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劇薬
処方箋医薬品注)
OD錠7.5mg顆粒1%
OD錠15mg
OD錠30mg
心不全における体液貯留
○
-
肝硬変における体液貯留
SIADHにおける低ナトリウム血症
常染色体優性多発性のう胞腎
○:効能あり、―:効能なし
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。必要に応じて、望ましい血清ナトリウム濃度に達するまで段階的に増量できる。なお、患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1日60mgまでとする。
通常、成人にはトルバプタンとして1日60mgを2回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容性がある場合には、1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。
投与方法
投与量
1日1回
15mg
7.5mg
開始用量7.5mg(必要に応じて漸増)→最高用量60mg
1日2回
開始用量1日60mg(朝45mg、夕方15mg)↓ 1日90mg(朝60mg、夕方30mg)(漸増)1日120mg(朝90mg、夕方30mg)
通常の用法及び用量
弱い又は中等度のCYP3A4阻害剤との併用時の用法及び用量(通常用量の1/2量)
強力なCYP3A4阻害剤との併用時の用法及び用量(通常用量の1/4量)
1日60mg(朝45mg、夕方15mg)
1日30mg(朝22.5mg、夕方7.5mg)
1日15mg(朝11.25mg、夕方3.75mg)
1日90mg(朝60mg、夕方30mg)
1日45mg(朝30mg、夕方15mg)
1日22.5mg(朝15mg、夕方7.5mg)
1日120mg(朝90mg、夕方30mg)
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,,,
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。,,,,,,,
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。
投与しないこと。本剤の効果が期待できない。
減量すること。本剤の血漿中濃度が上昇する。
投与しないこと。循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。
意識レベルが低下した場合、適切な水分補給に支障を来すおそれがある。
投与しないこと。肝障害を増悪させるおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡が報告されている1)。また、動物実験(ウサギ1)、ラット2))で胚あるいは胎児移行が報告されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている2)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
グレープフルーツジュース
,,,,
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血漿中濃度を上昇させる。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セントジョーンズワート)含有食品
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。
本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
本剤の作用が増強するおそれがある。
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、本剤の排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。
カリウム製剤カリウム保持性利尿薬
抗アルドステロン薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
レニン阻害薬
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
バソプレシン誘導体
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。
本剤のバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。
重度の腎障害があらわれることがある。,
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,,,
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,,,,,,
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。,,,
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。なお、肝性脳症は、主に肝性浮腫患者において報告されているので、これらの患者に投与する場合は、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、めまい
不眠症
失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作
消化器
口渇(56.9%)、便秘
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満
胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核
過敏性腸症候群
循環器
血圧上昇、血圧低下、動悸
頻脈、期外収縮、不整脈、起立性低血圧、不安定血圧
血液
貧血、ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多
代謝
血中尿酸上昇
脱水、高カリウム血症、糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風
血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇
血中抗利尿ホルモン増加
腎臓・泌尿器
頻尿(38.8%)、多尿(26.2%)、血中クレアチニン上昇
腎臓痛、BUN上昇、腎機能障害、血尿
尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇
過敏症
発疹、そう痒
蕁麻疹
皮膚
皮膚乾燥
脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害
眼
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血
その他
疲労、多飲症
体重変動(増加、減少)、無力症、倦怠感、浮腫、筋骨格痛、筋痙縮、胸痛
背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴
不正子宮出血
血液透析は有効ではないと考えられる。
健康成人にトルバプタン15~120mgを空腹時単回経口投与した時の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す4)。
tmax(h)
Cmax(ng/mL)
AUCt(ng・h/mL)
t1/2(h)
2.0(1.0~4.0)
135±53
645±367
3.3±1.2
30mg
2.0(1.5~6.0)
213±76
1,302±553
3.9±1.7
45mg
2.5(1.0~3.0)
363±318
2,098±1,950
2.9±0.8
60mg
3.0(1.5~4.0)
315±105
2,321±634
4.6±0.8
90mg
2.0(1.0~3.0)
429±146
3,600±922
5.8±1.4
120mg
2.0(2.0~3.0)
661±276
5,908±2,091
9.3±3.2
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、6例、30mg群のみ12例)
SIADH患者にトルバプタン7.5mg又は15mgを空腹時単回経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-2に示す5)(外国人データ)。
107±49
608±332
6.0±2.5
157±68
944±339
5.9±2.1
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、10例(7.5mg群)、8例(15mg群))
健康成人にトルバプタン30~120mgを空腹時1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの血漿中濃度に累積はみられなかった4)。
心性浮腫患者にトルバプタン15mgを1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-3に示す6)。
AUC24h(ng・h/mL)
投与1日目
4.0(1.8~5.9)
258±95
2,057±795
6.6±2.1
投与7日目
3.9(2.0~6.0)
256±102
2,173±1,188
6.8±2.2
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、10例)
肝性浮腫患者にトルバプタン7.5mgを1日1回7日間反復経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-4に示す7)。
4.2(3.8~11.8)
100±54
1,061±732
9.1±5.4
4.0(1.7~7.9)
112±60
1,370±1,165
8.5±4.1
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、20例)
常染色体優性多発性のう胞腎患者に1日120mgを2回(90mg、30mg)に分けて7日間反復経口投与した時のトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-5に示す8)(外国人データ)。
2.0(1.0~9.0)
716±344
6,570±3,230
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、12例)
健康成人にトルバプタン15mg(OD錠又は普通錠)又は30mg(OD錠又は普通錠)を、クロスオーバー法により空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータを表16-6に示す9)。Cmax及びAUCtの幾何平均値の比の90%信頼区間はいずれも0.80~1.25の範囲内であり、いずれの含量においてもOD錠と普通錠は生物学的に同等であった。また、トルバプタン7.5mgOD錠は「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン」に基づき、標準製剤をトルバプタン15mgOD錠とした時、溶出挙動は同等と判定され、生物学的に同等とみなされた。
剤形
普通錠15mg
131±71
697±440
3.4±1.0
OD錠15mg(水なし)
2.0(1.0~5.0)
149±73
674±361
3.2±1.0
OD錠15mg(水あり)
3.0(1.0~5.0)
125±63
685±392
3.3±0.9
普通錠30mg
203±73
1,120±334
3.2±0.6
OD錠30mg(水なし)
218±56
1,130±306
3.2±0.7a)
OD錠30mg(水あり)
2.0(1.0~6.0)
198±55
1,110±312
3.3±0.6
(平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(範囲)、39例(15mg)、41例(30mg))a)40例
健康成人にトルバプタン15mgを単回経口投与した時、空腹時投与に比べ食後投与ではCmax及びAUCはそれぞれ1.3倍及び1.1倍であった4)。健康成人にトルバプタン60mg10)又は90mg11)を単回経口投与した時、空腹時投与に比べ食後投与ではCmaxはそれぞれ1.4倍及び2.0倍、AUCはそれぞれ1.1倍及び1.0倍であった(外国人データ)。
健康成人における経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは56%であった12)(外国人データ)。
ヒト血漿蛋白結合率は、98.0%以上であった2)(in vitro、限外ろ過法)。
トルバプタンは、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4により代謝される13)(in vitro)。
健康成人に、14C-トルバプタン60mgを空腹時に単回経口投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の58.7%及び40.2%が排泄された。未変化体の糞中及び尿中の回収率は、それぞれ投与量の18.7%及び1%未満であった14)(外国人データ)。
腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/min)にトルバプタン60mgを投与した時のAUCは、それぞれ7,360ng・h/mL、6,980ng・h/mL及び3,890ng・h/mLであった。また、血漿中遊離型分率は、それぞれ1.2%、0.6%及び1.0%であった。血漿中遊離型分率を用いて算出した血漿中遊離型濃度のAUCは、クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/minでそれぞれ71.8ng・h/mL、36.4ng・h/mL及び37.5ng・h/mLであった15)(外国人データ)。
肝性浮腫患者にトルバプタン15mgを投与した時のAUCは、中等度肝障害患者(Child-Pugh分類A又はB)で1,618ng・h/mL、重度肝障害患者(Child-Pugh分類C)で2,172ng・h/mLであった16)(母集団解析)。
トルバプタンの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった17)。
健康成人において、強力なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとトルバプタン30mgの併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ3.5倍及び5.4倍になった18)(外国人データ)。,,
健康成人において、中等度のCYP3A4の阻害作用を有するフルコナゾール200mgとトルバプタン30mgの併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1.8倍及び3.0倍になった19)(外国人データ)。,,
健康成人において、トルバプタン60mgをCYP3A4の阻害作用を有するグレープフルーツジュースにより服用した時、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1.9倍及び1.6倍になった20)(外国人データ)。,,
健康成人において、CYP3A4の誘導作用を有するリファンピシン600mgとトルバプタン240mg注)の併用により、トルバプタンのCmax及びAUCはそれぞれ1/6及び1/8になった18)(外国人データ)。
健康成人において、P糖蛋白の基質であるジゴキシン0.25mgとトルバプタン60mgの併用により、ジゴキシンのCmax及びAUCは、それぞれ1.3倍及び1.2倍になった。トルバプタンのCmaxとAUCは、いずれも1.1倍になった21)(外国人データ)。
注)本剤の承認された1日用量は、心不全における体液貯留15mg、肝硬変における体液貯留7.5mg、SIADHにおける低ナトリウム血症7.5~60mg及び常染色体優性多発性のう胞腎60~120mgである。
サムスカ錠の成績を以下に示す。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められるうっ血性心不全患者を対象とした二重盲検比較試験において、トルバプタン15mg又はプラセボを1日1回7日間経口投与した。主要評価項目である最終投与時の体重変化量は、トルバプタン15mg群-1.54±1.61kg(ベースライン:59.42±12.30kg、53例)(平均値±標準偏差、以下同様)、プラセボ群-0.45±0.93kg(ベースライン:55.68±12.60kg、57例)であり、トルバプタン群では、プラセボ群に比較して有意な体重減少が認められた(p<0.0001、t検定)。体重減少は投与翌日よりみられ投与期間を通じて継続した(図17-1)。また、最終投与時における心性浮腫に伴う所見(頚静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫)が改善した(表17-1)27)。
心性浮腫に伴う所見
トルバプタン15mg群
プラセボ群
頚静脈怒張変化量(cm)[例数]
-2.03±2.81[27]
-0.51±1.18[19]
肝腫大変化量(cm)[例数]
-1.07±0.89[18]
-0.35±1.00[17]
下肢浮腫改善率(%)[例数]
63.9[23/36]
42.1[16/38]
(平均値±標準偏差)
副作用発現頻度は、53例中29例(54.7%)であった。主な副作用は、口渇9例(17.0%)、便秘6例(11.3%)、頻尿5例(9.4%)及び倦怠感3例(5.7%)であった。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められる肝硬変患者を対象とした二重盲検比較試験において、トルバプタン7.5mg又はプラセボを1日1回7日間経口投与した。主要評価項目である最終投与時の体重変化量は、トルバプタン7.5mg群-1.95±1.77kg(ベースライン:59.35±12.69kg、82例)(平均値±標準偏差、以下同様)、プラセボ群-0.44±1.93kg(ベースライン:59.15±13.15kg、80例)であり、トルバプタン群では、プラセボ群に比較して有意な体重減少が認められた(p<0.0001、t検定)。体重減少は投与翌日よりみられ投与期間を通じて継続した(図17-2)。最終投与時における肝性浮腫に伴う所見(腹水量、腹囲、下肢浮腫)が改善した(表17-2)。また、臨床症状(腹部膨満感、倦怠感、臥位での圧迫感、呼吸困難感、全身状態)も改善した28)。
肝性浮腫に伴う所見
トルバプタン7.5mg群
腹水変化量(mL)[例数]
-492.4±760.3[82]
-191.8±690.8[80]
腹囲変化量(cm)[例数]
-3.38±3.56[81]
-1.11±3.67[79]
54.8[23/42]
28.3[13/46]
副作用発現頻度は、82例中37例(45.1%)であった。主な副作用は、口渇11例(13.4%)、頻尿6例(7.3%)、便秘3例(3.7%)及び不眠症3例(3.7%)であった。
水分制限を実施しても血清ナトリウム濃度が正常化しないSIADH患者16例(血清ナトリウム濃度135mEq/L未満)を対象とした非盲検試験において、トルバプタン1日1回7.5mgを投与し、効果不十分な場合には、15mg、30mg、60mgに段階的に漸増し、維持用量を決定した。投与期間は最長30日間とし、投与期間中に血清ナトリウム濃度が正常化し、低ナトリウム血症に伴う自覚症状もなく、投与終了によって血清ナトリウム濃度が低下しないと判断できる場合は、早期に投与終了可能とした。維持用量の内訳は7.5mg 11例、15mg 4例であり、1例は中止により維持用量が決定されなかった。また、維持用量決定後に6例で用量が変更され、最終投与時の用量は7.5mg 8例、15mg 6例、60mg 1例であった。投与期間の内訳は30日間 6例、22~29日間 5例、15~21日間 1例、8~14日間 2例、1~7日間 2例であった。主要評価項目である最終投与日翌日(欠測の場合は、最終投与日翌日までの最終の値で補完)の血清ナトリウム濃度の正常化割合(投与前に135mEq/L未満であった被験者が、投与後に135mEq/L以上になった割合)は81.3%(13/16例)であった。血清ナトリウム濃度の上昇は投与開始後よりみられ、投与期間を通じて継続した(図17-3)29)。
副作用発現頻度は、16例中10例(62.5%)であった。主な副作用は、口渇3例(18.8%)、血中クレアチニン増加2例(12.5%)及び体重減少2例(12.5%)であった。
常染色体優性多発性のう胞腎患者(1,444例、日本人患者177例を含む)を対象とした二重盲検比較試験において、トルバプタン45mg/15mg、60mg/30mg、90mg/30mg又はプラセボを朝、夕1日2回3年間経口投与した。対象とした常染色体優性多発性のう胞腎患者は、以下の条件を満たした。①20歳(海外は18歳)以上50歳以下、②無作為割付前31日以内のクレアチニンクリアランスが60mL/min以上、③無作為割付時のMRIにより腎容積の増加が速いと推定される患者(両側腎容積750mL以上)。投与は、1日60mg(朝45mg、夕15mg)より開始し、忍容性が認められれば、1日90mg(朝60mg、夕30mg)、1日120mg(朝90mg、夕30mg)と1週ごとに漸増し、各被験者が長期間服用可能な最大用量を3年間投与した。主要評価項目である両側腎容積の変化率の群間差は-2.7%/年(トルバプタン群:2.8%/年の増加、プラセボ群:5.5%/年の増加)となり、プラセボ群に比べトルバプタン群で変化率を有意に減少させた(p<0.001)(図17-4)。また、常染色体優性多発性のう胞腎の臨床症状に関する複合評価項目(腎機能悪化、腎臓痛、高血圧悪化、アルブミン尿悪化)においても、複合イベントの発現リスクを有意に減少させた(表17-3)。複合評価項目の各項目及び腎機能の変化の結果については、表17-3に示す。日本人部分集団においても同様な結果であった3)。
全体集団
日本人集団
トルバプタン群
腎容積の変化率
変化率a)
2.80(n=819)
5.51(n=458)
1.27(n=106)
5.04(n=58)
群間差(p値)e)
-2.708(p<0.0001)
-3.770(p<0.0001)
複合評価項目
イベント数b)
43.94(n=961)
50.04(n=483)
40.98(n=118)
51.87(n=59)
ハザード比(p値)f)
0.865(p=0.0095)
0.771(p=0.1281)
複合評価項目における各項目
腎機能悪化
1.85(n=961)
4.84(n=483)
1.33(n=118)
8.25(n=59)
0.386(p<0.0001)
0.167(p=0.0011)
腎臓痛
4.73(n=961)
7.30(n=483)
2.33(n=118)
2.95(n=59)
0.642(p=0.0071)
0.767(p=0.6564)
高血圧悪化
30.74(n=961)
32.05(n=483)
28.32(n=118)
31.83(n=59)
0.942(p=0.4223)
0.863(p=0.5248)
アルブミン尿悪化
8.17(n=961)
7.75(n=483)
9.00(n=118)
8.84(n=59)
1.037(p=0.7420)
0.994(p=0.9827)
腎機能c)の変化
変化量d)
-2.609(n=842)
-3.812(n=464)
-4.837(n=108)
-6.279(n=58)
1.203(p<0.0001)
1.442(p=0.0119)
a)%/年
b)イベント/100観察人年
c)血清クレアチニンの逆数
d)(mg/mL)−1/年
e)線形混合モデルによる投与群と時間の交互作用項の検定により算出
f)イベント発生までの時間(再発を含む)について、投与群を因子としたproportional rates/means modelを用いて算出
副作用発現頻度は、961例(日本人118例を含む)中851例(88.6%)であった。主な副作用は、口渇525例(54.6%)、多尿366例(38.1%)、夜間頻尿280例(29.1%)、頻尿223例(23.2%)、口内乾燥152例(15.8%)、頭痛129例(13.4%)及び多飲症100例(10.4%)であった。,
トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を薬理学的特徴とする薬剤であり、腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより、選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。また、多発性のう胞腎においてはバソプレシンによる細胞内cAMPの上昇を抑制することにより、腎容積及び腎のう胞の増大を抑制する。
トルバプタンは、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞及びラット、イヌ腎臓膜標本において、標識バソプレシンのV2-受容体への結合を濃度依存的に阻害した。また、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞において、それ自身ではcAMPの産生増加を示さず、バソプレシンによるcAMPの産生を抑制したことから、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有していることが示された。ヒトバソプレシンV2-受容体に対する阻害定数は、0.43±0.06nmol/Lであった31),32)(in vitro)。
トルバプタンは、覚醒ラット及びイヌにおいて、用量依存的に尿量を増加させ、尿浸透圧を低下させた。このとき、ループ利尿薬とは異なり、自由水クリアランスが正の値となり、自由水の排泄を増加させた(水利尿作用)32),33)。
トルバプタンは、ラット浮腫モデルにおいて、カラゲニン誘発足浮腫及びヒスタミン誘発毛細血管透過性の亢進を用量依存的に抑制した。また、覚醒心不全犬において水利尿作用を示し、前負荷を軽減させた34),35)。
トルバプタンは、ラット肝硬変腹水モデルにおいて、腹水の指標である体重及び腹囲を減少させた36)。
トルバプタンは、ラット低ナトリウム血症モデルにおいて、血漿ナトリウム濃度を上昇させ、低ナトリウム血症を改善した37)。
トルバプタンは、多発性のう胞腎の動物モデルであるpcyマウス、Pkd2WS25/-マウス及びPCKラットにおいて腎容積の増大を抑制した38),39),40)。
トルバプタン〔Tolvaptan(JAN)〕
N-{4-[(5RS)-7-Chloro-5-hydroxy-2,3,4,5-tetrahydro-1H-benzo[b]azepine-1-carbonyl]-3-methylphenyl}-2-methylbenzamide
C26H25ClN2O3
448.94
白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品のメタノール溶液(1→50)は旋光性を示さない。
224~228℃
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
PTP:20錠(10錠×2)、100錠(10錠×10)
PTP:10錠(10錠×1)
プラスチックボトル:30g
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5) 社内資料:SIADH患者における臨床薬理試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6.2)
6) 社内資料:心性浮腫患者における臨床薬理試験(2010年10月27日承認、CTD2.7.6.5)
7) 社内資料:肝性浮腫患者における臨床薬理試験(2013年9月13日承認、CTD2.7.6.4)
8) 社内資料:常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした臨床薬理試験(2014年3月24日承認、CTD2.7.6.5)
9) 社内資料:OD錠の生物学的同等性
10) 社内資料:食事の影響試験60mg(2014年3月24日承認、CTD2.7.6.2)
11) 社内資料:食事の影響試験90mg(2014年3月24日承認、CTD2.7.6.3)
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13) 社内資料:ヒトにおける推定代謝経路(2010年10月27日承認、CTD2.7.2.2)
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16) 社内資料:肝性浮腫患者を対象とした母集団薬物動態解析(2010年10月27日承認、CTD2.7.2.3)
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29) 社内資料:SIADH患者を対象とした第Ⅲ相非盲検試験(2020年6月29日承認、CTD2.7.6.3)
30) 社内資料:常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験:国際共同試験(2014年3月24日承認、CTD2.7.6.6)
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