当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
皮膚T細胞性リンパ腫
通常、成人にはボリノスタットとして1日1回400mgを食後経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
NCI CTCAE ver. 3.0 Grade 3又は4の毒性が認められた場合、Grade 1以下に回復するまで、最大2週間休薬する。休薬に至った毒性がGrade 1以下に回復した後減量して再開する。ただし、Grade 3の貧血及び血小板減少症は、休薬は必須ではない。
投与量の減量は、下記に示した方法に従って実施する。1回目の用量変更:1日1回300mg2回目の用量変更:1日1回300mg 5日間投与後2日間休薬
休薬に至った毒性が2週間以上Grade 1以下まで回復しない場合、又は2回目の用量変更を実施したにもかかわらず、再度、休薬を必要とする毒性が認められた場合、投与を中止する。
肺塞栓症、深部静脈血栓症が発現、悪化するおそれがある。
糖尿病が悪化するおそれがある。,
本剤の血清中濃度が上昇するおそれがある。
投与しないこと。副作用が強くあらわれるおそれがある。,,
,,
妊娠する可能性のある女性には本剤投与中は妊娠しないよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合には、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。動物実験では、ラット受胎能試験において本剤投与に関連した黄体数の増加が報告され、ラットの受胎能試験及び胚・胎児発生に関する試験において胚致死作用が報告されている。また、ウサギ及びラットの胚・胎児発生に関する試験及びトキシコキネティクス試験において、本剤の胎盤通過、生存胎児の平均体重の減少、骨化遅延及び骨格変異が報告されている1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
クマリン系抗凝血剤:
プロトロンビン時間(PT)延長及びINR上昇があらわれることがある。PT及びINRを注意深くモニターすること。
機序不明
バルプロ酸
消化管出血、血小板減少、貧血等の副作用が増強することがある。
,
10%以上
10%未満
頻度不明注1)
感染症
レンサ球菌性菌血症
憩室炎
血液
好中球減少症、白血球減少症、リンパ球数減少
溶血
精神・神経系
浮動性めまい、頭痛、錯感覚、嗜眠、失神
虚血性脳卒中
循環器
高血圧、動悸
低血圧、血管炎
呼吸器
呼吸困難、咳嗽
喀血
消化器
下痢、悪心、口内乾燥、嘔吐、便秘
腹痛、上腹部痛、胃食道逆流性疾患、胃腸出血
嚥下障害
肝胆道系
ALT増加、AST増加
肝虚血、高ビリルビン血症
皮膚
脱毛症
皮膚剥脱、多汗症
泌尿器
血中クレアチニン増加
蛋白尿、血尿
尿閉
電解質
高マグネシウム血症、低カリウム血症
低ナトリウム血症
その他
筋痙縮、味覚異常、疲労、悪寒、食欲不振、体重減少
味覚減退、発熱、胸痛、末梢性浮腫、冷感、血管神経性浮腫
腫瘍出血、霧視、難聴、無力症、高トリグリセリド血症、倦怠感
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
カプセルを開けたり、つぶしたりしないこと。カプセル内の粉末を皮膚又は粘膜に直接接触させないこと。直接接触した場合には、完全に洗い流すこと。
本剤のがん原性試験は実施していない。本剤は、細菌を用いた復帰突然変異試験(Ames試験)においてin vitroで変異原性を示し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に対してin vitroで染色体異常を誘発した。また、マウスへの本剤の投与により小核を有する赤血球の発現数を増加させた(マウス小核試験)2)。
固形がん患者におけるボリノスタット100~500mg食後単回経口投与注3)後の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)及び最高血清中濃度(Cmax)はおおむね用量に比例して増加した(図及び表1)3)。
用量(mg)
例数
AUC0-∞(μM・hr)
Cmax(μM)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
100
3
0.98注2)
0.21±0.14
4.00(2.98, 10.00)
1.62注2)
200
6
2.22±0.89
0.59±0.22
3.00(2.00, 4.00)
1.36±0.28
400
4.30±0.37
0.93±0.12
3.00(1.50, 6.08)
2.01±1.47
500
5.93±1.78
1.35±0.39
3.49(1.00, 4.03)
1.60±0.66
平均±標準偏差、Tmax:中央値(最小値, 最大値)
CTCL患者におけるボリノスタット400mg 28日間1日1回食後反復経口投与後のAUC0-∞、Cmax、Tmax及びt1/2(平均±標準偏差、Tmaxは中央値[範囲])はそれぞれ5.56±1.46μM・hr、1.17±0.37μM、3.7[2.9-4.3]hr及び2.30±1.10hrであり、初回投与時と比べ、これらパラメータに顕著な変化はみられなかった。AUCに基づく累積係数は1.18であった4)。
固形がん患者におけるボリノスタット400mg食後(高脂肪食)単回経口投与後のAUC0-∞及びCmaxは空腹時単回経口投与後のそれぞれ1.38倍及び0.91倍であった。摂食によりTmaxは1.5時間から4時間に遅延したが、t1/2は変化しなかった5)(外国人データ)。
1.9~190μMの濃度範囲において、ボリノスタットのヒト血漿蛋白結合率は68~76%であった6)(In vitro)。
固形がん患者におけるボリノスタット400mg反復経口投与後(定常状態)24時間の未変化体及び代謝物であるO-グルクロン酸抱合体及び4-アニリノ-4-オキソブタン酸注4)の尿中排泄率はそれぞれ投与量の1%未満、23%及び57%であった4)。
肝機能注5)の異なる固形がん患者に本剤400mgを経口単回投与後の血清中薬物動態パラメータは、表2のとおりであった。なお、これらの患者間で統計的に有意な差はなかった9)(外国人データ)。,,,,
肝機能
n
CLapp(L/min)
正常
15
5.1±1.9
1.4±0.5
1.4±0.8
2.5±1.2
6.4±5.1
軽度
7.7±3.4
2.2±1.1
2.3±2.0
2.0±1.4
4.0±1.8
中等度
7.5±2.4
1.7±0.6
2.7±1.9
3.5±2.8
3.8±1.6
重度
9
8.3±5.1
1.8±0.7
2.6±2.2
2.9±1.5
4.2±2.3
平均±標準偏差、CLapp:みかけの血清クリアランス
CTCL患者を対象とした非盲検、非対照試験10)において、本剤1日1回400mgが投与されたCTCL患者の有効性は表1のとおりであった。
74例
治験実施計画書前治療規定数注6)
2種類以上
対象病期(Stage)
StageⅡB以上注7)
奏効率注8)
全体
29.5% (18/61)
25.8% (8/31)
33.3% (10/30)
CTCL患者を対象とした非盲検、非対照試験11)において、本剤1日1回400mgが投与されたCTCL患者の有効性は表2のとおりであった。
10例
治験実施計画書前治療規定数注9)
1種類以上注10)
StageⅡB以上
奏効率注11)
10% (1/10)注12)
NA (0/0)
CTCL患者10例中10例に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少症が8例、悪心が6例、倦怠感が5例、嘔吐、高クレアチニン血症、食欲不振及び味覚異常が各4例、高ビリルビン血症、高血糖、高マグネシウム血症、高トリグリセリド血症、白血球減少症、リンパ球減少症及び体重減少が各3例、下痢、頭痛、高血圧、発熱、貧血、疲労及び腎機能障害が各2例であった。
CTCL又は末梢T細胞性リンパ腫患者を対象とした非盲検、非対照試験において、本剤1日1回400mgが投与された患者の奏効率(評価方法:Physician's Global Assessment;PGA)は30.8%(4/13例)であった。なお、005試験の対象病期はStageⅠA以上であったが、実際に組み入れられた患者はStageⅠB以上であった。また各患者の全身投与による前治療は1種類以上であった12)。
肝機能注13)の異なる固形がん患者57例(肝機能正常者16例、軽度肝障害患者15例、中等度肝障害患者15例、重度肝障害患者11例)に本剤を1日1回反復経口投与したときの安全性について評価した。400mgコホートの軽度肝障害患者2/7例で用量制限毒性(Grade 3の脱水及び下痢1例、Grade 3の脱水及びGrade 4の血小板減少症1例)が認められ、軽度の肝障害患者での最大耐用量は300mgであった。300mgコホートの中等度肝障害患者2/4例で用量制限毒性(Grade 4の血小板減少症2例)が認められ、中等度の肝障害患者での最大耐用量は200mgであった。200mgコホートの重度肝障害患者2/3例で用量制限毒性(Grade 4の血小板減少症2例)が認められ、重度の肝障害患者での最大耐用量は100mgであった9)。,,,,
ボリノスタットは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)であるHDAC1、HDAC2及びHDAC3(クラスⅠ)、並びにHDAC6(クラスⅡb)の酵素活性を阻害する13)。HDACの阻害によりヒストン等のアセチル化が増加すると、クロマチン構造の弛緩等を介して、がん抑制遺伝子を含む遺伝子発現が増加し、分化やアポトーシスが誘導され、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない14)。
ボリノスタット(Vorinostat)
N-Hydroxy-N'-phenyloctanediamide
C14H20N2O3
264.32
白色~淡橙色の粉末である。1-メチル-2-ピロリドンにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
28カプセル[14カプセル(PTP)×2]
1) 社内資料:生殖発生毒性試験(2011年7月1日承認、CTD 2.6.6.6)
2) 社内資料:遺伝毒性試験(2011年7月1日承認、CTD 2.6.6.4)
3) Fujiwara Y, et al. Cancer Sci. 2009;100:1728-34.
4) 社内資料:国内第Ⅰ相試験(089試験):薬物動態成績(2011年7月1日承認、CTD 2.7.2.2)
5) Rubin EH, et al. Clin Cancer Res. 2006;12:7039-45.
6) 社内資料:In vitroにおける血漿蛋白結合(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.4)
7) 社内資料:国内第Ⅰ相試験(029試験):薬物動態成績(2011年7月1日承認、CTD 2.7.2.2)
8) 社内資料:ヒト試料によるin vitro代謝(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.5)
9) Ramalingam SS, et al. J Clin Oncol. 2010;28:4507-12.
10) Olsen EA, et al. J Clin Oncol. 2007;25:3109-15.
11) 社内資料:国内第Ⅰ相試験(089試験):臨床成績(2011年7月1日承認、CTD 2.7.6.2)
12) Duvic M, et al. Blood. 2007;109:31-9.
13) 社内資料:ヒストン脱アセチル化酵素阻害作用(2011年7月1日承認、CTD 2.6.2.2)
14) 社内資料:ボリノスタットの作用機序(2011年7月1日承認、CTD 2.6.2.2)
15) 社内資料:In vitro増殖阻害作用(2011年7月1日承認、CTD 2.6.2.2)
16) 社内資料:In vivo有効性試験
大鵬薬品工業株式会社 医薬品情報課
〒101-8444 東京都千代田区神田錦町1-27
TEL 0120-20-4527
MSD株式会社
東京都千代田区九段北1-13-12
大鵬薬品工業株式会社
東京都千代田区神田錦町1-27
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.