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劇薬
処方箋医薬品注)
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
迷走神経刺激作用により徐脈又は不整脈が起こるおそれがある。
*徐脈、房室ブロック、QT延長、Torsade de pointes等が起こるおそれがあるため、重篤な不整脈に移行しないよう観察を十分に行うこと。,
胃酸分泌量が増加し、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を誘発又は悪化させるおそれがある。
排尿筋を収縮させ症状を誘発又は悪化させるおそれがある。
痙攣閾値を低下させ痙攣発作を誘発させるおそれがある。
気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により症状を悪化させるおそれがある。
線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を悪化させるおそれがある。
消化器系障害(悪心、嘔吐等)を発現しやすくなるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合にのみ投与すること。血中濃度が上昇するおそれがある。また、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)において、リバスチグミン又はその代謝物の胎児への移行が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
コリン作動薬
コリンエステラーゼ阻害剤
コリン刺激作用が増強され、コリン系副作用(悪心、嘔吐、徐脈等)を引き起こす可能性がある。
本剤と同様にコリン作動性作用を有している。
抗コリン作用を有する薬剤
アトロピン系抗コリン剤
本剤と抗コリン作用を有する薬剤のそれぞれの効果が減弱する可能性がある。
本剤と抗コリン作用を有する薬剤の作用が相互に拮抗する。
サクシニルコリン系筋弛緩剤
サクシニルコリン系筋弛緩剤の作用が過剰にあらわれるおそれがある。
本剤がコリンエステラーゼを阻害し、脱分極性筋弛緩剤の分解を抑制する。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を誘発又は悪化させるおそれがある。
コリン系の賦活により胃酸分泌量が増加する。
**一過性脳虚血発作、脳出血及び脳梗塞を含む脳卒中、痙攣発作があらわれることがある。
嘔吐あるいは下痢の持続により脱水があらわれることがあるので、このような場合には、補液の実施及び本剤の減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
感染症
-
尿路感染
血液及びリンパ系障害
貧血、好酸球増加症
代謝及び栄養障害
食欲減退
糖尿病
精神障害
不眠症、うつ病、落ち着きのなさ
不安、攻撃性、悪夢
神経系障害
浮動性めまい、頭痛
傾眠、振戦
心臓障害
上室性期外収縮、頻脈、心房細動
血管障害
高血圧
胃腸障害
嘔吐、悪心
下痢、腹痛、胃炎
消化不良
膵炎
皮膚及び皮下組織障害
接触性皮膚炎
発疹、湿疹、紅斑、そう痒症、多汗症、アレルギー性皮膚炎
蕁麻疹、水疱
腎及び尿路障害
血尿
頻尿、蛋白尿、尿失禁
全身障害
疲労、無力症、けん怠感
適用部位障害
適用部位紅斑、適用部位そう痒感、適用部位浮腫
適用部位皮膚剥脱、適用部位疼痛、適用部位亀裂、適用部位皮膚炎
適用部位反応、適用部位腫脹、適用部位刺激感
適用部位過敏反応
臨床検査
体重減少、血中アミラーゼ増加
肝機能検査異常、コリンエステラーゼ減少
その他
転倒・転落、末梢性浮腫
縮瞳
外国において本剤の過量投与(1回108mg、2日間)の2週間後に死亡したとの報告がある。また、外国における経口投与及び国内外における経皮投与による過量投与例では、嘔吐、悪心、下痢、腹痛、めまい、振戦、頭痛、失神、傾眠、錯乱状態、幻覚、多汗症、徐脈、高血圧、けん怠感及び縮瞳等が認められている。
過量投与時には、速やかに本剤をすべて除去し、その後24時間はそれ以上の貼付を行わない。重度の悪心、嘔吐には制吐剤の使用を考慮すること。また、大量の過量投与時には、アトロピン硫酸塩水和物を解毒剤として使用できる。最初にアトロピン硫酸塩水和物として1~2mgを静脈内投与し、臨床反応に応じて投与を追加する。解毒剤としてスコポラミンの使用は避けること。
健康成人に本剤9mgもしくは18mgを1日1回反復投与(5日間貼付)したときの投与5日目の血漿中リバスチグミン濃度推移を下図に示す。血漿中リバスチグミンは貼付8時間後に最高血漿中濃度(Cmax)に到達し、貼付24時間後(貼付終了時)まで緩やかに減少した。Cmaxは本剤9mgで3.39±1.44ng/mL、18mgで8.27±2.31ng/mL(平均値±標準偏差)であった。1)
投与量
Cmax(ng/mL)
Tmax※(hr)
AUC0-24(ng・hr/mL)
9mg18mg
3.39±1.448.27±2.31
88
62.9±18.7153.3±41.5
n=18、平均値±標準偏差、※:中央値
本剤18mgを除去後の血漿中リバスチグミン濃度の消失半減期は3.3時間であった。いずれの用量でもリバスチグミンの本剤からの放出率は含量の約50 %であった。1)血漿中リバスチグミン濃度は投与開始3日で定常状態に到達した。本剤9mgの初回投与日及び投与5日目のAUC0-24比から求めた累積率は1.34であった。1)
背部、上腕部、胸部に貼付したとき、リバスチグミンの曝露量には貼付部位間で差が認められなかった(外国人のデータ)。2),3)
リバスチグミンの血漿中蛋白結合率は、本剤投与後の血漿中濃度付近で約40%であった(in vitro)。4)
リバスチグミンは、主にエステラーゼにより加水分解され、その後硫酸抱合を受ける。CYPによる代謝はわずかである。
リバスチグミンの排泄は代謝物の腎排泄が主である。健康成人に[14C]標識リバスチグミンを経口投与したとき、24時間以内に90%以上が尿中へ排泄され、糞中への排泄は1%未満であった(外国人のデータ)。5)
本剤で肝機能障害患者を対象とした薬物動態試験は実施されていない。なお、リバスチグミンの経口剤(国内未承認)を、Child-Pughスコアが5~12の肝硬変患者に単回投与したとき、健康成人と比較してリバスチグミンのAUCが約130%、Cmaxが約60%上昇した(外国人のデータ)。6)
本剤の薬物間相互作用を検討した試験はない。リバスチグミンの経口剤(国内未承認)について、ジゴキシン7)、ワルファリン8)、ジアゼパム9)、フルオキセチン10)との薬物動態学的相互作用を検討した結果、リバスチグミンの薬物動態に対する併用薬の影響は認められなかった。リバスチグミンは主にエステラーゼにより代謝され、CYPによる代謝はわずかであることから、CYPを阻害する薬物と併用してもリバスチグミンの薬物動態は影響を受けないと考えられる。また、本剤18mgを貼付したときのリバスチグミンのCmaxはCYPに対するIC50値より十分低いことから、CYPにより代謝される併用薬の薬物動態に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。11)
軽度及び中等度(ミニメンタルステート検査(MMSE):10~20点)のアルツハイマー型認知症患者を対象とした本剤のプラセボ対照二重盲検比較試験(24週間投与)の概要は次のとおりである。
投与24週時のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群で1.3点、本剤18mg群で0.1点であり、プラセボ群と本剤18mg群間には統計学的に有意な差がみられた(p=0.005、共分散分析)。12)
投与24週時の全般臨床評価では、プラセボ群と本剤18mg群間には統計学的に有意な差はみられなかった(p=0.067、Wilcoxon順位和検定)。12)
副作用の発現率は本剤18mg群で73.2%(210/287例)であった。主な副作用は、適用部位紅斑39.4%(113/287例)、適用部位そう痒感34.8%(100/287例)、接触性皮膚炎23.7%(68/287例)、適用部位浮腫10.8%(31/287例)、悪心6.6%(19/287例)、嘔吐5.9%(17/287例)等であった。
軽度及び中等度(MMSE:10~20点)のアルツハイマー型認知症患者を対象に、2種類の漸増法(1ステップ漸増法:本剤1日1回9mgから投与を開始し、原則として4週後に1日1回18mgに増量し、維持用量として1日1回18mgを投与した群、3ステップ漸増法:本剤1日1回4.5mgから投与を開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持用量として1日1回18mgを投与した群)の忍容性を比較した、二重盲検比較試験(24週間投与)の概要を以下に示す。有害事象による中止率は1ステップ漸増法で15.0%(16/107例)、3ステップ漸増法で18.5%(20/108例)であった。有害事象による中止率の群間差(1ステップ漸増法-3ステップ漸増法)は-3.6%(95%信頼区間;-17.0~9.6)であった。13)副作用の発現率は1ステップ漸増法で58.9%(63/107例)、3ステップ漸増法で58.3%(63/108例)であった。主な副作用は、1ステップ漸増法で適用部位そう痒感22.4%(24/107例)、適用部位紅斑15.9%(17/107例)、接触性皮膚炎11.2%(12/107例)等、3ステップ漸増法で適用部位そう痒感22.2%(24/108例)、適用部位紅斑15.7%(17/108例)、接触性皮膚炎11.1%(12/108例)等であった。
リバスチグミンは、アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ、脳内コリン作動性神経を賦活する。
ラットの脳内アセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンレベルを増加させる。14)
コリン作動性神経遮断モデル(スコポラミン処置ラット)やアルツハイマー病モデル(アミロイドβ脳内注入マウス及びAPP23マウス)の学習記憶障害を改善する。15),16),17)
リバスチグミン(Rivastigmine)
3-[(1S )-1-(Dimethylamino)ethyl]phenyl N -ethyl-N -methylcarbamate
C14H22N2O2
250.34
無色~黄色又は微褐色澄明の粘性の液である。水にやや溶けにくく、メタノール、エタノール(99.5)に極めて溶けやすい。
>100(1-オクタノール/水)
(分包):14枚、28枚、140枚
1) 小野薬品工業:国内第Ⅰ相試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.1.1.1)
2) Lefèvre G. et al.:J.Clin.Pharmacol.,2007;47:471-478
3) 小野薬品工業:貼付部位別PK試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.1.2.1.1.2)
4) 小野薬品工業:血漿中蛋白結合率(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.6.4.4)
5) 小野薬品工業:経口投与時の健康成人PK試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.1.1)
6) 小野薬品工業:経口投与時の肝機能障害患者PK試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.2.1)
7) 小野薬品工業:経口投与時のジゴキシン併用薬物相互作用試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.3.1)
8) 小野薬品工業:経口投与時のワルファリン併用薬物相互作用試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.3.2)
9) 小野薬品工業:経口投与時のジアゼパム併用薬物相互作用試験(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.3.3)
10) 小野薬品工業:経口投与時のフルオキセチン併用薬物相互作用試験(社内資料) (2011年4月22日承認、CTD2.7.2.2.2.3.4)
11) 小野薬品工業:CYP分子種への影響(社内資料)(2011年4月22日承認、CTD2.6.4.7.1)
12) Nakamura Y. et al.:Dement.Geriatr.Cogn.Disord.Extra,2011;1:163-179
13) Nakamura Y. et al.:Dement.Geriatr.Cogn.Disord.Extra,2015;5:361-374
14) Cerbai F. et al.:Eur.J.Pharmacol.,2007;572:142-150
15) Bejar C. et al.:Eur.J.Pharmacol.,1999;383:231-240
16) Van Dam D. et al.:Psychopharmacology,2005;180:177-190
17) Meunier J. et al.:Br.J.Pharmacol.,2006;149:998-1012
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