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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはアリピプラゾールとして1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
通常、成人にはアリピプラゾールとして12~24mgを1日1回経口投与する。なお、開始用量は24mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。
通常、成人にはアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
通常、アリピプラゾールとして1日1mgを開始用量、1日1~15mgを維持用量とし、1日1回経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として最大3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。
痙攣閾値を低下させることがある。
血糖値が上昇することがある。,,,,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
症状を悪化させるおそれがある。
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。,,,,,
精神症状を増悪させることがある。
肝障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。なお、本剤の臨床試験において流産の報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への移行が認められている1)。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
*血圧降下を起こすおそれがある。
*アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
降圧剤
相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに降圧作用を有する。
抗コリン作用を有する薬剤
抗コリン作用を増強させることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに抗コリン作用を有する。
ドパミン作動薬
ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤
,
本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること。
本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
肝代謝酵素(特にCYP3A4)誘導作用を有する薬剤
本剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等に注意すること。
本剤投与中は口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与などの適切な処置を行うこと。死亡に至るなどの致命的な経過をたどった症例が報告されている。,,,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
不眠、神経過敏、不安、傾眠
めまい、頭痛、うつ病、幻覚
リビドー亢進、リビドー減退、昏迷、自殺企図、攻撃的反応、異常思考、拒食、独語、知覚減退、注意力障害、もやもや感、末梢神経障害、持続勃起、射精障害、勃起不全、失神、感情不安定、錯乱、神経症、妄想、譫妄、躁病反応、精神症状、双極性障害、認知症、健忘、嗜眠、睡眠障害、鎮静、舌麻痺、気力低下、激越(不安、焦燥、興奮)、パニック反応、片頭痛、顔面痙攣、錯感覚
記憶障害、びくびく感、夢遊症、悪夢、衝動制御障害(病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等)、性機能不全、吃音、運動過多、精神的機能障害、感覚障害、眉間反射異常、広場恐怖症、無感情、気分動揺、異常行動、下肢静止不能症候群
錐体外路症状
アカシジア、振戦、流涎
寡動、歩行異常、ジストニア(筋緊張異常)、ジスキネジア、構音障害、筋強剛
嚥下障害、からだのこわばり、筋緊張、口のもつれ、眼瞼下垂、パーキンソン症候群、眼球挙上、眼球回転発作
錐体外路障害、反射亢進
循環器
頻脈、高血圧
心悸亢進、徐脈、低血圧、起立性低血圧、心電図異常(期外収縮、QT延長、第一度房室ブロック等)
起立血圧異常、狭心症
消化器
便秘、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、食欲亢進
胃炎、びらん性胃炎、胃腸炎、腸炎、十二指腸炎、消化不良、口内炎、口唇炎、口唇腫脹、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、歯周病
膵炎、歯肉痛、舌障害、歯の知覚過敏
血液
赤血球減少、白血球減少、白血球増多、好中球減少、好中球増多、好酸球減少、単球増多、リンパ球減少、リンパ球増多、ヘモグロビン低下、ヘマトクリット値低下
貧血、赤血球増多、好塩基球減少、好塩基球増多、好酸球増多、単球減少、血小板減少、血小板増多、ヘモグロビン上昇、ヘマトクリット値上昇
内分泌
プロラクチン低下、月経異常
プロラクチン上昇
血中甲状腺刺激ホルモン増加、卵巣障害
肝臓
ALT上昇
AST上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇
脂肪肝、Al-P低下、LDH低下、総ビリルビン上昇、総ビリルビン低下
肝炎、黄疸
腎臓
BUN上昇、BUN低下、蛋白尿、尿沈渣異常
クレアチニン上昇、尿糖、尿ウロビリノーゲン上昇、尿ビリルビン上昇、尿中NAG上昇、尿比重上昇、尿比重低下、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少
ケトン尿
泌尿器
尿潜血
排尿障害、血尿、膀胱炎、尿閉、頻尿、多尿
尿失禁
過敏症
発疹、光線過敏性反応、湿疹、紅斑、そう痒症、酒さ
血管浮腫、蕁麻疹、薬物過敏症
皮膚
ざ瘡、皮膚炎、皮膚乾燥、皮膚剥脱、乾皮症、色素沈着障害、脂漏、男性型多毛症
真菌感染、脱毛
代謝異常
CK上昇
口渇、コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、リン脂質低下
多飲症、高血糖、水中毒、高尿酸血症、高脂血症、脂質代謝障害、コレステロール上昇、HDL-コレステロール低下、トリグリセライド低下、CK低下
血中ブドウ糖変動、血中インスリン増加
呼吸器
鼻炎、咽頭炎、気管支炎、気管支痙攣、咽喉頭症状、しゃっくり、鼻乾燥
嚥下性肺炎、上気道感染、呼吸困難
眼
霧視、眼乾燥、視力障害、調節障害、羞明、眼の異常感、眼痛
眼のチカチカ、糖尿病性白内障、瞬目過多
その他
体重増加
体重減少、倦怠感、脱力感、発熱、多汗、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム低下、カリウム低下、クロール低下
疲労、ほてり、熱感、灼熱感、背部痛、四肢痛、関節痛、筋痛、頚部痛、肩こり、筋痙縮、悪寒、末梢冷感、性器出血、流産、胸痛、膿瘍、歯ぎしり、睡眠時驚愕、鼻出血、末梢性浮腫、挫傷、気分不良、味覚異常、耳鳴、寝汗、四肢不快感、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、握力低下、転倒、総蛋白上昇、A/G上昇、A/G低下、アルブミン上昇、アルブミン低下、ナトリウム上昇、カリウム上昇、クロール上昇
低体温、疼痛、顎痛、乳頭痛、乳腺炎、外陰膣乾燥、無オルガズム症、死亡、関節脱臼、歯牙破折、筋攣縮、尿路感染、花粉症、関節炎、関節硬直、筋萎縮、脂肪腫、坐骨神経痛、大脳動脈狭窄
外国の臨床試験及び市販後自発報告において、最高1,260mgまで偶発的又は企図的に急性過量投与された成人において嗜眠、傾眠、血圧上昇、頻脈、嘔吐等の症状が報告されている。また最高195mgまで偶発的に服用した小児において、一過性の意識消失、傾眠等の症状が発現した。
活性炭の早期投与は有用である。血液透析は有用でないと考えられる。なお、他剤服用の可能性が考えられる場合はその影響にも留意すること。
健康成人20例にアリピプラゾール6mgを空腹時単回経口投与した時、最終相半減期は約61時間であった(図16-1、表16-1)3)。
投与量
tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
t1/2(hr)
AUC168hr(ng・hr/mL)
6mg錠×1錠
3.6±2.5
30.96±5.39
61.03±19.59
1,692.9±431.7
(平均値±標準偏差、20例)
健康成人15例にアリピプラゾール3mgを食後1日1回14日間反復投与した時、アリピプラゾールの血漿中濃度は投与14日までに定常状態に到達し、反復投与後の消失半減期は約65時間であった(表16-2)4)。
化合物
AUC24hr(ng・hr/mL)
投 与1日目
未変化体
3.7±1.3
12.00±7.96
−
159.0±95.1
主代謝物(OPC-14857*)
18.4±8.6
0.63±0.63
8.2±8.2
投 与14日目
4.2±3.4
44.26±29.28
64.59±15.39
678.0±413.0**
6.2±6.7
10.88±6.42
110.23±64.94
185.7±93.4**
(-:算出せず、平均値±標準偏差、15例)*:活性代謝物、**: 投与間隔間のAUC
健康成人にアリピプラゾール3mgを空腹時又は食後に単回経口投与した時、アリピプラゾールのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった5)。
健康成人におけるアリピプラゾール経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは87%であった(外国人データ)。
健康成人における1日1回アリピプラゾール3mg反復経口投与時の分布容積は8.86L/kgであった。外国の健康成人におけるアリピプラゾール2mg静脈内投与時の分布容積は4.94L/kgであった。
未変化体の血清蛋白結合率は99%以上で、主としてアルブミンと結合し、蛋白結合においてワルファリンとの結合置換は生じない。また、主代謝物であるOPC-14857の血清蛋白結合率も99%以上である(in vitro、平衡透析法)。
アリピプラゾールは主に肝臓で代謝され、初回通過効果は少ない。主としてCYP3A4とCYP2D6によって脱水素化と水酸化を受け、またCYP3A4によってN-脱アルキル化を受ける。脱水素体(OPC-14857)が血漿中における主代謝物である。OPC-14857はアリピプラゾール(未変化体)と同様の代謝酵素及び代謝経路によって代謝される。定常状態(投与14日目)では未変化体に対するOPC-14857のAUCの割合は約27%である。
健康成人に14C標識アリピプラゾール20mgを経口投与した時、投与放射能の約27%及び60%がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された。未変化体は糞中に約18%排泄され、尿中には検出されなかった(外国人データ)。
重度の腎機能障害被験者6例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)における試験では、腎機能障害による血中薬物動態への影響は少なかった6)(外国人データ)。
肝機能障害被験者19例(Child-Pugh分類A~C)における試験では、肝機能障害によるクリアランスへの影響は少なかった7)(外国人データ)。
健康高齢者(65歳以上)にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のクリアランスは、非高齢者(18~64歳)よりも約20%低かった8)(外国人データ)。
健康成人にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のアリピプラゾールの薬物動態に性差はみられなかった8)。また、統合失調症患者での母集団解析の結果、喫煙はアリピプラゾールの薬物動態に影響を与える因子ではなかった9)(外国人データ)。
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン166mgとアリピプラゾール10mgの併用により、アリピプラゾールのAUCは107%増加した10)(外国人データ)。
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した11)。
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するイトラコナゾール100mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び48%増加した12)。
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとアリピプラゾール15mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ37%及び63%増加した13)(外国人データ)。
統合失調症又は統合失調感情障害患者において、CYP3A4の誘導作用を有するカルバマゼピン400mgとアリピプラゾール30mgの併用投与により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ68%及び73%低下した14)(外国人データ)。
健康成人において、アリピプラゾール15mg投与1時間後の活性炭50g投与で、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ41%及び51%低下した15)(外国人データ)。
エビリファイ錠の成績を以下に示す。
アリピプラゾールを8週間経口投与した非盲検試験において、承認された用法・用量の範囲(6~20mg)での統合失調症患者53例における主な成績は次のとおりである。主要評価項目である最終全般改善度の改善率#)は、47.2%(25/53例)であった16)。
対象症例
改善率#)
アリピプラゾール投与群
111
46.8%(52/111例)
副作用発現頻度は、120例中93例(77.5%)であった。主な副作用は、不眠(症)36例(30.0%)、アカシジア26例(21.7%)、振戦25例(20.8%)、食欲不振14例(11.7%)及び筋強剛13例(10.8%)であった。
119
31.9%(38/119例)
副作用発現頻度は、120例中87例(72.5%)であった。主な副作用は、不眠(症)42例(35.0%)、アカシジア17例(14.2%)、振戦17例(14.2%)、体重減少16例(13.3%)及び食欲不振14例(11.7%)であった。
最終全般改善度を有効性評価項目とした24週間以上投与の長期投与3試験(6~24mg/日、最高30mg/日)での、統合失調症患者252例における最終評価時の改善率#)は32.5%(82/252例)であった16)。
統合失調症の急性増悪期の患者を対象とした、4あるいは6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験(310例、305例、420例)において、アリピプラゾールはプラセボ群と比較してPANSS全尺度合計点などの指標を有意に改善した。PANSS全尺度合計点(平均変化量)は、アリピプラゾール固定用量(15、30mg/日又は20、30mg/日)注)を4週間投与した2試験では、プラセボ群:−2.9(102例)、15mg/日群:−15.5(99例)、30mg/日群:−11.4(100例)又はプラセボ群:−5.0(103例)、20mg/日群:−14.5(98例)、30mg/日群:−13.9(96例)であり、アリピプラゾール固定用量(10、15、20mg/日)注)を用いた6週間投与の試験では、プラセボ群:−2.3(107例)、10mg/日群:−15.0(103例)、15mg/日群:−11.7(103例)、20mg/日群:−14.4(97例)であった(各群とプラセボ群との比較結果はp≦0.01)。なお、15mgを超える高用量群が10又は15mgより効果が高いというエビデンスは得られていない。
安定期にある慢性統合失調症患者310例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(26週間投与、15mg/日注))において、CGI改善度あるいはPANSSを用いて再発を定義し、主要有効性評価項目を「無作為化割付から再発までの期間」とした。アリピプラゾールはプラセボと比較して再発の危険を約50%減少させ、再発までの期間を有意に延長した(p<0.001、log-rank検定)。副作用発現頻度は、153例中76例(50%)であった。主な副作用は、不眠症36例(24%)、アカシジア11例(7%)、不安11例(7%)、頭痛9例(6%)及び振戦8例(5%)であった。
躁病エピソード又は混合性エピソードを呈した双極Ⅰ型障害患者(256例、日本人患者79例を含む)を対象に実施したプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、アリピプラゾール24mg(忍容性に応じて12mgへの減量可能)を1日1回3週間投与した時、最終評価時におけるヤング躁病評価尺度(Young-Mania Rating Scale、YMRS)合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)はアリピプラゾール群−12.0±12.9、プラセボ群−6.0±14.4で、群間差とその95%信頼区間は−6.0[−9.4,−2.7]であり、統計学的な有意差が認められた(p<0.001、ベースライン値及び国で調整した共分散分析)(表17-1)17)。
投与群
例数
YMRS合計点
プラセボ群との対比較a)
ベースライン
最終評価時
ベースラインからの変化量
群間差[95%信頼区間]
p値
プラセボ群
125
28.0±5.97
22.0±15.23
−6.0±14.41
−6.0[-9.4,-2.7]
<0.001
アリピプラゾール群
122
28.3±5.96
16.3±13.37
−12.0±12.94
(平均値±標準偏差、a)ベースライン値及び国で調整した共分散分析)
副作用発現頻度は、123例中74例(60.2%)であった。主な副作用は、アカシジア23例(18.7%)、振戦14例(11.4%)、不眠症11例(8.9%)、嘔吐11例(8.9%)及び流涎過多9例(7.3%)であった。
短期試験を完了した有効例(99例、日本人患者32例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験において、アリピプラゾール12~30mgを1日1回22週間投与した時、YMRS合計点の推移は下表のとおりであった(表17-2)18)。
4週
12週
22週
8.6±7.58(42)
9.7±9.55(34)
7.3±10.22(26)
3.1±6.25(19)
7.4±7.02(54)
3.3±3.65(42)
2.6±2.54(32)
1.4±1.59(29)
(平均値±標準偏差(評価例数))
副作用発現頻度は、54例中39例(72.2%)であった。主な副作用は、アカシジア17例(31.5%)、振戦8例(14.8%)、運動緩慢5例(9.3%)、不眠症5例(9.3%)及び流涎過多5例(9.3%)であった。
短期試験を完了した悪化例・不変例及び効果不十分中止例(59例、日本人患者11例を含む)を対象に実施した非盲検試験において、気分安定薬として炭酸リチウム又はバルプロ酸ナトリウムのいずれか1剤の併用下で、アリピプラゾール12~30mgを1日1回22週間投与した時、YMRS合計点の推移は下表のとおりであった(表17-3)19)。
30.5±7.75(55)
11.0±10.53(45)
5.1±6.50(29)
3.8±6.30(23)
副作用発現頻度は、56例中39例(69.6%)であった。主な副作用は、体重増加11例(19.6%)、アカシジア10例(17.9%)、傾眠7例(12.5%)及び振戦7例(12.5%)であった。
躁病エピソード又は混合性エピソードを呈した双極Ⅰ型障害患者41例を対象に実施した非盲検試験において、気分安定薬として炭酸リチウム又はバルプロ酸ナトリウムのいずれか1剤の併用下で、アリピプラゾール12~30mgを1日1回24週間投与した時、YMRS合計点の推移は下表のとおりであった(表17-4)20)。
24週
23.2±5.50(40)
8.1±8.23(33)
2.3±3.39(28)
1.5±2.80(19)
副作用発現頻度は、41例中38例(92.7%)であった。主な副作用は、アカシジア19例(46.3%)、傾眠11例(26.8%)、振戦9例(22.0%)及び悪心8例(19.5%)であった。
抗うつ剤治療で十分な効果が認められない大うつ病性障害患者586例を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ミルナシプラン及びデュロキセチン)を承認用法・用量で8週間投与し、十分な効果が認められないことを前方視的に確認した後、SSRI又はSNRIの併用下で、アリピプラゾール3~15mg又は3mgを1日1回6週間投与した。最終評価時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計点のベースラインからの変化量は下表に示すとおりであり、アリピプラゾール3~15mg群及び3mg群の両群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(3~15mg群p=0.006、3mg群p<0.001、ベースライン値で調整した共分散分析(3~15mg群、3mg群の順による閉検定手順))(表17-5)21)。
MADRS合計点
195
25.5±7.4
18.1±9.8
−7.4±8.1
アリピプラゾール3~15mg群
194
25.3±7.3
15.8±9.4
−9.6±7.5
−2.2[-3.7,-0.6]
0.006
アリピプラゾール3mg群
197
25.2±7.2
14.8±9.3
−10.4±8.3
−3.1[-4.6,-1.5]
(平均値±標準偏差、a)ベースライン値で調整した共分散分析(3~15mg群、3mg群の順による閉検定手順))
副作用発現頻度は、アリピプラゾール3~15mg群で194例中132例(68.0%)、アリピプラゾール3mg群で197例中111例(56.3%)であった。主な副作用は、アリピプラゾール3~15mg群ではアカシジア71例(36.6%)、振戦20例(10.3%)、傾眠13例(6.7%)、便秘13例(6.7%)及びALT増加13例(6.7%)、3mg群でアカシジア28例(14.2%)、傾眠15例(7.6%)、ALT増加14例(7.1%)、振戦12例(6.1%)及びAST増加10例(5.1%)であった。
国内第Ⅲ相試験からの移行例及び新たに組み入れられた65歳以上のSSRI又はSNRI(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ミルナシプラン及びデュロキセチン)を投与中の大うつ病性障害患者155例を対象に実施した非盲検非対照試験において、SSRI又はSNRIの併用下で、アリピプラゾール3~15mgを1日1回52週間投与した時、MADRS合計点の推移は下表のとおりであった(表17-6)22)。
アリピプラゾール投与例
6週
52週
全体(移行例と新規例)
18.2±9.6(155)
12.6±8.7(144)
12.3±9.7(136)
11.6±9.3(108)
8.8±8.3(84)
移行例
16.4±8.9(122)
13.0±8.8(118)
12.6±9.9(113)
11.6±9.4(95)
9.1±8.6(74)
新規例(65歳以上)
24.8±9.3(33)
10.9±7.9(26)
10.7±8.5(23)
11.3±9.4(13)
7.3±6.2(10)
副作用発現頻度は、155例中115例(74.2%)であった。主な副作用は、アカシジア42例(27.1%)、体重増加29例(18.7%)、傾眠15例(9.7%)、振戦14例(9.0%)及び血中トリグリセリド増加11例(7.1%)であった。
DSM注)-IV-TRにより自閉性障害と診断され、易刺激性を有する患者92例(6~17歳)を対象に実施したプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験で、アリピプラゾールを1~15mg/日で1日1回8週間投与した時、最終評価時におけるABC-J(異常行動チェックリスト日本語版)の興奮性下位尺度スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群に対しアリピプラゾール群で統計学的な有意差が認められた(p=0.044、投与群及びベースラインの体重区分(≧40kg、<40kg)を因子とし、ベースラインを共変量とした共分散分析)(表17-7)23)。注)American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)
ABC-J興奮性下位尺度スコア
45
26.8±6.5
20.2±9.1
−6.7±11.0
−3.9[−7.8,−0.1]
0.044
47
27.1±7.2
15.8±10.1
−11.3±9.1
(平均値±標準偏差、a)投与群及びベースラインの体重区分(≧40kg、<40kg)を因子とし、ベースラインを共変量とした共分散分析)
副作用発現頻度は、47例中28例(59.6%)であった。主な副作用は、傾眠24例(51.1%)、食欲減退5例(10.6%)及び倦怠感3例(6.4%)であった。
国内第Ⅲ相試験を完了した患者85例(6~17歳)を対象に実施した非盲検非対照長期試験で、アリピプラゾールを1~15mg/日で1日1回投与した時、ABC-J興奮性下位尺度スコアの推移は下表のとおりであった(表17-8)24)。
8週
48週
96週
17.7±10.0(85)
13.5±9.9(83)
13.3±9.9(62)
11.6±8.8(46)
14.9±10.3(26)
副作用発現頻度は、85例中47例(55.3%)であった。主な副作用は、傾眠25例(29.4%)、体重増加16例(18.8%)、流涎過多6例(7.1%)及び食欲亢進6例(7.1%)であった。
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
受容体結合試験で、組換え型ヒトドパミンD2、ヒトドパミンD3、ヒトセロトニン5-HT1A及びヒトセロトニン5-HT2A受容体に対して高い親和性を示し、ヒトドパミンD4、ヒトセロトニン5-HT2C、ヒトセロトニン5-HT7、ラット大脳皮質α1-アドレナリン及びヒトヒスタミンH1受容体に中程度の親和性を示した25),26)。ウシ線条体ムスカリンM1、ラット心臓ムスカリンM2及びモルモット回腸ムスカリンM3受容体に対する親和性は低かった(in vitro)。
ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した25),27)(in vitro)。マウス及びラットにおいて、ドパミン作動性神経伝達が亢進した状態ではドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下した状態ではドパミンD2受容体に対してアゴニストとして作用した27),28)。
ドパミンD3受容体に対して部分アゴニストとして作用した29)(in vitro)。
セロトニン5-HT1A受容体に対して部分アゴニストとして作用した26)(in vitro)。マウス脳内のセロトニン代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸含量を減少させ、ラット縫線核のセロトニンニューロン発火を抑制した。
ラットにおいてセロトニン5-HT2A受容体アゴニストにより誘発される行動変化を抑制した30)。また、セロトニンによるラットP11細胞内Ca2+濃度の増加を抑制した(in vitro)。
陽性症状の指標と考えられているラット条件回避反応を抑制し、不安症状の指標であると考えられているラットコンフリクト反応を抑制した。
マウス及びラットにおけるアポモルヒネ誘発常同行動抑制作用に対するカタレプシー惹起作用のED50値の用量比は、クロルプロマジン及びハロペリドールより大きかった28)。
ラット下垂体前葉ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した27)(in vitro)。
アリピプラゾール〔Aripiprazole(JAN、INN)〕
7-[4-[4-(2,3-dichlorophenyl)-1-piperazinyl]butoxy]-3,4-dihydro-2(1H)-quinolinone
C23H27Cl2N3O2
448.39
白色の結晶又は結晶性の粉末である。ベンジルアルコールに溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール(99.5)又はヘキサンにほとんど溶けない。
PTP:100錠(10錠×10)
PTP:100錠(10錠×10)プラスチックボトル:500錠(バラ、乾燥剤入り)
プラスチックボトル:100g
1) Schlotterbeck, P. et al.:Int J Neuropsychopharmacol.2007;10(3):433.
2) Stone, M. et al.:BMJ.2009;339:b2880.
3) 社内資料:単回経口投与試験(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.1)
4) 社内資料:反復経口投与試験(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
5) 社内資料:食事による影響の検討(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.1)
6) 社内資料:腎障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
7) 社内資料:肝障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
8) 社内資料:年齢、性別による影響(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
9) 社内資料:母集団薬物動態及び薬力学解析(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
10) 社内資料:キニジンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
11) Azuma, J. et al.:Eur J Clin Pharmacol.2012;68(1):29-37.
12) Kubo, M. et al.:Drug Metab Pharmacokinet.2005;20(1):55-64.
13) 社内資料:ケトコナゾールとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
14) 社内資料:カルバマゼピンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
15) 社内資料:活性炭併用投与時の薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
16) 社内資料:統合失調症を対象とした臨床試験(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.5)
17) 社内資料:双極性障害における躁症状に対する短期試験(二重盲検試験:国際共同試験)(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.3)
18) 社内資料:双極性障害における躁症状に対する長期投与試験(二重盲検試験:国際共同試験)(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.3)
19) 社内資料:双極性障害における躁症状に対する長期投与試験(気分安定薬併用非盲検試験:国際共同試験)(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.4)
20) 社内資料:双極性障害における躁症状に対する長期投与試験(気分安定薬併用非盲検試験:国内臨床試験)(2012年1月18日承認、CTD2.7.6.4)
21) 社内資料:うつ病・うつ状態に対する短期試験(2013年6月14日承認、CTD2.7.6.4)
22) 社内資料:うつ病・うつ状態に対する長期試験(2013年6月14日承認、CTD2.7.6.4)
23) 社内資料:小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対する短期試験(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
24) 社内資料:小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対する長期試験(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
25) Burris, K. D. et al.:J Pharmacol Exp Ther.2002;302(1):381-389.
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