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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至るおそれがあり、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始、増量又は再開すること。また、特に投与開始日、増量日又は投与再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。,,,,
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
通常、成人にはトルバプタンリン酸エステルナトリウムとして16mgを1日1回1時間かけて点滴静注する。
水分出納バランスを適切に管理するため、以下の点に注意すること。本剤の投与初期及び増量時には、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがある。,,,,,
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。,,
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。,
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。
高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚・胎児死亡(ラット1)、ウサギ1))並びに胚あるいは胎児移行(ラット2))が報告されている。また、活性の主体であるトルバプタンを投与した動物実験(ウサギ)で催奇形性が報告されている3)。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている4)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
,,,
代謝酵素の阻害により、トルバプタンの作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。
トルバプタンの代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、トルバプタンの血漿中濃度を上昇させる。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
代謝酵素の誘導により、トルバプタンの作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。
トルバプタンの代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、トルバプタンの血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
トルバプタンによりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。
トルバプタンはP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
トルバプタンの作用が増強するおそれがある。
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、トルバプタンの排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。
カリウム製剤カリウム保持性利尿薬
抗アルドステロン薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
レニン阻害薬
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
バソプレシン誘導体
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。
トルバプタンのバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。
重度の腎障害があらわれることがある。
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。,,
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,,,
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。,,,,,
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、めまい、不眠症、失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作
消化器
口渇
便秘、悪心
食欲不振、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核、過敏性腸症候群
循環器
頻脈、血圧低下
起立性低血圧
血圧上昇、動悸、期外収縮、不整脈、不安定血圧
血液
貧血
ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多
代謝
脱水
高カルシウム血症、血中尿酸上昇
糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風、血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇、血中抗利尿ホルモン増加
腎臓・泌尿器
腎機能障害
頻尿、多尿、血中クレアチニン上昇、腎臓痛、BUN上昇、血尿、尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇
過敏症
発疹、そう痒、蕁麻疹
皮膚
皮膚乾燥、脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗
呼吸器
咳嗽、呼吸困難、鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害
眼
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血
その他
筋痙縮、倦怠感
疲労、多飲症、体重変動(増加、減少)、無力症、浮腫、筋骨格痛、胸痛、背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴、不正子宮出血
血液透析は有効ではないと考えられる。
健康成人に本剤16mgを1時間かけて単回静脈内投与した時のトルバプタンリン酸エステル及び活性の主体であるトルバプタンの血漿中濃度推移を図16-1及び図16-2に、薬物動態パラメータを表16-1に示す6)。
用量[例数]
tmax(h)
Cmax(ng/mL)
t1/2,Z(h)
AUC∞(ng・h/mL)
トルバプタンリン酸エステル
16mg[47例]
1.02(1.02-1.02)
1,760(240)
2.9(0.8)
2,510(421)
トルバプタン
1.52(1.02-2.02)
209(45.5)
4.1(1.0)
1,230(384)
投与開始後時間を用いてパラメータを算出した。平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小-最大)
心性浮腫患者に本剤2mg注5)、4mg注5)、8mg注5)及び16mgを1時間かけて1日1回5日間反復静脈内投与又はトルバプタン15mgを1日1回5日間反復経口投与した時の1日目のトルバプタンリン酸エステル及び活性の主体であるトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-2に示す。本剤16mg投与時のトルバプタン曝露量がトルバプタン15mg経口投与時のトルバプタン曝露量に最も近く、同程度であった。本剤の5日間反復投与により、トルバプタンリン酸エステルは累積しなかったが、本剤又はトルバプタン経口剤の5日間反復投与により、5日目のトルバプタンの血漿中トラフ濃度は1日目と比較して1.2~1.4倍になった7)。
AUC24h(ng・h/mL)
トルバプタンリン酸エステル(本剤静脈内投与時)
2mg[11例]
1.03(1.00-1.08)
296(186)
1.8(0.7)
454(182)
4mg[12例]
1.04(1.00-1.08)
524(130)
2.8(1.1)
980(384)
8mg[12例]
1.03(0.98-1.10)
831(215)
2.5(0.9)
1,440(429)
16mg[11例]
1.03a)(1.00-1.05)
1,840a)(457)
3.8(0.6)
3,400(735)
トルバプタン(本剤静脈内投与時)
1.48(1.42-2.00)
41.4(11.4)
8.1a)(2.7)
356(157)
1.73(1.08-2.03)
98.6(43.7)
8.6(2.2)
983(563)
1.76(1.02-4.00)
149(61.7)
8.5(3.1)
1,340(522)
1.52(1.42-1.95)
282(96.0)
7.4(2.5)
2,400(1,030)
トルバプタン(トルバプタン経口投与時)
15mg[12例]
4.07(1.07-6.00)
325(194)
7.4b)(2.0)
2,850(1,580)
投与開始後時間を用いてパラメータを算出した。平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小-最大)、a)10例、b)8例
本薬のヒト血清蛋白結合率は、97.9%以上であった8)(in vitro、限外ろ過法)。活性の主体であるトルバプタンのヒト血漿蛋白結合率は、98.0%以上であった9)(in vitro、限外ろ過法)。
本薬はホスファターゼによって加水分解される10)(in vitro)。活性の主体であるトルバプタンは、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4により代謝される11)(in vitro)。
健康成人に、14C-トルバプタンリン酸エステルナトリウム15.2mgを単回静脈内投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の40.8%及び54.3%が排泄された。糞中及び尿中に未変化体は排泄されなかった12)。
腎機能の程度の異なる心性浮腫患者(eGFR<15mL/min、eGFR=15~29mL/min、eGFR=30~59mL/min、eGFR=60~89mL/min、eGFR≥90mL/min)に本剤16mgを静脈内投与(1時間かけて投与)した時、トルバプタンリン酸エステルのAUCは、それぞれ4,060ng・h/mL、3,530ng・h/mL、3,400ng・h/mL、3,080ng・h/mL及び3,050ng・h/mLであり、活性の主体であるトルバプタンのAUCは、それぞれ4,710ng・h/mL、4,410ng・h/mL、3,090ng・h/mL、2,670ng・h/mL及び4,490ng・h/mLであった13)(母集団解析)。また、腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/min)にトルバプタン60mgを経口投与した時のトルバプタンのAUCは、それぞれ7,360ng・h/mL、6,980ng・h/mL及び3,890ng・h/mLであった。また、血漿中遊離型分率は、それぞれ1.2%、0.6%及び1.0%であった。血漿中遊離型分率を用いて算出した血漿中トルバプタン遊離型濃度のAUCは、クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/minでそれぞれ71.8ng・h/mL、36.4ng・h/mL及び37.5ng・h/mLであった14)(外国人データ)。
心性浮腫患者に本剤16mgを静脈内投与(1時間かけて投与)した時、トルバプタンリン酸エステルのAUCは、肝機能分類(NCI-ODWG#に基づく)クラスAで3,310ng・h/mL、クラスB1で3,320ng・h/mL、クラスB2で3,660ng・h/mL、クラスCで3,610ng・h/mLであり、活性の主体であるトルバプタンのAUCは、クラスAで3,350ng・h/mL、クラスB1で3,340ng・h/mL、クラスB2で2,880ng・h/mL、クラスCで3,690ng・h/mLであった13)(母集団解析)。また、肝性浮腫患者にトルバプタン15mgを経口投与した時のトルバプタンのAUCは、中等度肝障害患者(Child-Pugh分類A又はB)で1,618ng・h/mL、重度肝障害患者(Child-Pugh分類C)で2,172ng・h/mLであった15)(母集団解析)。#:National Cancer Institute Organ Dysfunction Working Group
本剤を静脈内投与した時、トルバプタンリン酸エステルの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった13)(母集団解析)。また、トルバプタンを経口投与した時、トルバプタンの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった16)。
健康成人において、強力なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ3.5倍及び5.4倍になった17)(外国人データ)。,
健康成人において、中等度のCYP3A4の阻害作用を有するフルコナゾール200mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.8倍及び3.0倍になった18)(外国人データ)。,
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するグレープフルーツジュースとトルバプタン60mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.9倍及び1.6倍になった19)(外国人データ)。,
健康成人において、CYP3A4の誘導作用を有するリファンピシン600mg(反復投与)とトルバプタン240mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1/6及び1/8になった17)(外国人データ)。
健康成人において、P糖蛋白の基質であるジゴキシン0.25mgとトルバプタン60mgの経口併用投与により、ジゴキシンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍になった。トルバプタンのCmaxとAUCは単独投与と比較していずれも1.1倍になった20)(外国人データ)。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められるうっ血性心不全患者294例を対象とした二重盲検比較試験において、本剤16mgを1日1回5日間静脈内投与、又はトルバプタン15mgを1日1回5日間経口投与した。主要評価項目である最終投与時の体重のベースラインからの変化量において、本剤群のトルバプタン群に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.48、表17-1)。体重減少は投与開始翌日より認められ、投与期間を通して継続した(図17-1)。また、最終投与時における心性浮腫に伴う所見(頚静脈怒張、下肢浮腫)が改善した(表17-2)28)。
投与群
例数
ベースラインからの変化量a)
トルバプタン群に対する差(95%信頼区間)
本剤群
149
-1.67(-1.93, -1.41)
-0.31(-0.68, 0.06)b)
トルバプタン群
144
-1.36(-1.62, -1.10)
a)ベースライン値を共変量とした共分散分析、最小二乗平均値(95%信頼区間)b)非劣性マージン0.48
心性浮腫に伴う所見
本剤群[例数]
トルバプタン群[例数]
頚静脈怒張変化量(cm)a,b)
-2.89(-3.45, -2.33)[52]
-3.15(-3.68, -2.62)[59]
0.26(-0.52, 1.03)
下肢浮腫改善率(%)c)
68.9[84/122]
75.7[84/111]
-6.8(-18.4, 5.1)
a)ベースラインで測定値ありの患者を対象に集計b)ベースライン値を共変量とした共分散分析、最小二乗平均値(95%信頼区間)c)ベースラインで所見を有する患者を対象に集計
副作用発現頻度は、本剤群で149例中45例(30.2%)、トルバプタン群で145例中44例(30.3%)であった。主な副作用は、本剤群では口渇13例(8.7%)、脱水10例(6.7%)、高ナトリウム血症4例(2.7%)及び口内乾燥4例(2.7%)、トルバプタン群で口渇15例(10.3%)、口内乾燥8例(5.5%)、脱水6例(4.1%)、高ナトリウム血症3例(2.1%)及び便秘3例(2.1%)であった。
他の利尿薬を投与しても体液貯留が認められる経口摂取が困難なうっ血性心不全患者45例を対象とした非盲検試験において、開始用量として本剤8mgを1日1回静脈内投与し、効果不十分な場合には16mgに増量した。投与期間は最長5日間とし、うっ血性所見がすべて消失し、体液貯留のさらなる改善が必要ない場合や経口摂取のみで体液管理が可能となった場合には投与終了とした。最終投与時にベースラインと比較して体重が減少し、心性浮腫に伴う所見(頚静脈怒張、下肢浮腫)が改善した(表17-3)29)。
体重変化量(kg)
-3.01±2.57a)[44]
頚静脈怒張変化量(cm)b)
-4.06±2.36a)[19]
73.7[28/38]
最終投与時の用量:8mg(38例)、16mg(7例)。増量後の減量例なし。投与期間:1日間13例、2日間18例、3日間6例、4日間1例、5日間7例a)平均値±標準偏差b)ベースラインで測定値ありの患者を対象に集計c)ベースラインで所見を有する患者を対象に集計
副作用発現頻度は、45例中6例(13.3%)であった。副作用は、口内乾燥2例(4.4%)、心室性頻脈、悪心、高カルシウム血症、高ナトリウム血症及び腎機能障害が各1例(2.2%)であった。,
本薬は、生体内でホスファターゼにより活性の主体であるトルバプタンに加水分解される。トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体拮抗作用により、腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することで選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。
本薬及び活性の主体であるトルバプタンは、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞において、標識バソプレシンのV2-受容体への結合を濃度依存的に阻害した。また、ヒトバソプレシンV2-受容体発現細胞において、本薬及びトルバプタンはcAMPの産生増加を示さず、バソプレシンによるcAMPの産生を抑制したことから、バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有していることが示された。本薬及びトルバプタンのヒトバソプレシンV2-受容体に対する阻害定数は、それぞれ6.13±1.34nmol/L及び0.43±0.06nmol/Lであった30),31),32)(in vitro)。
本薬は、覚醒ラット及びイヌにおいて、静脈内投与により用量依存的に尿量を増加させ、尿浸透圧を低下させた。この時、自由水クリアランスは正の値となり、選択的に自由水の排泄を増加させた(水利尿作用)33),34),35)。
本薬は、ラットにおいて、静脈内投与による利尿作用に伴い、ヒスタミン誘発血管透過性亢進及びカラゲニン誘発足浮腫を抑制した36),37)。
トルバプタンリン酸エステルナトリウム〔Tolvaptan Sodium Phosphate(JAN)〕
Disodium (5RS)-7-chloro-1-[2-methyl-4-(2-methylbenzamido)benzoyl]-2,3,4,5-tetrahydro-1H-benzazepin-5-yl phosphate
C26H24ClN2Na2O6P
572.88
白色の結晶性の粉末又は粒である。本品はN,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、N-メチルピロリドン又はベンジルアルコールに溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。本品の水溶液(1→50)は旋光性を示さない。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル×10本
1) 社内資料:毒性試験(2022年3月28日承認、CTD2.6.6)
2) 社内資料:ラット胎盤通過性に関する試験(2022年3月28日承認、CTD2.6.4.4)
3) Oi, A. et al.:Cardiovasc Drugs Ther. 2011;25(Suppl.1):S91-S99.
4) 社内資料:ラット乳汁中排泄に関する試験(2022年3月28日承認、CTD2.6.4.6)
5) Torres, V. E. et al:N Engl J Med. 2012;367(25):2407-2418.
6) 社内資料:健康成人におけるQT/QTc評価試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.3)
7) 社内資料:心性浮腫患者における第Ⅱ相試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
8) 社内資料:ヒトにおける蛋白結合率(2022年3月28日承認、CTD2.7.2.2、CTD2.6.4.4)
9) Furukawa, M. et al.:Cardiovasc Drugs Ther. 2011;25(Suppl.1):S83-S89.
10) 社内資料:トルバプタンリン酸エステルナトリウムのヒトにおける推定代謝経路(2022年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
11) 社内資料:ヒトにおける推定代謝経路(サムスカ錠:2010年10月27日承認、CTD2.7.2.2)
12) 社内資料:マスバランス試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
13) 社内資料:心性浮腫患者を対象とした母集団薬物動態解析(2022年3月28日承認、CTD2.7.2.3)
14) Shoaf, S. E. et al.:Kidney Int. 2014;85(4):953-961.
15) 社内資料:肝性浮腫患者を対象とした母集団薬物動態解析(サムスカ錠:2010年10月27日承認、CTD2.7.2.3)
16) 社内資料:年齢、性別による影響(サムスカ錠:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.3)
17) Shoaf, S. E. et al.:Br J Clin Pharmacol. 2011;73(4):579-587.
18) 社内資料:フルコナゾールとの相互作用
19) Shoaf, S. E. et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2012:68(2):207-211.
20) Shoaf, S. E. et al.:J Clin Pharmacol. 2011;51(5):761-769.
21) 社内資料:リファンピシン(単回投与)との相互作用(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
22) 社内資料:ロバスタチンとの相互作用1(サムスカ錠:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.3)
23) 社内資料:ロバスタチンとの相互作用2(サムスカ錠:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.2)
24) Shoaf, S. E. et al.:J Cardiovasc Pharmacol Ther. 2005;10(3):165-171.
25) Shoaf, S. E. et al.:Clinical Pharmacology in Drug Development. 2012;1(2):67-75.
26) Shoaf, S. E. et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 2007;50(2):213-222.
27) 社内資料:CYP誘導に関する試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
28) 社内資料:心性浮腫患者を対象とした第Ⅲ相非劣性検証試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.4)
29) 社内資料:心性浮腫患者を対象とした第Ⅲ相非盲検試験(2022年3月28日承認、CTD2.7.6.4)
30) Yamamura, Y. et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1998;287(3):860-867.
31) 社内資料:バソプレシン受容体に対する結合親和性(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
32) 社内資料:cAMP産生に対する作用(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
33) 社内資料:覚醒ラットにおける単回静脈内投与(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
34) 社内資料:覚醒ラットにおける反復静脈内投与(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
35) 社内資料:覚醒イヌにおける単回静脈内投与(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
36) 社内資料:ヒスタミン誘発血管透過性亢進モデルに対する作用(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
37) 社内資料:カラゲニン誘発足浮腫モデルに対する作用(2022年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
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