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処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
〈適応菌種〉テジゾリドに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)〈適応症〉深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性(耐性)を確認すること。
通常、成人にはテジゾリドリン酸エステルとして200mgを1日1回経口投与する。
有効性は確立していない。好中球減少マウスにおいてテジゾリドの抗菌活性が低下することが報告されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胚・胎児毒性試験において、マウスでは肋軟骨異常(主に癒合)の発現頻度の増加傾向が、ラットでは肋骨及び椎骨の骨格変異の発現頻度の増加が、それぞれ臨床曝露量(AUC)の約3~4倍及び約5~6倍に相当する用量で認められた。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
ロスバスタチン
併用経口投与により、ロスバスタチンの血中濃度が上昇することが報告されている。
腸管のBCRPが阻害される。
BCRPの基質となる薬剤
併用経口投与により、BCRPの基質となる薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
腹痛、頻回の下痢があらわれ、偽膜性大腸炎又はその疑いがある場合には、直ちに投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
投与中止によって回復しうる貧血・白血球減少・汎血球減少・血小板減少等の骨髄抑制があらわれるおそれがある。
乳酸アシドーシス等の代謝性アシドーシスがあらわれるおそれがある。
5%未満
頻度不明
過敏症
薬物過敏症
腎臓
尿臭異常
肝臓
ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、肝機能異常
循環器
徐脈、潮紅、ほてり
血液
貧血
リンパ節症、白血球減少
消化器
下痢
悪心、嘔吐、腹痛、便秘、腹部不快感、口内乾燥、消化不良、上腹部痛、鼓腸、胃食道逆流性疾患、血便排泄
感覚器
味覚異常、霧視、硝子体浮遊物
精神神経系
不眠症、睡眠障害、不安、悪夢、頭痛、浮動性めまい、傾眠、振戦、錯感覚、感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー
筋・骨格系
四肢不快感
関節痛、筋痙縮、背部痛、頸部痛
皮膚
瘙痒性皮疹
瘙痒症(全身性、アレルギー性等)、発疹(全身性、紅斑性、斑状丘疹状等)、蕁麻疹、多汗症、脱毛症、ざ瘡
代謝・栄養障害
脱水、コントロール不良の糖尿病、高カリウム血症
呼吸器
咳嗽、鼻乾燥、肺うっ血
その他
発熱
真菌感染(外陰腟、皮膚)、カンジダ症(外陰腟、口腔)、膿瘍、気道感染、疲労、悪寒、易刺激性、末梢性浮腫、握力低下
テジゾリドは血液透析により体内からほとんど除去されない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男性にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与したとき、活性体であるテジゾリドは投与3時間後に最高血漿中濃度2.38μg/mLに到達し、10.7時間の半減期で消失した。健康成人男性にテジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回7日間経口投与したとき、血漿中テジゾリド濃度は初回投与の翌日にほぼ定常状態に到達した。
Cmax(μg/mL)
AUC注1)(μg・h/mL)
tmax(h)
t1/2(h)
200mg点滴静注
単回投与(7例)
3.45 ± 0.60
34.4 ± 7.9
1.08(0.98~1.25)
11.0 ± 1.3
1日1回反復投与(8例)
3.85 ± 0.58
34.9 ± 6.6
12.0 ± 1.1
200mg経口投与
2.38 ± 0.59
28.6 ± 8.2
3.00(0.98~4.00)
10.7 ± 1.0
2.55 ± 0.43
27.0 ± 5.6
4.00(2.00~6.00)
11.3 ± 1.5
日本人及び外国人1)患者から得た血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、テジゾリドの薬物動態は、体格及び総ビリルビンの影響を受けることが示唆された。日本人及び中国人患者から得た血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、標準的な患者(体重66.1kg、総ビリルビン0.70mg/dL)のCL/Fは6.33L/h(事後推定値)であった。体重が111.0kgの患者のCL/Fは38.8kgの患者と比較して約2倍に増加し(4.45L/hから8.93L/h、総ビリルビン0.70mg/dLのとき)、総ビリルビンが2.9mL/dLの患者のCL/Fは0.20mg/dLの患者と比較し約37%減少する(7.85L/hから4.96L/h、体重66.1kgのとき)と予測された。
テジゾリドリン酸エステル200mg空腹時単回経口投与後におけるテジゾリドの絶対的バイオアベイラビリティは82.6%であった。食事の影響試験において、テジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与した際、テジゾリドの薬物動態は高脂肪高カロリー食摂取による影響を受けなかった。
AUC(μg・h/mL)
空腹時
2.70 ± 0.47
32.5 ± 6.7
3.00(1.00~8.00)
11.5 ± 1.1
食後
2.44 ± 0.68
33.1 ± 6.8
2.50(0.500~8.00)
11.4 ± 1.0
テジゾリドリン酸エステルのヒト血漿蛋白結合率は86.6%であった。テジゾリドはヒト血漿において主にアルブミンと結合し、血漿蛋白結合率は約80%であった。
テジゾリドリン酸エステルナトリウム600mg注2)単回経口投与後に微小透析法によりテジゾリドの皮下脂肪組織及び骨格筋組織中間隙液への移行性を検討したところ、血漿中非結合型テジゾリドに対する組織中非結合型テジゾリドの平均AUC比は、それぞれ1.08及び1.22であった(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステルは、生体内においてホスファターゼによる脱リン酸化反応を受け、活性体テジゾリドに変換される。In vitro試験により、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、ヒトチトクロームP450(CYP)分子種により代謝されないこと及びテジゾリドは複数のヒト硫酸転移酵素(SULT1A1、1A2、2A1)により硫酸抱合反応を受けることが示された。[14C]標識したテジゾリドリン酸エステル(204mg注2))を単回経口投与したとき、血漿中放射能から求めたAUCの約95%がテジゾリド由来であった(外国人データ)。
[14C]標識したテジゾリドリン酸エステル(204mg注2))を単回経口投与したとき、投与288時間後までに放射能の81.5%が糞中、18.0%が尿中に、主に硫酸抱合体として排泄された(外国人データ)。
健康高齢被験者(平均71.9歳)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与したときのテジゾリドの薬物動態パラメータは非高齢者と同様であった(外国人データ)。
血液透析施行又は未施行の重度腎機能障害患者(eGFR:<15又は<30mL/min/1.73m2)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回点滴静注したとき、腎機能正常対照群と比較して、透析未施行の重度腎機能障害患者、透析前投与及び透析後投与した血液透析施行の重度腎機能障害患者でのテジゾリドのAUCはそれぞれ7%、29%及び34%、Cmaxは1%、20%及び9%減少した(外国人データ)。
中等度又は重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B又はC)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与したとき、肝機能正常対照群と比較してテジゾリドのAUCはそれぞれ22%、34%増加し、Cmaxはそれぞれ9%増加、1%減少した(外国人データ)。
In vitro試験において、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、CYP分子種に対し阻害及び誘導作用を示さなかった。In vitro試験の結果から、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、輸送蛋白OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3、OCT1、OCT2、MATE1、MATE2-K及びP-糖蛋白(P-gp)を阻害することによって臨床的に問題となる薬物相互作用を起こさないと考えられた。乳癌耐性蛋白(BCRP)に対する阻害作用のIC50値は、それぞれ79.8μM及び51.1μMであった。また、モノアミン酸化酵素(MAO)に対する阻害作用を検討したin vitro試験において、テジゾリドのMAOA及びMAOBに対する阻害作用の平均IC50値は8.7μM及び5.7μMであり、いずれも可逆的であった。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した10日目に、ミダゾラム2mgを単回経口投与したとき、テジゾリドリン酸エステル非併用投与時と比較してミダゾラムのAUC及びCmaxは、それぞれ19%及び17%減少した(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した12日目に、ロスバスタチン10mgを単回経口投与したとき、非併用投与時と比べてロスバスタチンのAUC及びCmaxがそれぞれ約70%及び55%増加した(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した3日目より、チラミンを1日1回25mgから開始し、最大575mgまで、テジゾリドリン酸エステル投与2時間後に最長12日間経口投与したが、テジゾリドリン酸エステル投与はチラミンによる血圧上昇作用に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した5日目に、プソイドエフェドリン60mgを単回経口投与したとき、併用投与は薬物動態並びに血圧及び心拍数の変化に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
MRSA感染あるいはその疑いがある皮膚・軟部組織感染症患者を対象として、テジゾリドリン酸エステル(以下、本剤)の有効性及び安全性を検討することを目的とした無作為化実薬対照非盲検並行群間比較試験を行った。本試験では、本剤200mgを1日1回7~14日間又はリネゾリド600mgを1日2回7~14日間点滴静注(経口投与への切り替え可)した。MRSA感染が確認された微生物学的評価可能(ME-MRSA)解析対象集団における治癒判定時(投与終了後7~14日)の臨床効果(治癒率、盲検下で評価)は、表1のとおりであった。
本剤群
リネゾリド群
皮膚・軟部組織感染症
86.2(25/29)
80.0(8/10)
100(2/2)
100(1/1)
0(0/0)
85.7(6/7)
100(8/8)
0(0/1)
治癒率:治癒と判定された被験者の割合[%(例数)]a) 蜂巣炎、丹毒、リンパ管炎等b) 化膿性汗腺炎、頭部乳頭状皮膚炎等
安全性解析対象83例中25例(30.1%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ、主な副作用はALT上昇4件(4.8%)、AST上昇3件(3.6%)、注射部位紅斑3件(3.6%)等であった。
グラム陽性菌による感染あるいはその疑いがある急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症患者を対象として、本剤の有効性及び安全性を検討することを目的とした無作為化実薬対照二重盲検並行群間比較試験を行った。本試験では、本剤200mgを1日1回6日間又はリネゾリド600mgを1日2回10日間経口投与した。無作為化された全被験者がintention-to-treat(ITT)集団とされ、ITT集団における主要評価項目である治験薬投与開始後48~72時間の早期臨床効果(有効率)は表2のとおりであり、本剤の非劣性が検証された(非劣性マージン10%)。また、MRSA感染が確認されたmicrobiological ITT(mITT)集団における投与終了後7~14日の臨床効果(治癒率)は、表2のとおりであった。
群間差[95%信頼区間]
早期臨床効果(有効率)(ITT)
79.5(264/332)
79.4(266/335)
0.1[-6.1~6.2]a)
臨床効果(治癒率)(mITT)
85.2(75/88)
85.6(77/90)
-0.3[-10.7~10.0]b)
有効率:有効と判定された被験者の割合[%(例数)]治癒率:治癒と判定された被験者の割合[%(例数)]a) ベースライン時の発熱の有無を層としたMiettinen and Nurminen法b) Miettinen and Nurminen法
安全性解析対象331例中80例(24.2%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ、主な副作用は悪心25件(7.6%)、頭痛16件(4.8%)、下痢14件(4.2%)、浮動性めまい7件(2.1%)、嘔吐6件(1.8%)等であった。
グラム陽性菌による感染あるいはその疑いがある急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症患者を対象として、本剤の有効性及び安全性を検討することを目的とした無作為化実薬対照二重盲検並行群間比較試験を行った。本試験では、本剤200mgを1日1回6日間又はリネゾリド600mgを1日2回10日間点滴静注(経口投与への切り替え可)した。無作為化された全被験者がintention-to-treat(ITT)集団とされ、ITT集団における主要評価項目である治験薬投与開始後48~72時間の早期臨床効果(有効率)は表3のとおりであり、本剤の非劣性が検証された(非劣性マージン10%)。また、MRSA感染が確認されたmicrobiological ITT(mITT)集団における投与終了後7~14日の臨床効果(治癒率)は、表3のとおりであった。
85.2(283/332)
82.6(276/334)
2.6[-3.0~8.2]a)
81.1(43/53)
75.0(42/56)
6.1[-9.3~21.6]a)
有効率:有効と判定された被験者の割合[%(例数)]治癒率:治癒と判定された被験者の割合[%(例数)]a) Miettinen and Nurminen法
安全性解析対象331例中68例(20.5%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められ、主な副作用は悪心21件(6.3%)、嘔吐9件(2.7%)、下痢7件(2.1%)、疲労7件(2.1%)、頭痛7件(2.1%)等であった。
本剤(テジゾリドリン酸エステル)はプロドラッグであり、生体内において活性体テジゾリドに変換され、抗菌作用を示す。テジゾリドは、細菌リボソームの50Sサブユニットに結合して蛋白質合成を阻害することにより抗菌活性を発揮する。
テジゾリドは、MRSAを含むブドウ球菌2)、腸球菌、レンサ球菌等のグラム陽性菌に対して抗菌活性を示す(in vitro)。MRSA等を感染させたマウス皮膚・軟部組織感染モデル3)、マウス肺感染モデル4),5)、マウス致死的全身感染モデル5)において、テジゾリド(経口、静脈内又は腹腔内投与)はin vivo抗菌作用を示す。MRSA大腿感染モデルの大腿筋中生菌数を治療開始時の菌数で維持するために必要なヒト等価用量は正常マウスでは約100mg/日に対し、好中球減少(好中球数100/mL未満)マウスでは約2,000mg/日であった6)。
テジゾリドを含むオキサゾリジノンの作用機序は他クラス抗菌薬とは異なることから、他クラス抗菌薬耐性はテジゾリドに交差耐性を示さない。リボソーム変異(23S rRNA変異又はリボソーム蛋白質L3及びL4変異)によるオキサゾリジノン耐性は、一般的にテジゾリドに交差耐性を示す7),8),9)。クロラムフェニコール-フロルフェニコール耐性遺伝子cfrによりオキサゾリジノン耐性となっている黄色ブドウ球菌に対して、テジゾリドは抗菌活性を示す2),8)。テジゾリドの感受性低下をもたらす自然発生突然変異の発現頻度は約≦10-10であった9)。MRSAの連続継代培養試験において、最小発育阻止濃度の上昇はテジゾリド存在下で8倍、同クラス抗菌薬リネゾリド存在下で32倍であった9)。
テジゾリドリン酸エステル(Tedizolid Phosphate)
(5R)-(3-{3-Fluoro-4-[6-(2-methyl-2H-tetrazol-5-yl)pyridin-3-yl]phenyl}-2-oxooxazolidin-5-yl)methyl dihydrogen phosphate
C17H16FN6O6P
450.32
本品は白色~黄色の粉末である。
TZD
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
6錠[6錠(PTP) × 1]
1) Flanagan S, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2014; 58(11): 6462-70.
2) Betriu C, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2010; 54(5): 2212-5.
3) Louie A, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2011; 55(7): 3453-60.
4) Tessier PR, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2012; 56(5): 2342-6.
5) Choi S, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2012; 56(9): 4713-7.
6) Drusano GL, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2011; 55(11): 5300-5.
7) Livermore DM, et al. J Antimicrob Chemother. 2009; 63(4): 713-5.
8) Locke JB, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2010; 54(12): 5337-43.
9) Locke JB, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2009; 53(12): 5265-74.
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