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日本薬局方
注射用イミペネム・シラスタチンナトリウム
処方箋医薬品注)
イミペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属
敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
通常成人にはイミペネムとして、1日0.5~1.0g(力価)を2~3回に分割し、30分以上かけて点滴静脈内注射する。小児には1日30~80mg(力価)/kgを3~4回に分割し、30分以上かけて点滴静脈内注射する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、成人で1日2g(力価)まで、小児で1日100mg(力価)/kgまで増量することができる。
クレアチニン-クリアランス(mL/min)
投与量による調節
投与間隔による調節
投与量g(力価)
投与間隔(時間)
70~50
0.5注1)
12
50~30
0.5~0.25
0.5
12~24
30~10注2)
0.25~0.125
-
,
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
減量等を考慮すること。痙攣、呼吸停止、意識障害、呼吸抑制等の中枢神経症状が起こりやすい。
循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。
肝障害が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。
低出生体重児、新生児に対する臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下している高齢者では副作用があらわれやすい。本剤は腎排泄型の薬剤である。なお、他の抗生物質(セフェム系、アミノグリコシド系等)を投与した高齢者において、ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれたとの報告がある。
バルプロ酸ナトリウム:
本剤との併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発することがある。
機序不明
ガンシクロビル
痙攣の発現が報告されている。
ファロペネムナトリウム
ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇するおそれがある。
動物実験(ラット)において、シラスタチンにより代謝酵素(DHP-I)が阻害され、ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇することが報告されている。
痙攣(0.14%)、呼吸停止(頻度不明)、意識障害(0.1%未満)、意識喪失(頻度不明)、呼吸抑制(頻度不明)、錯乱(頻度不明)、不穏(頻度不明)等の中枢神経症状があらわれることがある。,
初期症状として、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗又は呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがある。
劇症肝炎(頻度不明)、肝炎(頻度不明)、肝不全(頻度不明)、黄疸(0.1%未満)等の重篤な肝障害があらわれることがある。,
喘息発作及び誘発等の気管支痙攣、また発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
汎血球減少症(0.1%未満)、骨髄抑制(0.1%未満)、無顆粒球症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)等の重篤な血液障害があらわれることがある。
急性腎障害(頻度不明)、尿崩症(頻度不明)等の重篤な腎障害があらわれることがある。
血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、瘙痒、発熱
蕁麻疹、潮紅、紅斑
血液
顆粒球減少、好酸球増多、好塩基球増多、リンパ球増多、血小板減少・増多、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少
肝臓
AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、尿ウロビリノーゲン上昇
腎臓
BUN上昇
血清クレアチニン上昇、頻尿
乏尿、血尿
消化器
腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、食欲不振
血中アミラーゼ上昇、舌変色
精神神経系
しびれ感、振戦
幻覚、譫妄、激越、ジスキネジア
菌交代症
口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他
頭痛、倦怠感、浮腫、胸痛、味覚異常、注射部位の疼痛及び硬結、血清ナトリウム低下、血清カリウム上昇・低下
本剤投与患者において、イミペネムが分解され、尿が赤褐色を呈することがある。
健康成人及び小児に本剤を点滴静注して得られた血中濃度は図1、2に示すとおりであり、イミペネムの血中濃度は用量依存性を示す3),4)。
イミペネムは、ヒトの喀痰、前立腺、腎、胆嚢、胆汁、腹腔内滲出液、子宮、骨盤死腔滲出液、骨髄、羊水、乳汁等への移行が認められている5),6),7),8),9),10),11),12)。
主として腎より排泄され、健康成人に本剤0.25g(力価)/0.25g及び0.5g(力価)/0.5gを30分点滴静注後12時間までのイミペネムの平均尿中回収率は70.2及び72.8%である。また、本剤0.5g(力価)/0.5gを30分点滴静注後のイミペネムの尿中濃度は1時間までで4,943.0μg/mL、1~2時間で1,733.5μg/mL、4~6時間で91.0μg/mL、10~12時間で1.0μg/mLである3)。小児(腎機能正常者)に本剤10mg(力価)/10mg/kg、20mg(力価)/20mg/kg及び30mg(力価)/30mg/kgを60分点滴静注後6時間までのイミペネムの平均尿中回収率は57.9、67.6及び64.3%であり、成人とほぼ同じであった4)。
腎機能の低下に伴い尿中への排泄が減少し、血中濃度の上昇、半減期の延長が認められる。したがって、腎機能障害者に本剤を投与する場合、その障害の程度により投与量の減量又は投与間隔の延長を行う必要がある13)。,
注)本剤の承認最大用量は、重症・難治性感染症には、成人で1日2g(力価)、小児で1日100mg(力価)/kgである。
国内で実施された臨床試験(3種の比較試験を含む)2,313例における適応疾患についての疾患別成績概要は下表のとおりであり、その総有効率は80.0%(1,535/1,918例)を示した。また、複雑性尿路感染症、細菌性肺炎・肺化膿症、慢性呼吸器感染症及び化膿性腹膜炎を対象とした比較試験により本剤の有用性が認められている。(Chemotherapy, 33(S-4):MK-787/MK-791論文特集号, 1985より集計)
感染症
有効率(有効以上)
例数
%
敗血症
43/71
60.6
感染性心内膜炎
2/3
66.7
外科・整形外科感染症
骨髄炎
41/53
77.4
関節炎
16/19
84.2
創傷の二次感染
36/43
83.7
呼吸器感染症
気管支炎
128/174
73.6
気管支拡張症(感染時)
43/60
71.7
慢性呼吸器疾患の二次感染
33/38
86.8
肺炎
316/380
83.2
肺化膿症
34/43
79.1
膿胸
7/14
50.0
尿路感染症
腎盂腎炎
181/222
81.5
膀胱炎
294/372
79.0
前立腺炎
14/16
87.5
肝・胆道感染症
胆嚢炎
24/24
100
胆管炎
24/29
82.8
肝膿瘍
4/7
57.1
腹膜炎
116/149
77.9
婦人科領域感染症
子宮付属器炎
35/35
子宮内感染
91/102
89.2
骨盤死腔炎
22/29
75.9
子宮旁結合織炎
6/8
75.0
バルトリン腺炎
18/18
眼科領域感染症
角膜潰瘍
5/5
全眼球炎
2/4
合計
1,535/1,918
80.0
注)疾患名は承認申請資料に基づき記載している。
イミペネムは細菌のペプチドグリカン細胞壁の特異的合成阻害により強力な殺菌作用を有する。
イミペネムは嫌気性菌を含むグラム陽性及びグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトルを有し、特に黄色ブドウ球菌、腸球菌、緑膿菌及びバクテロイデス・フラジリスに対しセフチゾキシム、セフォペラゾン等の第3世代セフェム系抗生物質よりもはるかに強い抗菌力を示す。さらに、β-ラクタマーゼに対し安定であり、かつ緑膿菌、大腸菌等のグラム陰性菌の産生するβ-ラクタマーゼに対し阻害作用を示す14),15)(in vitro)。
イミペネムは優れた抗菌力を示すにもかかわらず、腎の酵素dehydropeptidase-Iにより代謝を受け、不活性化されることから、この不活性化を抑制するためにシラスタチンナトリウムが配合された。シラスタチンナトリウムは、dehydropeptidase-Iによるイミペネムの代謝・不活性化を抑制するのみならず、動物実験でみられるイミペネムの腎毒性も抑制する。なお、シラスタチンナトリウムには抗菌活性が認められず、イミペネムの抗菌活性にも影響を与えない3),16),17)。
注)菌種名は承認申請資料に基づき記載している。
IPM/CS
イミペネム水和物(Imipenem Hydrate)
(5R,6S)-3-[2-(Formimidoylamino)ethylsulfanyl]-6-[(1R)-1-hydroxyethyl]-7-oxo-1-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic acid monohydrate
C12H17N3O4S・H2O
317.36
白色~淡黄色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
シラスタチンナトリウム(Cilastatin Sodium)
Monosodium(2Z)-7-{[(2R)-2-amino-2-carboxyethyl]sulfanyl}-2-({[(1S)-2,2-dimethylcyclopropyl]carbonyl}amino)hept-2-enoate
C16H25N2NaO5S
380.43
白色~微帯黄白色の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。吸湿性である。
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編. 抗微生物薬適正使用の手引き
2) 臼居敏仁、他. Chemotherapy. 1985;33:217-26.
3) 中川圭一、他. Chemotherapy. 1985;33:357-78.
4) 藤井良知、他. Jpn J Antibiot. 1986;39:1912-37.
5) 鈴山洋司、他. Chemotherapy. 1985;33:694-711.
6) 伊藤康久、他. Chemotherapy. 1985;33:825-33.
7) 谷村 弘、他. Chemotherapy. 1985;33:982-1000.
8) 岩井重富、他. Chemotherapy. 1985;33:950-62.
9) 鈴木啓一郎、他. Chemotherapy. 1985;33:942-9.
10) 松田静治、他. Jpn J Antibiot. 1986;39:1626-55.
11) 小島忠士、他. Jpn J Antibiot. 1986;39:1938-46.
12) 松田静治、他. Jpn J Antibiot. 1988;41:1731-41.
13) 公文裕巳、他. Chemotherapy. 1988;36:193-207.
14) 布施愛索、他. Chemotherapy. 1985;33:1-13.
15) 朝日良成、他. Chemotherapy. 1985;33:54-73.
16) Kahan FM, et al. J Antimicrob Chemother. 1983;12:1-35.
17) Birnbaum J, et al. Am J Med. 1985;78:3-21.
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