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処方箋医薬品注)
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
尿素サイクル異常症
通常、以下のとおり投与する。
対象
1日投与量(フェニル酪酸ナトリウムとして)
用法
体重20kg未満の小児等
450〜600mg/kg
3回〜6回に分割し、食事又は栄養補給とともに若しくは食直後に経口投与する。
成人及び体重20kg以上の小児等
9.9〜13.0g/m2(体表面積)
投与は少量より開始し、患者の状態、血中アンモニア濃度、血漿中アミノ酸濃度等を参考に適宜増減する。また、食事制限及び必須アミノ酸補給等の十分な栄養管理の下に投与する。
疾患を増悪させるおそれがある。
代謝遅延により、血漿中のフェニル酪酸濃度が上昇するおそれがある。
主代謝物であるフェニルアセチルグルタミンは主に腎臓から排泄されるため、蓄積するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
10%以上
1~10%未満
1%未満
頻度不明
内分泌系
高アンモニア血症
アミノ酸濃度減少、体重増加
肥満
食欲増進
精神神経系
人格変化、運動失調、頭痛
灼熱感、協調運動異常、構語障害、脳症、嗜眠、末梢性ニューロパチー、食欲減退、めまい、悪寒
消化器系
腹部不快感、悪心、流涎過多、肝機能障害、嘔吐
膵炎、腹痛
下痢、嚥下障害、胃炎、食道痛、口腔内不快感、逆流性食道炎
皮膚
脱毛症
発疹
毛髪障害
紅斑、末梢性浮腫
感覚器
味覚倒錯
脊椎固定、腱障害、背部痛
血液
斑状出血
汎血球減少症、アシドーシス、低カリウム血症
呼吸器
肺炎
鼻炎
泌尿・生殖器
月経障害、無月経
失禁
急性腎障害
その他
体臭
感染、薬物相互作用
紅痛症、脱水
5ヶ月齢の男児に偶発的に10g(1370mg/kg)を単回投与。下痢、神経過敏症、代謝性アシドーシスを呈し、対症療法を施した後48時間以内に回復した。
薬の投与を中止する。血液透析あるいは腹膜透析が有用であると考えられる。
妊娠ラットにフェニル酪酸の活性代謝物であるフェニル酢酸の胎児及び新生児への影響を検討した1) 結果、フェニル酢酸非抱合体(フェニル酢酸及びフェニルアセチルCoA)の血漿中濃度が0.5μmol/mLを上回った群では、妊娠9〜20日の12日間持続皮下投与したとき、自然流産及び新生児の早期死亡がみられた。血漿中濃度を0.25〜0.45μmol/mLに維持した群では、ほぼ全ての新生児が生存したが、体重及び大脳半球重量は通常より有意に低く(いずれもp<0.001)、全ての同腹児に学習障害がみられた。一方、2日齢のラットにフェニル酢酸を20日間投与した後では、17%の体重減少が認められ、成長の遅延がみられた2) 。
健康成人男性10例及び健康成人女性11例の合計21例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤及び錠剤を空腹時に単回経口投与し、フェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の薬物動態をクロスオーバー試験で検討した。海外第III相試験における使用製剤を用い、投与量は、錠剤及び顆粒剤ともにフェニル酪酸ナトリウムとして5g注1) とした(外国人データ)。
測定物質
製剤
tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
AUC0-t(μg・hr/mL)
t1/2(hr)
フェニル酪酸
錠剤
1.35(49)
218.0(25)
577.3(31)
0.77(35)
顆粒剤
1.00(35)
195.2(25)
493.8(28)
0.76(39)
フェニル酢酸
3.74(22)
48.5(39)
210.6(47)
1.15(23)
3.55(18)
45.3(36)
187.6(41)
1.29(29)
フェニルアセチルグルタミン
3.43(14)
68.5(20)
306.0(25)
2.41(32)
3.23(13)
62.8(17)
267.7(24)
2.36(26)
錠剤(n=21)、顆粒剤(n=20)
尿素サイクル異常症患者13例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤又は錠剤を反復経口投与し、治験責任(分担)医師により薬物動態評価用の採血が実施された8例を対象としてフェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の血漿中濃度を測定した。投与量は1.33~4.5g注1) であった4) 。
測定項目
採血時期
平均値(μg/mL)
標準偏差
投与前
定量限界未満
-
1時間後
94.880
76.906
4時間後
34.518
42.888
12.591
12.815
19.440
16.524
6.794
6.739
27.488
15.354
66.973
50.512
n=8、定量限界:5μg/mL未満
承認時までに食事の影響を検討した試験は行われていない。
健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)注1) を単回経口投与したとき、速やかに体内に吸収された後、β酸化を受け、活性代謝物であるフェニル酢酸に代謝された。フェニル酢酸は、体内のグルタミンと結合してフェニルアセチルグルタミンを形成する5),6) (外国人データ)。
健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)注1) を単回経口投与したとき、フェニルアセチルグルタミンとして、尿中に排泄された。投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約71〜82%、投与24時間以内に約92%がフェニルアセチルグルタミンとして腎排泄された5),6) (外国人データ)。健康成人男性2例を対象にフェニル酢酸の14C標識体(1mg/kg)注1) を単回経口投与したとき、投与24時間後までに投与量の98%が尿中に排泄され、組成比はフェニル酢酸のグルタミン抱合体(フェニルアセチルグルタミン)93%、グリシン抱合体<0.05%、タウリン抱合体6%であり、未変化体は検出されなかった7) (外国人データ)。
男性肝硬変患者4例にフェニル酪酸ナトリウム(2.5g)注1) を、空腹時に単回経口投与したとき、4例中3例で投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約33〜46%がフェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄され、フェニル酢酸の尿中排泄も認められた。肝硬変患者ではフェニル酢酸からその後尿中に排泄されるフェニルアセチルグルタミンへの変換は比較的緩徐であることが示唆された(外国人データ)。
門脈圧亢進症を合併する男性肝硬変患者6例にフェニル酪酸ナトリウム(20g/日)注1) を1日3回3日間反復経口投与したとき、6例中3例で血漿中フェニル酢酸が投与1日目から3日目にかけて継続して上昇し、フェニル酢酸の蓄積が示唆された(外国人データ)。
日本人尿素サイクル異常症患者13例(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症11例、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症1例、及びカルバミルリン酸合成酵素欠損症1例)を対象として食事又は栄養補給とともに、若しくは食直後に1日3~6回に分割して経口投与した。平均投与量は、1.59~13.86g/日注2) であった。高アンモニア血症(血中アンモニア濃度≥150μg/dL)は治験開始後に13例中10例で合計51回発現した。このうち、血中アンモニア濃度が200μg/dLを超えたのは8例で30回、300μg/dLを超えたのは5例で13回であった。13例中3例では、治験薬投与開始後に高アンモニア血症の発現は認められなかった。これらの高アンモニア血症はいずれも回復した。副作用の発現割合は61.5%(8/13例)であった。発現した副作用は、高アンモニア血症4例(30.8%)、脱毛症3例(23.1%)、頭痛2例(15.4%)、膿痂疹、尿路感染、皮膚乳頭腫、人格変化、運動失調、片頭痛、上気道の炎症、腹部不快感、胃潰瘍、胃腸出血、悪心、急性膵炎、流涎過多、嘔吐、肝障害、発疹、排尿困難、月経障害、嚢胞、尿中ブドウ糖陽性、アミノ酸濃度減少 各1例(7.7%)であった(本試験の延長試験として実施された製造販売後臨床試験の結果を含む)。
海外の尿素サイクル異常症患者183例(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症122例、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症39例及びカルバミルリン酸合成酵素欠損症22例)を対象に、新生児、幼児及び体重20kg未満の小児ではフェニル酪酸ナトリウムとして450~600mg/kg/日、体重20kg以上の小児、10代の患者及び成人患者ではフェニル酪酸ナトリウムとして9.9~13.0g/m2/日を経口投与(必須アミノ酸や蛋白質の摂取量維持のための食事療法も併用)した。有効性評価対象183例のうち139例が生存し、全体の生存率は約76%であった。高アンモニア血症は評価可能症例173例のうち29%の被験者で発症しなかった。血漿中のアンモニア濃度は85例で測定され、281回の測定値のうち61.2%は検査施設の基準範囲内であった。また、85例中17例(6%)は基準範囲値上限の2倍以上高かった。安全性の評価が可能であった183例中、副作用は34例(18.6%)に54件報告された。全体で2例以上の副作用は、月経障害10例(5.5%)、体臭7例(3.8%)、無月経5例(2.7%)、体重増加4例(2.2%)、嘔吐3例(1.6%)、味覚倒錯、肺炎 各2例(1.1%)であった。
日本人尿素サイクル異常症患者であるオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症6例(新生児発症型1例、遅発型5例)を対象に本剤(錠剤1例、顆粒剤5例)を450~600mg/kg/日(体重20kg未満)又は9.9~13.0g/m2/日(体重20kg以上)を1日3回食後(患者の食事摂取量に合わせ適宜増減。アルギニンとシトルリンの併用は可)12ヶ月投与した結果、服薬コンプライアンスを保つことが困難な1例を除き、血中アンモニアのコントロールに有用で、ほとんどの症例で摂取蛋白量の増加が示された。副作用は、6例中4例に分岐鎖アミノ酸の低下が認められた。
尿素サイクル異常症患者では残余窒素の尿素としての排泄が不十分となることにより高アンモニア血症を呈する。フェニル酪酸ナトリウムは、ヒト生体内でβ酸化により速やかにフェニル酢酸に代謝されてグルタミンと結合し、フェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄される7),12) 。αケトグルタル酸からグルタミン酸を経てグルタミンが生合成される過程で、アンモニア2分子が取り込まれるため、フェニル酪酸ナトリウム1分子により残余窒素2原子が排泄される。
フェニル酪酸ナトリウム(Sodium Phenylbutyrate)(JAN)
4-フェニル酪酸ナトリウム(Sodium 4-phenylbutanoate)
C10H11O2Na
186.18
白色~黄白色の粉末である。水又はメタノールに溶けやすく、ジクロロメタンにはほとんど溶けない。
無包装開放状態で吸湿することが認められているため、開栓後は防湿に留意すること。
(バラ:チャイルドレジスタンスキャップ、プラスチックボトル)250錠
(チャイルドレジスタンスキャップ、プラスチックボトル)266g
1) Loo YH, et al.: Dev Neurosci. 1983-1984; 6: 227-234.
2) Fulton TR, et al.: Life Sci. 1980; 27: 1271-1281.
3) 社内資料:海外健康成人の薬物動態(StudyIV-6)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.1)
4) 社内資料:国内第 I/II相試験(CM02-001試験2013年9月27日治験総括報告書最終報告)(2012年9月28日承認)
5) 社内資料:海外健康成人2例単回投与時薬物動態(StudyIV-4)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
6) 社内資料:海外健康成人1例単回投与時薬物動態(StudyIV-5)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.3)
7) James MO, et al.: Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1972; 182: 25-35.
8) 社内資料:海外肝硬変患者4例単回投与時薬物動態(StudyIV-15)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.5)
9) 社内資料:海外肝硬変患者6例反復投与時薬物動態(StudyIV-16)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.6)
10) 社内資料:海外第III相試験(StudyIV-17)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.7)
11) 小松崎匠子ほか.: 日本小児科学会雑誌 2012; 116: 842-848.
12) Moldave K, et al.: Biol Chem. 1957; 229: 463-476.
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