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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはアリピプラゾールとして1回400mgを4週に1回臀部筋肉内又は三角筋内に投与する。なお、症状、忍容性に応じて1回量300mgに減量すること。
切替え前の経口アリピプラゾール製剤の投与量注)
切替え後の経口アリピプラゾール製剤の投与量(2週間)
6~15mg/日
6mg/日
18~24mg/日
12mg/日
30mg/日
15mg/日
注)統合失調症及び双極性障害における躁症状の改善の承認用法及び用量に従うこと。
減量後の本剤の用量
本剤400mg単剤投与に相当する用量
300mg
200mg
本剤300mg単剤投与に相当する用量
160mg
一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。
痙攣閾値を低下させることがある。
血糖値が上昇することがある。,,,,
症状を悪化させるおそれがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
肝障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。なお、経口アリピプラゾール製剤の臨床試験において流産の報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。経口アリピプラゾール製剤においてヒトで乳汁中への移行が認められている1)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
*アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすおそれがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
クロザピン
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
*血圧降下を起こすおそれがある。
*アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること。
ともに中枢神経抑制作用を有する。
降圧剤
相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに降圧作用を有する。
抗コリン作用を有する薬剤
抗コリン作用を増強させることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ともに抗コリン作用を有する。
ドパミン作動薬
ドパミン作動作用を減弱するおそれがあるので、投与量を調節するなど慎重に投与すること。
本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤
,,
本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量するなど考慮すること。
本剤の主要代謝酵素であるCYP2D6を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
,
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
肝代謝酵素(特にCYP3A4)誘導作用を有する薬剤
本剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等に注意すること。
本剤投与中は口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与などの適切な処置を行うこと。死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがある。,,,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
不眠、めまい、傾眠、頭痛、不安、うつ病、勃起不全
睡眠障害、異常思考、躁病反応、神経過敏、錯乱、夢遊症、知覚減退、妄想、注意力障害、自殺企図、幻覚、激越(不安、焦燥、興奮)、気力低下、リビドー減退、錯感覚、嗜眠、鎮静、射精障害、性機能不全、吃音
精神症状、悪夢、双極性障害、リビドー亢進、昏迷、攻撃的反応、拒食、独語、もやもや感、感情不安定、末梢神経障害、失神、神経症、譫妄、認知症、健忘、記憶障害、舌麻痺、片頭痛、顔面痙攣、持続勃起、パニック反応、びくびく感、衝動制御障害(病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等)、運動過多、精神的機能障害、感覚障害、眉間反射異常、広場恐怖症、無感情、気分動揺、異常行動、下肢静止不能症候群
錐体外路症状
アカシジア
ジスキネジア、ジストニア(筋緊張異常)、振戦、寡動、筋強剛、流涎
眼球回転発作、眼球挙上、パーキンソン症候群、歩行異常、錐体外路障害
構音障害、反射亢進、嚥下障害、からだのこわばり、筋緊張、口のもつれ、眼瞼下垂
循環器
高血圧、心電図異常(期外収縮、QT延長、第一度房室ブロック等)
低血圧、頻脈、心悸亢進、起立血圧異常、起立性低血圧、狭心症、徐脈
消化器
悪心、下痢、便秘、食欲亢進
嘔吐、食欲不振
腹痛、胃炎、口内炎、歯肉痛、舌障害、口唇炎、消化不良、びらん性胃炎、胃腸炎、腸炎、十二指腸炎、口唇腫脹、歯周病、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎、歯の知覚過敏
血液
血小板減少、白血球増多、白血球減少、好中球減少、貧血
ヘモグロビン低下、ヘモグロビン上昇、好中球増多、赤血球減少、赤血球増多、リンパ球減少、リンパ球増多、ヘマトクリット値低下、ヘマトクリット値上昇、単球減少、単球増多、好酸球減少、好酸球増多、好塩基球減少、好塩基球増多、血小板増多
内分泌
卵巣障害、月経異常、血中甲状腺刺激ホルモン増加
プロラクチン低下、プロラクチン上昇
肝臓
ALT上昇
AST上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、LDH低下、Al-P上昇、Al-P低下、総ビリルビン上昇、総ビリルビン低下、脂肪肝、肝炎、黄疸
腎臓
ケトン尿、尿糖
蛋白尿、尿沈渣異常、BUN上昇、BUN低下、クレアチニン上昇、尿比重上昇、尿比重低下、尿ウロビリノーゲン上昇、尿ビリルビン上昇、尿中NAG上昇、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少
泌尿器
尿潜血、排尿障害、頻尿、膀胱炎、血尿、多尿、尿閉、尿失禁
過敏症
発疹
湿疹、そう痒症、薬物過敏症、紅斑、光線過敏性反応、酒さ、血管浮腫、蕁麻疹
皮膚
皮膚炎
真菌感染、皮膚乾燥、ざ瘡、皮膚剥脱、乾皮症、色素沈着障害、脂漏、男性型多毛症、脱毛
代謝異常
血中インスリン増加、高血糖
高尿酸血症、脂質代謝障害、コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、CK上昇、HDL-コレステロール低下、口渇
コレステロール低下、HDL-コレステロール上昇、高脂血症、リン脂質低下、多飲症、CK低下、水中毒、トリグリセライド低下、血中ブドウ糖変動
呼吸器
鼻炎、気管支痙攣、気管支炎、咽喉頭症状、咽頭炎、しゃっくり、鼻乾燥、嚥下性肺炎、上気道感染、呼吸困難
眼
霧視、羞明
視力障害、調節障害、眼乾燥、眼の異常感、眼痛、眼のチカチカ、糖尿病性白内障、瞬目過多
注射部位
注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位硬結
注射部位腫脹
注射部位そう痒感、注射部位不快感、注射部位反応
注射部位内出血、注射部位腫瘤
その他
体重増加
疲労
筋痙縮、末梢性浮腫、カリウム低下、顎痛、性器出血、乳頭痛、熱感、死亡、転倒、関節脱臼、歯牙破折、体重減少、筋痛、耳鳴、挫傷、尿路感染
倦怠感、発熱、脱力感、胸痛、悪寒、気分不良、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、低体温、疼痛、多汗、寝汗、肩こり、四肢痛、筋攣縮、四肢不快感、背部痛、関節痛、頚部痛、ほてり、末梢冷感、乳腺炎、膿瘍、外陰膣乾燥、流産、味覚異常、灼熱感、睡眠時驚愕、歯ぎしり、無オルガズム症、鼻出血、総蛋白上昇、総蛋白減少、グロブリン分画異常、ナトリウム上昇、ナトリウム低下、クロール上昇、クロール低下、A/G上昇、A/G低下、アルブミン上昇、アルブミン低下、カリウム上昇、握力低下、花粉症、関節炎、関節硬直、筋萎縮、脂肪腫、坐骨神経痛、大脳動脈狭窄
経口アリピプラゾール製剤の外国の臨床試験及び市販後自発報告において、最高1,260mgまで偶発的又は企図的に急性過量投与された成人において嗜眠、傾眠、血圧上昇、頻脈、嘔吐等の症状が報告されている。また最高195mgまで偶発的に服用した小児において、一過性の意識消失、傾眠等の症状が発現した。本剤の外国の臨床試験において投与間隔内に2倍量(800mg)まで成人に本剤を過量投与された報告があるが、経口剤と比較して特記すべき症状は報告されていない。
血液透析は有用でないと考えられる。なお、他剤服用の可能性が考えられる場合はその影響にも留意すること。
臀部筋肉投与時
22G(黒)、針の長さ1½インチ(38mm)
三角筋投与時
体重90kg未満の場合:
体重90kg以上の場合:
投与量
400mg
注射容量
0.8mL
1.0mL
1.5mL
2.0mL
統合失調症患者11例に本剤300mg(5例)及び400mg(6例)を臀部筋肉内に単回投与した時の血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す2)。
化合物
tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
t1/2、Z(hr)
AUC∞(mg・hr/L)
300mg(5例)
未変化体
648(96.3-816)
136(95.2-791)
302(187-660)
201(170-250)
主代謝物(OPC-14857a)
984(168.4-1273)
25.8(19.1-118)
368(222-702)
39.1(32.9-57.2)
400mg(6例)
841(120-1680)
126(38.8-168)
781(388-984)
141(107-267)
26.1(12.8-35.1)
605b(432-760)
45.0b(24.4-59.6)
中央値(最小‐最大)、a:活性代謝物、b:5例
統合失調症患者28例に本剤300mg(12例)及び400mg(16例)を臀部筋肉内に反復投与した時の血漿中アリピプラゾール濃度は、本剤4回目投与前〔初回投与後12週(84日)〕までにほぼ定常状態に達した。本剤300mg及び400mg投与後の血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値は、初回投与以降、アリピプラゾール錠剤6mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールトラフ濃度の中央値(42.980ng/mL)からアリピプラゾール錠剤24mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールCmaxの中央値(310.160ng/mL)までの範囲内を推移した(図16-2、表16-2)3)。
本剤投与開始後2週間は経口アリピプラゾール製剤を併用
AUC28d(mg・hr/L)
300mg(11例)
120(71.3-672)
244(105-409)
-b(505-808)
126(63.1-245)
263(47.3-672)
72.8(53.7-107)
1030c(544-1720)
40.6(26.8-58.3)
400mg(13例)
95.7(48.0-669)
217(124-424)
1030d(759-3020)
104(71.7-251)
120(8.00-673)
68.0(40.5-129)
-e(884-2440)
35.9(20.4-76.2)
中央値(最小-最大)、a:活性代謝物、b:2例、c:4例、d:8例、e:2例、-:算出不可
統合失調症患者13例に本剤400mgを三角筋内に反復投与した時の血漿中アリピプラゾール濃度は、本剤4回目投与前〔初回投与後12週(84日)〕までにほぼ定常状態に達した。本剤400mg投与後の血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値は、初回投与以降、アリピプラゾール錠剤6mg/日投与時の定常状態における血漿中アリピプラゾールトラフ濃度の中央値(42.980ng/mL)からアリピプラゾール錠剤24mg/日投与時の定常状態におけるアリピプラゾールCmaxの中央値(310.160ng/mL)までの範囲内を推移した(図16-3、表16-3)4)。
95.8(48.5-262)
331(190-595)
825b(551-2030)
153(69.4-324)
123(94.9-671)
96.5(71.0-148)
1060c(558-2240)
54.6(31.6-89.7)
中央値(最小-最大)、a:活性代謝物、b:12例、c:10例
233例の日本人及び外国人の統合失調症患者の成績を対象として母集団解析を実施し、構築されたモデルを用いて、400mgを臀部筋肉内又は三角筋内に反復投与した時の定常状態における血漿中アリピプラゾール濃度の推移を推定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について、幾何平均値の比の信頼区間は0.8~1.25の範囲であった5)。
統合失調症患者における本剤400mgを臀部筋肉内又は三角筋内に反復投与した時の分布容積(Vz/F/BW)の中央値は114L/kg及び44.8L/kgであった。外国の健康成人におけるアリピプラゾール2mg静脈内投与時の分布容積(Vss/BW)の平均値は4.94L/kgであった。
未変化体の血清蛋白結合率は99%以上で、主としてアルブミンと結合し、蛋白結合においてワルファリンとの結合置換は生じない。また、主代謝物であるOPC-14857の血清蛋白結合率も99%以上である(in vitro、平衡透析法)。
アリピプラゾールは主としてCYP3A4とCYP2D6によって脱水素化と水酸化を受け、またCYP3A4によってN-脱アルキル化を受ける。脱水素体(OPC-14857)が血漿中における主代謝物である。OPC-14857はアリピプラゾール(未変化体)と同様の代謝酵素及び代謝経路によって代謝される。臀部筋肉内に本剤400mg及び300mg 5回目投与後のアリピプラゾールに対するOPC-14857のAUC28dの割合の中央値はそれぞれ約34及び33%であった。また、三角筋内に本剤400mg 5回目投与後のアリピプラゾールに対するOPC-14857のAUC28dの割合の中央値は約34%であった。
健康成人に14C標識アリピプラゾール20mgを経口投与した時、投与放射能の約27%及び60%がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された。未変化体は糞中に約18%排泄され、尿中には検出されなかった(外国人データ)。
エビリファイ錠の成績を以下に示す。
重度の腎機能障害被験者6例(クレアチニンクリアランス<30mL/min)における試験では、腎機能障害による血中薬物動態への影響は少なかった6)(外国人データ)。
肝機能障害被験者19例(Child-Pugh分類A~C)における試験では、肝機能障害によるクリアランスへの影響は少なかった7)(外国人データ)。
健康高齢者(65歳以上)にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のクリアランスは、非高齢者(18~64歳)よりも約20%低かった8)(外国人データ)。
健康成人にアリピプラゾール15mgを単回経口投与した時のアリピプラゾールの薬物動態に性差はみられなかった8)。また、統合失調症患者での母集団解析の結果、喫煙はアリピプラゾールの薬物動態に影響を与える因子ではなかった9)(外国人データ)。
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するキニジン166mgとアリピプラゾール10mgの併用により、アリピプラゾールのAUCは107%増加した10)(外国人データ)。,
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した11)。,
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するイトラコナゾール100mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び48%増加した12)。,
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとアリピプラゾール15mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ37%及び63%増加した13)(外国人データ)。
統合失調症又は統合失調感情障害患者において、CYP3A4の誘導作用を有するカルバマゼピン400mgとアリピプラゾール30mgの併用投与により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ68%及び73%低下した14)(外国人データ)。
アリピプラゾール錠で症状の安定した統合失調症患者(455例、国内症例237例を含む)を対象に実施したアリピプラゾール錠に対する実薬対照二重盲検試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、52週間臀部筋肉内に投与した。精神症状の非悪化/非再発率において本剤群の錠剤群に対する非劣性が検証された(表17-1)。また、精神症状の悪化/再発までの時間は図17-1のとおりであった15)。
投与群
対象例数
26週後
非悪化/非再発率(%)a
SEa
錠剤群に対する差
95%信頼区間
本剤群
228
95.0
1.5
0.3
-3.9,4.5
錠剤群
227
94.7
1.6
a:カプラン・マイヤー法による26週後(183日)の精神症状の非悪化/非再発率
副作用発現頻度は、本剤群で228例中130例(57.0%)、錠剤群で227例中112例(49.3%)であった。主な副作用は、本剤群では注射部位疼痛62例(27.2%)、注射部位紅斑33例(14.5%)、注射部位硬結25例(11.0%)、アカシジア15例(6.6%)、体重増加15例(6.6%)及び注射部位腫脹15例(6.6%)、錠剤群で注射部位疼痛39例(17.2%)、注射部位紅斑22例(9.7%)、アカシジア13例(5.7%)及び体重増加12例(5.3%)であった。
アリピプラゾール錠で気分症状の安定した最も新しいエピソードが躁病の双極Ⅰ型障害患者(265例、国内症例19例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、52週間臀部筋肉内に投与した。気分エピソード再発までの時間は、表17-2及び図17-2に示すとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して有意に気分エピソード再発までの期間を延長した(p<0.0001、log-rank検定)16)。
再発率(%)
再発までの時間中央値(日数)
ハザード比a
p値b
132
26.5
NE
0.451
0.299, 0.678
<0.0001
プラセボ群
133
51.1
308
NE=算出不可a:ハザード比は、投与群を要因とするCox比例ハザードモデルから算出した。b:p値は、log-rank検定から算出した。
副作用発現頻度は、本剤群で132例中82例(62.1%)、プラセボ群で133例中67例(50.4%)であった。主な副作用は、本剤群では体重増加30例(22.7%)、アカシジア27例(20.5%)、不安6例(4.5%)、傾眠5例(3.8%)、不眠症、落ち着きのなさ、疲労、うつ病及び食欲亢進が各4例(3.0%)、プラセボ群で体重増加21例(15.8%)、アカシジア17例(12.8%)、不眠症6例(4.5%)、落ち着きのなさ5例(3.8%)、疲労、体重減少及び躁病が各4例(3.0%)であった。
第Ⅲ相国際共同試験を完了した患者(継続例)及びアリピプラゾール錠で気分症状の安定した新たな双極Ⅰ型障害患者(新規例)(計464例、国内症例75例を含む)を対象に実施した非盲検長期投与試験において、本剤400mg(忍容性に応じて300mg)を4週間に1回、最大52週間臀部筋肉内に投与した。62.7%(291/464例)の患者が最大52週間の投与を完了した。本剤投与による維持治療期においてベースライン時から最終来院時まで気分症状の安定状態を維持していた患者の割合は88.9%(409/460例)であった(表17-3)17)。
時期
新規例(379例)
継続例(85例)
計(464例)
例数(%)
ベースライン
379
379(100.0)
84
84(100.0)
463
463(100.0)
最終来院時
376
327(87.0)
82(97.6)
460
409(88.9)
対象例数=該当時期に評価された被験者数例数=安定状態を維持していた被験者数
本剤投与による維持治療期の副作用発現頻度は、464例中263例(56.7%)であった。主な副作用は、アカシジア68例(14.7%)、体重増加55例(11.9%)、注射部位疼痛32例(6.9%)、不眠症31例(6.7%)及び振戦25例(5.4%)であった。
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
受容体結合試験で、組換え型ヒトドパミンD2、ヒトドパミンD3、ヒトセロトニン5-HT1A及びヒトセロトニン5-HT2A受容体に対して高い親和性を示し、ヒトドパミンD4、ヒトセロトニン5-HT2C、ヒトセロトニン5-HT7、ラット大脳皮質α1-アドレナリン及びヒトヒスタミンH1受容体に中程度の親和性を示した18),19)。ウシ線条体ムスカリンM1、ラット心臓ムスカリンM2及びモルモット回腸ムスカリンM3受容体に対する親和性は低かった(in vitro)。
ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した18),20)(in vitro)。マウス及びラットにおいて、ドパミン作動性神経伝達が亢進した状態ではドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下した状態ではドパミンD2受容体に対してアゴニストとして作用した20),21)。
ドパミンD3受容体に対して部分アゴニストとして作用した22)(in vitro)。
セロトニン5-HT1A受容体に対して部分アゴニストとして作用した19)(in vitro)。マウス脳内のセロトニン代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸含量を減少させ、ラット縫線核のセロトニンニューロン発火を抑制した。
ラットにおいてセロトニン5-HT2A受容体アゴニストにより誘発される行動変化を抑制した23)。また、セロトニンによるラットP11細胞内Ca2+濃度の増加を抑制した(in vitro)。
陽性症状の指標と考えられているラット条件回避反応を抑制し、不安症状の指標であると考えられているラットコンフリクト反応を抑制した。
マウス及びラットにおけるアポモルヒネ誘発常同行動抑制作用に対するカタレプシー惹起作用のED50値の用量比は、クロルプロマジン及びハロペリドールより大きかった21)。
ラット下垂体前葉ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した20)(in vitro)。
アリピプラゾール水和物〔Aripiprazole Hydrate(JAN)〕
7-{4-[4-(2,3-Dichlorophenyl)piperazin-1-yl]butoxy}- 3,4-dihydroquinolin-2(1H)-one monohydrate
C23H27Cl2N3O2・H2O
466.40
白色の結晶である。テトラヒドロフラン、酢酸(100)、ベンジルアルコールに溶けやすく、ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、メタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル(懸濁用液 日局注射用水2mL及びPSFバイアルアダプター(医療機器届出番号:11B1X10017000015)1個を添付)
1) Schlotterbeck, P. et al.:Int J Neuropsychopharmacol.2007;10(3):433.
2) 社内資料:単回筋肉内投与試験(2015年3月26日承認、CTD2.7.6.1)
3) 社内資料:反復筋肉内投与試験(2015年3月26日承認、CTD2.7.6.1)
4) 社内資料:反復三角筋内投与試験
5) 社内資料:注射剤の母集団薬物動態解析2
6) 社内資料:腎障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
7) 社内資料:肝障害患者における薬物動態(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
8) 社内資料:年齢、性別による影響(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
9) 社内資料:母集団薬物動態及び薬力学解析(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
10) 社内資料:キニジンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
11) Azuma, J. et al.:Eur J Clin Pharmacol.2012;68(1):29-37.
12) Kubo, M. et al.:Drug Metab Pharmacokinet.2005;20(1):55-64.
13) 社内資料:ケトコナゾールとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
14) 社内資料:カルバマゼピンとの相互作用(2006年1月23日承認、CTD2.7.6.3)
15) 社内資料:注射剤の統合失調症を対象とした臨床試験(2015年3月26日承認、CTD2.7.6.2)
16) 社内資料:注射剤の双極Ⅰ型障害患者を対象とした国際共同二重盲検試験(2020年9月25日承認、CTD2.7.6.1)
17) 社内資料:注射剤の双極Ⅰ型障害患者を対象とした国際共同長期投与試験(2020年9月25日承認、CTD2.7.6.1)
18) Burris, K. D. et al.:J Pharmacol Exp Ther.2002;302(1):381-389.
19) Jordan, S. et al.:Eur J Pharmacol.2002;441(3):137-140.
20) Inoue, T. et al.:J Pharmacol Exp Ther.1996;277(1):137-143.
21) Kikuchi, T. et al.:J Pharmacol Exp Ther.1995;274(1):329-336.
22) Tadori, Y. et al.:Eur J Pharmacol.2008;597(1-3):27-33.
23) Hirose, T. et al.:J Psychopharmacol.2004;18(3):375-383.
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