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エヌフロンシア筋注シリンジ105mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.5排泄
16.8その他
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

エヌフロンシア筋注シリンジ105mg

添付文書番号

625040AG1029_1_02

企業コード

170050

作成又は改訂年月

2026年6月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

87625

薬効分類名

抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤

承認等

エヌフロンシア筋注シリンジ105mg

販売名コード

YJコード

625040AG1029

販売名英語表記

ENFLONSIA for Intramuscular Injection Syringes 105mg

販売名ひらがな

えぬふろんしあ

承認番号等

承認番号

30800AMX00147000

販売開始年月

2026年8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

36箇月

規制区分

一般的名称

筋肉内注射用クレスロビマブ(遺伝子組換え)

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある者,

3. 組成・性状

3.1 組成

エヌフロンシア筋注シリンジ105mg

有効成分(1シリンジ中)
クレスロビマブ(遺伝子組換え)注1)   105mg/0.7mL
添加剤L-ヒスチジン(0.55mg)、L-ヒスチジン塩酸塩水和物(0.74mg)、L-アルギニン塩酸塩(10.33mg)、精製白糖(35mg)、ポリソルベート80(0.14mg)
注1) 本剤は遺伝子組換え技術により、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

エヌフロンシア筋注シリンジ105mg

剤形注射剤(プレフィルドシリンジ)
pH5.5~6.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状無色~微黄色の澄明~僅かに乳白光を呈する液

4. 効能又は効果

  • 1. 生後初回のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制
  • 2. 生後初回のRSウイルス感染流行期の1.以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児に使用する場合、以下のいずれかに該当することを確認した上で投与すること。
    • 〇生後初回のRSウイルス感染流行期の、流行初期において
      • 在胎期間35週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児及び乳児
      • 過去6ヵ月以内に慢性肺疾患の治療を受けた12ヵ月齢以下の新生児及び乳児
      • 12ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児及び乳児
      • 12ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児及び乳児
  2. 5.2 本剤の投与に際しては、学会等から提唱されているガイドライン等を参考とし、個々の症例ごとに本剤の適用を考慮すること。
  3. 5.3 既に発症したRSウイルス感染症に対する本剤の治療効果は確立されていない。

6. 用法及び用量

生後初回のRSウイルス感染流行期に、通常、クレスロビマブ(遺伝子組換え)として105mgを1回、筋肉内注射する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 RSウイルス感染流行期に心肺バイパスを用いた心臓手術又は体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた処置を受けた乳児には、本剤の適切な血清中濃度を確保するため、術後又は処置後安定した時点で速やかに、本剤105mgを補充投与することが望ましい。
  2. 7.2 パリビズマブから本剤への切替えは避けること。同一RSウイルス感染流行期において、パリビズマブの投与開始後に本剤に切り替えた際の有効性及び安全性を検討したデータはない。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 アナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応が他のヒトIgG1モノクローナル抗体でまれに報告されている。臨床的に重大な過敏症反応又はアナフィラキシーの兆候や症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 血小板減少症、凝固障害等の出血リスクを有する者、抗凝固療法を受けている者

    止血を確認できるまで投与部位を押さえるなど慎重に投与すること。出血により重篤な状態を招くおそれがある。

  2. 9.1.2 急性感染症又は発熱性疾患のある者

    中等度から重度の急性感染症又は発熱性疾患がある場合は、本剤の投与による有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合を除き、本剤の投与を延期すること。一般に、軽度上気道感染症等の軽度な発熱性疾患は本剤の投与延期の理由とはならない。

  3. 9.1.3 体重1.1kg未満の児

    体重1.1kg未満の児への本剤の使用については、有益性と危険性を慎重に検討すること。臨床試験において体重1.1kg未満の児への投与経験はない。母集団薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、体重1.1kg未満の児におけるクレスロビマブの曝露量は、体重1.1kg以上の児よりも高くなることが予測された。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  • 重篤な過敏症反応(頻度不明)

    ,

11.2 その他の副作用

1%以上6%未満

一般・全身障害及び投与部位の状態

注射部位腫脹、注射部位紅斑

皮膚及び皮下組織障害

発疹

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

RSウイルス検査のうち、ウイルス抗原検出及びウイルス培養を測定原理とする検査の結果が陰性でも、臨床所見がRSウイルス感染症と一致する場合には、RT-PCR検査を行うことが望ましい。本剤はウイルス抗原検出及びウイルス培養を測定原理とする検査に干渉し偽陰性になるおそれがあるが、RT-PCR検査には干渉しない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 本剤を振盪しないこと。
  2. 14.1.2 使用する約15分前に冷蔵庫から取り出し、常温に戻しておくこと。冷蔵庫から取り出した後は48時間以内に使用すること。48時間以内に使用しなかった場合は廃棄すること。
  3. 14.1.3 使用前には必ず、粒子状物質又は変色がないかを目視により確認すること。本剤は無色~微黄色の澄明~僅かに乳白光を呈する液である。粒子状物質や変色が認められた場合には、使用しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 本剤は粘性があるため、25ゲージ又はそれより太い針を使用すること。
  2. 14.2.2 シリンジのバックストップ及びキャップの隣に位置するルアーロックアダプターは外さないこと。
  3. 14.2.3 シリンジ内の全量を大腿前外側部に筋肉内注射すること。臀筋、主要な神経幹又は血管がある可能性がある部位には投与しないこと。
  4. 14.2.4 心肺バイパスを用いた心臓手術後又はECMOを用いた処置後の補充投与時において、本剤を同一箇所へ繰り返し投与することは避け、投与ごとに注射部位を変えること。
  5. 14.2.5 神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
  6. 14.2.6 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
  7. 14.2.7 本剤は単回使用の製剤であり、再使用しないこと。
  8. 14.2.8 他のワクチンと同時に本剤を投与する場合、別のシリンジを用いて異なる部位に投与すること。同一のシリンジ又はバイアル内で本剤を他のワクチン又は薬剤と混合しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 免疫原性

    国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(004試験)及び国際共同第Ⅲ相試験(007試験)において、投与後240日目までに抗薬物抗体が陽性となった治験参加者の割合は、それぞれ12.0%(124/1033例)及び13.0%(34/261例)であった。
    004試験及び007試験において、抗薬物抗体の発現による本剤の薬物動態、RSウイルス血清中和活性又は安全性への影響は特定されなかった。抗薬物抗体の発現による本剤の有効性への影響は明らかでない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

乳幼児にクレスロビマブを20~210mgの用量範囲で単回筋肉内投与した際、概して薬物動態の線形性が認められた。生後初回のRSウイルス感染流行期にクレスロビマブを推奨用量の105mgで投与したときの血清中曝露量は、国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(004試験)における新生児及び乳児、国際共同第Ⅲ相試験(007試験)における在胎期間35週以下(在胎期間29週未満を含む)で出生した早産児及び乳児、並びに007試験における慢性肺疾患又は先天性心疾患を有する新生児及び乳児のいずれにおいても同程度であった。
健康な早産児及び正期産児、並びにRSウイルス感染症の重症化リスクが高い乳児に対して、生後初回のRSウイルス感染流行期にクレスロビマブ105mgを単回筋肉内投与した際の母集団薬物動態解析に基づく薬物動態パラメータを表に示す。

表 生後初回のRSウイルス感染流行期にクレスロビマブ105mgを単回筋肉内投与した際の母集団薬物動態解析(日本人乳児を含む国際共同試験データ)に基づく血清中濃度及び薬物動態パラメータ[幾何平均(幾何平均に基づく変動係数%)]

対象集団

例数

AUC0-150day

Cmax

Cday7

Cday150

Cday240

004試験
シーズン1

2304

6250.8
(21.1)

114.9
(23.3)

114.7
(23.1)

10.1
(36.4)

2.5
(58.6)

007試験
シーズン1
先天性心疾患

50

6887.4
(23.4)

130.8
(21.3)

129.9
(21.3)

10.1
(47.5)

2.3
(78.3)

007試験
シーズン1
慢性肺疾患

120

8000.7
(17.9)

153.8
(22.0)

153.2
(21.7)

12.2
(23.0)

3.0
(35.3)

007試験
シーズン1
早産

264

7771.0
(20.1)

152.2
(24.5)

151.3
(24.2)

11.5
(36.6)

2.8
(59.6)

曝露量の単位はμg・day/mL(AUC0-150day)又はμg/mL(Cmax、Cday7、Cday150及びCday240)

16.2 吸収

クレスロビマブの絶対的バイオアベイラビリティは77.8%と推定され、最高濃度到達時間の中央値(2.5%点-97.5%点)は6.5(5.9~7.4)日であった。

16.3 分布

体重5kgの典型的な乳幼児におけるクレスロビマブの見かけの分布容積は、830mLと推定された。
成人被験者から採取した鼻粘膜から、クレスロビマブが容易に検出された。鼻粘膜の上皮被覆液中のクレスロビマブ濃度は、血清中濃度の1.4%~3.3%であった(外国人データ)。

16.5 排泄

クレスロビマブの終末相の半減期は約44.0日であり、体重5kgの典型的な乳幼児における見かけのクリアランスは19.7mL/dayと推定された。

16.8 その他

  1. 16.8.1 RSウイルスに対する血清中和抗体価

    RSウイルスに対する血清中和抗体価は、クレスロビマブの血清中濃度と相関する。乳幼児にクレスロビマブを筋肉内投与した際、体重5kgの典型的な乳幼児のRSウイルスに対する血清中和抗体価は、投与後4時間でベースラインの約7倍の増加、その最大値は約7日でベースラインの約78倍の増加と推定された。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(004試験)(jRCT2051210019)1)

    生後1年以内で初回RSウイルス感染流行期を迎える健康な正期産児/後期早産児(在胎期間35週以上)及び早期早産児/中期早産児(在胎期間29週以上35週未満)を対象として、本剤の有効性及び安全性を検討するプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。
    3632例(うち日本人186例)の新生児及び乳児が本剤群(2421例、本剤105mgを単回筋肉内投与)又はプラセボ群(1211例、プラセボを単回筋肉内投与)に2:1の比率で無作為化された。
    主要評価項目は、投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症注2)の発現率であり、本剤群とプラセボ群の比較において統計学的に有意な差注3)が認められた(表)。

    注2) 受診(入院及び外来)を要し、以下のすべての要件を満たした、RSウイルスによる下気道感染と定義された。
    ①咳嗽又は呼吸困難
    ②次のうち1つ以上が発現:喘鳴、胸壁の引き込み/陥凹、ラ音/断続性ラ音、低酸素血症、頻呼吸、呼吸器症状に起因する脱水
    ③上咽頭検体を用いたRT-PCRでRSウイルス陽性

    注3) 統計学的な成功基準は、有効率の95%信頼区間の下限が25%を超えることとされた。

    表 投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症の発現率(004試験、FAS集団)

    本剤群
    (n=2398)

    プラセボ群
    (n=1201)

    有効率(95%信頼区間)注4)
    (p値)

    発現例数

    5ヵ月での発現率注5)

    発現例数

    5ヵ月での発現率注5)

    60

    0.026

    74

    0.065

    60.4%(44.1, 71.9)
    (p<0.001)

    n=FAS集団に適格である治験参加者数

    注4) 有効率の推定値及び95%信頼区間はロバスト分散を使ったmodified Poisson regressionを用いて算出された。

    注5) イベント発現者数を全治験参加者における追跡時間を合計した総追跡期間で除して算出された。追跡期間は、治験参加者がイベントを発現した時点、治験を中止した時点、又は投与後150日のいずれか最も早い時点までの期間とした。

    投与後365日目までに、本剤群で2409例中696例(28.9%)、プラセボ群で1202例中344例(28.6%)に、治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された有害事象が認められた。治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された主な事象(発現割合5%以上)は、本剤群で易刺激性371例(15.4%)、傾眠248例(10.3%)及び注射部位疼痛156例(6.5%)、プラセボ群で易刺激性172例(14.3%)、傾眠129例(10.7%)及び注射部位疼痛96例(8.0%)であった。これらの主な事象は投与後5日目までは事前に規定した有害事象として収集され、それ以降は自発報告として収集された。

  2. 17.1.2 国際共同第Ⅲ相試験(007試験)(jRCT2031210664)2)

    生後1年以内で初回RSウイルス感染流行期を迎える、在胎期間35週0日以下の早産児又は慢性肺疾患若しくは血行動態に影響を及ぼす先天性心疾患を有する児を対象に、本剤の安全性、有効性及び薬物動態を検討することを目的として、実薬(パリビズマブ)対照無作為化部分盲検並行群間比較試験が実施された。2023年12月21日までに組み入れられた治験参加者の初回投与後42日目までの安全性評価結果が得られた中間解析時点(2024年2月5日データカットオフ)において、901例(うち日本人25例)の新生児及び乳児が、本剤群(450例、本剤105mgを筋肉内投与し、1ヵ月後にプラセボを筋肉内投与)又はパリビズマブ群(451例、パリビズマブ15mg/kgを1ヵ月ごとに3~5回筋肉内投与)に1:1の比率で無作為に割り付けられた。
    生後初回のRSウイルス感染流行期において、本剤群で445例中141例(31.7%)、パリビズマブ群で450例中163例(36.2%)に、治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された有害事象が認められた。治験担当医師により治験薬との関連ありと判定された主な事象(発現割合5%以上)は、本剤群で易刺激性88例(19.8%)、傾眠43例(9.7%)、注射部位疼痛35例(7.9%)、食欲減退33例(7.4%)、注射部位紅斑31例(7.0%)及び注射部位腫脹30例(6.7%)、パリビズマブ群で易刺激性93例(20.7%)、傾眠63例(14.0%)、注射部位疼痛51例(11.3%)、食欲減退31例(6.9%)、注射部位紅斑27例(6.0%)及び注射部位腫脹24例(5.3%)であった。これらの主な事象は投与後5日目までは事前に規定した有害事象として収集され、それ以降は自発報告として収集された。
    なお、投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症注2)の発現率は、本剤群0.036(95%信頼区間:0.020, 0.060)、パリビズマブ群0.030(95%信頼区間:0.016, 0.053)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

クレスロビマブは、Fc領域にYTEアミノ酸置換を導入した長期間作用型の完全ヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)中和モノクローナル抗体である。クレスロビマブは、RSウイルス外膜融合(F)タンパク上の抗原部位Ⅳに保存されたエピトープに結合し、RSウイルスの細胞内への侵入を阻害する。

18.2 抗ウイルス活性

HEp-2細胞を用いた感染中和試験で、クレスロビマブはRSウイルスA型及びB型の参照株(それぞれ、RSウイルスA Long株及びRSウイルスB Washington株)を、それぞれ6.0ng/mL及び3.0ng/mLのIC50値(平均値)で中和した(in vitroデータ)。
RSウイルスA2 Australia(A-BCM-1)実験室株を用いた感染中和試験で、参照株に対するIC50値の変化倍率は8.63倍であった。また、1987年から2021年に分離されたRSウイルス臨床分離株59株を用いた試験では、参照株に対するクレスロビマブのIC50値の変化倍率はRSウイルスA型で0.04~6.95倍及びRSウイルスB型で0.14~5.45倍の範囲であった(in vitroデータ)。

18.3 耐性

  1. 18.3.1 細胞培養系

    クレスロビマブの親抗体(YTE置換なし)存在下でRSウイルスA型株又はB型株(それぞれ、RSウイルスA2株又はRSウイルスB Washington株)を培養細胞に連続感染させたところ、クレスロビマブ耐性株がRSウイルスA型で4株及びRSウイルスB型で1株出現した。クレスロビマブ耐性RSウイルスA型4株では、クレスロビマブ結合エピトープ領域にG446E、S443P及びK445N、S443P及びG446E、又はS443Pの変異を有していた。また、クレスロビマブ耐性RSウイルスB型1株では同領域にS443Pの変異を有していた。

  2. 18.3.2 サーベイランス試験

    2024年4月15日時点のGenBankデータベースにおける15,527のRSウイルス遺伝子配列において、RSウイルスのクレスロビマブ結合エピトープは高度に保存されていた(99.8%)。そのデータベースでは13種類のクレスロビマブエピトープ変異体が同定され、そのうちの1種類の変異体I432Tは5つのRSウイルスA型株及び1つのRSウイルスB型株で同定された(0.04%)。この変異体では、クレスロビマブの中和活性が4倍(RSウイルスA型)及び1.6倍(RSウイルスB型)低下することが示された。また、RSウイルスA型のクレスロビマブ耐性関連置換G446Eが、3つのRSウイルスA型変異体でみられた(0.02%)。
    2019年から2023年に日本を含む北半球及び南半球の8ヵ国より臨床分離されたRSウイルス652株のうち塩基配列解析がなされた555株で、クレスロビマブ結合領域は高度に保存されていた(100%)。

  3. 18.3.3 臨床試験

    国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(004試験)及び国際共同第Ⅲ相試験(007試験)で投与後1日目から364日目までに分離されたRSウイルス株のクレスロビマブ結合部位(Ⅳ)にアミノ酸置換(RSウイルスA型でG446E、G446R又はG446W、RSウイルスB型でI432V、G446E又はG446R)が認められた。

18.4 交差耐性

クレスロビマブは、FタンパクにN262Y置換を有するRSウイルスA型及びRSウイルスB型パリビズマブ耐性臨床分離株に対して、RSウイルスA型及びB型参照株(それぞれ、RSウイルスA Long株及びRSウイルスB Washington株)と同程度の中和活性を示した。また、クレスロビマブは、臨床で報告されたニルセビマブ耐性置換(N208S、I64T+K68E、I64T+K68E+I206M+Q209R)を導入したRSウイルスB Washington株に対して、野生株と比較して同程度の中和活性を示した。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

クレスロビマブ(遺伝子組換え)
Clesrovimab(Genetical Recombination)

分子量

約149,000

本質

クレスロビマブは、遺伝子組換え抗RSウイルスFタンパク質モノクローナル抗体であり、ヒトIgG1に由来し、H鎖の3個のアミノ酸残基が置換(M262Y、S264T、T266E)されている。クレスロビマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生され、457個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質である。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 凍結を避けること。
  2. 20.2 外箱開封後は遮光して保存すること。
  3. 20.3 本剤が落下又は破損した場合、外箱のセキュリティーシールが破れた場合、使用期限が過ぎた場合は使用しないこと。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

シリンジ 0.7mL 1本

24. 文献請求先及び問い合わせ先

MSD株式会社 MSDカスタマーサポートセンター

東京都千代田区九段北1-13-12

医療関係者の方:フリーダイヤル 0120-024-961

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

MSD株式会社

東京都千代田区九段北1-13-12

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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