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ガスター錠10mg/ガスター錠20mg

処方せん医薬品以外の医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2ヒトでの作用
18.3動物での作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ガスター錠10mg/ガスター錠20mg

添付文書番号

2325003F1024_2_04

企業コード

171911

作成又は改訂年月

2023年8月改訂(第2版)
2019年8月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872325

薬効分類名

H2受容体拮抗剤

承認等

ガスター錠10mg

販売名コード

YJコード

2325003F1024

販売名英語表記

Gaster Tablets 10mg

販売名ひらがな

がすたーじょう

承認番号等

承認番号

16000AMZ00027

販売開始年月

1988年9月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ファモチジン錠

ガスター錠20mg

販売名コード

YJコード

2325003F2020

販売名英語表記

Gaster Tablets 20mg

販売名ひらがな

がすたーじょう

承認番号等

承認番号

16000AMZ00028

販売開始年月

1985年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

ファモチジン錠

一般的名称

ファモチジン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ガスター錠10mg

有効成分日局 ファモチジン   10mg(1錠中)
添加剤無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、白糖、乳酸カルシウム水和物、マクロゴール20000、酸化チタン、タルク、カルナウバロウ

ガスター錠20mg

有効成分日局 ファモチジン   20mg(1錠中)
添加剤無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、白糖、乳酸カルシウム水和物、マクロゴール20000、酸化チタン、タルク、カルナウバロウ

3.2 製剤の性状

ガスター錠10mg

剤形糖衣錠
色調白色~微黄白色
外形表面*
裏面
側面
大きさ直径7.1mm
厚さ3.6mm
質量0.14g

ガスター錠20mg

剤形糖衣錠
色調白色~微黄白色
外形表面*
裏面
側面
大きさ直径8.1mm
厚さ4.0mm
質量0.20g

4. 効能又は効果

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群
  • 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

6. 用法及び用量

  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群〉

    通常成人にはファモチジンとして1回20mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与する。また、1回40mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。
    なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、上部消化管出血の場合には通常注射剤で治療を開始し、内服可能になった後は経口投与に切りかえる。

  • 〈下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期〉

    通常成人にはファモチジンとして1回10mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与する。また、1回20mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。
    なお、年齢・症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 腎機能低下患者への投与法

    ファモチジンは主として腎臓から未変化体で排泄される。腎機能低下患者にファモチジンを投与すると、腎機能の低下とともに血中未変化体濃度が上昇し、尿中排泄が減少するので、次のような投与法を目安とする1)

    1回20mg1日2回投与を基準とする場合

    クレアチニンクリアランス
    (mL/min)

    投与法

    Ccr≧60

    1回20mg 1日2回

    60>Ccr>30

    1回20mg 1日1回
    1回10mg 1日2回

    30≧Ccr

    1回20mg 2~3日に1回
    1回10mg 1日1回

    透析患者

    1回20mg 透析後1回
    1回10mg 1日1回

8. 重要な基本的注意

血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 心疾患のある患者

    心血管系の副作用を起こすおそれがある。

  2. 9.1.2 薬物過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか投与間隔をあけて使用すること。,

9.3 肝機能障害患者

症状が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

本剤を減量するか投与間隔を延長するなど慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では、腎機能が低下していることが多いため血中濃度が持続するおそれがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • アゾール系抗真菌薬
      • イトラコナゾール

    左記の薬剤の血中濃度が低下する。

    本剤の胃酸分泌抑制作用が左記薬剤の経口吸収を低下させる2),3)

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(各0.1%未満)

      ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫〈顔面浮腫、咽頭浮腫等〉、蕁麻疹等)があらわれることがある。

    2. 11.1.2 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)、血小板減少(0.1%未満)

      再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(初期症状として全身倦怠感、脱力、皮下・粘膜下出血、発熱等)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
    4. 11.1.4 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

      AST・ALT等の上昇、黄疸があらわれることがある。

    5. 11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)

      高カリウム血症、ミオグロビン尿、血清逸脱酵素の著明な上昇、筋肉痛等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    6. 11.1.6 QT延長(頻度不明)

      特に心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者においてあらわれやすいので、投与後の患者の状態に十分注意すること。

    7. 11.1.7 意識障害、痙攣(いずれも頻度不明)

      意識障害、全身痙攣(痙直性、間代性、ミオクローヌス性)があらわれることがある。特に腎機能障害を有する患者においてあらわれやすいので、注意すること。

    8. 11.1.8 間質性腎炎、急性腎障害(いずれも頻度不明)

      初期症状として発熱、皮疹、腎機能検査値異常(BUN・クレアチニン上昇等)等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    9. 11.1.9 間質性肺炎(頻度不明)

      発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

    10. 11.1.10 不全収縮

    11.2 その他の副作用

    0.1~5%未満

    0.1%未満 

    頻度不明

    過敏症

    発疹・皮疹、蕁麻疹(紅斑)、顔面浮腫

    血液

    白血球減少

    好酸球増多

    消化器

    便秘

    下痢・軟便、口渇、悪心・嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、口内炎

    循環器

    血圧上昇、顔面潮紅、耳鳴

    徐脈、頻脈、房室ブロック

    肝臓

    AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇

    総ビリルビン上昇、LDH上昇

    肝機能異常、黄疸

    精神神経系

    全身倦怠感、無気力感、頭痛、眠気、不眠

    可逆性の錯乱状態、うつ状態、痙攣、意識障害、めまい

    内分泌系

    月経不順、女性化乳房

    乳汁漏出症

    その他

    CK上昇、味覚異常、筋肉痛、背部痛

    発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤交付時の注意

    1. 14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    ヒトに10~40mg経口投与した場合、投与後2~3時間に最高血中濃度に達する。血中消失半減期は、約3時間である4)

    臨床用量でのパラメータ

    用量(mg)

    Tmax(h)

    Cmax(ng/mL)

    t1/2(h)

    AUC0-24h
    (ng・h/mL)

    2.2

    33

    2.63

    20

    2.8

    64

    3.05

    368

    40

    2.5

    97

    3.02

    588

    1) 10mgについては、2回投与/日試験の初回投与時の成績を示した。
    2) AUC0-12hを示した。

    16.4 代謝

    ヒトに投与したときの尿中の代謝物は、S-oxide体のみであり、尿中総排泄量に占めるS-oxide体の割合は経口投与で0.9~3.2%、筋肉内投与で2.2~11.0%、静脈内投与で5.2~11.3%である4),5)

    16.5 排泄

    投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率は、経口投与で21.0~49.0%、筋肉内投与で71.0~89.6%、静脈内投与で57.8~96.4%である4),5)

    16.6 特定の背景を有する患者

    1. 16.6.1 腎機能障害患者
      ガスター20mg静脈内投与したときのパラメータ

      平均Ccr値
      (mL/min/1.48m2

      t1/2β
      (h)

      AUC
      (ng・h/mL)

      Ctot
      (mL/min)

      98.9

      n=7

      2.59

      857

      412

      73.8

      n=9

      2.92

      909

      381

      49.2

      n=5

      4.72

      1424

      242

      10.3

      n=10

      12.07

      4503

      84

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群〉
      1. 17.1.1 国内臨床試験

        ガスター錠、散及びOD錠で胃潰瘍及び十二指腸潰瘍等について二重盲検比較試験を含む臨床試験が行われ、有用性が認められた6),7),8),9),10),11),12),13),14),15),16)

        用法

        全般改善度

        自他覚症状
        改善度

        内視鏡判断
        治癒率
        又は改善率

        1.胃潰瘍3)

        20mg×2/日

        95.2%
        (1,174/1,233)

        95.1%
        (1,105/1,162)

        84.1%
        (1,037/1,233)

        40mg×1/日

        98.2%
        (449/457)

        95.4%
        (412/432)

        80.1%
        (366/457)

        2.十二指腸潰瘍4)

        20mg×2/日

        95.7%
        (645/674)

        95.4%
        (600/629)

        86.4%
        (582/674)

        40mg×1/日

        95.8%
        (343/358)

        95.2%
        (320/336)

        86.0%
        (308/358)

        3.胃・十二指腸共存潰瘍

        20mg×2/日

        95.1%
        (39/41)

        100.0%
        (41/41)

        92.7%
        (38/41)

        40mg×1/日

        100.0%
        (5/5)

        100.0%
        (5/5)

        100.0%
        (5/5)

        4.吻合部潰瘍

        20mg×2/日

        95.7%
        (22/23)

        100.0%
        (21/21)

        87.0%
        (20/23)

        40mg×1/日

        75.0%
        (3/4)

        66.7%
        (2/3)

        75.0%
        (3/4)

        5.逆流性食道炎

        20mg×2/日

        90.5%
        (19/21)

        90.0%
        (18/20)

        90.5%
        (19/21)

        40mg×1/日

        87.5%
        (21/24)

        87.0%
        (20/23)

        83.3%
        (20/24)

        6.上部消化管出血

        • 止血効果:

          静脈内投与による止血効果は91.2%(165/181)を示し、二重盲検比較試験によって本剤の有用性が認められた。用量検討試験及び二重盲検比較試験における1回20mg、1日2回静脈内投与での止血効果は91.0%(91/100)で、投与36時間内の止血率は66.0%(66/100)、3日以内の止血率は84.0%(84/100)であった。

        • 止血維持効果:

          静脈内投与での止血後経口投与(20mg×2/日)による止血維持効果は良好であった。

        7.Zollinger-Ellison症候群

        一般臨床試験6例中(経口投与5例、静脈内投与1例)、5例(経口投与4例、静脈内投与1例)に有効であった。

        3) 二重盲検比較試験(40mg/日、8週間投与)によって本剤の有用性が認められた。
        4) 二重盲検比較試験(40mg/日、6週間投与)によって本剤の有用性が認められた。

    • 〈急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善〉
      1. 17.1.2 国内臨床試験

        ガスター錠、散及びOD錠で急・慢性胃炎の胃粘膜病変について二重盲検比較試験を含む臨床試験が行われ、有用性が認められた17),18),19),20),21),22)

        用法

        全般改善度

        自他覚症状
        改善度

        内視鏡判断
        治癒率
        又は改善率

        1.急・慢性胃炎の胃粘膜病変5)

        10mg×2/日

        84.1%
        (333/396)

        84.4%
        (335/397)

        81.8%
        (320/391)

        20mg×1/日

        81.0%
        (141/174)

        84.0%
        (142/169)

        80.3%
        (139/173)

        5) 20mg×1/日投与法と10mg×2/日投与法との二重盲検比較試験では、自他覚症状改善度、内視鏡所見改善度、全般改善度及び有用度のいずれにおいても両者間に有意差は認められなかった。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    胃粘膜壁細胞のH2受容体を遮断し、胃酸分泌を抑制することにより、胃・十二指腸潰瘍、胃炎等の治癒効果を示す。

    18.2 ヒトでの作用

    1. 18.2.1 胃酸及びペプシン分泌抑制作用
      1. (1) 基礎及び各種刺激分泌

        健康成人又は消化性潰瘍患者における、基礎及び各種刺激剤投与時の2時間胃酸及びペプシン分泌量は、20mg経口投与によりそれぞれ71.6~99.6%、29.5~96.9%抑制される。

        胃酸分泌
        抑制率(%)

        ペプシン分泌
        抑制率(%)

        基礎分泌23)

        98.0

        71.0

        テトラガストリン(4μg/kg、筋注)刺激分泌24)

        94.7

        75.1

        ベタゾール(1mg/kg、筋注)刺激分泌24)

        99.6

        96.9

        インスリン(0.2IU/kg、静注)刺激分泌25)

        71.6

        29.5

        食餌刺激分泌26)

        98.9

        また、20mg静脈内投与で基礎分泌、テトラガストリン、ベタゾール刺激分泌を抑制する27),28)

      2. (2) 夜間分泌

        健康成人又は消化性潰瘍患者の午後11時から午前6時までの7時間胃酸及びペプシン分泌量は、20mg経口投与によりそれぞれ91.8%、71.8%抑制される29)

      3. (3) 24時間分泌・胃内pH

        健康成人の胃酸分泌量は、20mg経口投与により、午後8時から12時間以上にわたり抑制され、12時間胃酸分泌抑制率は93.8%である。胃内pHは、投与1時間後には4以上となり、12時間後まで5~6の範囲で推移する30)

      4. (4) 血中濃度と胃酸分泌抑制作用

        血中濃度と胃酸分泌抑制率との間には正の相関関係がみられ、胃酸分泌量を50%抑制するときの血中濃度は13ng/mLである31)

    2. 18.2.2 胃粘膜血流量に及ぼす影響

      0.1~0.2mg/kgの静脈内投与では健康成人の胃粘膜血流量を増加させる傾向が認められる32)

    3. 18.2.3 胃粘液分泌に及ぼす影響

      十二指腸潰瘍患者の胃液中粘液物質濃度に影響を及ぼさない33)

    4. 18.2.4 胃内容排出能に及ぼす影響

      胃潰瘍、十二指腸潰瘍患者に20mg経口投与した場合、胃排出能に影響を及ぼさない34)

    5. 18.2.5 肝血行動態に及ぼす影響

      20mg静脈内投与は、健康成人の肝血流量、門脈血流量に影響を及ぼさない35)

    6. 18.2.6 血中ガストリン値に及ぼす影響

      胃潰瘍、十二指腸潰瘍患者に20mg1日2回、1~2カ月経口投与した場合、血中ガストリン値に影響を及ぼさない36)

    7. 18.2.7 血中プロラクチン等に及ぼす影響

      20mg静脈内投与、20mg1日2回4週間経口投与は、健康成人、消化性潰瘍患者の血中プロラクチン、性腺刺激ホルモン、性ホルモン値に影響を及ぼさない37)

    18.3 動物での作用

    1. 18.3.1 H2受容体拮抗作用

      In vitroにおけるモルモット摘出心房の心拍数及びラット摘出子宮の収縮38)、並びにイヌin vivoの胃酸分泌39)を指標にしたH2受容体拮抗作用は、シメチジンに比し10~148倍強力である。

    2. 18.3.2 胃酸分泌抑制作用

      イヌのヒスタミン刺激時の胃酸分泌抑制効果は、シメチジンに比し作用強度で約40倍強く、持続時間で約1.3~1.5倍長い40),41)

    3. 18.3.3 胃粘液分泌に及ぼす影響

      ラットのストレスによる胃粘膜中糖蛋白量の減少を有意に抑制する41)

    4. 18.3.4 実験潰瘍に対する作用

      ラットのインドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン、ストレス及び幽門結紮による胃潰瘍あるいはシステアミン及びメピリゾールによる十二指腸潰瘍の発生に対してシメチジンよりも強い抑制効果を示す42),43)。また、連続投与により酢酸による胃潰瘍及びメピリゾールによる十二指腸潰瘍の治癒を促進し、効力はシメチジンより強い43),44)

    5. 18.3.5 胃出血に対する作用

      脱血及びヒスタミン投与によるラットの胃出血に対し抑制作用を示す41)

    6. 18.3.6 急性胃粘膜病変に対する作用

      ラットのタウロコール酸-ヒスタミン、タウロコール酸-セロトニン、塩酸-アスピリン及び塩酸-エタノールによる各胃粘膜病変を予防するのみならず、ヨードアセトアミドによる胃粘膜病変の治癒を促進する45)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    ファモチジン(Famotidine)

    化学名

    N-Aminosulfonyl-3- {[2- (diaminomethyleneamino) -1,3-thiazol-4-yl] methylsulfanyl} propanimidamide

    分子式

    C8H15N7O2S3

    分子量

    337.45

    性状

    ファモチジンは白色~帯黄白色の結晶である。酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。0.5mol/L塩酸試液に溶ける。光によって徐々に着色する。

    化学構造式

    融点

    約164℃(分解)

    22. 包装

    • 〈ガスター錠10mg〉

      100錠[10錠(PTP)×10]
      500錠[10錠(PTP)×50]

    • 〈ガスター錠20mg〉

      100錠[10錠(PTP)×10]
      500錠[10錠(PTP)×50]
      1,000錠[10錠(PTP)×100]

    23. 主要文献

    1) 猪爪信夫 他:Prog. Med. 1996;16(11):2897-2903[GA-3287]

    2) 二木芳人:Today’s Therapy 1994;18:42-45[GA-2621]

    3) Lim, S.G. et al.:Aliment. Pharmacol. Ther. 1993;7:317-321[GA-2622]

    4) 社内報告書:ヒト・薬物動態(D199602641-01.00, 1987)

    5) 社内報告書:ヒト・薬物動態(D199502069-01.00, 1986)

    6) 牧山和也 他:臨床と研究 1984;61(5):1660-1666[GA-0417]

    7) 細田四郎 他:新薬と臨床 1983;32(10):1579-1586[GA-0465]

    8) 湯川永洋 他:新薬と臨床 1983;32(12):1926-1933[GA-0439]

    9) 城所 仂 他:薬理と治療 1983;11(9):3659-3674[GA-0462]

    10) 関口利和 他:診療と新薬 1983;20(11):2476-2485[GA-0449]

    11) 白鳥敬子 他:日本消化器病学会雑誌 1984;81(7):1623-1627[GA-0408]

    12) 三好秋馬 他:内科宝函 1987;34(11):391-403[SJA-00794]

    13) 三好秋馬 他:内科宝函 1987;34(11):405-417[SJA-00848]

    14) 関口利和 他:医学と薬学 1987;18(1):172-182[GA-0234]

    15) 金子栄蔵 他:基礎と臨床 1995;29(3):747-763[GA-2362]

    16) 加藤則廣 他:薬理と治療 1995;23(2):419-431[GA-2363]

    17) 三好秋馬 他:薬理と治療 1988;16(1):119-140[GA-0154]

    18) 三好秋馬 他:医学と薬学 1988;19(1):147-163[GA-0170]

    19) 浅木 茂 他:臨床と研究 1995;72(2):513-524[GA-2342]

    20) 下山 孝 他:薬理と治療 1995;23(2):407-418[GA-2361]

    21) 関口利和 他:新薬と臨床 1995;44(2):135-146[GA-2364]

    22) 三輪 剛 他:臨床と研究 1995;72(3):716-724[GA-2365]

    23) 大江慶治 他:内科宝函 1983;30(11):365-378[GA-0440]

    24) 大江慶治 他:内科宝函 1984;31(1):11-24[GA-0423]

    25) 渡部洋三 他:薬理と治療 1983;11(9):3637-3650[GA-0464]

    26) 社内報告書:ヒト・薬理作用(DIR180097)

    27) 三好秋馬 他:基礎と臨床 1983;17(9):2909-2916[GA-0468]

    28) 三好秋馬 他:基礎と臨床 1983;17(9):2917-2927[GA-0470]

    29) 大江慶治 他:内科宝函 1984;31(2):51-62[GA-0411]

    30) 池添逸夫 他:日本消化器病学会雑誌 1983;80(Suppl.):694[GA-0418]

    31) Miwa, M. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. Toxicol.1984;22(4):214-217[GA-0751]

    32) 宮本二郎 他:薬理と治療 1983;11(9):3651-3658[GA-0463]

    33) 森 治樹 他:日本臨床 1984;42(1):150-157[JP-P00730]

    34) 原沢 茂 他:診療と新薬 1983;20(9):1859-1864[GA-0459]

    35) 大西久仁彦 他:薬理と治療 1983;11(10):4301-4304[GA-1463]

    36) 三好秋馬 他:新薬と臨床 1983;32(9):1383-1395[GA-0477]

    37) 早川 滉 他:臨床成人病 1984;14(4):571-577[GA-0422]

    38) 竹田正明 他:基礎と臨床 1983;17(9):2878-2882[GA-0472]

    39) Takeda, M. et al.:Eur. J. Pharmacol. 1983;91(4):371-376[GA-0756]

    40) Takagi, T. et al.:Arch. Int. Pharmacodyn. Ther. 1982;256(1):49-58[GA-0760]

    41) 竹田正明 他:基礎と臨床 1984;18(12):6125-6134[GA-0384]

    42) Takeda, M. et al.:Arzneimittel-Forschung 1982;32(7):734-737[GA-0759]

    43) 岡部 進 他:応用薬理 1984;27(3):563-569[GA-0416]

    44) Ishihara, Y. et al.:Digestion 1983;27(1):29-35[GA-0757]

    45) 宮田桂司 他:基礎と臨床 1987;21(16):6063-6073[SJA-00628]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    LTLファーマ株式会社 コールセンター

    〒160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目10番1号

    フリーダイヤル 0120-303-711

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