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劇薬
処方箋医薬品注)
SARS-CoV-2による感染症
通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。臨床試験において、症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。
*妊娠する可能性のある女性への投与に際しては、本剤投与の必要性を十分に検討すること。また、投与が必要な場合には、次の注意事項に留意すること。,,
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胎児毒性が報告されている。妊娠ラットの器官形成期にモルヌピラビルを投与した実験において、N-ヒドロキシシチジン(NHC)の臨床曝露量の8倍に相当する用量で催奇形性及び胚・胎児致死が、3倍以上に相当する用量で胎児の発育遅延が認められている。また、妊娠ウサギの器官形成期にモルヌピラビルを投与した実験において、NHCの臨床曝露量の18倍に相当する用量で胎児体重の低値が認められている。,,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットの授乳期にモルヌピラビルを投与したとき、出生児の血漿中にNHCが検出されている。ヒト乳汁中への移行の有無及び乳汁産生への影響に関するデータはない。
18歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。
1%以上2%未満
1%未満
頻度不明
胃腸障害
下痢、悪心
嘔吐
神経系障害
浮動性めまい
頭痛
皮膚及び皮下組織障害
発疹、蕁麻疹
中毒性皮疹、紅斑、そう痒
過敏症
血管性浮腫
モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解され細胞内に取り込まれた後、活性型であるリボヌクレオシド三リン酸化体(NHC-TP)にリン酸化される。
健康成人にモルヌピラビル800mgを単回経口投与した際のNHCの血漿中濃度推移を図1に、血漿中薬物動態パラメータを表1に示す。モルヌピラビル200~1600mgの範囲で、NHCのCmax及びAUCは概して用量に比例して増加した1)。
例数
Tmax注1)(hr)
Cmax注2)(ng/mL)
AUC0-12hr注2)(ng・hr/mL)
15
1.50(1.00-2.00)
5000(4450-5610)
12100(11100-13300)
健康成人にモルヌピラビル800mgを12時間ごとに反復経口投与した際のNHCの血漿中薬物動態パラメータは表2のとおりであった。1日2回の反復経口投与で得られたNHCのAUC0-12hrの累積係数(1.05)に基づく有効半減期は2.73時間であった1)。
Tmax注3)(hr)
Cmax注4)(ng/mL)
AUC0-12hr注4)(ng・hr/mL)
13
1.50(1.00-2.50)
4660(4130-5260)
12700(11600-13900)
健康成人にモルヌピラビル800mgを単回経口投与注5)した際、高脂肪食摂取後投与では空腹時投与に比べてNHCのCmaxは24%減少し、AUCは両条件下で同程度であった1)。本剤は、食事とは関係なく投与可能である。
NHCのヒト血漿蛋白に対する結合率は0%であった(in vitroデータ)。
モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解される。NHCは内因性ピリミジンの代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝され、消失する。
健康成人にモルヌピラビル800mgを1日2回5.5日間反復経口投与注5)した際、NHCの尿中排泄率は3%であった(外国人データ)。
モルヌピラビル及びNHCの主要な消失経路は腎排泄ではないため、腎機能障害がこれらの排泄に影響を及ぼす可能性は低い。母集団薬物動態解析の結果、軽度及び中等度の腎機能障害がNHCの薬物動態に及ぼす意味のある影響はみられなかった(外国人データ)。重度腎機能障害患者(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)又は透析を必要とする患者におけるモルヌピラビル及びNHCの薬物動態の評価は実施していない。
肝機能障害者におけるモルヌピラビル及びNHCの薬物動態の評価は実施していない。非臨床試験の結果、NHCの主要な消失経路は肝代謝ではないと考えられた。また、モルヌピラビルは主に消化管及び肝臓でNHCへ代謝される一方、モルヌピラビルの加水分解に必要な代謝酵素は広範な組織に分布しているため、肝機能障害がモルヌピラビル及びNHCの曝露量に影響を及ぼす可能性は低い。
母集団薬物動態解析の結果、高齢者におけるNHCの薬物動態は若年者と同様であった(外国人データ)。
モルヌピラビル及びNHCは主要な薬物代謝酵素及びトランスポーターの基質ではない。また、モルヌピラビル及びNHCは主要な薬物代謝酵素及びトランスポーターに対する阻害作用又は誘導作用を示さなかった。
臨床薬物相互作用試験は実施していない。
18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者を対象に、モルヌピラビルの有効性、安全性等を評価することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。主要評価項目は、無作為化29日目までの理由を問わないすべての入院又は死亡した被験者の割合とした。第Ⅲ相パートでは、モルヌピラビル800mgを1日2回(12時間ごと)5日間経口投与した。主要な解析である中間解析では775例が無作為割り付けされ、無作為化29日目までの追跡を完了した時点(日本人被験者は含まれなかった)での主要評価項目の結果は、モルヌピラビル800mg群7.3%(28/385例)及びプラセボ群14.1%(53/377例)であり、割合の群間差は-6.8%(95%信頼区間:-11.3, -2.4)であった(表1)。なお、無作為割り付けされた1433例(日本人被験者8例を含む)全例における補足的な解析での主要評価項目の結果は、モルヌピラビル800mg群6.8%(48/709例)及びプラセボ群9.7%(68/699例)であり、割合の群間差は-3.0%(95%信頼区間:-5.9, -0.1)であった。内訳は、モルヌピラビル800mg群で入院48/709例(6.8%)、死亡1/709例(0.1%)であり、プラセボ群で入院67/699例(9.6%)、死亡9/699例(1.3%)、不明1/699例(0.1%)であった。
モルヌピラビル800mg群(385例)例数(%)
プラセボ群(377例)例数(%)
割合の群間差注6)(95%信頼区間)
P値注6)注7)
無作為化29日目までの理由を問わないすべての入院又は死亡注8)
28(7.3%)
53(14.1%)
-6.8(-11.3, -2.4)
0.0012
入院
52(13.8%)
死亡
0(0%)
8(2.1%)
不明注9)
1(0.3%)
注:無作為化29日目までに死亡したすべての症例は、入院後の死亡であった。
なお、本試験の主な選択・除外基準は表2のとおりであった。
選択基準
1. SARS-CoV-2陽性(無作為割付け前5日以内に採取した検体を用いたPCR検査等により確認)。
2. SARS-CoV-2による感染症の症状注10)発現が無作為割付け前5日以内であり、かつ無作為化時点においてSARS-CoV-2による感染症に関連する症状注11)が1つ以上認められる。
3. 以下の定義における、軽症患者又は中等症患者。SARS-CoV-2による感染症の重症度の判定に用いられた定義は以下のとおり。
①次のすべてが認められる呼吸数が20回/分未満、心拍数が90回/分未満、SpO2が93%超注12)
②次のいずれも認められない安静時又は労作時の息切れ、呼吸不全注13)、ショック状態、多臓器機能不全
①次のうち、1つ以上が認められる労作時の息切れ、呼吸数が20回/分以上30回/分未満、心拍数が90回/分以上125回/分未満
②次のうち、いずれかが認められる
③次のいずれも認められない安静時の息切れ、呼吸不全注13)、ショック状態、多臓器機能不全
4. 次のSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を1つ以上有する。
除外基準
1. 入院中又は無作為割付け後48時間以内にSARS-CoV-2による感染症のために入院が必要となることが予想される。
2. SARS-CoV-2による感染症に対するワクチンを無作為割付け前に接種した、又は無作為化29日目までに接種を予定している。
3. 本試験への組入れ理由となった今回のSARS-CoV-2による感染症に対するモノクローナル抗体による治療歴を有する。
副作用発現頻度は、モルヌピラビル800mg群で8.0%(57/710例)であり、主な副作用(発現割合1%以上)は、下痢1.7%(12/710例)、悪心1.4%(10/710例)、浮動性めまい1.0%(7/710例)であった。,
モルヌピラビルはプロドラッグであり、NHCに代謝され細胞内に取り込まれた後、活性型であるNHC-TPにリン酸化される。NHC-TPがウイルス由来RNA依存性RNAポリメラーゼによりウイルスRNAに取り込まれた結果、ウイルスゲノムのエラー頻度が増加し、ウイルスの増殖が阻害される2),3)。
NHCはVero E6細胞を用いた細胞培養系でSARS-CoV-2(USA-WA1/2020株)に対して抗ウイルス作用を示し、50%有効濃度(EC50値)は0.78~2.03μmol/Lであった。NHCはSARS-CoV-2の変異株であるalpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、lambda株(C.37系統)、mu株(B.1.621系統)並びにomicron株(B.1.1.529/BA.1、BA.1.1、BA.2及びBA.4系統)に対して抗ウイルス作用を示し、EC50値の範囲は従来株(USA-WA1/2020株)では0.63~2.26μmol/L、変異株では0.92~5.5μmol/Lであった(Vero E6細胞)。また、NHCはSARS-CoV-2の変異株であるomicron株(B.1.1.529/BA.4及びBA.5系統)に対して抗ウイルス作用を示し、EC50値の範囲は従来株では0.65~0.93μmol/L、変異株では0.28~0.71μmol/Lであった(Vero E6-TMPRSS2細胞)。
SARS-CoV-2感染マウス、ハムスター及びフェレットモデルを用いてモルヌピラビルの抗ウイルス作用を確認した。マウスでは、モルヌピラビルはウイルスを接種した移植ヒト肺組織でのSARS-CoV-2の感染性ウイルス量を減少させた。SARS-CoV-2感染フェレットモデルでは、モルヌピラビルは上気道でのSARS-CoV-2の感染性ウイルス量を減少させ、同居させたウイルス非接種薬物非投与動物での感染性ウイルス量(感染フェレットから隔離後4日目)は検出限界未満であった。SARS-CoV-2感染シリアンハムスターモデルでは、モルヌピラビルは肺でのウイルスRNA及び感染性ウイルス量を減少させた。感染後に摘出した肺組織の病理組織学的検査で、媒体群と比較してモルヌピラビル群ではSARS-CoV-2のウイルス抗原量の低下及び肺病変の軽減が認められた。
NHCの存在下でSARS-CoV-2(USA-WA1/2020株)をVero E6細胞培養系にて30回継代した結果、NHCのEC50値の変化は2倍未満であった。30回継代したSARS-CoV-2ではゲノム全体にランダムに変異が認められた。
モルヌピラビル(Molnupiravir)
{(2R,3S,4R,5R)-3,4-Dihydroxy-5-[(4Z)-4-(hydroxyimino)-2-oxo-3,4-dihydropyrimidin-1(2H)-yl]oxolan-2-yl}methyl 2-methylpropanoate
C13H19N3O7
329.31
白色の粉末で、メタノールに溶けやすく、水にやや溶けやすく、酢酸エチルに溶けにくい。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
40カプセル[瓶、バラ]
1) Nakamura K, et al. Clin Transl Sci. 2022;15:2697-708.
2) Crotty S, et al. Nat Med. 2000;6:1375-9.
3) Tejero H, et al. Curr Top Microbiol Immunol. 2016;392:161-79.
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