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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される患者についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回480mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
段階
用量
通常投与量
480mg
1段階減量
320mg
2段階減量
160mg
副作用*
処置
Grade4の好中球減少症
Grade3以下に回復するまで休薬する。回復後は、休薬前の用量で再開することができる。再開した後に再び発現した場合、回復するまで休薬し、回復後1段階減量して投与を再開することができる。
出血を伴うGrade3の血小板減少症
Grade2以下に回復するまで休薬する。回復後は、休薬前の用量で再開することができる。再開した後に再び発現した場合、回復するまで休薬し、回復後1段階減量して投与を再開することができる。
Grade4の血小板減少症
Grade3以上の血液毒性(血小板減少症及び好中球減少症を除く)
Grade3以上の非血液毒性(間質性肺疾患及び皮膚障害を除く)
間質性肺疾患
Grade2又は3
Grade1以下に回復するまで休薬する。回復後は、休薬前の用量で再開することができる。再開した後に再び発現した場合、回復するまで休薬し、回復後1段階減量して投与を再開することができる。
Grade4
中止する。
**皮膚障害
Grade2
抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン等を投与し、回復した場合には、投与を継続する。回復しない場合には、1段階減量して投与継続又は休薬する。
Grade3以上
抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン等を投与するとともに、Grade2以下に回復するまで休薬する。回復後1段階減量して投与を再開することができる。
**皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)又は中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
**中止する。
*:GradeはNCI-CTCAE v4.0に準じる。
骨髄抑制等により、感染症が悪化するおそれがある。,
血球減少を悪化させるおそれがある。,
本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。,
本剤は、主として肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。なお、肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた動物試験において臨床曝露量の10倍に相当する用量で分娩障害及びそれに伴う母動物の死亡が認められた。また、臨床曝露量の13倍に相当する用量で胎児死亡率の高値及び催奇形性(胸骨及び肋軟骨の異常)、5.9倍に相当する用量で出生児の生存率の低値が認められ、16倍に相当する用量で出生児の約半数が死亡した。ウサギを用いた動物試験において臨床曝露量の7.8倍に相当する用量で胎児死亡率の高値が認められた。
授乳しないことが望ましい。ラットを用いた動物試験で本剤の乳汁への移行が確認されており、雌ラットに着床から離乳までの期間本剤を経口投与した試験において、臨床曝露量の5.9倍に相当する用量で出生児の体重増加抑制が認められた。乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。,
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
強い又は中程度のCYP3A阻害剤
,
本剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
抗凝固剤抗血小板剤
出血のおそれがある。
出血のリスクを増強させるおそれがある。
肺炎(ニューモシスチス肺炎を含む)(4.5%)、アスペルギルス感染症(2.3%)等の感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルス、帯状疱疹等が再活性化することがある。,,
**中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(2.3%)、中毒性皮疹(頻度不明)等の重度の皮膚障害があらわれることがある。
発熱性好中球減少症(頻度不明)、好中球減少(22.7%)、白血球減少(15.9%)、リンパ球減少(9.1%)、血小板減少(9.1%)、貧血(2.3%)等の骨髄抑制があらわれることがある。,
アナフィラキシー等の過敏症(頻度不明)があらわれることがある。
間質性肺炎(頻度不明)、肺臓炎(頻度不明)等の間質性肺疾患があらわれることがある。異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
AST(2.3%)、ALT(2.3%)、γ-GTP(頻度不明)、Al-P(2.3%)、ビリルビン(2.3%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
血液及びリンパ系障害
リンパ球増加
免疫性血小板減少性紫斑病、骨髄浮腫、リンパ球浸潤
心臓障害
心電図2相性T波
耳及び迷路障害
回転性めまい
眼障害
眼脂、眼出血、眼刺激、眼充血、眼のそう痒、結膜出血
胃腸障害
悪心、口内炎、便秘
嘔吐、下痢、口腔内出血
腹痛、十二指腸炎、胃炎、胃食道逆流性疾患、マロリー・ワイス症候群、口腔内潰瘍、心窩部不快感、腹部膨満、舌苔
全身障害
胸痛、発熱
無力症、悪寒、顔面浮腫、浮腫(末梢性等)、疲労、倦怠感、口渇
感染症及び寄生虫症
ヘルペス、帯状疱疹、真菌感染、尿路感染、気道感染、非定型マイコバクテリア感染
気管支炎、結膜炎、膀胱炎、毛包炎、インフルエンザ、喉頭炎、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、敗血症、カンジダ症、腹部膿瘍
代謝及び栄養障害
高カリウム血症
リパーゼ増加、高トリグリセリド血症、低ナトリウム血症、食欲減退、アミラーゼ増加
HDL減少、低カリウム血症、低リン酸血症、脂質異常症
筋骨格系及び結合組織障害
筋痙縮
骨折、関節痛、関節炎、関節硬直、筋力低下、筋肉痛、腱痛、筋骨格痛
精神・神経系障害
味覚異常、感覚消失、不眠症
健忘、反射消失、異常感覚、伸展性足底反応、知覚過敏、嗜眠、末梢性ニューロパチー、錯感覚、痙攣発作、失神、振戦、平衡障害、下肢静止不能症候群、浮動性めまい、頭痛、譫妄
腎及び尿路障害
血尿、蛋白尿
血中クレアチニン増加
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
鼻出血
咳嗽、呼吸困難、気道の炎症、気管支反応性亢進、しゃっくり
皮膚及び皮膚組織障害
発疹(36.4%)、斑状丘疹状皮疹
紫斑、薬疹、そう痒症、皮膚炎、皮膚乾燥、紅斑性皮疹、皮膚色素過剰
蕁麻疹、毛髪変色、斑、点状出血、光線過敏症、乾癬、全身性皮疹、皮膚障害(変色、剥脱等)、顔面腫脹、紅斑
血管障害
高血圧
血腫、起立性低血圧
その他
体重減少
挫傷、CRP増加、INR増加、体重増加、前立腺炎
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人の再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫患者に本剤480mgを1日1回反復空腹時経口投与したときのチラブルチニブの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示した3)。
投与日
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
AUC24hr(ng·hr/mL)
T1/2(hr)
1(n=6)
1760(929)
2.49(1.93-6.20)
9830(2650)
5.21(1.49)
28(n=5)
2690(1120)
2.87(2.05-3.98)
13400※(3910)
3.55(0.841)
平均値(標準偏差)、Tmaxは中央値(最小値-最大値)※:投与28日目のAUC24hrのうちAUC12-24hrは予測値を用いた。
日本人の健康成人12例に本剤320mgを食後(標準食)及び空腹時単回経口投与注)したときのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(食後/空腹)は、1.74及び1.29であった4)。
チラブルチニブのヒト血清中蛋白結合率は92%、ヒト血液/血漿中濃度比は0.71~0.83であった(in vitro)5)。
チラブルチニブの主代謝酵素はCYP3A4であった(in vitro)5)。健康成人8例に14C-チラブルチニブ75mgを空腹時に単回経口投与注)したとき、投与24時間後までの血漿中には主にM33(水酸化体の硫酸抱合体)、M12(水酸化体のグルクロン酸抱合体)及び未変化体が検出された(血漿中総放射能に対する割合はそれぞれ33.1、28.6及び17.3%)6)。
健康成人8例に14C-チラブルチニブ75mgを空腹時に単回経口投与注)したとき、投与360時間後までに投与放射能量の52.2%が糞中に、42.1%が尿中に排泄された。投与96時間後までの尿中に未変化体は確認されなかった(外国人データ)6)。
日本人の健康成人12例にイトラコナゾール(CYP3A阻害剤)200mgとチラブルチニブ20mgを食後に併用投与注)、及びチラブルチニブを食後に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用/非併用)は、1.24及び1.49であった4)。
健康成人15例に有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の阻害剤として単回投与時のリファンピシン600mgとチラブルチニブ100mgを空腹時に併用投与注)、及びチラブルチニブを空腹時に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比(単回併用/非併用)は、1.30及び1.11であった。また、CYP3A誘導剤としてリファンピシン600mgを反復投与後にチラブルチニブ100mgを空腹時に併用投与注)、及びチラブルチニブを空腹時に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比(反復併用/非併用)は、0.30及び0.29であった(外国人データ)7)。
チラブルチニブ480mgとCYP3A阻害作用を有するエリスロマイシン、クラリスロマイシン及びジルチアゼムを併用投与、及びチラブルチニブを単独投与したときのチラブルチニブのAUCの幾何平均値の比(併用/非併用)は、それぞれ1.51、1.58及び1.48と推定された。また、CYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与、及びチラブルチニブを単独投与したときのチラブルチニブのAUCの幾何平均値の比(併用/非併用)は、それぞれ0.48及び0.46と推定された8)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回480mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」である。
再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫患者(B細胞性腫瘍以外の患者を除く)を対象として、第Ⅱ相パート480mg空腹時投与群では、17例に本剤480mgを1日1回空腹時に投与した。奏効率は52.9%[95%信頼区間:27.8~77.0%](完全奏効1例、不完全奏効5例、部分奏効3例(International PCNSL Collaborative Group(IPCG)基準による中央判定))であった。また、安全性評価対象となった17例中13例(76.5%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹6例(35.3%)、好中球減少4例(23.5%)であった3)。
原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫患者を対象として、27例(未治療患者18例、再発又は難治性患者9例)に本剤480mgを1日1回空腹時に投与した。未治療患者18例において、奏効率は88.9%[95%信頼区間:65.3~98.6%](最良部分奏効3例、部分奏効13例(International Workshop on Waldenström’s Macroglobulinemia(IWWM)基準による中央判定))であり、再発又は難治性患者9例において、奏効率は88.9%[95%信頼区間:51.8~99.7%](部分奏効8例(IWWM基準による中央判定))であった。また、安全性評価対象となった27例中25例(92.6%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主な副作用は、発疹10例(37.0%)、好中球減少6例(22.2%)であった10)。
チラブルチニブは、B細胞に発現するB細胞受容体の下流シグナル伝達分子であるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)と結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することにより、B細胞性腫瘍の増殖を抑制すると考えられている11)。
チラブルチニブは、ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫由来TMD8細胞株等の増殖を抑制した11)。
チラブルチニブは、TMD8細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した12)。
チラブルチニブ塩酸塩(Tirabrutinib Hydrochloride)
6-Amino-9-[(3R)-1-(but-2-ynoyl)pyrrolidin-3-yl]-7-(4-phenoxyphenyl)-7,9-dihydro-8H-purin-8-one monohydrochloride
C25H22N6O3・HCl
490.94
白色~微黄色若しくは微褐色の粉末である。N-メチルピロリドンにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
28錠[14錠(PTP)×2]
1) 小野薬品工業:安全性薬理試験(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.4、CTD 2.6.2.7)
2) 小野薬品工業:がん原性試験(社内資料)
3) 小野薬品工業:国内第Ⅰ/Ⅱ相(ONO-4059-02)試験成績(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.7)
4) 小野薬品工業:国内第Ⅰ相(ONO-4059-04)試験成績(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.6)
5) 小野薬品工業:非臨床薬物動態試験(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.4、CTD 2.6.4.5)
6) 小野薬品工業:海外第Ⅰ相(GS-US-401-1768)試験成績(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.1)
7) 小野薬品工業:海外第Ⅰ相(GS-US-401-1765)試験成績(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.4)
8) 小野薬品工業:薬物間相互作用試験(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.3、CTD 2.6.4.7、CTD 2.7.2.3)
9) 小野薬品工業:海外第Ⅰ相(GS-US-401-1767)試験成績(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.5)
10) 小野薬品工業:国内第Ⅱ相(ONO-4059-05)試験成績(社内資料)
11) 小野薬品工業:In vitro薬理試験(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2)
12) 小野薬品工業:In vivo薬理試験(社内資料;2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2)
小野薬品工業株式会社 くすり相談室
〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
電話 0120-626-190
小野薬品工業株式会社
大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
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