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劇薬
処方箋医薬品注)
同種造血幹細胞移植患者の感染管理に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに投与すること。
下記におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
*腎移植以外の臓器移植患者を対象に本剤の有効性及び安全性を評価する臨床試験は実施していない。
**通常、成人にはレテルモビルとして480mgを1日1回、約60分かけて点滴静注する。シクロスポリンと併用投与する場合にはレテルモビルとして240mgを1日1回、約60分かけて点滴静注する。通常、小児にはレテルモビルとして以下の用量を1日1回、約60分かけて点滴静注する。
体重
用量(シクロスポリンの併用なし)
用量(シクロスポリンの併用あり)
30kg以上
480mg
240mg
用量(シクロスポリンの併用の有無にかかわらない)
15kg以上30kg未満
120mg
7.5kg以上15kg未満
60mg
5kg以上7.5kg未満
40mg
長期間に亘り点滴静注製剤を継続して使用する場合には、添加剤ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの蓄積により腎機能障害の悪化等を引き起こすおそれがあるため、定期的に腎機能検査を実施する等観察を十分に行うこと。
定期的に腎機能検査を実施する等観察を十分に行うこと。添加剤ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの蓄積により腎機能障害の悪化等を引き起こすおそれがある。
レテルモビルの血漿中濃度が上昇するおそれがある。,
妊娠可能な女性に対しては、本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤投与の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を投与するか、本剤投与中の患者が妊娠した場合は、本剤投与による催奇形性等が生じる可能性があることについて、患者に十分説明すること。妊娠ラット及びウサギの器官形成期に投与したとき、成人同種造血幹細胞移植患者の臨床曝露量(480mg静脈内投与)のそれぞれ11倍及び1.7倍の母動物毒性を示す用量で骨格奇形、胎児体重の減少等が認められた。妊娠ラットに着床から分娩後まで投与した試験では、臨床曝露量の2.2倍まで胚・胎児毒性は認められなかった。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁移行が認められている1)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
ピモジド(オーラップ)
併用により、ピモジドの血漿中濃度が上昇し、QT延長及び心室性不整脈を引き起こすおそれがある。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン配合錠)
ジヒドロエルゴタミン
メチルエルゴメトリン(パルタンM)
エルゴメトリン
併用により、これら麦角アルカロイドの血漿中濃度が上昇し、麦角中毒を引き起こすおそれがある。
CYP3Aの基質
キニジン
ミダゾラム等
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
ボリコナゾール
併用により、ボリコナゾールの血漿中濃度が低下する。併用時は、ボリコナゾールの治療効果を減弱させるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察することが推奨される。
レテルモビルの併用により、CYP2C9及びCYP2C19が誘導されると考えられる。
CYP2C9又はCYP2C19の基質
ワルファリン等
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。フェニトインとの併用時は、血中フェニトイン濃度を頻繁にモニタリングすること。ワルファリンとの併用時は、INRを頻繁にモニタリングすること。
レテルモビルの併用により、CYP2C9又はCYP2C19が誘導されると予測される。
リファンピシン
併用により、レテルモビルの血漿中濃度が低下する。また、リファンピシンとの併用終了翌日に単独投与したレテルモビルの血漿中濃度がさらに低下するので、リファンピシンとの併用終了後、レテルモビルの有効性が減弱する可能性がある。
リファンピシンの併用により、P-gp及びUGT1A1/3が誘導されると考えられる。
アトルバスタチン
併用により、アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇する。併用時は、アトルバスタチンの副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、CYP3A、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害される。
シンバスタチン
併用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。併用時は、これらの薬剤の副作用(ミオパチー等)に注意して患者の状態を十分に観察すること。
レテルモビルの併用により、CYP3A、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害されると予測される。
ロスバスタチン
フルバスタチン
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3及び腸管のBCRPが阻害されると予測される。
プラバスタチン
ピタバスタチン
レテルモビルの併用により、OATP1B1/3が阻害されると予測される。
シクロスポリン
併用により、レテルモビル及びシクロスポリンの血中濃度が上昇する。レテルモビルとの併用時及び中止時には、シクロスポリンの血中濃度を頻繁にモニタリングし、シクロスポリンの用量を調節すること。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される。シクロスポリンの併用により、OATP1B1/3が阻害される。
タクロリムス
シロリムス
併用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する。レテルモビルとの併用時及び中止時には、これらの薬剤の血中濃度を頻繁にモニタリングし、これらの薬剤の用量を調節すること。
レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害される。
*エベロリムス
*併用により、エベロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある。レテルモビルとの併用時及び中止時には、エベロリムスの血中濃度を頻繁にモニタリングし、エベロリムスの用量を調節すること。
*レテルモビルの併用により、CYP3Aが阻害されると予測される。
1%以上5%未満
1%未満
*血液及びリンパ系障害
*白血球減少症
*好中球減少症
胃腸障害
悪心、下痢、嘔吐
免疫系障害
過敏症
*臨床検査
*白血球数減少
レテルモビルの投与量
バイアルからの採取液量
点滴バッグの液量
24mL(12mL×2バイアル)
250mL
12mL
6mL
75mL
3mL
50mL
40mgを投与する場合、1バイアル(レテルモビル濃度20mg/mL)から5mLを採取し、45mLの日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液が入った点滴バッグに添加し、振盪せず静かに混和すること。当該希釈液を20mL投与すること。
本剤は他剤と配合したとき、濁りや不溶性異物が生じることがある。配合適性についてはデータが限られているが、次の薬剤は配合禁忌であり、同一の輸液ラインを通して同時に注入しないこと。主な配合禁忌薬剤:アミオダロン塩酸塩、アムホテリシンBリポソーム、アズトレオナム、セフェピム塩酸塩、シプロフロキサシン、シクロスポリン、ジルチアゼム塩酸塩、フィルグラスチム(遺伝子組換え)、ゲンタマイシン硫酸塩、レボフロキサシン、リネゾリド、ミダゾラム、オンダンセトロン塩酸塩、パロノセトロン塩酸塩
日本人健康成人女性にレテルモビル240mg注9)及び480mgを60分かけて単回静脈内投与した際の、レテルモビルの薬物動態パラメータを表1に示す。レテルモビルは、二相性の消失を示した。また、レテルモビルのAUC0-∞は、用量比を上回る上昇を示した。
用量
例数
Ceoi注2)(ng/mL)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
240mg注9)
6
18,700(16.2)
60,800(20.2)
11.8(64.0)
41,000(21.3)
176,000(31.9)
10.8(33.7)
幾何平均(幾何平均に基づく変動係数[%])
また、日本人健康成人女性にレテルモビル480mgを反復経口投与した際、AUC0-24hr及びCmaxの幾何平均比に基づく累積係数は、それぞれ0.97及び0.94であった。
成人同種造血幹細胞移植患者350例(うち、日本人成人同種造血幹細胞移植患者23例)から得られた血漿中レテルモビル濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。日本人成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを480mg、シクロスポリンを併用投与する場合はレテルモビルを240mgで1日1回静脈内投与した際の、レテルモビルの定常状態におけるAUC0-24hrを表2に示す。第Ⅲ相国際共同試験(001試験)で得られた曝露量の範囲では、一貫した有効性が示されており、各投与方法における曝露量に、臨床的な違いは認められなかった。
投与方法
AUC0-24hr注3)(ng・hr/mL)
幾何平均
幾何平均に基づく変動係数(%)
480mg静脈内投与
11
101,200
24.4
シクロスポリン併用240mg静脈内投与
70,810
16.5
小児同種造血幹細胞移植患者60例(うち、日本人小児同種造血幹細胞移植患者4例)から得られた血漿中レテルモビル濃度データを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。小児同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを1日1回静脈内投与した際の、レテルモビルの定常状態におけるAUC0-24hrを表3に示す。小児同種造血幹細胞移植患者の曝露量は、すべての体重区分で、成人同種造血幹細胞移植患者で得られた曝露量の範囲内であった。
シクロスポリン非併用時の静脈内投与量
AUC0-24hr(ng・hr/mL)中央値[90%予測区間]注4)
シクロスポリン併用時の静脈内投与量
111,000[55,700, 218,000]
59,800[28,400, 120,000]
57,200[29,700, 113,000]
61,100[29,900, 121,000]
46,000[24,300, 83,900]
49,200[25,800, 93,800]
43,400[24,300, 81,000]
45,900[24,900, 82,200]
母集団薬物動態解析から、日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを静脈内投与した際の、レテルモビルの定常状態における分布容積の平均値は、45.5Lと推定された。In vitroデータより、レテルモビルは、ヒト血漿蛋白に対し、高い結合を示した(98.7%)。レテルモビルの血中と血漿中濃度比(血中/血漿)は0.56であり、検討した濃度範囲(0.1~10mg/L)で変わらなかった。非臨床分布試験から、レテルモビルは、消化管、胆管及び肝臓の臓器並びに組織に高濃度に分布し、脳に低濃度に分布した。
外国人健康成人に、ラベル体で標識したレテルモビルを経口投与した際、血漿中レテルモビル関連物質の大部分は未変化体であり(96.6%)、主要代謝物は検出されなかった。レテルモビルは、UGT1A1/1A3を介したグルクロン酸抱合により、一部消失した。
母集団薬物動態解析から、日本人を含む成人同種造血幹細胞移植患者にレテルモビルを静脈内投与した際、レテルモビルの定常状態におけるクリアランスは、4.84L/hrと推定された。また、クリアランスの個体間変動は、24.6%と推定された。外国人健康成人に、ラベル体で標識したレテルモビルを経口投与した際、総放射能の93.3%は糞中から回収された。レテルモビルは主に未変化体として糞中に排泄され、少量(6%)はアシルグルクロン酸抱合体として排泄された。また、レテルモビルの腎排泄は、わずかであった(2%未満)。
外国人成人腎機能障害者を対象とした臨床試験で、レテルモビルを1日1回8日間反復経口投与した際、成人腎機能正常者(推算糸球体濾過量が90mL/min/1.73m2以上)と比較して、レテルモビルのAUC0-24hrは、中等度(推算糸球体濾過量が30~59mL/min/1.73m2)の成人腎機能障害者では約1.9倍及び重度(推算糸球体濾過量が30mL/min/1.73m2未満)の成人腎機能障害者では約1.4倍高かった。外国人成人腎移植患者における母集団薬物動態解析から、軽度(クレアチニンクリアランスが60mL/min以上90mL/min未満)、中等度(クレアチニンクリアランスが30mL/min以上60mL/min未満)及び重度(クレアチニンクリアランスが15mL/min以上30mL/min未満)の腎機能障害を有する成人被験者におけるレテルモビルのAUCは、クレアチニンクリアランスが90mL/min以上の成人被験者と比較してそれぞれ約1.1倍、1.3倍及び1.4倍高かったが、臨床的に意味はないと考えられた。
外国人成人肝機能障害者に、レテルモビルを1日1回8日間反復経口投与した際、成人肝機能正常者と比較して、レテルモビルのAUC0-24hrは、Child-Pugh分類に基づく中等度(Child-Pugh B)の成人肝機能障害者では約1.6倍及びChild-Pugh分類に基づく重度(Child-Pugh C)の成人肝機能障害者では約3.8倍高かった。,
In vitroデータから、レテルモビルは、OATP1B1/3、P-gp、BCRP、UGT1A1及びUGT1A3の基質であることが示唆された。また、レテルモビルは、CYP3Aの時間依存的な阻害作用又は誘導作用、CYP2C8の可逆的な阻害作用、CYP2B6の誘導作用を有することが示唆された。また、レテルモビルは、排出トランスポーターであるP-gp、BCRP、胆汁酸塩輸送ポンプ(BSEP)、多剤耐性関連蛋白(MRP2)、有機アニオントランスポーター(OAT3)及び肝取り込みトランスポーターであるOATP1B1/3の阻害作用を有することが示唆された。
健康成人を対象とした臨床薬物相互作用試験から得られた、レテルモビルの薬物動態に及ぼす併用薬の影響及び併用薬の薬物動態に及ぼすレテルモビルの影響についてそれぞれ表4及び表5に示す。
併用薬
併用薬の投与方法
レテルモビルの投与方法
レテルモビルの薬物動態パラメータの幾何平均比(併用時/非併用時)(90%信頼区間)
AUC
Cmax
抗真菌薬
フルコナゾール
400mg単回PO
480mg単回PO
14
1.11(1.01, 1.23)
1.06(0.93, 1.21)
イトラコナゾール
200mgQDPO
480mgQDPO
1.33(1.17, 1.51)
1.21(1.05, 1.39)
抗マイコバクテリア薬
600mg単回PO
16
2.03(1.84, 2.26)
1.59(1.46, 1.74)
600mg単回IV
1.58(1.38, 1.81)
1.37(1.16, 1.61)
600mgQDPO注5)
0.81(0.67, 0.98)
1.01(0.79, 1.28)
600mgQDPO(リファンピシン併用終了後24時間)注6)
0.15(0.13, 0.17)
0.27(0.22, 0.31)
免疫抑制薬
シクロスポリン注7)
200mg単回PO
240mgQDPO
12
2.11(1.97, 2.26)
1.48(1.33, 1.65)
ミコフェノール酸モフェチル
1g単回PO
1.18(1.04, 1.32)
1.11(0.92, 1.34)
5mg単回PO
80mgBIDPO注9)
1.02(0.97, 1.07)
0.92(0.84, 1.00)
外国人成人のデータ
QD:1日1回投与、BID:1日2回投与、IV:静脈内投与、PO:経口投与、AUC:単回投与の場合はAUC0-∞、1日1回投与の場合はAUC0-24hr、1日2回投与の場合はAUC0-12hr
併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均比(併用時/非併用時)(90%信頼区間)
CYP3A基質
ミダゾラム
1mg単回IV
240mgQDPO注9)
1.47(1.37, 1.58)
1.05(0.94, 1.17)
2mg単回PO
2.25(2.04, 2.48)注8)
1.72(1.55, 1.92)
P-gp基質
ジゴキシン
0.5mg単回PO
240mgBIDPO注9)
22
0.88(0.80, 0.96)注8)
0.75(0.63, 0.89)
50mg単回PO
1.66(1.51, 1.82)
1.08(0.97, 1.19)
1.08(0.97, 1.20)
0.96(0.82, 1.12)
13
2.42(2.04, 2.88)
1.57(1.32, 1.86)
3.40(3.01, 3.85)
2.76(2.48, 3.06)
抗真菌薬及び抗ウイルス薬
アシクロビル
1.02(0.87, 1.20)
0.82(0.71, 0.93)
1.03(0.99, 1.08)
0.95(0.92, 0.99)
0.76(0.71, 0.81)
0.84(0.76, 0.92)
ポサコナゾール
300mg単回PO
0.98(0.82, 1.17)
1.11(0.95, 1.29)
200mgBIDPO
0.56(0.51, 0.62)
0.61(0.53, 0.71)
HMG-CoA還元酵素阻害剤
20mg単回PO
3.29(2.84, 3.82)
2.17(1.76, 2.67)
経口避妊薬
エチニルエストラジオール/レボノルゲストレル
0.03mgEE単回PO
1.42(1.32, 1.52)
0.89(0.83, 0.96)
0.15mgLNG単回PO
1.36(1.30, 1.43)
0.95(0.86, 1.04)
QD:1日1回投与、BID:1日2回投与、IV:静脈内投与、PO:経口投与、EE:エチニルエストラジオール、LNG:レボノルゲストレル、AUC:単回投与の場合はAUC0-∞、1日1回投与の場合はAUC0-24hr、1日2回投与の場合はAUC0-12hr
生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーションにおいて、CYP3A基質であるエベロリムス2mgを単独投与したときに対し、レテルモビル480mgとの併用時では、エベロリムスのAUCは2.5倍に増加すると推定された5)。
日本人を含むCMV抗体陽性の成人同種造血幹細胞移植患者(無作為化された患者570例、うち日本人患者36例)を対象に、CMV感染症の発症抑制効果及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(001試験)を実施した。移植日から移植後28日までの期間にレテルモビル480mg(シクロスポリン併用時はレテルモビル240mg)又はプラセボの投与を開始し、1日1回、経口又は静脈内投与にて、移植後14週(約100日)まで投与した。主要評価項目である移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染注10)が認められた被験者の割合は、レテルモビル群とプラセボ群の比較において、統計学的に有意な差が認められた6)。
レテルモビル群(325例)
プラセボ群(170例)
移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染が認められた被験者の割合注11)
37.5%(122/325例)
60.6%(103/170例)
-23.5[-32.6, -14.5]
-
<0.0001
移植後24週までに、レテルモビルの投与を受けた373例中63例(16.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心(7.2%)、下痢(2.4%)、嘔吐(1.9%)であった。,
移植後14週(約100日)以降もCMV感染及び感染症リスクを有するCMV抗体陽性の成人同種造血幹細胞移植患者注14)(無作為化された患者220例、うち日本人患者16例)を対象に、レテルモビルの予防投与を移植後14週(約100日)から移植後28週(約200日)に延長した際の有効性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(040試験)を実施した。移植後約100日までレテルモビルによる予防投与を完了した患者を無作為に割り付け、レテルモビル480mg(シクロスポリン併用時はレテルモビル240mg)又はプラセボを、1日1回、経口又は静脈内投与にて、移植後28週(約200日)まで投与した。主要評価項目である移植後14週(約100日)から28週(約200日)までに臨床的に意味のあるCMV感染注13)が認められた被験者の割合は、レテルモビル群とプラセボ群の比較において、統計学的に有意な差が認められた7)。
レテルモビル(レテルモビル約200日投与)群(144例)
プラセボ(レテルモビル約100日投与)群(74例)
移植後14週から28週に臨床的に意味のあるCMV感染が認められた被験者の割合注15)
2.8%(4/144例)
18.9%(14/74例)
プラセボとの群間差[95.02%信頼区間]注16)
-16.1[-25.8, -6.4]
p値注16)
0.0005
移植後14週(約100日)から28週(約200日)までに、レテルモビルの投与を受けた144例中4例(2.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心(2.1%)、嘔吐(1.4%)であった。,
CMV感染及び感染症リスクを有する出生時から18歳未満の小児同種造血幹細胞移植患者(組み入れられた患者65例、うち日本人患者5例)を対象に、レテルモビルを投与した際の薬物動態、CMV感染症の発症抑制効果及び安全性を検討することを目的として、単群非盲検試験(030試験)を実施した。移植日から移植後28日までの期間に年齢、体重及び剤形に基づく用量のレテルモビルの投与を開始し、1日1回、経口又は静脈内投与にて、移植後14週(約100日)まで投与した。有効性評価項目は、移植後24週以内の臨床的に意味のあるCMV感染注17)であった。移植後24週以内に臨床的に意味のあるCMV感染が認められた被験者の割合注18)は、25.0%(14/56例)であった。
移植後48週までに、レテルモビルの投与を受けた63例中20例(31.7%)に副作用が認められた。主な副作用は嘔吐(17.5%)であった。,
CMV抗体陽性のドナーより移植を受けるCMV抗体陰性の外国人成人腎移植患者(無作為化された患者601例)を対象に、CMV感染症の発症抑制効果及び安全性を検討することを目的として、無作為化二重盲検実薬対照非劣性試験(002試験)を実施した。移植日から移植後7日までの期間にレテルモビル480mg注19)(シクロスポリン併用時はレテルモビル240mg)又はバルガンシクロビル900mg(静脈内投与の場合はガンシクロビル5mg/kg)の投与を開始し、1日1回、経口又は静脈内投与にて、移植後28週(約200日)まで投与した。レテルモビル群の被験者には単純ヘルペスウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルスの予防のためアシクロビルを投与し、バルガンシクロビル群の被験者にはアシクロビルのプラセボを投与した。主要評価項目である移植後52週以内にCMV感染症を発症した被験者の割合は表3のとおりであった。10%の非劣性マージンに基づき、レテルモビルはバルガンシクロビルに対して非劣性を示した8)。
レテルモビル群(289例)
バルガンシクロビル群(297例)
移植後52週以内にCMV感染症を発症した被験者注20)の割合注21)
10.4%(30/289例)
11.8%(35/297例)
バルガンシクロビル群との群間差[95%信頼区間]注22)
-1.4[-6.5, 3.8]
移植後28週までに、レテルモビル群で292例中58例(19.9%)、バルガンシクロビル群で297例中104例(35.0%)に副作用が認められた。主な副作用(2%以上)は、レテルモビル群で白血球減少症(6.8%)及び好中球減少症(2.1%)、バルガンシクロビル群で白血球減少症(22.9%)、好中球減少症(8.1%)及び白血球数減少(4.0%)であった。,
ドナー又はレシピエントいずれかのCMV抗体が陽性の日本人成人腎移植患者(22例)を対象に、CMV感染症の発症抑制効果及び安全性を検討することを目的として、単群非盲検試験(042試験)を実施した。移植日から移植後7日までの期間にレテルモビル480mg(シクロスポリン併用時はレテルモビル240mg)の投与を開始し、1日1回、経口投与にて、移植後28週(約200日)まで投与した。移植後52週以内にCMV感染症を発症した被験者(独立した中央判定委員会で臓器障害を伴うCMV感染症又はCMV症候群と判定された被験者)の割合は、9.5%(2/21例)であった。移植後28週までに、レテルモビルの投与を受けた22例中4例(18.2%)に副作用が認められた。報告された副作用は白血球減少症、下痢、悪心及び血中アルカリホスファターゼ増加(各1例、4.5%)であった9)。,
TQT試験で、外国人健康成人38例を対象に、レテルモビルがQTc間隔に及ぼす影響をプラセボ及び陽性対照と比較検討した。レテルモビル960mgを単回静脈内投与注23)したときのQTcP間隔(試験集団固有のべき係数で補正したQT間隔)のベースラインからの変化量のプラセボとの差[90%信頼区間]の最大値は、4.93[2.81, 7.05]ms(投与後1時間)であった。
レテルモビルはウイルスの複製に必要なCMVのDNAターミナーゼ複合体を阻害する。生化学的な検討及び電子顕微鏡所見から、レテルモビルは一単位長のゲノムの生成に影響し、ウイルス粒子の形成を阻害することが明らかとなった。
感染細胞培養系でのCMVの臨床分離株(74株)に対するレテルモビルのEC50値の範囲は0.7~6.1nMであった。
CMVのDNAターミナーゼのサブユニットはCMV遺伝子のUL51、UL56及びUL89領域にコードされる。細胞培養系にてレテルモビルに低感受性のCMV変異株を分離した。その結果、pUL51(P91S、A95V)、pUL56(C25F、S229F、V231A/L、N232Y、V236A/L/M、E237D、L241P、T244K/R、L254F、L257F/I、K258E、F261C/L/S、Y321C、C325F/R/W/Y、L328V、M329T、A365S、N368D、R369G/M/S)及びpUL89(N320H、D344E)にアミノ酸置換が認められた。これらの置換を有する遺伝子組換えCMV変異株のEC50値は野生株と比較して1.6~9,300倍高値を示した。
外国人を対象とした第Ⅱ相試験(020試験)では、131例の成人同種造血幹細胞移植患者に60、120又は240mgのレテルモビル又はプラセボを1日1回84日間投与し、レテルモビル群のうち予防不成功となり検体が得られた12例を対象に、UL56遺伝子の231~369位のアミノ酸配列を中心にDNAシークエンス解析を実施した。60mg投与群1例でレテルモビルに低感受性を示す置換(V236M)が検出された。成人同種造血幹細胞移植患者を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(001試験)では、レテルモビル群のうち予防不成功となり検体が得られた50例を対象に、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。3例でレテルモビルに低感受性を示す4種類の置換がpUL56に検出された。1例でC325W及びR369Tが、他の2例で各々V236M及びE237Gの置換が検出された。成人同種造血幹細胞移植患者を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(040試験)では、全投与群のうち予防不成功又は早期中止しCMV血症が認められた32例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。小児同種造血幹細胞移植患者を対象とした後期第Ⅱ相国際共同試験(030試験)では、CMV血症が認められ検体が得られた10例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。2例でレテルモビルに低感受性を示す置換がpUL56に検出された。1例でR369Sが、他の1例でC325Wの置換が検出された。外国人成人腎移植患者を対象とした第Ⅲ相海外試験(002試験)では、レテルモビル群のうちCMV感染症を発症又は早期中止しCMV血症が認められ検体が得られた52例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。日本人成人腎移植患者を対象とした第Ⅲ相国内試験(042試験)では、レテルモビルの投与を受けた被験者のうちCMV感染症を発症又はCMV血症が認められ検体が得られた4例を対象に、UL51、UL56及びUL89遺伝子のすべてのコード領域のDNAシークエンス解析を実施した。レテルモビルに低感受性を示す置換は検出されなかった。
ガンシクロビルに耐性を示すpUL97又はpUL54領域に置換を有するCMVは、レテルモビルに感受性を示した。野生型と比較してガンシクロビルに対する感受性を2.1倍低下させるpUL56 E237G置換を有する遺伝子組換えCMV株を除き、レテルモビルに対し耐性を示す置換を有する各種遺伝子組換え株は、ホスカルネット及びガンシクロビルに対して感受性を示した。
レテルモビル(Letermovir)
(4S)-2-{8-Fluoro-2-[4-(3-methoxyphenyl)piperazin-1-yl]-3-[2-methoxy-5-(trifluoromethyl)phenyl]-3,4-dihydroquinazolin-4-yl}acetic acid
C29H28F4N4O4
572.55
白色の粉末である。
外箱開封後は遮光して保存すること。
1バイアル(12mL)×10
1) 社内資料:レテルモビルのラット乳汁中移行に関する試験(2018年3月23日承認、CTD2.6.4.6)
2) Gould S, et al. Food Chem Toxicol. 2005;43:1451-9.
3) **Crumling MA, et al. Front Cell Neurosci. 2017;11:355.
4) **Liu X, et al. Neurotox Res. 2020;38:808-23.
5) *Menzel K, et al. Clin Transl Sci. 2023;16:1039-48.
6) *Marty FM, et al. N Engl J Med. 2017;377:2433-44.
7) *Russo D, et al. Lancet Haematol. 2024;11:e127-35.
8) *Limaye AP, et al. JAMA. 2023;330:33-42.
9) **Ishida H, et al. Clin Exp Nephrol. 2024;28:822-31.
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