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オノンドライシロップ10%

処方せん医薬品以外の医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.2製造販売後調査等
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

オノンドライシロップ10%

添付文書番号

4490017R1033_1_15

企業コード

180188

作成又は改訂年月

2024年2月改訂(第2版)
2022年2月改訂

日本標準商品分類番号

87449

薬効分類名

ロイコトリエン受容体拮抗剤
̶ 気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤 ̶

承認等

オノンドライシロップ10%

販売名コード

YJコード

4490017R1033

販売名英語表記

ONON drysyrup

承認番号等

承認番号

21700AMZ00618000

販売開始年月

2000年1月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

プランルカスト水和物

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

オノンドライシロップ10%

有効成分1g中
プランルカスト水和物   100mg
添加剤トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、精製白糖

3.2 製剤の性状

オノンドライシロップ10%

剤形ドライシロップ剤
色調・性状白色~微黄色の顆粒で、においはなく、味は甘い。

4. 効能又は効果

  • 気管支喘息
  • アレルギー性鼻炎

6. 用法及び用量

通常、小児にはプランルカスト水和物として1日量7mg/kg(ドライシロップとして70mg/kg)を朝食後および夕食後の2回に分け、用時懸濁して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。1日最高用量はプランルカスト水和物として10mg/kg(ドライシロップとして100mg/kg)とする。ただし、プランルカスト水和物として成人の通常の用量である450mg/日(ドライシロップとして4.5g/日)を超えないこと。
体重別の標準投与量は、通常、下記の用量を1回量とし、1日2回、朝食後および夕食後に経口投与する。

体  重

ドライシロップ1回量

12kg以上18kg未満

0.5g(プランルカスト水和物として50mg)

18kg以上25kg未満

0.7g(プランルカスト水和物として70mg)

25kg以上35kg未満

1.0g(プランルカスト水和物として100mg)

35kg以上45kg未満

1.4g(プランルカスト水和物として140mg)

8. 重要な基本的注意

  • 〈気管支喘息〉
    1. 8.1 本剤は気管支拡張剤、ステロイド剤等と異なり、すでに起こっている喘息発作を緩解する薬剤ではないので、このことは患者に十分説明しておく必要がある。
    2. 8.2 本剤を投与中、大発作をみた場合は、気管支拡張剤あるいはステロイド剤を投与する必要がある。
  • 〈効能共通〉
    1. 8.3 本剤投与によりステロイド維持量を減量し得た患者で、本剤の投与を中止する場合は、原疾患再発のおそれがあるので注意すること。
    2. 8.4 本剤を含めロイコトリエン拮抗剤使用時にChurg-Strauss症候群様の血管炎を生じたとの報告がある。これらの症状は、おおむね経口ステロイド剤の減量・中止時に生じている。本剤使用時は、特に好酸球数の推移及びしびれ、四肢脱力、発熱、関節痛、肺の浸潤影等の血管炎症状に注意すること。
    3. 8.5 他のロイコトリエン拮抗剤を投与した患者で、因果関係は明らかではないがうつ病、自殺念慮、自殺及び攻撃的行動を含む精神症状が報告されているので、本剤の投与にあたっては患者の状態を十分に観察すること。
    4. 8.6 本剤投与により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。特に、小児の通年性アレルギー性鼻炎については、臨床試験において、本剤群のプラセボ群に対する優越性は示されなかったため、患者の状態を観察し、有益性が認められない場合には漫然と投与しないこと。
    5. 8.7 小児では一般に自覚症状を訴える能力が劣るので、本剤の投与に際しては、保護者等に対し、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡する等の適切な処置をするように注意を与えること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 長期ステロイド療法を受けている患者

    本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    主にCYP3A4によって代謝される薬剤

    本剤及びこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

    本剤はin vitro試験でCYP3A4により代謝され、これらの薬剤の代謝を競合的に阻害するとの報告がある。

    CYP3A4を阻害する薬剤
    イトラコナゾール
    エリスロマイシン等

    本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

    in vitroin vivo 試験でこれらの薬剤により本剤の代謝が阻害されるとの報告がある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)

      血圧低下、意識障害、呼吸困難、発疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    2. 11.1.2 白血球減少(頻度不明)

      白血球減少(初期症状:発熱、咽頭痛、全身倦怠感等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

    3. 11.1.3 血小板減少(頻度不明)

      血小板減少(初期症状:紫斑、鼻出血、歯肉出血等の出血傾向)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

    4. 11.1.4 肝機能障害

      黄疸、AST・ALTの著しい上昇等を伴う肝機能障害(頻度不明)があらわれることがある。

    5. 11.1.5 間質性肺炎、好酸球性肺炎

      発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増加等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

    6. 11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)

      筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

    11.2 その他の副作用

    0.1~1%未満

    0.1%未満

    頻度不明

    過敏症

    発疹、蕁麻疹等

    多形滲出性紅斑、そう痒等

    精神神経系

    眠気

    めまい、けいれん、興奮、頭痛

    不眠、しびれ、ふるえ、不安、味覚異常

    消化器

    嘔気、嘔吐、下痢

    胃部不快感、腹痛、便秘、口内炎

    食欲不振、胸やけ、腹部膨満感、舌炎、舌しびれ

    循環器

    潮紅

    不整脈(頻脈・心房細動・期外収縮等)、動悸

    肝 臓

    AST・ALTの上昇等

    ビリルビン上昇

    アルカリホスファターゼ上昇

    筋骨格系

    関節痛、筋肉痛、四肢痛、こわばり、CK上昇

    泌尿器

    尿潜血、蛋白尿

    頻尿、BUN上昇

    尿量減少、排尿障害

    その他

    出血、発熱、咽喉頭異常感、好酸球増多、尿沈渣陽性

    胸部絞扼感、浮腫、脱毛、倦怠感、生理不順、乳房腫脹・硬結、乳房痛、女性化乳房、トリグリセリド上昇、口渇、耳鳴

    注):発現頻度は使用成績調査を含む。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 健康成人

      健康成人6例に本剤2.25g(プランルカスト水和物225mg含有)を食後に単回経口投与すると、血漿中薬物濃度は約5時間で最高に達し、その濃度は859ng/mLで、血漿中半減期は約1.5時間であり、AUCは3,487ng・hr/mLである。1)

      Tmax
      (hr)

      Cmax
      (ng/mL)

      AUC0-∞
      (ng・hr/mL)

      T1/2
      (hr)

      5.17±0.41

      859±650

      3487±1807

      1.48±0.30

      平均値±標準偏差

    2. 16.1.2 小児気管支喘息患者

      3~14歳の小児気管支喘息患者22例に本剤70mg/kg/日(プランルカスト水和物として7mg/kg/日)を最長8週間投与し、使用開始1週間以降の任意の時点で投与後1~3時間、4~6時間、8~10時間の血漿中薬物濃度を測定すると、血漿中薬物濃度は1~3時間で最高に達し、その後経時的に減少した。また、7歳未満(幼児期)と7歳以上(学童期)に分けて比較すると、両群の血漿中薬物濃度に差は認められなかった。

      小児気管支喘息患者の薬物濃度(ng/mL)の推移

      1~3時間

      4~6時間

      8~10時間

      全 例(22例)

      472±324

      305±192

      64±27

      7歳未満(幼児期)

      477±114

      310±161

      68±32

      7歳以上(学童期)

      466±497

      299±226

      60±22

      平均値±標準偏差

    3. 16.1.3 母集団薬物動態(PPK)解析
      1. (1) 小児気管支喘息患者22例と健康成人6例(計175時点)を対象としたPPK解析により求めた吸収速度定数(ka)は0.493hr-1、みかけの分布容積(Vd/F)は1.53L/kg、成人の経口クリアランス(CL/F)は1.14L/hr/kg、小児のCL/Fは1.81L/hr/kgであり、CL/Fは小児の方が成人より1.59倍大きかった。2)
      2. (2) 小児気管支喘息患者22例と小児アレルギー性鼻炎患者76例(計192時点)を対象としたPPK解析の結果、CL/Fに影響を及ぼす共変量として年齢が認められ、3歳、7歳、14歳のCL/Fは、それぞれ1.77、1.47、0.944L/hr/kgと推定された。その他の共変量(性別、気管支喘息の罹患、アレルギー性鼻炎の罹患、気管支喘息とアレルギー性鼻炎の併発、総ビリルビン値の異常、血清クレアチニンの異常、テオフィリンの併用)は、CL/Fに影響を及ぼさなかった。3)

    16.3 分布

    ヒト血清に対する蛋白結合率は99.7~99.8%であり、その主結合蛋白はアルブミンである(in vitro、限外ろ過法)。4)

    16.4 代謝

    本剤は主として肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝される(in vitro)。5)

    16.5 排泄

    健康成人5例にカプセル剤225mgを食後に単回経口投与すると、投与後72時間までに尿中及び糞中にそれぞれ投与量の0.24%及び98.9%が排泄される。血漿中、尿中及び糞中の主要代謝物は水酸化体で、尿中排泄物の大部分はそのグルクロン酸抱合体である。6)

    16.7 薬物相互作用

    1. 16.7.1 動物における薬物相互作用

      カニクイザルでケトコナゾールとの併用により本剤の血中濃度が上昇(Cmaxが2.8倍、AUCが2倍)するとの報告がある。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈気管支喘息〉
      1. 17.1.1 国内二重盲検比較試験(小児)

        小児の気管支喘息に対する二重盲検比較試験において、本剤の有用性が認められている。また、喘息症状の軽減、併用治療薬剤の減量、肺機能の改善効果が認められている。7)

      2. 17.1.2 国内臨床試験(小児)

        小児気管支喘息に対する二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤の改善率は72.4%(160/221例)である。8)

      3. 17.1.3 国内二重盲検比較試験(成人)

        成人気管支喘息に対する二重盲検比較試験において、カプセル剤の有用性が認められている。また、喘息症状の軽減、併用治療薬剤の減量、肺機能の改善効果が認められている。9)

      4. 17.1.4 国内臨床試験(成人)

        成人気管支喘息に対する二重盲検比較試験を含むカプセル剤での臨床試験において、改善以上と判定された症例は334例中217例(65.0%)である。

    • 〈アレルギー性鼻炎〉
      1. 17.1.5 国内二重盲検比較試験(小児)

        小児の季節性アレルギー性鼻炎患者(通年性アレルギー性鼻炎合併例を除く)(10~15歳)に対する二重盲検クロスオーバー比較試験(花粉曝露試験)において、主要評価項目である花粉曝露室入室中の重み付き鼻症状合計スコア(くしゃみ、鼻汁、鼻閉を1:1:2の割合で構成した鼻症状合計スコア)について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証された。10)また、花粉曝露室入室中の鼻症状合計スコア(くしゃみ、鼻汁、鼻閉を1:1:1の割合で構成した鼻症状合計スコア)についても、本剤群はプラセボ群より有意に低かった。11)

        項 目

        本剤群

        プラセボ群

        症例数

        74

        花粉曝露室入室中の
        重み付き鼻症状合計
        スコアa)

        平均値±標準偏差

        1.86±1.49

        2.47±1.56

        プラセボとの差b)
        (共分散分析c)

        -0.62 [-0.89,-0.34]
        p<0.0001

        花粉曝露室入室中の
        鼻症状合計スコアd)

        平均値±標準偏差

        1.17±0.95

        1.55±0.98

        プラセボとの差b)
        (共分散分析e)

        -0.37 [-0.54,-0.20]
        p<0.0001

        a)くしゃみ:鼻汁:鼻閉=1:1:2で構成した鼻症状合計スコア
        b)点推定値と95%信頼区間。推定値は花粉曝露室入室前の値を共変量として、薬剤群、投与群、投与時期を要因に含む共分散分析により算出した最小二乗平均値の差。
        c)Pocock型のα消費関数により算出した中間解析時の有意水準 *:p<0.031、N.S.:p≧0.031
        d)くしゃみ:鼻汁:鼻閉=1:1:1で構成した鼻症状合計スコア
        e)*:p<0.05、N.S.:p≧0.05

      2. 17.1.6 国内二重盲検比較試験(小児)

        小児の通年性アレルギー性鼻炎患者(4~14歳)に対する二重盲検比較試験において、最終評価時の鼻症状合計スコアの変化量(1群63~67例)について、本剤群のプラセボ群に対する優越性は示されなかった。12)また、小児の季節性アレルギー性鼻炎患者(通年性アレルギー性鼻炎合併例を含む)(10~14歳)に対する二重盲検クロスオーバー比較試験(花粉曝露試験)において、花粉曝露室退室後の鼻腔通気度の曲線下面積(36例)について、本剤群のプラセボ群に対する優越性は示されなかった。13)なお、小児の季節性アレルギー性鼻炎10),11)及び成人の通年性アレルギー性鼻炎14)に対する有効性に加えて、成人と小児の本剤の血中濃度の類似性等より、小児の通年性アレルギー性鼻炎に対する有効性は認められると考えられている。

      3. 17.1.7 国内二重盲検比較試験(成人)

        成人の通年性アレルギー性鼻炎に対するカプセル剤での二重盲検比較試験において、病型別の改善率は鼻閉を含む病型では61.2%(79/129例)、鼻閉を含まない病型では54.5%(12/22例)である。また、症状別の改善率は鼻閉では71.8%(94/131例)、鼻汁では60.3%(76/126例)、くしゃみでは54.4%(68/125例)である。14)

      4. 17.1.8 国内臨床試験(成人)

        成人アレルギー性鼻炎に対する二重盲検比較試験を含むカプセル剤での臨床試験において、改善以上と判定された症例は358例中235例(65.6%)である。

      5. 17.1.9 国内第Ⅲ相一般臨床試験(成人)

        カプセル剤単独群とカプセル剤に他の抗アレルギー剤を併用した群との直接比較は行っていない。一方、カプセル剤に他の抗アレルギー剤を併用した群とカプセル剤以外の抗アレルギー剤単独群との封筒法による群間比較試験において、改善以上と判定された症例は併用群で26例中19例(73.1%)、単独群で20例中6例(30.0%)である。15)

    17.2 製造販売後調査等

    • 〈気管支喘息〉

      1歳未満の小児(乳児)を対象に実施した再審査終了時以降の本剤の使用実態調査(調査期間:2007年2月~2008年1月)において副作用集計の対象となった403例中5例(1.2%)に5件の副作用(下痢1件、肝機能異常1件、痙攣1件、熱性痙攣2件)が認められた。16),17)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    本剤は気管支喘息の基本的病態形成に深く関与しているロイコトリエンの受容体に選択的に結合してその作用に拮抗し、気道収縮反応、気道の血管透過性亢進、気道粘膜の浮腫及び気道過敏性の亢進を抑制し、気管支喘息患者の臨床症状及び肺機能を改善させる。
    また、本剤は鼻閉、鼻汁、くしゃみを三大主徴とするアレルギー性鼻炎の特徴的病態の成立に重要な役割を演じていることが示唆されているロイコトリエンの受容体に選択的に結合してその作用に拮抗し、鼻腔通気抵抗上昇、好酸球浸潤を伴う鼻粘膜浮腫、鼻粘膜過敏性を抑制し、さらに鼻粘膜過敏性抑制作用を介して間接的に、ヒスタミン、アセチルコリン及びその他の非特異的な刺激によるくしゃみや鼻汁等の臨床症状を改善する。

    18.2 薬理作用

    1. 18.2.1 ロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用

      成熟モルモット肺膜分画及び成熟モルモット鼻粘膜膜分画において、LTC4、LTD4、LTE4の受容体に選択的に結合してその作用に拮抗する。また、ヒスタミン、アセチルコリン及びセロトニン等には拮抗作用を示さず、アラキドン酸代謝酵素にもほとんど影響を与えない(in vitro)。18),19)幼若及び成熟モルモット肺膜分画のLTC4、LTD4、LTE4の受容体に選択的に結合してその作用に拮抗し、その阻害定数値は両動物間でほぼ同等であった(in vitro)。20)

    2. 18.2.2 気道収縮抑制作用
      1. (1) 成人気管支喘息患者にカプセル剤を経口投与すると、LTC4、LTD4吸入による気道収縮反応を抑制する。21)
      2. (2) 成人気管支喘息患者にカプセル剤を経口投与すると、抗原吸入による即時型喘息反応及び遅発型喘息反応を抑制する。21)
      3. (3) 成人気管支攣縮型喘息患者の気道収縮反応を抑制する。22)
      4. (4) 幼若及び成熟の感作モルモットの抗原誘発気道収縮を経口投与で抑制する。20),23)
      5. (5) 幼若及び成熟のモルモット、ヒトの摘出気道平滑筋のLTC4、LTD4による収縮を抑制する(in vitro)。18),24)
    3. 18.2.3 気道過敏性抑制作用
      1. (1) 成人気管支喘息患者にカプセル剤を経口投与すると、メサコリンに対する気道過敏性を改善する。25)
      2. (2) 成熟モルモットの抗原吸入によるアセチルコリン又はヒスタミンの気道過敏性の亢進を経口投与で、またLTによるヒスタミンの気道過敏性の亢進を静脈内投与で抑制する。23),26),28)
    4. 18.2.4 気道の血管透過性及び粘膜浮腫の抑制作用(抗炎症作用)
      1. (1) 成熟モルモットの抗原誘発による気道の血管透過性の亢進を経口投与で抑制する。27)
      2. (2) 成熟モルモットのLTC4、LTD4による気道粘膜の浮腫形成を静脈内投与で抑制する。28)
    5. 18.2.5 肺機能の改善作用
      1. (1) 成人気管支喘息患者にカプセル剤を経口投与すると、努力性呼気1秒量及び最大呼気流量を改善する。29),30)
      2. (2) 小児気管支喘息患者に本剤を経口投与すると、最大呼気流量を改善する。7)
    6. 18.2.6 鼻腔通気抵抗上昇抑制作用
      1. (1) 成人通年性アレルギー性鼻炎患者にカプセル剤を経口投与すると、抗原鼻誘発による鼻腔通気抵抗の上昇を抑制する。31)
      2. (2) 幼若及び成熟の感作モルモットの抗原誘発による鼻腔通気抵抗の上昇を経口投与で抑制する。32),33)
      3. (3) 幼若及び成熟のモルモットのLTD4による鼻腔通気抵抗の上昇を経口投与で抑制する。34)
    7. 18.2.7 好酸球浸潤を伴う鼻粘膜浮腫の抑制作用

      成熟の感作モルモットの抗原誘発による好酸球浸潤を伴う鼻粘膜の浮腫を経口投与で抑制する。32)

    8. 18.2.8 鼻粘膜過敏性抑制作用

      成熟の感作モルモットの抗原誘発によるヒスタミンに対するくしゃみ反応の増強を経口投与で抑制する。35)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    プランルカスト水和物(Pranlukast Hydrate)

    化学名

    N-[4-Oxo-2-(1H-tetrazol-5-yl)-4H-chromen-8-yl]-4-(4-phenylbutyloxy)benzamide hemihydrate

    分子式

    C27H23N5O4・1/2H2O

    分子量

    490.51

    性状

    本品は白色~淡黄色の結晶性の粉末である。
    本品はエタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。

    化学構造式

    融点

    約233℃(分解)

    22. 包装

    *100g[瓶、乾燥剤入り]
    0.5g(分包)×200包
    0.7g(分包)×200包

    23. 主要文献

    1) 山本隆造  :ヒト(健康成人)血漿中濃度推移(社内資料)

    2) 井上良輔ほか:Allergol.Int.,2003;52:213-218

    3) 中出 進ほか:Drug Metab.Pharmacokinet.,2006;21:133-139

    4) 石堂雅恒ほか:薬物動態,1993;8:49-66

    5) 松本一郎ほか:現代医療,1999;31(増Ⅳ):2936-2943

    6) 中島光好ほか:臨床医薬,1993;9(Suppl.1):3-29

    7) 三河春樹ほか:臨床医薬,1997;13:423-456

    8) 小野薬品工業:〈小児気管支喘息〉臨床成績集計(社内資料)

    9) 宮本昭正ほか:医学のあゆみ,1993;164:225-247

    10) 小野薬品工業:〈小児アレルギー性鼻炎〉第Ⅲ相二重盲検比較試験成績②(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.5.4.4)

    11) 若林健一郎ほか:Allergy Asthma Proc.,2012;33:102-109

    12) 小野薬品工業:〈小児アレルギー性鼻炎〉第Ⅱ相二重盲検比較試験成績(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.5.4.4)

    13) 小野薬品工業:〈小児アレルギー性鼻炎〉第Ⅲ相二重盲検比較試験成績①(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.5.4.4)

    14) 奥田 稔 ほか:耳鼻と臨床,1998;44:47-72

    15) 朝倉光司ほか:臨床医薬,1997;13:2951-2973

    16) 岩田 力   :小児科臨床,2009;62:987-1000

    17) 岩田 力 ほか:日本小児アレルギー学会誌,2009;23:629-642

    18) 小畠隆明ほか:Jpn.J.Pharmacol.,1992;60:227-237

    19) 藤田 学 ほか:Jpn.J.Pharmacol.,1997;75:355-362

    20) 竹田博史ほか:薬理と治療,1997;25:373-381

    21) 山井孝夫ほか:気道収縮抑制作用(社内資料)

    22) 田村 弦ほか:臨床医薬,1993;9(Suppl.1):217-220

    23) 中河直樹ほか:Eur.J.Pharmacol.,1993;235:211-219

    24) 山口哲朗ほか:Am.Rev.Respir.Dis.,1992;146:923-929

    25) 藤村政樹ほか:Respir.Med.,1993;87:133-138

    26) 中河直樹ほか:基礎と臨床,1992;26:5251-5254

    27) 小畠隆明ほか:Life Sci.,1992;51:1577-1583

    28) 淀縄 聡ほか:日胸疾会誌,1992;30:302-309

    29) 宮本昭正ほか:医学のあゆみ,1993;164:225-247

    30) 宮本昭正ほか:臨床医薬,1993;9(Suppl.1):71-107

    31) 今野昭義ほか:臨床医薬,1997;13:1921-1939

    32) 藤田 学 ほか:薬理と治療,1997;25:1379-1386

    33) 松田真樹ほか:鼻腔通気抵抗上昇抑制作用(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.6.2)

    34) 藤田 学 ほか:鼻腔通気抵抗上昇抑制作用(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.6.2)

    35) 藤田 学 ほか:鼻粘膜過敏性抑制作用(社内資料;2011年12月22日承認、CTD2.6.2)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    小野薬品工業株式会社 くすり相談室

    〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号

    電話 0120-626-190

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売

    小野薬品工業株式会社

    〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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