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劇薬
処方箋医薬品注)
ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5~10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し、維持量は適宜増減する。ただし、最大用量は20μg/kg/minを超えないこと。
投与時期
用法及び用量
適宜調整
投与開始から1分間
投与開始1分後以降
体重\投与量
0.125mg/kg/min
0.04mg/kg/min
0.01~0.04mg/kg/min
30kg
22.5mL/時
7.2mL/時
1.8~ 7.2mL/時
40kg
30.0mL/時
9.6mL/時
2.4~ 9.6mL/時
50kg
37.5mL/時
12.0mL/時
3.0~12.0mL/時
60kg
45.0mL/時
14.4mL/時
3.6~14.4mL/時
70kg
52.5mL/時
16.8mL/時
4.2~16.8mL/時
90.0mL/時
28.8mL/時
7.2~28.8mL/時
120.0mL/時
38.4mL/時
9.6~38.4mL/時
150.0mL/時
48.0mL/時
12.0~48.0mL/時
180.0mL/時
57.6mL/時
14.4~57.6mL/時
210.0mL/時
67.2mL/時
16.8~67.2mL/時
開始用量
最大用量
0.06mg/kg/min
0.02mg/kg/min
10.8mL/時
3.6mL/時
4.8mL/時
18.0mL/時
6.0mL/時
21.6mL/時
25.2mL/時
8.4mL/時
43.2mL/時
19.2mL/時
72.0mL/時
24.0mL/時
86.4mL/時
100.8mL/時
33.6mL/時
投与開始時
1μg/kg/min
1~10μg/kg/min
1.8mL/時
1.8~18.0mL/時
2.4mL/時
2.4~24.0mL/時
3.0mL/時
3.0~30.0mL/時
3.6~36.0mL/時
4.2mL/時
4.2~42.0mL/時
40μg/kg/min
96.0mL/時
144.0mL/時
168.0mL/時
20μg/kg/min
36.0mL/時
60.0mL/時
84.0mL/時
薬液濃度(mg/mL)
2.5kg
0.5mL/時
0.5~5mL/時
0.3
5kg
0.6
10kg
1.2
20kg
2.4
3.6
4.8
6
7.2
8.4
1mL/時
1~10mL/時
0.15
1.8
3
4.2
気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。
低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。
末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。
本剤投与により血圧低下をきたしやすい。
本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。,
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。,
代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。
薬剤の排泄が影響を受けるおそれがある。
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
十分に患者の状態を観察しながら投与すること。生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
交感神経系の過剰の抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
レセルピン等のカテコールアミン枯渇剤が投与されている時にβ遮断剤のカテコールアミン遮断作用が加わると交感神経活性が過度に低下するおそれがある。
血糖降下剤
低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。
血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、心拍数を増加させるが、心臓のβ1受容体が遮断されていると、心拍数の増加が起きず、頻脈のような低血糖症状がマスクされるおそれがある。
カルシウム拮抗剤
相互に作用が増強されるおそれがある。うっ血性心不全のおそれのある患者、洞房ブロック、房室ブロックのある患者では重度の低血圧、徐脈、心不全が発現するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
カルシウム拮抗剤とβ遮断剤は共に心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、血圧低下作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある。
ジギタリス製剤
房室伝導時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
ジギタリス製剤とβ遮断剤は共に房室伝導時間の延長作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある。
クラスⅠ抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
過度の心機能抑制があらわれるおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
クラスⅠ抗不整脈剤及びクラスⅢ抗不整脈剤は刺激伝導系に対する抑制作用を有するので、これらの薬剤との併用で過度の心機能抑制作用が起こるおそれがある。
クロニジン
クロニジン投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇)を増強する可能性がある。手術前数日以内にクロニジンを投与中止した場合には、本剤の投与を慎重に行うこと。
クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤を投与すると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強されるおそれがある。
交感神経刺激剤
血管収縮により、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。
α、β刺激作用を有する薬剤の場合には、本剤により交感神経刺激剤のβ刺激作用が抑制され、α刺激作用が優位となり、血管収縮が起こるおそれがある。
コリンエステラーゼ阻害剤
本剤の代謝を阻害し、作用が増強及び作用時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤はエステラーゼで代謝されるため、これらの薬剤との併用により本剤の作用が増強及び作用時間が延長するおそれがある。
フェンタニルクエン酸塩プロポフォール
徐拍作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
フェンタニルクエン酸塩及びプロポフォールは徐拍作用を持つ麻酔薬であり、これら薬剤との併用により、徐拍作用が増強するおそれがある。
プロカインスキサメトニウム
本剤及び他剤の作用時間が延長することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
同一の酵素によって代謝されるため、拮抗的な阻害を受けるものと推測される。ヒト血漿を用いたin vitro試験結果から、スキサメトニウムとの併用で本剤の血中濃度が最大20%程度上昇する可能性がある。
過度の血圧低下があらわれることがある。
心不全の急激な増悪があらわれるおそれがある。,,
10%以上
1~10%未満
1%未満
循環器
血圧低下
徐脈、ST低下、肺動脈圧上昇
呼吸器
喘息、低酸素血症
肝 臓
AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇
γ-GTP上昇
その他
白血球増多、血小板減少、Al-P上昇、LDH上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿酸上昇
過度の血圧低下又は過度の徐脈をきたす。
直ちに本剤の投与を中止すること。更に、必要に応じて下記等の適切な処置を行うこと。血圧低下:輸液の投与や吸入麻酔剤の濃度を下げる等の処置を行う。更に、必要に応じて、昇圧剤を投与するが、交感神経刺激剤を用いる場合はα刺激作用が優位に発現することによる過度の昇圧に注意して投与すること。徐 脈:アトロピンを投与し、更に必要に応じてβ1刺激薬(ドブタミン等)や輸液等を投与する。
本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。10mg/mLを超える濃度で点滴すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。精密持続点滴装置使用に際しては、バッグあるいはシリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。
β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告、並びにグルカゴン静注が有効であったとの報告がある。
健康成人5例に0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始約15分後で定常に達し、投与60分後の全血中濃度(C60min)は1,008ng/mLを示し、AUCは59.34μg・min/mLである。投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.96分であり、全身クリアランス(CLtot)は41.8mL/min/kg、分布容積(Vd)は242mL/kgである。1)
C60min(ng/mL)
AUC0-∞(μg・min/mL)
T1/2(min)
CLtot(mL/min/kg)
Vd(mL/kg)
1008±303
59.34±12.49
3.96±0.46
41.8±8.3
242±67
平均値±標準偏差
健康成人5例に0.25mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与2分後で最高に達し、その全血中濃度(Cmax)は2,008ng/mLを示すが、その後全血中濃度は低下し、投与開始5分後にほぼ定常濃度となり、投与61分後の全血中濃度(C61min)は1,237ng/mLである。AUCは82.43μg・min/mL、投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.47分である。1)
Tmax(min)
Cmax(ng/mL)
C61min(ng/mL)
2
2008±798
1237±329
82.43±23.52
3.47±0.44
健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで10分間静脈内持続投与し、更に用量を切り替えて0.125mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで10分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始2分後で速やかに定常に達し、用量切り替えの2分後(投与開始13分後)にCmaxに達した後、速やかに定常に達した。2)
Cmax(0-11min)(ng/mL)
Tmax(0-11min)(min)
Cmax(12-22min)(ng/mL)
Tmax(12-22min)(min)
704±119
3.5±3.7
1990±280
13±0
AUC0-∞(μg・min/mL)
C11min(ng/mL)
C22min(ng/mL)
27.8±3.4
655±136
3.5±0.3
1270±160
ヒト血清に対する蛋白結合率は1.5~7.0%である(in vitro、限外ろ過法)。3)
本剤はヒト肝臓及び血漿中で加水分解され、速やかに代謝される。肝代謝クリアランスは肝血流が律速と考えられ、全身クリアランスの約半分を占める。また、in vitroの血漿中代謝半減期は4.1分であり、血漿中での代謝の寄与も大きい。ヒト肝臓における主代謝酵素はカルボキシエステラーゼ、ヒト血漿中における主代謝酵素は擬コリンエステラーゼであると推定された。3)また、本剤及びその代謝物(カルボン酸体、安息香酸体)はヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対してほとんど阻害活性を示さなかった(in vitro)。4),
主排泄経路は尿中であり、健康成人に0.04mg/kg/minで60分間投与すると、投与24時間後までに約99%が尿中に排泄される。そのうち未変化体は8.7%であり、主要代謝物はカルボン酸体である。1)
肝障害患者6例(Child-Pugh分類A:5例、B:1例)及び健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで60分間静脈内持続投与したとき、全血中濃度のCmax及びAUCはそれぞれ1.42及び1.44倍、肝障害患者で高く推移したが、T1/2は4.0分であり、健康成人と差がないことが示された。5)
AUC0-∞(μg・min/mL)
肝障害患者
942±140
866± 54
52.4±5.2
4.0±0.4
健康成人
665±119
641±125
36.3±3.6
4.0±1.5
小児の心機能低下例に伴う頻脈性不整脈患者21例に本剤を1~10μg/kg/minの範囲で静脈内持続投与し30分以上用量を一定に維持した際の血中濃度の平均値は150ng/mL、全身クリアランス(CLtot)の平均値は56.4mL/min/kgであった。6)
血中濃度(ng/mL)
CLtot(mL/min/kg)
150±94.1
56.4±39.8
プラセボを対照とした二重盲検比較試験において、麻酔中に緊急治療を要する高血圧症、虚血性心疾患、心電図上の虚血性変化等を有する患者における上室性頻脈性不整脈に対する短期心拍数調節薬としての有用性が確認された。なお、心拍数の減少効果は本剤投与2~3分後からプラセボに比べ有意となり、この効果は本剤投与中持続し、投与終了後30~60分で消失した。7),8)
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤投与前に比べ心拍数が20%以上減少した症例は117例中102例(87.2%)である。なお、対象とした上室性頻脈性不整脈の内訳は、洞性頻脈110例、心房細動7例であった。これらの臨床試験は、11分投与で実施されている。7),8),9),10)
本剤を複数回投与した10例において、再投与までの投与間隔は平均67.2分(最短25分、最長215分)であり、初回投与時と再投与時で本剤の有効性及び安全性に差異は認められていない。10)主な副作用は、低血圧であった。
プラセボを対照とした二重盲検比較試験において、手術後に緊急治療を要する高血圧症、虚血性心疾患、心電図上の虚血性変化等を有する心筋虚血の高リスク患者、又は心臓血管手術、開胸術、上腹部手術及び食道癌手術等の大侵襲手術後の上室性頻脈性不整脈に対する心拍数調節薬としての有用性が確認された。11)安全性評価対象98例中、主な副作用は、低血圧11例(11.2%)であった。
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤投与前に比べ心拍数が20%以上減少かつ心拍数が100回/分未満に達した症例は、200例中98例(49.0%)であり、不整脈の種類別では心房細動・心房粗動75例中37例(49.3%)、洞性頻脈125例中61例(48.8%)であった。11),12),13)なお、後期第Ⅱ相試験13)及び第Ⅲ相二重盲検比較試験11)は手術後7日以内で実施されている。
20歳以上の非周術期の心機能低下例における頻脈性不整脈(心房細動・粗動)を対象に、ジゴキシンを対照とした単盲検比較試験を実施した。治療薬投与前のNYHA心機能分類がⅢ度又はⅣ度、かつ左心室駆出率が25~50%の患者が対象とされた。主要評価項目である治験薬投与開始2時間後における治験薬投与直前の心拍数に対する20%以上の徐拍化かつ心拍数110回/分未満を認めた被験者の割合(目標達成被験者の割合)において、本剤群は目標達成率を増加させた。また、安全性評価対象93例中8例(8.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・収縮期血圧低下・低血圧4例(4.3%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として10μg/kg/minを超えないこととした。14)
投与群
目標達成被験者の割合
調整解析a)
本剤群
48.8%(40/82例)
48.0%*
ジゴキシン群
13.3%(13/98例)
13.9%
a)治験薬投与直前の心拍数及び治験薬投与前の左室駆出率を共変量とした線形確率モデルを用いて算出した。*:p<0.0001(ジゴキシン群との比較)
上記試験において、副次評価項目である各時点の心拍数において、本剤群は投与後速やかな心拍数低下作用を示した。14)
心拍数(回/分)
投与直前
30分後
1時間後
2時間後
138.1±15.7
126.3±20.6
117.3±22.3*
110.2±19.2**
138.0±15.0
128.3±19.3
125.4±20.4
122.3±20.5
*:p=0.0003、**:p<0.0001(治験薬投与直前の心拍数及び治験薬投与前の左室駆出率を共変量とした共分散分析によるジゴキシン群との比較)
クラスⅢ抗不整脈剤を使用しているにもかかわらず生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)を再発した患者を対象に非盲検非対照試験を実施した。主要評価項目である有効性評価期間(48時間)の発作非発現率(Kaplan-Meier推定値)は77.8%(21/27例、95%信頼区間:57.1~89.3%)であり、95%信頼区間下限は事前に設定した閾値有効率(20%)を上回った。また、安全性評価対象29例中10例(34.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・低血圧6例(20.7%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、用量設定期間(1時間)に15~20分間隔を目安に1→2.5→5→10μg/kg/minまで増量した後、有効性評価期間(48時間)では原則として10μg/kg/minを超えない範囲で適宜調節した。心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発した場合は、公比2倍を超えない幅で最大40μg/kg/minまで増量可とした。減量を要する場合、維持用量が10μg/kg/min以下の場合は原則1μg/kg/min、維持用量が10μg/kg/minを超える場合は原則1~10μg/kg/minの幅で減量した。また、本剤投与開始から有効性評価期間終了時までの投与量の分布を以下に示した。15),
投与量の分布
用量設定期間終了時a)
有効性評価期間終了時b)
<10μg/kg/min=10μg/kg/min>10μg/kg/min
20.7%(6例)75.9%(22例)3.4%(1例)
62.1%(18例)27.6%(8例)10.3%(3例)
a)治験薬投与開始1時間後b)治験薬投与開始49時間後又は治験薬投与終了時のいずれか早い時点
敗血症に伴う頻脈性不整脈(心房細動・粗動、洞性頻脈)を対象に、本剤を投与しない既存治療を対照とした非盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。主要評価項目である登録24時間後における心拍数を60~94回/分に調節できた患者の割合(目標達成患者の割合)において、本剤群は目標達成率を増加させた。また、安全性評価対象の本剤群77例中12例(15.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血圧低下・低血圧6例(7.8%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として20μg/kg/minを超えないこととした。16),
目標達成患者の割合
p値a)
54.7%(41/75例)
p=0.0031
既存治療群
33.3%(25/75例)
a)登録時の心拍数及び年齢により層別したMantel-Haenszel検定を実施した。
副次評価項目である登録168時間後までに新たな不整脈(同意取得から登録前までの時点で発現していたものとは異なる不整脈で新たな治療を要する又は5分以上持続した不整脈)を発現した患者割合は、本剤群9.3%(7/75例)、既存治療群25.3%(19/75例)、登録28日後までに死亡した患者の割合は、本剤群12.0%(9/75例)、既存治療群20.0%(15/75例)であった。16)
3ヵ月~15歳未満の先天性心疾患の術後及び非周術期の心機能低下例における頻脈性不整脈(上室頻拍、心房細動、心房粗動)を対象に非盲検非対照試験を実施した。治療薬投与前のNYHA心機能分類又はRoss心機能分類がⅢ度又はⅣ度で、①不整脈発作前の体心室駆出率が25~50%の患者、又は②不整脈発作前の心機能・循環維持に静注の強心薬を投与している、若しくは補助循環装置の管理下の患者が対象とされた。組み入れられた25例全例が上室頻拍であり、上室頻拍の内訳は、心房頻拍9例、不適切洞頻脈*8例、接合部異所性頻拍6例、房室結節リエントリー頻拍1例、接合部異所性頻拍及び房室結節リエントリー頻拍の併発1例であった。主要評価項目である治験薬投与開始2時間後における治験薬投与直前の心拍数に対する20%以上の徐拍化又は洞調律への復帰を認めた被験者割合(目標達成被験者の割合)は48.0%(12/25例)であり、点推定値は事前に規定した閾値有効率38.0%を上回った。また、各年齢層で同様の結果であった。安全性評価対象25例中6例(24.0%)に副作用が認められた。副作用は血圧低下・低血圧5例(20.0%)及び末梢冷感1例(4.0%)であった。なお、本剤は1μg/kg/minにて静脈内持続投与を開始し、原則1μg/kg/minの増減幅で適宜調節し、最大投与量として10μg/kg/minを超えないこととした。6)*:不適切洞頻脈は、洞性頻脈との識別のため、鎮静剤投与や体温管理等を実施しても頻脈が持続する場合とした。
全体(N=25)
3ヵ月以上1歳未満(N=9)
1歳以上7歳未満(N=13)
7歳以上15歳未満(N=3)
目標達成被験者割合n(%)
12(48.0)
4(44.4)
6(46.2)
2(66.7)
95%信頼区間(正規近似)
[28.4, 67.6]
[12.0, 76.9]
[19.1, 73.3]
[13.3, 100]
副次評価項目である各時点の心拍数及び洞調律への復帰において、本剤は投与後速やかな効果を示した。6)
心拍数(回/分)a)
158.0±19.0
147.5±24.8
136.0±24.5
130.3±24.1
洞調律復帰率b)
-
20.0%(3/15例)
31.3%(5/16例)
40.0%(6/15例)
a)平均値±標準偏差b)治験薬投与直前の時点で洞調律無の被験者を対象とした。
主に心臓に存在するβ1受容体に作用し、交感神経終末及び副腎髄質より遊離されるノルアドレナリン及びアドレナリンによる心拍数増加作用に拮抗することで抗不整脈作用を発現する。
,
イソプロテレノール投与による心拍数増加に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じた心拍数増加抑制作用を示し、抑制作用の消失半減期は11分から18分である(イヌ)。一方、同モデルにおいてプロプラノロール塩酸塩の抑制作用の消失半減期は60分以上である。18)
交感神経電気刺激誘発頻脈及びイソプロテレノール誘発頻脈、ハロセン・アドレナリン誘発の不整脈あるいはアコニチン誘発不整脈に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じて抑制作用を示す(イヌ)。19)
アドレナリン投与による頻脈と低心拍出量に対して、ランジオロール塩酸塩は心拍数を減少させることにより、心拍出量の減少を改善する。この作用は、拍動時間が長くなることで一回拍出量が増加するためであると考えられるが、過量投与した場合には逆に心拍出量を減少させる可能性がある(イヌ)。20)
ジギタリス製剤、クラスⅠ抗不整脈剤、クラスⅢ抗不整脈剤、カルシウム拮抗剤及び麻酔剤との併用によって、ランジオロール塩酸塩の心拍数減少、PR間隔延長、平均血圧低下のいずれかが相乗的に増強される(イヌ)。23)
ランジオロール塩酸塩(Landiolol Hydrochloride)
[(S)-2,2-Dimethyl-1,3-dioxolan-4-yl]methyl 3-[4-[(S)-2-hydroxy-3-(2-morpholinocarbonylamino)ethylamino]propoxy]phenylpropionate monohydrochloride
C25H39N3O8・HCl
546.05
本品は白色の結晶性の粉末である。本品は水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすい。
約125℃
0.23(pH6.0、n-オクタノール/緩衝液)0.56(pH7.0、n-オクタノール/緩衝液)2.7 (pH8.0、n-オクタノール/緩衝液)
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
5バイアル[1バイアル×5]10バイアル[1バイアル×10]
5バイアル[1バイアル×5]
1) 中島光好ほか:臨床医薬,2000;16:1531-1556
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