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処方箋医薬品注)
2型糖尿病ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L-プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。
通常、成人には1日1回1錠(シタグリプチン/イプラグリフロジンとして50mg/50mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
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(1)悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
(3)患者に対し、以下の点を指導すること。
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シタグリプチンにより腸閉塞を起こすおそれがある。
イプラグリフロジンにより症状を悪化させるおそれがある。,
イプラグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある。,,
投与しないこと。イプラグリフロジンの効果が期待できず、また、これらの患者に対するシタグリプチンの最大投与量は25mg 1日1回である。,,
投与の必要性を慎重に判断すること。イプラグリフロジンの効果が十分に得られない可能性がある。,,,
シタグリプチン治療中の患者にイプラグリフロジンを併用する場合は、本剤を使用せず、イプラグリフロジンの低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。重度の肝機能障害のある患者を対象にしたイプラグリフロジンの臨床試験を実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性にはイプラグリフロジンを含む本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。イプラグリフロジンの類薬の動物実験(ラット)でヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。イプラグリフロジンの動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている1)。なお、シタグリプチンの動物実験(ラット)で1,000mg/kg/日(シタグリプチンの臨床での最大投与量100mg/日の約100倍の曝露量に相当する)経口投与により、胎児肋骨の欠損、形成不全及び波状肋骨の発現率の軽度増加が認められたとの報告がある。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)でシタグリプチンの乳汁中への移行が報告されている。また、動物実験(ラット)でイプラグリフロジンの乳汁中への移行及び出生児の体重増加抑制が報告されている1),2)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しているため、腎機能が低下していることが多く、また脱水症状(口渇等)の認知が遅れるなどのおそれがある。,,
シタグリプチンは主に腎臓から未変化体として排泄され、その排泄には能動的な尿細管分泌の関与が推察される。,,
イプラグリフロジンは主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける。
糖尿病用薬:
スルホニルウレア剤
チアゾリジン系薬剤
ビグアナイド系薬剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
速効型インスリン分泌促進薬
GLP-1受容体作動薬等
低血糖の発現に注意すること。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP-1受容体作動薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP-1受容体作動薬)との併用時には、本剤の血糖降下作用が加わることにより、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
血糖降下作用を増強する薬剤:
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
フィブラート系薬剤等
左記薬剤と本剤を併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
左記薬剤との併用により血糖降下作用が増強されるおそれがある。
血糖降下作用を減弱する薬剤:
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン等
左記薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
利尿作用を有する薬剤:
サイアザイド系利尿薬等
左記薬剤とイプラグリフロジンの併用により、利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
左記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある。
ジゴキシン
シタグリプチンとの併用によりジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告があるので、適切な観察を行うこと。
機序不明
低血糖があらわれることがある。シタグリプチンとインスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。,,,,,
AST、ALT等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。シタグリプチンの海外の自発報告においては、出血性膵炎又は壊死性膵炎も報告されている。
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある。,
口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている。,,,
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある。,
5%以上
1~5%未満
頻度不明
神経系障害
浮動性めまい、感覚鈍麻、糖尿病性ニューロパチー、体位性めまい、頭痛
血液及びリンパ系障害
貧血
眼障害
糖尿病網膜症、糖尿病網膜症の悪化、眼瞼浮腫
耳及び迷路障害
回転性めまい
心臓障害
上室性期外収縮、心室性期外収縮、動悸
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
上気道の炎症、上気道感染
感染症
膀胱炎、外陰部膣カンジダ症、鼻咽頭炎、細菌尿
代謝及び栄養障害
ケトーシス
胃腸障害
便秘
腹部不快感(胃不快感を含む)、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、悪心、下痢、鼓腸、胃ポリープ、胃炎、萎縮性胃炎、びらん性胃炎、歯周炎、胃食道逆流性疾患、口内炎、嘔吐、齲歯
肝胆道系障害
肝機能異常、脂肪肝
腎及び尿路障害
頻尿
多尿、尿管結石、腎結石症
生殖系及び乳房障害
陰部そう痒症
皮膚及び皮下組織障害
発疹注1)、湿疹注1)、冷汗、多汗症、じん麻疹注1)、皮膚血管炎、血管浮腫、そう痒症注1)、薬疹注1)
筋骨格系及び結合組織障害
関節痛、筋肉痛、四肢痛、背部痛、RS3PE症候群、筋痙縮
全身障害及び投与局所様態
口渇
空腹、浮腫、倦怠感、体重減少、顔面浮腫、脱力感
血管障害
高血圧
臨床検査
心電図T波振幅減少、体重増加、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、白血球数増加、ALT増加、AST増加、γ-GTP増加、血中ビリルビン増加、血中LDH増加、CK増加、血中コレステロール増加、血中尿酸増加、血中尿素増加、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖減少、低比重リポ蛋白増加、血中トリグリセリド増加、尿中蛋白陽性、尿中β2ミクログロブリン増加、尿中β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、血中ケトン体増加、尿中α1ミクログロブリン増加、尿量増加
イプラグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならない。
血液透析によるシタグリプチンの除去はわずかである。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男性(40例)に本剤1錠又は同用量のシタグリプチン(50mg 1錠)及びイプラグリフロジン(50mg 1錠)の単剤併用を無作為化クロスオーバー法により空腹時単回経口投与した。本剤又は併用でシタグリプチン50mg及びイプラグリフロジン50mg投与時のシタグリプチン及びイプラグリフロジンの血漿中薬物濃度推移及び薬物動態パラメータは、それぞれ図及び表1のとおりであった。本剤又は併用で同用量のシタグリプチン及びイプラグリフロジンの単剤を投与したとき、生物学的同等性が認められた。
シタグリプチン
イプラグリフロジン
本剤
AUC0-∞
3.88±0.50µM・hr
4360±820ng・hr/mL
Cmax
382±103nM
723±188ng/mL
Tmax
2.00(1.00, 6.00)hr
1.75(0.50, 4.00)hr
t1/2
10.1±1.41hr
13.1±3.22hr
単剤併用
3.93±0.56µM・hr
4400±866ng・hr/mL
393±112nM
709±195ng/mL
3.00(1.00, 6.00)hr
2.00(0.50, 4.00)hr
10.4±1.41hr
13.3±2.96hr
平均値±標準偏差、n=40
Tmax:中央値(最小値, 最大値)
健康成人男女(12例)を対象に、シタグリプチン100mg単剤の空腹時2時間持続静脈内投与と空腹時単回経口投与を比較したときの絶対バイオアベイラビリティは約87%であった4)(外国人データ)。
健康成人男女(14例)を対象に、イプラグリフロジン25mg単剤の空腹時1時間持続静脈内投与と100mg単剤の空腹時単回経口投与を比較したときの絶対バイオアベイラビリティは90.2%であった5)(外国人データ)。
健康成人男性(12例)に本剤を空腹時又は高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、シタグリプチンの空腹時投与に対する食後投与のAUC0-t及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は0.98(0.95, 1.02)及び1.04(0.88, 1.23)、イプラグリフロジンの空腹時投与に対する食後投与のAUC0-t及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は1.02(0.97, 1.08)及び0.96(0.70, 1.31)であった。
シタグリプチンの血漿蛋白結合率は38%であった(in vitro試験)。
イプラグリフロジンの血漿蛋白結合率は94.6~96.5%であった。主要な結合蛋白質はアルブミンであった6),7)(in vitro試験)。
軽度(クレアチニンクリアランス[CrCL]:50~80mL/min/1.73m2、6例)、中等度(CrCL:30~50mL/min/1.73m2、6例)及び重度(CrCL:<30mL/min/1.73m2、6例)の腎機能障害患者、血液透析が必要な末期腎不全患者(6例)にシタグリプチン50mg単剤を空腹時単回経口投与したときのAUC0-∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)は、正常腎機能を有する健康成人(CrCL:>80mL/min/1.73m2、82例)に対して、それぞれ1.61(1.43, 1.81)、2.26(2.02, 2.53)、3.77(3.37, 4.22)、4.50(4.03, 5.03)であり、腎機能障害の程度に応じて上昇した。Cmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、正常腎機能を有する健康成人(82例)に対して、それぞれ1.35(1.15, 1.58)、1.43(1.23, 1.67)、1.75(1.51, 2.03)、1.42(1.22, 1.65)であった。血液透析が必要な末期腎不全患者では、投与後4時間から3~4時間の血液透析により、透析液中に投与量の13.5%が除去された19)(外国人データ)。なお、腎機能障害患者を対象とした反復投与による薬物動態試験は実施されていない。,,,,
軽度(eGFR:60~90mL/min/1.73m2、9例)及び中等度(eGFR:30~60mL/min/1.73m2、8例)の腎機能障害を有する2型糖尿病患者にイプラグリフロジン50mg単剤を食前単回経口投与したときのAUC0-∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)は、正常腎機能患者(8例)に対して、それぞれ0.94(0.69, 1.26)及び1.21(0.89, 1.65)であった。Cmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、正常腎機能患者(8例)に対して、それぞれ1.12(0.83, 1.52)及び1.17(0.85, 1.60)であった。1日あたりの尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量は、正常腎機能患者で約71g、軽度腎機能障害患者で約61g、中等度腎機能障害患者で約38gであり、腎機能障害患者で低かった20)。また、イプラグリフロジン100mg単剤を2型糖尿病を有する重度腎機能障害患者(8例)に空腹時単回経口投与したときのAUC0-∞及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、正常腎機能患者(8例)に対して、それぞれ1.47(1.12, 1.92)及び1.05(0.85, 1.31)であった。20時間あたりの尿中グルコース排泄量は、正常腎機能患者で約49g(ベースライン値:約1g)であったのに対し、重度腎機能障害患者では約12g(ベースライン値:約2g)であった20)(外国人データ)。,,,
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B、スコア7~9、10例)にシタグリプチン100mg単剤を空腹時単回経口投与したとき、健康成人(10例)に対するAUC0-∞及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.21(1.01, 1.46)及び1.13(0.91, 1.42)であった21)(外国人データ)。重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C、スコア9超)での臨床経験はない。
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B、スコア7~9、8例)にイプラグリフロジン100mg単剤を空腹時単回経口投与したとき、健康成人(8例)に対するAUC0-∞及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.25(0.94, 1.66)及び1.27(0.93, 1.73)であった22)(外国人データ)。重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C、スコア9超)での臨床経験はない。
健康な高齢者(65~80歳、16例)及び非高齢者(18~45歳、12例)男女にシタグリプチン50mg単剤を空腹時単回経口投与したとき、非高齢者に対する高齢者のAUC0-∞及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.31(1.19, 1.43)及び1.23(1.04, 1.46)であった。腎クリアランスは高齢者では非高齢者に比べて31%低下していた(外国人データ)。
健康な高齢者(65歳以上、25例)及び非高齢者(18~45歳、24例)男女にイプラグリフロジン100mg単剤を食前反復経口投与したとき、非高齢男性に対する高齢男性のAUC0-24hr及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.21(1.06, 1.38)及び0.99(0.84, 1.16)であった。一方、非高齢女性に対する高齢女性のAUC0-24hr及びCmaxの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.45(1.27, 1.67)及び1.25(1.06, 1.49)であった20)(外国人データ)。
シタグリプチンはジゴキシンの血漿中濃度をわずかに増加させた(外国人データ)。
併用薬
併用薬の用量及び投与期間
シタグリプチンの用量及び投与期間
併用薬の薬物動態パラメータ幾何平均値の比(90%信頼区間)併用/単独
例数
AUC0-24hr
0.25mg 1日1回10日間
100mg 1日1回10日間
12
1.11(1.01, 1.21)
1.18(1.05, 1.33)
シタグリプチンは以下の薬物の薬物動態に明らかな影響を及ぼさなかった(外国人データ)。イプラグリフロジン23)、メトホルミン24)、ロシグリタゾン25)、グリベンクラミド26)、シンバスタチン27)、ワルファリン28)及び経口避妊薬(ノルエチステロン/エチニルエストラジオール)29)
以下の薬物はシタグリプチンの薬物動態に明らかな影響を及ぼさなかった(外国人データ)。イプラグリフロジン23)、ボグリボース注2)、シクロスポリン30)、メトホルミン24)
イプラグリフロジンは以下の薬物の薬物動態に明らかな影響を及ぼさなかった(外国人データ)。シタグリプチン23)、メトホルミン31)、ミグリトール注2)20)、ピオグリタゾン23)、グリメピリド23)、ミチグリニド注2)20)、フロセミド20)
以下の薬物はイプラグリフロジンの薬物動態に明らかな影響を及ぼさなかった(外国人データ)。シタグリプチン23)、ミグリトール注2)20)、ピオグリタゾン23)、グリメピリド23)、ミチグリニド注2)20)
(注)本剤の承認された1回用量はシタグリプチン/イプラグリフロジン50mg/50mgである。
食事・運動療法に加えイプラグリフロジン50mg 1日1回単剤治療で十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者を対象に、シタグリプチン50mg又はプラセボを経口で1日1回24週間追加投与(朝食前又は朝食後)した32)。結果は表1のとおりであった。副作用発現割合は、シタグリプチン追加投与群で1.4%(1/70例)プラセボ追加投与群で7.0%(5/71例)であった。シタグリプチン追加投与群で発現した副作用は湿疹1.4%(1/70例)、プラセボ追加投与群で発現した副作用は口渇、膀胱炎、尿路感染、外陰部膣カンジダ症、尿中ケトン体陽性、低血糖及び頻尿が各1.4%(1/71例)であった。
投与前(標準偏差)
投与前からの変化量(95%信頼区間)
群間差(95%信頼区間)
HbA1c値(%)
プラセボ追加投与
71
8.1(0.8)
0.1(-0.0, 0.3)
-
シタグリプチン追加投与
70
8.0(0.8)
-0.7(-0.8, -0.5)
-0.8(-1.0, -0.6)注3)
空腹時血糖値(mg/dL)
151.2(27.0)
-0.6(-5.0, 3.8)
148.8(25.4)
-11.8(-16.3, -7.4)
-11.2(-17.2, -5.2)注3)
食後2時間血糖値(mg/dL)
215.3(47.0)
3.4(-5.5, 12.3)
211.9(49.8)
-39.0(-48.1, -29.9)
-42.5(-53.7, -31.2)注3)
投与前:平均値、投与前からの変化量及び群間差:最小二乗平均値
食事・運動療法に加えシタグリプチン50mg 1日1回単剤治療で十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者を対象に、イプラグリフロジン50mg又はプラセボを経口で1日1回24週間追加投与(朝食前又は朝食後)した33)。結果は表2のとおりであった。副作用発現割合は、イプラグリフロジン追加投与群で11.0%(8/73例)、プラセボ追加投与群で5.7%(4/70例)であった。イプラグリフロジン追加投与群で発現した副作用は、便秘及び頻尿が2.7%(2/73例)、血圧低下、体重減少、脱水、筋痙縮、頚動脈狭窄、脳梗塞、頭痛及び陰部そう痒症が各1.4%(1/73例)、プラセボ追加投与群で発現した副作用は、便秘2.9%(2/70例)、筋痙縮及び湿疹が各1.4%(1/70例)であった。
8.0(0.6)
-0.1(-0.2, 0.1)
イプラグリフロジン追加投与
73
-0.8(-1.0, -0.7)
-0.8(-1.0, -0.6)注4)
163.0(26.2)
-2.1(-7.6, 3.3)
158.0(33.2)
-30.3(-35.5, -25.0)
-28.1(-34.8, -21.5)注4)
231.5(48.9)
-3.8(-13.3, 5.7)
225.3(59.9)
-52.4(-61.5, -43.2)
-48.5(-59.6, -37.5)注4)
食事・運動療法に加えシタグリプチン50mg 1日1回単剤治療で十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者(77例)を対象に、イプラグリフロジン50mgを経口で1日1回52週間追加投与(朝食前又は朝食後)した33)。投与52週時の投与前からのHbA1c値変化量の平均値(95%信頼区間)は-0.8%(-1.0, -0.6)であった。副作用発現割合は、24.7%(19/77例)であった。主な副作用は頻尿14.3%(11/77例)、口渇7.8%(6/77例)及び便秘5.2%(4/77例)であった。低血糖の副作用は認められなかった。
インクレチンであるglucagon-like peptide 1(GLP-1)及びglucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)は、グルコース恒常性の維持にかかわるホルモンである。シタグリプチンは、DPP-4酵素を阻害し、インクレチンのDPP-4による分解を抑制する。活性型インクレチン濃度を上昇させることにより、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用並びにグルカゴン濃度低下作用を増強し血糖コントロールを改善する34),35),36)。
Na+/グルコース共輸送担体(SGLT:Na+-glucose cotransporter)は、Na+の濃度勾配を駆動力としてグルコースを細胞内へ能動輸送するトランスポーターである。ヒトにおけるSGLT1とSGLT2の機能について、消化管におけるグルコース吸収はSGLT1が、腎近位尿細管におけるグルコース再吸収はSGLT2が、それぞれ主たる役割を担っていることが明らかになっている37)。イプラグリフロジンは腎近位尿細管に発現するSGLT2を阻害し、血液中の過剰なグルコースを体外に排出することで血糖降下作用を発揮する。
シタグリプチンは、ヒトDPP-4(組換え体、血清由来、CACO-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する38)(in vitro試験)。
イプラグリフロジンは、ヒトSGLT2に対して選択的な阻害作用を示し、その50%阻害濃度(IC50値)は、7.38nmol/Lであった。SGLT1に対するIC50値は、1880nmol/Lであった40)。
イプラグリフロジンは、正常マウス、ニコチンアミド/ストレプトゾトシン誘発軽症2型糖尿病マウス及び2型糖尿病KK-Ayマウスにおいて単回経口投与により投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた41)。また、イプラグリフロジンは、それらのマウスにおいて単回経口投与により液体栄養剤負荷後の血糖値上昇を抑制した42)。更に、イプラグリフロジンは2型糖尿病KK-Ayマウス並びにdb/dbマウスにおいて、1日1回28日間の反復経口投与によりHbA1c低下作用を示した43),44)。2型糖尿病患者を対象に、イプラグリフロジン50mg、100mg又はプラセボを1日1回14日間投与したところ、イプラグリフロジン投与群において最終投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量が増加し、また、空腹時血糖値は減少した45)。
シタグリプチンリン酸塩水和物(Sitagliptin Phosphate Hydrate)
(3R)-3-Amino-1-[3-(trifluoromethyl)-5,6-dihydro[1,2,4]triazolo[4,3-α]pyrazin-7(8H)-yl]-4-(2,4,5-trifluorophenyl)butan-1-one monophosphate monohydrate
C16H15F6N5O・H3PO4・H2O
523.32
本品は白色の粉末である。本品は水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、アセトニトリル又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
イプラグリフロジン L-プロリン(Ipragliflozin L-Proline)
(1S)-1,5-Anhydro-1-C-{3-[(1-benzothiophen-2-yl)methyl]-4-fluorophenyl}-D-glucitol-(2S)-pyrrolidine-2-carboxylic acid(1:1)
C21H21FO5S・C5H9NO2
519.58
イプラグリフロジンL-プロリンは白色~微帯褐白色の結晶又は粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
1) アステラス社内報告書(薬物動態試験)[DIR130167](2014年1月17日承認、CTD2.6.4.5)
2) アステラス社内報告書(生殖発生毒性試験)[DIR130171](2014年1月17日承認、CTD2.6.6.6)
3) アステラス社内報告書(がん原性試験)[DIR130170](2014年1月17日承認、CTD2.6.6.5)
4) Bergman AJ, et al. Biopharm Drug Dispos. 2007;28:315-322.
5) アステラス社内報告書(健康成人・絶対バイオアベイラビリティ試験)[DIR130185](2014年1月17日承認、CTD2.7.6.2)
6) アステラス社内報告書(血漿蛋白結合率・薬物動態)[DIR130172](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
7) アステラス社内報告書(血漿中主要結合蛋白の推定・薬物動態)[DIR130173](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
8) Vincent SH, et al. Drug Metab Dispos. 2007;35:533-538.
9) アステラス社内報告書(代謝物の検索及び同定・薬物動態)[DIR130174](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
10) アステラス社内報告書(UGT分子種同定・薬物動態)[DIR130175](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
11) アステラス社内報告書(CYP阻害作用・薬物動態)[DIR130176](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
12) アステラス社内報告書(UGT阻害作用・薬物動態)[DIR130177](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
13) アステラス社内報告書(CYP誘導作用・薬物動態)[DIR130178](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
14) Herman GA, et al. Br J Clin Pharmacol. 2011;71:429-436.
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17) アステラス社内報告書(健康成人・マスバランス試験)[DIR130187](2014年1月17日承認、CTD2.7.6.6)
18) アステラス社内報告書(P-gp基質性・薬物動態)[DIR130212](2014年1月17日承認、CTD2.7.2.2)
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42) アステラス社内報告書(液体栄養剤負荷後高血糖の改善作用・薬理試験)[DIR130162](2014年1月17日承認、CTD2.6.2.2)
43) アステラス社内報告書(KK-Ayマウス反復投与試験・薬理試験)[DIR130163](2014年1月17日承認、CTD2.6.2.2)
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