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アセトアミノフェン過量摂取時の解毒
通常、本剤又は本剤を希釈した液を、初回にアセチルシステインとして140mg/kg、次いでその4時間後から70mg/kgを4時間毎に17回、計18回経口投与する。経口投与が困難な場合は、胃管又は十二指腸管により投与する。投与後1時間以内に嘔吐した場合は、再度同量を投与する。
本電子添文末尾に記載したノモグラムにおいて、アセトアミノフェンの血漿中濃度がアセチルシステイン投与推奨ラインより上である場合に投与する。摂取後4時間までは血漿中濃度がピークとなっていないため、参考にならない。
血漿中濃度が迅速に測定できない場合でも、アセトアミノフェンとして7.5g又は150mg/kg以上の摂取が疑われる場合には投与する。
以下の(1)~(3)に示す患者には、摂取量が上記7.2.1、7.2.2の目安以下であっても本剤の投与を考慮すべきである。
本剤の投与により嘔気、嘔吐が発現することがあるため、アセトアミノフェンによる肝毒性が発現する危険性が、上部胃腸管系出血の危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
肝機能障害患者では、健康成人と比較して本剤の血中濃度が高くなることが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
成人と同様に、「患者の体重と本剤投与量の対比表」(本電子添文末尾に記載)を参考に投与すること。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
舌の腫脹、紅斑、血管浮腫等の異常が認められた場合には、必要に応じ投与を中止し、適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
頻度不明
過敏症
発疹(ときには発熱を伴う)、蕁麻疹等のアレルギー症状
消化器
嘔気、嘔吐
その他
スルフヘモグロビン血症
健康成人6名(男性2名, 女性4名)にアセチルシステイン(AC)400mgを空腹時に単回経口投与注1)した時の血漿中AC濃度は、投与後速やかに上昇し、投与後30分に還元型AC及び総ACともに最高濃度(Cmax)3.47μmol/L及び9.95μmol/Lを示した。その後の消失半減期は総ACでは6.25時間であった。吸収率は還元型ACで4.0%、総ACでは9.1%であった3),4)。
また、用量の増加注1)(200、600、1200mg)に伴い、還元型ACのCmaxは増加し、最高濃度到達時間は遅延した。AC600mgを1日2回、5日間反復経口投与注1)したときの血漿中AC濃度推移は、単回経口投与時と同程度であった。
健康成人10名(男性5名, 女性5名)に対し、アセチルシステインを200mg、600mg、1200mgの用量で単回投与及び600mgを1日2回、5日間反復投与したときの血中薬物動態は下表のとおりであった4)。
投与量
200mg
600mg
1200mg
600mg反復
バイオアベイラビリティ(%)
7.6±2.2
8.3±2.5
11.6±2.8
8.3±2.3
(Mean±S.D.,n=10)
慢性肝障害患者(アルコール性、原発性胆汁性、二次胆管狭窄)9名(男性7名、女性2名)及び健康成人6名(男性4名、女性2名)にアセチルシステイン600mgを単回静脈内投与した。分布容積は慢性肝障害患者が25.5±8.4L、健康成人が17.4±2.8Lであった5)。
ラットに35S-アセチルシステインを200mg/kg単回経口投与したとき、肝臓において投与後2時間後にシステイン及びシスチンが認められた6)。
ラットに35S-アセチルシステインを200mg/kg単回経口投与したとき、投与後24時間の尿中排泄率は約56%であった6)。
慢性肝障害患者(アルコール性、原発性胆汁性、二次性胆管狭窄)9名(男性7名、女性2名)及び健康成人6名(男性4名、女性2名)にアセチルシステイン600mgを単回静脈内投与注2)した時、血漿中アセチルシステイン濃度は肝障害患者の方が高濃度で推移し、消失半減期は健康成人で2.6時間であったのに対し、肝障害患者では4.9時間と有意に遅延した。この他、肝障害患者では、AUCが有意に高く、全身クリアランスは有意に低かった(外国人データ)5)。
被験者(例数)
T1/2(hr)
AUC(mg・hr/L)
Vdss(L)
Clrtot(L/hr)
健康成人(n=6)
2.6±0.3
93.9±9.6
17.4±2.8
6.5±0.8
肝障害患者(n=9)
4.9±1.7
152.3±50.4
25.5±8.4
4.5±1.9
(Mean±S.D.)T1/2:消失半減期、AUC:血漿中濃度曲線下面積、Vdss:分布容積、Clrtot:全身クリアランス
使用成績調査での96例(男性20例、女性76例)において13例(13.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、嘔気4件(4.2%)、嘔吐3件(3.1%)であった7)。
アセトアミノフェン過量摂取後24時間以内で、①血漿中アセトアミノフェン濃度が、アセチルシステイン投与推奨ライン注3)よりも上の患者、あるいは②血漿中アセトアミノフェン濃度が測定されていない場合、推定アセトアミノフェン摂取量が成人で7.5g以上、小児で140mg/kg以上の患者2540例(女子69.2%、10~30歳が78.3%)に対し、アセチルシステインを初回に140mg/kg、その4時間後から70mg/kgを4時間毎に17回、経口あるいは経胃・経十二指腸投与注4)した結果の概要は以下のとおりであった8)。
アセチルシステインの投与を開始するまでの時間(hr)
重症肝障害発現率(%)
probable-risk群注5)
high-risk群注5)
0-10
6.1(32/527)
8.3(17/206)
10-24
26.4(247/935)
34.4(199/578)
16-24
-
41.0(116/283)
アセトアミノフェンは、経口投与後速やかに消化管から吸収され、尿中における代謝物は、その大部分がグルクロン酸抱合体(49~54%)と硫酸抱合体(28~33%)であり、2~3%は代謝されずアセトアミノフェンとして存在する。また、およそ15%はチトクロームP450代謝経路に入り、代謝産物としてN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)及び3-ヒドロキシアセトアミノフェンを生じる。アセトアミノフェン中毒における肝障害、腎障害は、NAPQIが引き起こすとされている。NAPQIはグルタチオン抱合反応によって代謝され、メルカプツール酸として尿中に排泄されるが、アセトアミノフェンの大量服用によってNAPQIが過剰産生されると、グルタチオンが枯渇するとされている。アセチルシステインはグルタチオンの前駆物質として働き、解毒作用を示すと考えられている9),10)。
アセチルシステイン(Acetylcysteine)〔JAN〕
(2R)-2-Acetylamino-3-sulfanylpropanoic acid
C5H9NO3S
163.19
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水酸化ナトリウム試液に溶ける。
107~111℃
20mL×10本[バイアル]
1) Horowitz,Rivka S.et al.:Clin Toxicol 1997;35(5):447-451〔SYK001913〕
2) 安斎則夫 他:応用薬理 1983;26(2):249-260〔AYM200264〕
3) Olsson,B.et al.:Eur J Clin Pharmacol 1988;34:77-82〔AYM200265〕
4) Borgström,L.et al.:Biopharm Drug Dispos 1990;11(2):131-136〔AYM200266〕
5) Jones,A.L.et al.:Aliment Pharmacol Ther 1997;11:787-791〔AYM200267〕
6) Sheffner,A.L.et al.:Biochem Pharmacol 1966;15:1523-1535〔AYM200268〕
7) 末信敏秀 他:中毒研究 2006;19(4):383-394〔SYK001259〕
8) Smilkstein,M.J.et al.:New Engl J Med 1988;24:1557-1562〔SYK001076〕
9) 大谷美奈子:日医雑誌 1996;115(5):677-679〔SYK001591〕
10) Manyike,P.et al.:Clin Pharmacol Ther 2000;67:275-282〔SYK001051〕
あゆみ製薬株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座四丁目12番15号
TEL:0120-137-413
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※本ノモグラムの使用にあたっては、「7.用法及び用量に関連する注意」欄をよく読むこと。
下表を参考に、本剤をそのまま、あるいはソフトドリンク(又は水)で希釈して投与する。(希釈後の液は、アセチルシステイン濃度として約5%となる)
患者体重(kg)
初回投与
継続投与
本剤の量(mL)
希釈液の量(mL)
1kgあたり
0.8
2.0
0.4
1.0
105-109
88
220
44
110
100-104
84
210
42
105
95-99
80
200
40
100
90-94
76
190
38
95
85-89
72
180
36
90
80-84
68
170
34
85
75-79
64
160
32
70-74
60
150
30
75
65-69
56
140
28
70
60-64
52
130
26
65
55-59
48
120
24
50-54
22
55
45-49
20
50
40-44
18
45
35-39
16
30-34
14
35
25-29
12
20-24
10
25
下表より本剤の投与量を算出し、そのまま、あるいはソフトドリンク(又は水)で希釈して投与する。(希釈後の液は、アセチルシステイン濃度として約5%となる)
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