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処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回6mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。
通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回4mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。
通常、ダプトマイシンとして以下の用法及び用量に従い投与する。
年齢
用法及び用量
12歳以上18歳未満
1日1回7mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注
7歳以上12歳未満
1日1回9mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注
1歳以上7歳未満
1日1回12mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注
1日1回5mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注
2歳以上7歳未満
1日1回9mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注
1歳以上2歳未満
1日1回10mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注
クレアチニンクリアランス(CLcr)(mL/min)
効能・効果(成人)
敗血症、感染性心内膜炎
深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
≥30
1回6mg/kgを24時間ごと
1回4mg/kgを24時間ごと
<30(血液透析注1)又はCAPDを受けている患者を含む)
1回6mg/kgを48時間ごと
1回4mg/kgを48時間ごと
CK値を投与期間中は通常(週1回以上)より更に頻回にモニタリングすること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットにおいて、ダプトマイシンは胎盤を通過することが認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へダプトマイシンが低濃度(0.045μg/mL、乳汁中濃度/血漿中濃度比:0.12%)で移行することが報告された1)。
1歳未満の小児患者への投与は推奨されない。1歳未満の小児患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。1歳未満の小児に相当する日齢の新生児イヌを用いた試験では、1歳未満の小児において予想される血中濃度の範囲内で回復性のある筋攣縮及び筋硬直がみられた。
一般的に生理機能が低下している。CLcr≥30mL/minの高齢者では用量調節は必要ない。
HMG-CoA還元酵素阻害剤
本剤及びHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用した場合CKが上昇するおそれがあることから、本剤投与中はこれらの薬剤の休薬を考慮すること。これらの薬剤を前治療又は併用した患者では、CK値を頻回にモニタリングすること。
機序不明
筋肉痛、脱力感、CK値上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤投与2~4週後、発熱、低酸素血症性呼吸困難、びまん性肺浸潤を伴う好酸球性肺炎が報告されている。これらの症状や徴候があらわれた場合には、投与を中止し、全身ステロイド療法等の適切な処置を行うこと。
本剤投与中は末梢性ニューロパチーの徴候及び症状に注意すること。
腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。
偽膜性大腸炎が疑われたり、確定診断がなされた場合には、本剤の投与中止又は適切な処置を考慮すること。偽膜性大腸炎は、ダプトマイシンを含むほぼすべての抗菌薬の使用により報告されている。
1~10%
頻度不明
感染症及び寄生虫症
尿路感染、真菌感染、カンジダ感染、真菌血症
血液及びリンパ系障害
貧血、血小板増加症、好酸球増加症
代謝及び栄養障害
高血糖、電解質失調、食欲減退
精神障害
不安、不眠症
神経系障害
浮動性めまい、頭痛、錯感覚、振戦、味覚異常
耳及び迷路障害
回転性めまい
心臓障害
上室性不整脈
血管障害
高血圧、低血圧、潮紅
胃腸障害
下痢
消化器痛/腹痛、嘔吐、鼓腸/腹部膨満感/腹部膨満、便秘、悪心、消化不良
肝胆道系障害
黄疸
皮膚及び皮下組織障害
湿疹
そう痒症、発疹、蕁麻疹、小水疱水疱性皮疹(粘膜性又は非粘膜性)
筋骨格系及び結合組織障害
四肢痛、筋力低下、筋肉痛、関節痛
腎及び尿路障害
腎障害
生殖系及び乳房障害
腟炎
全身障害及び投与局所様態
発熱
無力症、注射部位反応、悪寒、疲労、血管性浮腫
臨床検査
肝機能検査異常(AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇)、血小板数減少、CK上昇、好酸球数増加
血中クレアチニン上昇、INR増加、LDH上昇、プロトロンビン時間延長、血中ミオグロビン上昇、尿中ミオグロビン上昇
本剤は、血液透析(4時間で投与量の約15%除去)又は腹膜透析(48時間で約11%除去)により体内から緩やかに除去される。
不溶物がないことを目視で確認すること。
小児には、年齢に応じて30分又は60分かけて点滴静注し、静脈内注射しないこと。
ラット及びイヌにおいて、ダプトマイシン投与により骨格筋に影響がみられたが、心筋及び平滑筋に変化は認められなかった。この変化は、病理組織学的に骨格筋の変性又は再生像を呈し、CKの上昇を伴っていた。線維化及び横紋筋融解症は認められなかった。病理組織学的変化を含む骨格筋への影響はすべて、ラットにおいて休薬後4週以内及びイヌにおいて休薬後11週以内に完全に回復した。ラット及びイヌにおいて、末梢神経に変化(軸索の変性像を呈し、機能的な変化を伴うこともあった)がみられ、この変化はミオパチーよりも高用量で認められた。病理組織学的及び機能的な影響はイヌで評価したところ、実質的に休薬後6ヵ月以内に回復した。7週齢の幼若イヌ(神経及び筋等の発達段階が乳幼児に相当)にダプトマイシンを28日間静脈内投与した試験において、成熟イヌと比較して低い血漿中曝露量(50mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/2)から末梢神経の変性がみられた。また、成熟イヌと同様の所見に加えて脊髄の変性がみられた。これらの所見は28日間の休薬後に回復傾向が認められた。4日齢新生児イヌにダプトマイシンを28日間(生後4~31日)静脈内投与した試験において、幼若イヌと比較して低い血漿中曝露量(25mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/3)から筋攣縮及び筋硬直がみられた。これらの所見は28日間の休薬後には回復した。なお、25mg/kg/日投与時の血中濃度は、ヒトの乳児において予想される血中濃度の範囲内であった。
健康成人にダプトマイシン2、4、6、9及び12mg/kgを30分間単回点滴静注した際、ダプトマイシンの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)及び最高血漿中濃度(Cmax)は、ほぼ用量に比例して増加した。終末相消失半減期(t1/2)、血漿クリアランス(CL)及び分布容積(Vd)は、用量によらずほぼ一定であった(下図及び表1)。
用量(mg/kg)
AUC0-∞注2)(μg・hr/mL)
Cmax注2)(μg/mL)
t1/2注3)(hr)
Vd注4)(L/kg)
CL注4)(mL/hr/kg)
2
202.8(188.0, 218.9)
26.4(23.8, 29.3)
7.4(0.7)
0.1087(0.0103)
10.07(0.58)
4
457.4(423.4, 494.1)
58.0(52.2, 64.5)
9.1(0.9)
0.1175(0.0156)
8.90(1.26)
6
728.1(674.7, 785.6)
83.8(75.5, 93.1)
10.2(1.1)
0.1212(0.0098)
8.20(0.74)
9
998.8(924.6, 1079.0)
113.5(102.0, 126.2)
9.7(1.0)
0.1262(0.0146)
8.92(0.73)
12
1434.8(1329.7, 1548.3)
155.4(140.0, 172.5)
9.4(0.9)
0.1147(0.0067)
8.47(0.73)
n=6
健康成人にダプトマイシン6mg/kgをクロスオーバーで10秒間静脈内注射又は30分間点滴静注した際、静脈内注射のCmaxは、30分間点滴静注に比べ約1.5倍高かったが、AUC、C24hr及びt1/2等の他の薬物動態パラメータは同程度であった(表2)。
AUC0-∞注5)(μg・hr/mL)
Cmax注5)(μg/mL)
C24hr注5)(μg/mL)
t1/2注6)(hr)
Vd注7)(L/kg)
CL注7)(mL/hr/kg)
静脈内注射
700(671, 729)
133(122, 143)
8.14(7.51, 8.83)
9.22(0.586)
0.115(0.0103)
8.60(0.690)
30分間点滴静注
690(660, 721)
88.2(83.6, 93.1)
7.76(7.23, 8.32)
9.25(0.630)
0.117(0.0115)
8.72(0.758)
静脈内注射は10秒間投与で実施した。n=16
健康成人にダプトマイシン4、6及び10mg/kgを1日1回7日間反復点滴静注した際、ダプトマイシンの薬物動態はおおむね線形(用量比例)で、時間(投与日数)非依存的であった。ダプトマイシンの血漿中濃度は、おおむね3~5日目で定常状態に達した。反復投与による蓄積性はほとんど認められず、4、6及び10mg/kg投与によるAUC0-24hr及びCmaxの累積係数(7日目/1日目)はそれぞれ1.15~1.17及び1.03~1.08であった。
グラム陽性球菌による皮膚・軟部組織感染症の1~17歳の小児患者を対象に、ダプトマイシン5~10mg/kgを1日1回反復点滴静注、及びグラム陽性球菌による菌血症の1~17歳の小児患者を対象に、ダプトマイシン7~12mg/kgを1日1回反復点滴静注した後の薬物動態を評価した。ダプトマイシンの薬物動態パラメータは表3及び表4の通りであった2)。
薬物動態パラメータ
点滴時間(min)
AUC0-24hr(μg・hr/mL)
Cmax(μg/mL)
t1/2(hr)
Vss(mL)
CLss/wt(mL/hr/kg)
12歳から17歳(N=3)
5
30
316(18.2)
49.3(1.33)
5.71(0.942)
6410(1090)
15.8(0.917)
7歳から11歳(N=5)
7
409(143)
64.4(15.1)
5.07(1.09)
3930(2030)
19.4(8.27)
2歳から6歳(N=3)
60
431(53.6)
80.3(4.48)
3.87(0.514)
1750(486)
21.1(2.69)
1歳から2歳未満(N=3)
10
574(99.1)
91.7(6.66)
4.94(0.460)
1150(299)
17.8(2.86)
算術平均(標準偏差)
12歳から17歳(N=1)
422
94.0
3.98
5110
16.6
7歳から11歳(N=1)
599
73.1
5.85
4010
15.0
1歳から2歳未満(N=2)
502注8)
97.7, 110
4.46注8)
1920注8)
23.9注8)
グラム陽性菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症の1~17歳の小児患者を対象に、ダプトマイシン5~10mg/kgを1日1回反復点滴静注した後の薬物動態を評価した。ダプトマイシンの薬物動態パラメータは表5の通りであった3)(外国人データ)。
12歳から17歳(N=6)
434(67.9)
76.4(6.75)
7.1(0.9)
8200(3250)
11.8(2.15)
7歳から11歳(N=2)注9)
543
92.4
6.8
4470
13.2
2歳から6歳(N=7)
452(93.1)
90.3(14.0)
4.6(0.8)
2750(832)
20.8(4.29)
1歳から2歳未満(N=27)
462(138)
81.6(20.7)
4.8(0.6)
1670(446)
23.1(5.43)
黄色ブドウ球菌による菌血症の2~17歳の小児患者を対象に、ダプトマイシン7~12mg/kgを1日1回反復点滴静注した後の薬物動態を評価した。ダプトマイシンの薬物動態パラメータは表6の通りであった4)(外国人データ)。
12歳から17歳(N=13)
656(334)
104(35.5)
7.5(2.3)
6420(1980)
12.4(3.9)
7歳から11歳(N=19)
579(116)
104(14.5)
6.0(0.8)
4510(1470)
15.9(2.8)
2歳から6歳(N=19)
620(109)
106(12.8)
5.1(0.6)
2200(570)
19.9(3.4)
腎機能障害の程度がさまざまな成人患者(複雑性皮膚・軟部組織感染症及び黄色ブドウ球菌菌血症)にダプトマイシン4mg/kg又は6mg/kgを点滴静注した際、ダプトマイシンのクリアランスは減少し、AUCは増加した。CLcr(30mL/min未満)の患者及び透析患者(CAPD又は血液透析後に投与)におけるAUCは、腎機能正常の患者に比べてそれぞれ約2倍及び3倍高かった。腎機能障害患者にダプトマイシン4mg/kgもしくは6mg/kg点滴静注時の薬物動態パラメータを表7に示す(外国人データ)。
正常
軽度腎機能障害
中等度腎機能障害
重度腎機能障害
血液透析、CAPD
4mg/kg
AUC0-∞注10)(μg・hr/mL)
417±155N=165
466±177N=64
560±258N=24
925±467N=8
1244±374N=21
t1/2注10)(hr)
9.39±4.74N=165
10.75±8.36N=64
14.70±10.50N=24
27.83±14.85N=8
29.81±6.13N=21
CL注10)(mL/hr/kg)
10.9±4.0N=165
9.9±4.0N=64
8.5±3.4N=24
5.9±3.9N=8
3.7±1.9N=21
6mg/kg
AUCss注11)(μg・hr/mL)
545±296N=62
637±215N=29
868±349N=15
1050, 892N=2
NA
平均±標準偏差腎機能の程度[CLcr(mL/min)]:正常(>80)、軽度(50~80)、中等度(30~<50)、重度(<30)
また、末期腎不全患者[(血液透析実施患者及びCAPD実施患者含む)にダプトマイシン4mg/kgもしくは6mg/kg反復点滴静注時の定常状態での推定曝露量(シミュレーションにより算出)を表8に示す。,,
用法
AUC24-48hr(μg・hr/mL)
AUC48-72hr(μg・hr/mL)
AUC0-168hr(μg・hr/mL)
血液透析未実施
48時間間隔
54.8
798
482
4638
48時間-48時間-72時間間隔注16)
48.6~53.9注15)
781
471
289
3838
血液透析(投与後)注12)
43.9~47.1注15)
496
285
175
2425
血液透析(投与前)注13)
45.1~48.6注15)
680
409
246
3368
CAPD注14)
51.9
723
4119
82.1
1196
722
6950
72.9~80.8注15)
1171
707
434
5756
65.9~70.7注15)
743
428
262
3637
67.7~72.9注15)
1019
614
369
5052
77.9
1085
6182
中等度肝機能障害成人患者(Child-Pugh分類B)にダプトマイシン6mg/kgを単回点滴静注した際の薬物動態は、健康成人と変わらなかった。重度肝機能障害成人患者(Child-Pugh分類C)での薬物動態は検討していない(外国人データ)。
健康高齢者(75歳以上)及び健康若年成人(18~30歳)に、ダプトマイシン4mg/kg単回点滴静注した際、高齢者では若年成人に比べてダプトマイシンの血漿クリアランスは約35%低く、AUC0-∞は約58%高かったが、Cmaxに差はなかった(外国人データ)。
ダプトマイシンの薬物動態を中等度肥満[体格指数(BMI)25~39.9kg/m2]の成人被験者6例、重度肥満(BMI 40kg/m2以上)の成人被験者6例において検討した。AUCは、非肥満対照被験者と比較して中等度の肥満被験者では約30%、重度肥満の被験者では31%高かった(外国人データ)。
健康成人にダプトマイシン2mg/kgとトブラマイシン1mg/kgを併用して点滴静注した際、ダプトマイシンのAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ8.7%及び12.7%上昇し、トブラマイシンのAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ6.6%及び10.7%低下した。臨床用量のダプトマイシンとトブラマイシンの相互作用は不明である(外国人データ)。
健康成人におけるダプトマイシンとアズトレオナム、ワルファリン及びプロベネシドとの薬物相互作用が検討された。ダプトマイシンはワルファリン及びプロベネシドの薬物動態に影響を及ぼさず、またこれらの薬剤もダプトマイシンの薬物動態に影響を与えなかった。アズトレオナムはダプトマイシンの薬物動態にほとんど影響を与えなかった(外国人データ)。
MRSA感染症あるいはMRSA感染症が疑われる成人患者を対象として、ダプトマイシンを敗血症に対しては1日6mg/kgを14~42日間、皮膚・軟部組織感染症5)に対しては1日4mg/kgを7~14日間投与する実薬対照試験を行った。組入れ時にMRSA感染が確認されたmodified intent-to-treat集団(MITT-MRSA)患者における治癒判定時(敗血症:投与終了後38~46日目、皮膚・軟部組織感染症:投与終了後7~14日目)の臨床効果(「治癒」及び「改善」を「有効」とした)、細菌学的効果(「消失」及び「推定消失」を「有効」とした)は表1のとおりであった。安全性解析対象例99例中11例(11.1%)に副作用が認められ、16例(16.2%)に臨床検査値の副作用が認められた。主なものはAST上昇7例(7.1%)、ALT上昇7例(7.1%)、湿疹2例(2.0%)、発熱2例(2.0%)、下痢2例(2.0%)、血小板数減少2例(2.0%)、Al-P上昇2例(2.0%)、CK上昇2例(2.0%)、好酸球数増加2例(2.0%)であった。,
臨床効果
細菌学的効果
n/N
%
皮膚・軟部組織感染症
45/55
81.8
31/55
56.4
深在性皮膚感染症
4/6
66.7
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
31/38
81.6
23/38
60.5
びらん・潰瘍の二次感染
9/9
100.0
4/9
44.4
その他の皮膚関連疾患(伝染性膿痂疹、乾癬の二次感染)
1/2
50.0
0/2
0.0
敗血症
2/4
黄色ブドウ球菌による菌血症及び感染性心内膜炎が疑われる成人患者を対象にダプトマイシン1日6mg/kgを10~42日間投与する実薬対照比較試験を行った。組入れ時にMRSA感染が確認されたintent-to-treat集団(ITT)患者における治癒判定時の臨床効果の有効率は44.4%(20/45)であった6)。安全性解析対象例120例中42例(35.0%)に副作用が認められ、主なものは、CK上昇6例(5.0%)、軟便4例(3.3%)、消化不良3例(2.5%)、発疹3例(2.5%)、血中リン増加3例(2.5%)であった。,
グラム陽性菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症が疑われる成人患者を対象にダプトマイシン1日4mg/kgを7~14日間投与する実薬対照比較試験を行った。組入れ時にMRSA感染が確認されたmicrobiologically evaluable集団(ME)患者における治癒判定時の臨床効果の有効率は65.4%(17/26)であった。安全性解析対象例265例中64例(24.2%)に副作用が認められ、主なものは、悪心9例(3.4%)、下痢7例(2.6%)、嘔吐7例(2.6%)、CK上昇6例(2.3%)であった。,
グラム陽性菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症が疑われる成人患者を対象にダプトマイシン1日4mg/kgを7~14日間投与する実薬対照比較試験を行った。組入れ時にMRSA感染が確認されたmicrobiologically evaluable集団(ME)患者における治癒判定時の臨床効果の有効率は100%(4/4)であった。安全性解析対象例269例中30例(11.2%)に副作用が認められ、主なものは、CK上昇5例(1.9%)、皮膚炎4例(1.5%)、悪心3例(1.1%)であった。,
グラム陽性球菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症及び菌血症の1~17歳の小児患者を対象に、小児患者に対して本邦で承認された用法・用量のダプトマイシンを、複雑性皮膚・軟部組織感染症患者に対しては5~14日間、菌血症患者に対しては5~42日間点滴静注する非盲検非対照試験を行った7)。組入れ時にMRSA感染が確認されたmodified intent-to-treat集団(MITT-MRSA)患者における治癒判定時の臨床効果及び細菌学的効果は、表2のとおりであった。安全性解析対象例18例中2例(11.1%)に副作用が認められた。報告された副作用は、血小板数増加1例(5.6%)、注入部位腫脹1例(5.6%)であった。
複雑性皮膚・軟部組織感染症
6/7
85.7
5/7
71.4
3/3
1/1
その他の皮膚関連疾患(皮膚感染)
0/1
菌血症
黄色ブドウ球菌による菌血症と診断された又は疑われる1~17歳の小児患者を対象に、小児患者に対して本邦で承認された用法・用量のダプトマイシンを5~42日間点滴静注する実薬対照比較試験を行った8)。組入れ時にMRSA感染が確認されたmicrobiological modified-intent-to-treat集団(mMITT)患者における治癒判定時の臨床効果の有効率は85.7%(6/7例)、治癒判定時の細菌学的効果の有効率は85.7%(6/7例)であった。安全性解析対象例55例中8例(14.5%)に副作用が認められ、主なものは、下痢2例(3.6%)、CK上昇2例(3.6%)であった。,
グラム陽性菌による複雑性皮膚・軟部組織感染症と診断された又は疑われる1~17歳の小児患者を対象に、小児患者に対して本邦で承認された用法・用量のダプトマイシンを最長14日間点滴静注する実薬対照比較試験を行った9)。組入れ時にMRSA感染が確認されたmodified-intent-to-treat集団(MITT)患者における治癒判定時の臨床効果(治験依頼者判定)の有効率は82.5%(80/97例)、治癒判定時の細菌学的効果の有効率は84.5%(82/97例)であった。安全性解析対象例256例中35例(13.7%)に副作用が認められ、主なものは、下痢14例(5.5%)、CK上昇5例(2.0%)、注入部位疼痛3例(1.2%)、そう痒症3例(1.2%)であった。,
ダプトマイシンは菌の細胞膜と結合し、速やかに膜電位を脱分極させる。また、ダプトマイシンにより、DNA、RNA及び蛋白質の合成阻害が生じることが示されている。これら膜電位の消失、並びにDNA、RNA及び蛋白質の合成阻害により細菌が死滅する10),11),12),13)。
ダプトマイシンは、MRSAを含むブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸球菌属等、臨床的に最も重要な好気性グラム陽性菌に対して、in vitroで抗菌力を示す。メチシリン、バンコマイシン及びリネゾリド耐性を含む薬剤耐性グラム陽性菌にも抗菌力を示す。また、ダプトマイシンは、in vitro及びin vivo動物モデル(マウス、ハムスター、ウサギ、ラット)において、グラム陽性菌に対して速やかかつ用量依存的な殺菌作用を示す。
ダプトマイシンに対する耐性機序は明らかにされていない。耐性をもたらす伝達性因子は知られていない。他クラスの抗菌薬に対する特異的な耐性機序による交差耐性はみられていない。臨床において、ダプトマイシンによる治療後に、ダプトマイシン感受性が低下した黄色ブドウ球菌及び腸球菌の出現が報告されている。
ダプトマイシンと他抗菌薬とのin vitro相互作用試験では、殺菌曲線の検討において拮抗作用はみられていない。ダプトマイシンと、アミノグリコシド系薬剤、βラクタム系薬剤又はリファンピシンとの併用により、メチシリン耐性株を含む黄色ブドウ球菌及びバンコマイシン耐性株を含む腸球菌属に対しin vitroにおいて、相乗作用が示されている14),15)。
ダプトマイシン(Daptomycin)
N-(Decanoyl)-L-tryptophyl-D-asparaginyl-L-aspartyl-L-threonylglycyl-L-ornithyl-L-aspartyl-D-alanyl-L-aspartylglycyl-D-seryl-(3R)-3-methyl-L-glutamyl-3-(2-aminobenzoyl)-L-alanine1.13→3.4-lactone
C72H101N17O26
1620.67
暗黄色~淡褐色の澄明な液
DAP
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル(350mg)×10
1) Buitrago MI, et al. Pharmacotherapy. 2009;29:347-51.
2) 社内資料:日本人小児患者の薬物動態(029試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.2.2)
3) 社内資料:外国人複雑性皮膚・軟部組織感染症小児患者の薬物動態(017試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.2.3)
4) 社内資料:外国人菌血症小児患者の薬物動態(005試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.2.3)
5) Aikawa N, et al. J Infect Chemother. 2013;19:447-55.
6) Fowler VG Jr, et al. N Engl J Med. 2006;355:653-65.
7) Iwata S, et al. J Infect Chemother. 2022;28:406-12.
8) 社内資料:海外第Ⅳ相試験(005試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.3.3、CTD2.7.6.3)
9) 社内資料:海外第Ⅳ相試験(017試験)(2022年6月20日承認、CTD2.7.3.3、CTD2.7.6.3)
10) Silverman JA, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2003;47:2538-44.
11) Canepari P, et al. Antimicrob Agents Chemother. 1990;34:1220-6.
12) Laganas V, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2003;47:2682-4.
13) Hobbs JK, et al. J Antimicrob Chemother. 2008;62:1003-8.
14) Snydman DR, et al. J Chemother. 2005;17:614-21.
15) Rand KH, et al. J Antimicrob Chemother. 2004;53:530-2.
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