾眠、頭痛、浮動性めまい
睡眠時麻痺
精神障害
悪夢
異常な夢、入眠時幻覚
睡眠時随伴症注1)、夢遊症注1)、傾眠時幻覚注1)、不安、激越
皮膚及び皮下組織障害
そう痒症
本剤の過量投与に関する情報は少ない。外国人健康成人に本剤120~240mgを朝投与した臨床試験で、用量依存的に傾眠の発現率及び持続時間が増加し、脈拍数が一過性に低下する傾向がみられた。外国人健康成人に本剤240mgを朝投与した臨床試験では、胸痛及び呼吸抑制が報告された。
血液透析は本剤の除去に有用かどうかは不明である。スボレキサントは蛋白質結合能が高いため、血液透析では除去されないと考えられる。多剤服用の可能性を考慮する。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人健康成人(12例)に、本剤40mgを空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5時間(1.0~3.0時間)で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、平均半減期(t1/2)は10.0時間であった(表1)。
AUC0-∞注2)(μM・hr)
Cmax注2)(μM)
Tmax注3)(hr)
t1/2注4)(hr)
12.15(10.97, 13.46)
1.007(0.858, 1.182)
1.5(1.0, 3.0)
10.0±1.0
n=12
健康成人(16例)に、本剤10~40mgを空腹時単回経口投与したところ、スボレキサントの曝露量は用量比例性を下回った(外国人データ)(表2)。
AUC0-∞注5)(μM・hr)
Cmax注5)(μM)
Tmax注6)(hr)
t1/2注7)(hr)
10mg
5.32(4.55, 6.23)
0.456(0.403, 0.516)
1.5(1.0, 4.0)
12.1±1.8
20mg
9.51(8.12, 11.14)
0.646(0.572, 0.731)
1.0(1.0, 4.0)
12.5±2.6
40mg
16.21(13.85, 18.98)
0.956(0.845, 1.082)
2.0(1.0, 4.0)
12.6±2.5
n=16
健康成人(30例)に、本剤10~100mgを1日1回14日間反復投与したとき、3日目までに定常状態に到達し、スボレキサント40mgの平均t1/2(約12時間、95%信頼区間:12.0~13.1時間)から予想される値と一致した。AUC0-24hrの累積係数は1.21~1.60で、いずれの用量でも類似していた(外国人データ)。
本剤20mgを投与した際の平均絶対バイオアベイラビリティは62%(5~95パーセンタイル:55~69%)であると推定された。
本剤40mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは23%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1時間延長した(日本人データ)。本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは9%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1.5時間延長した(外国人データ)。
スボレキサントの平均分布容積は約49Lであった。スボレキサントのヒト血漿蛋白結合率は高く(>99%)、赤血球に特異的に分布することはなかった。スボレキサントは、ヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質のいずれにも結合した。
スボレキサントは主として代謝により消失し、その代謝には主にCYP3Aが関与し、CYP2C19もわずかに関与していた。血漿中には主にスボレキサント及びその水酸化代謝物が認められた。この代謝物は脳内で薬理作用を示さないと考えられる。
スボレキサントの主な排泄経路は糞便を介するものであり、経口投与した14C標識スボレキサントの約66%が糞便中に排泄されるのに対し、尿中への排泄は23%であった。スボレキサントは主として代謝物として排泄され、糞便中及び尿中のスボレキサントは投与量の1%未満であった。
健康成人に、本剤40mgを1日1回14日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、10.64μM・hr、1.080μM及び9.4時間であった。健康高齢者に、本剤40mgを1日1回7日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、17.88μM・hr、1.336μM及び18.4時間であり、健康成人と比べて、AUC0-24hr及びCmaxは高値を示し、t1/2の延長がみられた。高齢不眠症患者及び非高齢不眠症患者に、本剤15mg及び20mgをそれぞれ1日1回反復投与した際の定常状態でのスボレキサントの投与後9時間の血漿中濃度(C9hr)は、それぞれ0.362μM及び0.321μMで同程度であった(外国人データ)。
重度腎機能障害患者(CLcr:30mL/min/1.73m2以下)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmax及びAUCは、健康成人と比較して15%及び22%高かった(外国人データ)。
中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmaxは、健康成人と比較して6%低く、AUCは3%高かった。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア10~15)での薬物動態は検討していない(外国人データ)。
本剤20mgを不眠症患者に反復投与した際の定常状態でのスボレキサントのC9hrは、低体重患者(BMI:18.5kg/m2未満、6例)で0.171μM、標準BMI(18.5kg/m2以上、25kg/m2未満、139例)の患者で0.323μM、前肥満患者(BMI:25kg/m2以上、30kg/m2未満、94例)で0.384μM及び肥満患者(BMI:30kg/m2以上、42例)で0.353μMであった(外国人データ)。
健康成人30例に本剤40mg及びアルコール0.70g/kgを併用単回投与した際、精神運動機能の相加的な低下がみられた1)(外国人データ)。
本剤(4mg単回)とCYP3Aを強く阻害するケトコナゾール(400mg 1日1回経口反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは23%及び179%増加した(外国人データ)。,
本剤(20mg単回)とジルチアゼム(240mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは22%及び105%増加した(外国人データ)。,
本剤(40mg単回)とリファンピシン(600mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは64%及び88%減少した(外国人データ)。
スボレキサントはCYP3A及び腸管のP糖蛋白を阻害する可能性があることが示されている。他のヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6)及びトランスポーター(OATP1B1、BCRP、OCT2)に対しては、臨床的に意味のある阻害を生じる可能性は低いと考えられる。スボレキサントを反復投与することによって、主にCYP分子種によって代謝される薬剤の代謝を誘導する可能性は低い。
本剤(40mg 1日1回反復)とジゴキシン(0.5mg単回)を併用した際、ジゴキシンのCmax及びAUCは21%及び27%増加した。スボレキサント投与時のジゴキシン濃度は最初の6時間以内に増加した(外国人データ)。
注)本剤の承認用量は成人には1日20mg、高齢者には1日15mgである。
プラセボ対照試験において、日本人155例を含む原発性不眠症患者638例[成人(20~64歳)370例、高齢者(65歳以上)268例]に本剤(成人:20mg、高齢者:15mg)又はプラセボを3ヵ月間投与したとき、患者日誌を用いた主観的評価及びポリソムノグラフィを用いた客観的評価により入眠効果及び睡眠維持効果を評価した結果はそれぞれ表1及び表2のとおりであった2)。
評価項目
評価時点
投与群
評価例数
ベースライン
変化量
プラセボとの差注8)
sTSOm
第1週
プラセボ群
376
67.2±40.7
-10.1±33.9
-5.6(-10.2, -1.1)
本剤群
248
63.6±37.3
-14.5±28.4
1ヵ月時
365
65.7±39.4
-12.8±41.2
-5.4(-10.9, 0.0)
244
62.7±36.7
-16.4±31.5
3ヵ月時
339
66.6±39.9
-18.9±39.3
-5.2(-10.2, -0.3)
228
60.5±34.7
-20.4±27.5
LPS
第1日夜
290
66.2±44.1
-21.6±45.2
-9.6(-14.9, -4.3)
193
68.9±49.7
-33.4±48.0
272
66.2±44.0
-24.4±51.4
-10.3(-16.0, -4.6)
185
67.7±46.7
-36.0±45.5
251
65.7±43.9
-27.1±52.0
-8.1(-13.8, -2.3)
172
65.5±43.7
-35.2±42.4
平均値±標準偏差
sTSOm:主観的睡眠潜時(毎日の測定値の週平均)
LPS:客観的持続睡眠潜時
プラセボとの差注9)
sTSTm
315.2±65.2
15.3±42.9
13.6(6.9, 20.3)
322.4±57.3
27.2±40.8
317.7±65.3
23.4±52.0
16.3(7.9, 24.8)
322.7±57.7
38.7±50.5
316.7±64.5
42.1±56.4
10.7(1.9, 19.5)
325.4±56.7
50.3±55.2
WASO
287
115.1±45.9
-19.1±47.5
-32.5(-39.3, -25.7)
192
119.5±46.4
-54.3±44.7
113.6±45.0
-17.9±55.3
-26.4(-34.3, -18.4)
119.1±46.0
-47.0±45.4
115.3±46.0
-25.3±50.7
-16.6(-24.8, -8.3)
118.2±46.7
-42.7±50.5
sTSTm:主観的総睡眠時間(毎日の測定値の週平均)
WASO:客観的中途覚醒時間
この試験の6ヵ月間における副作用は20.9%(53/254例)に認められ、主な副作用は傾眠4.7%、頭痛3.9%、疲労2.4%であった。
健康成人28例に、本剤20mg又は40mgを就寝前投与し、翌朝(投与後9時間)に自動車走行検査を実施したとき、20mgの単回投与、40mgの単回及び8日間反復投与において、一部の被験者に運転能力に対する本剤の影響が認められた。なお、2例が40mg投与時に、1例が20mg投与時に、1例が40mg及び20mg投与時に、傾眠の発現のため自動車走行検査を中止した3)。,
軽度から中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者25例又は軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者26例に、本剤(成人:40mg、高齢者:30mg)を4日間反復投与したとき、明らかな呼吸抑制作用はみられなかった。なお、重度のCOPD及びOSA患者では検討されていない4),5)。
健康成人28例に本剤20又は40mgを就寝前単回投与したとき、40mgで翌朝の単語再生能力及び精神運動機能の低下が、20及び40mgで翌朝の身体のふらつきの増加がみられた。健康高齢者12例に本剤30mgを就寝前単回投与し、投与1.5、4及び8時間後に覚醒させたとき、1.5時間後において身体のふらつきの増加及び精神運動機能の低下がみられた。,
娯楽目的の多剤使用経験のある健康成人36例に本剤40~150mgを単回投与したとき、本剤の薬物嗜好性はプラセボより高く、ゾルピデム15及び30mgと同程度であった。
スボレキサントはオレキシン受容体に選択性が高く可逆的な拮抗薬で、ヒトオレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対する親和性(Ki値)はそれぞれ0.55及び0.35nMであった6)。スボレキサントは、覚醒を促進する神経ペプチドであるオレキシンA及びBのOX1及びOX2受容体への結合を可逆的に阻害することにより、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、睡眠を誘発すると考えられる。スボレキサントはγ-アミノ酪酸(GABA)、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、メラトニン、ヒスタミン、アセチルコリン及びオピオイド受容体に対して親和性を示さなかった(Ki>10μM)。
スボレキサントを通常の活動期にあるラット(10、30及び100mg/kg)、イヌ(1及び3mg/kg)、サル(10mg/kg)に経口投与すると、覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠及びレム睡眠時間が増加した6)。
スボレキサント(Suvorexant)
[(7R)-4-(5-Chloro-1,3-benzoxazol-2-yl)-7-methyl-1,4-diazepan-1-yl][5-methyl-2-(2H-1,2,3-triazol-2-yl)phenyl]methanone
C23H23ClN6O2
450.92
白色の粉末である。メタノールにやや溶けやすく、ヘプタンに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
光及び湿気を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
1) Sun H, et al. J Psychopharmacol. 2015;29:1159-69.
2) Herring WJ, et al. Biol Psychiatry. 2016;79:136-48.
3) Vermeeren A, et al. Sleep. 2015;38:1803-13.
4) Sun H, et al. Respir Med. 2015;109:416-26.
5) Sun H, et al. J Clin Sleep Med. 2016;12:9-17.
6) Winrow CJ, et al. J Neurogenetics. 2011;25:52-61.
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