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日本薬局方
ベニジピン塩酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1日1回2~4mgを朝食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には、1日1回8mgまで増量することができる。ただし、重症高血圧症には1日1回4~8mgを朝食後経口投与する。
通常、成人にはベニジピン塩酸塩として1回4mgを1日2回朝・夕食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤の降圧作用により血圧低下が悪化するおそれがある。
肝機能障害が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)で胎児毒性が、また妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
一般に過度の降圧は好ましくないとされていることから、高血圧症に使用する場合は、低用量(2mg/日)から投与を開始するなど経過を十分に観察しながら慎重に投与することが望ましい。
降圧作用を有する薬剤
血圧が過度に低下することがある。
降圧作用が増強される。
ジゴキシン
ジギタリス中毒があらわれるおそれがある。ジゴキシンの血中濃度と心臓の状態をモニターし、異常が認められた場合には、ジゴキシンの用量の調節又は本剤の投与を中止する。
カルシウム拮抗剤が、ジゴキシンの尿細管分泌を阻害し、血中ジゴキシン濃度を上昇させるとの報告がある。
シメチジン
血圧が過度に低下するおそれがある。
シメチジンが肝ミクロソームにおけるカルシウム拮抗剤の代謝酵素を阻害する一方で胃酸を低下させ、薬物の吸収を増加させるとの報告がある。
リファンピシン
降圧作用が減弱されるおそれがある。
リファンピシンが肝の薬物代謝酵素を誘導し、カルシウム拮抗剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させるとの報告がある。
イトラコナゾール
イトラコナゾールが、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
グレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースが、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
0.1〜5%未満
0.1%未満
頻度不明
肝臓
肝機能異常(AST,ALT,γ-GTP,ビリルビン,Al-P,LDH上昇等)
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
血液
白血球減少、好酸球増加
血小板減少
循環器
動悸、顔面紅潮、ほてり、血圧低下
胸部重圧感、徐脈、頻脈
期外収縮
精神神経系
頭痛、頭重、めまい、ふらつき、立ちくらみ
眠気、しびれ感
消化器
便秘
腹部不快感、嘔気、胸やけ、口渇
下痢、嘔吐
過敏症
発疹
そう痒感
光線過敏症
口腔
歯肉肥厚
その他
浮腫(顔・下腿・手)、CK上昇
耳鳴、手指の発赤・熱感、肩こり、咳嗽、頻尿、倦怠感、カリウム上昇
女性化乳房、結膜充血、霧視、発汗
過度の血圧低下を起こすおそれがある。
本剤は蛋白結合率が高いため、透析による除去は有用ではない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者の透析排液が白濁することが報告されているので、腹膜炎等との鑑別に留意すること。
健康成人男性6例にベニジピン塩酸塩2mg、4mg及び8mgをそれぞれ空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
投与量
tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
AUC(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
2mg
1.1±0.5
0.55±0.41
1.04±1.26
―
4mg
0.8±0.3
2.25±0.84
3.94±0.96
1.70±0.70
8mg
3.89±1.65
6.70±2.73
0.97±0.34
mean±S.D., n=6
ベニジピン塩酸塩錠2mg「OME」とコニール錠2を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ベニジピン塩酸塩としてそれぞれ2mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)。
n
AUC0→24(ng・hr/mL)
ベニジピン塩酸塩錠2mg「OME」
20
0.65±0.62
0.60±0.54
0.7±0.3
1.1±0.4
コニール錠2
0.66±0.73
0.57±0.59
0.8±0.4
1.2±0.6
(Mean±S.D.)
ベニジピン塩酸塩錠4mg「OME」とコニール錠4を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ベニジピン塩酸塩としてそれぞれ4mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)。
ベニジピン塩酸塩錠4mg「OME」
3.49±5.38
1.34±0.73
0.7±0.6
4.8±3.9
コニール錠4
3.39±4.48
1.48±0.76
0.7±0.4
4.0±3.2
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
14C-ベニジピン塩酸塩1mg/kgをラットに経口投与したとき、肝臓、腎臓、副腎、顎下腺、肺、下垂体、膵臓の順に移行が認められ、脳、脊髄、精巣への移行は少なかった3)。
14C-ベニジピン塩酸塩1mg/kgを妊娠ラットに経口投与したとき、胎児への移行性が認められ、その総量は母体血漿中の1/3以下であった4)。
14C-ベニジピン塩酸塩1mg/kgを授乳ラットに経口投与したとき、乳汁中濃度は血漿中濃度と同様の推移を示した4)。
ヒト血清蛋白結合率は14C-ベニジピン塩酸塩200ng/mLの濃度で99.7%であった(in vitro、平衡透析法)3)。
ヒトの血漿中、尿中に検出された代謝物及び動物での代謝研究から、ヒトにおける代謝反応は主として3位側鎖のベンジル基の脱離(N-脱アルキル化)、3位の1-ベンジル-3-ピペリジルエステル及び5位のメチルエステルの加水分解、ジヒドロピリジン環の酸化、2位のメチル基の酸化と考えられている5),6)。
外国人健康成人男性5例に14C-ベニジピン塩酸塩8mgを単回経口投与したとき、累積放射能排泄率は投与後48時間までに尿中に投与量の約35%、糞中には約36%が排泄され、投与後120時間では尿中で約36%、糞中で約59%が排泄された6)。
ベニジピン塩酸塩錠8mg「OME」は、溶出挙動に基づき、ベニジピン塩酸塩錠4mg「OME」と生物学的に同等とみなされた7)。
重症高血圧患者37例を対象に、ベニジピン塩酸塩2~8mgを経口投与したとき、有効率は94.4%(34/36例注1))であった。副作用発現頻度は、5.4%(2/37例)であった。認められた副作用は、全身倦怠感及び頭痛 各1件であった8)。腎実質性高血圧患者39例を対象に、ベニジピン塩酸塩2~8mgを経口投与したとき、有効率は82.4%(28/34例注1))であった。副作用発現頻度は、5.1%(2/39例)であった。認められた副作用は、頭痛、顔面紅潮及び倦怠感 各1件であった9),10)。
ベニジピン塩酸塩は細胞膜の膜電位依存性CaチャネルのDHP結合部位に結合することによって細胞内へのCa流入を抑制し、冠血管や末梢血管を拡張させる。なお、ベニジピン塩酸塩は細胞膜への移行性が高く、主として細胞膜内を通ってDHP結合部位に結合すると推定されており、更に摘出血管収縮抑制作用及びDHP結合部位親和性等の検討によりDHP結合部位への結合性が強く、また解離速度も非常に遅いことが確認されており、薬物血中濃度とほとんど相関せずに作用の持続性を示す11),12),13)。
ベニジピン塩酸塩は高血圧自然発症ラット、DOCA-食塩高血圧ラット、腎性高血圧イヌに経口投与したとき、作用の発現が緩徐で持続性の降圧作用が認められた。なお、長期間投与においても耐性は生じなかった。また、ベニジピン塩酸塩は本態性高血圧症患者に1日1回経口投与したとき、血圧の日内変動に影響を及ぼさずに24時間にわたり安定した降圧効果を示した14),15),16)。
ベニジピン塩酸塩は実験的狭心症モデル(ラット)及びイヌ冠動脈結紮再灌流による心機能の低下、虚血性心電図変化を有意に改善した。また、ベニジピン塩酸塩は労作性狭心症患者に経口投与したとき、運動負荷による虚血性変化(心電図ST下降)に対して改善効果を示した17),18),19)。
ベニジピン塩酸塩は腎不全モデル(5/6腎摘)高血圧自然発症ラットに連続経口投与したとき、降圧作用を示すとともに腎機能を改善した。また、ベニジピン塩酸塩は本態性高血圧症患者に投与したとき、腎血流量の有意な増加が認められた。更に、高血圧を伴った慢性腎不全患者に投与したとき、クレアチニンクリアランス及び尿素窒素クリアランスを増加させ、腎機能保持作用を示した20),21),22),23)。
ベニジピン塩酸塩(Benidipine Hydrochloride)
3-[(3RS)-1-Benzylpiperidin-3-yl]5-methyl(4RS)-2,6-dimethyl-4-(3-nitrophenyl)-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monohydrochloride
C28H31N3O6・HCl
542.02
本品は黄色の結晶性の粉末である。本品はギ酸に極めて溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品のメタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
約200℃(分解)
(PTP)100錠(10錠×10)
1) 宇治康明他:薬理と治療. 1990;18:S689-S702
2) 大原薬品工業株式会社 社内資料:生物学的同等性試験(2001年)
3) 小林弘幸他:薬物動態. 1990;5:71-86
4) 小林弘幸他:薬物動態. 1990;5:103-109
5) Kobayashi H, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1988;38:1753-1756
6) Kobayashi H, et al.:Xenobiotica. 1997;27:597-608
7) 大原薬品工業株式会社 社内資料:溶出試験(2007年)
8) 吉永馨他:薬理と治療. 1990;18:S785-S799
9) 吉永馨他:薬理と治療. 1990;18:S801-S822
10) 吉永馨他:薬理と治療. 1992;20:S3647-S3664
11) 第十八改正日本薬局方解説書. 2021;C-5219
12) Karasawa A, et al.:Jan J Pharmacol. 1988;47:35-44
13) Ishii A, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1993;21:191-196
14) Karasawa A, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1988;38:1684-1690
15) Karasawa A, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1988;38:1695-1697
16) 吉永馨他:薬理と治療. 1990;18:S721-S729
17) Karasawa A, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1988;38:1702-1707
18) Karasawa A, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1988;38:1717-1721
19) 野田汎史他:薬理と治療. 1990;18:S843-S850
20) 金澤雅之他:日腎誌. 1990;32:33-44
21) Fuji Y, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1988;11:438-443
22) 築山久一郎他:薬理と治療. 1990;18:S713-S719
23) Fukuda S, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1988;12:S155-S156
大原薬品工業株式会社 お客様相談室
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