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ブフェニール錠500mg/ブフェニール顆粒94%

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.3その他
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ブフェニール錠500mg/ブフェニール顆粒94%

添付文書番号

3999032D1020_1_08

企業コード

181251

作成又は改訂年月

2026年8月改訂(第3版、効能変更、用法及び用量変更)
2025年4月改訂(第2版)

日本標準商品分類番号

873999
873919

薬効分類名

尿素サイクル異常症用薬
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型用薬

承認等

ブフェニール錠500mg

販売名コード

YJコード

3999032F1021

販売名英語表記

Buphenyl Tablets 500mg

販売名ひらがな

ぶふぇにーるじょう500mg

承認番号等

承認番号

22400AMX01398000

販売開始年月

2013年1月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年

ブフェニール顆粒94%

販売名コード

YJコード

3999032D1020

販売名英語表記

Buphenyl Granules 94%

販売名ひらがな

ぶふぇにーるかりゅう94%

承認番号等

承認番号

22400AMX01399000

販売開始年月

2013年1月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年

一般的名称

フェニル酪酸ナトリウム

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ブフェニール錠500mg

有効成分1錠中フェニル酪酸ナトリウム   500mg
添加剤結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム

ブフェニール顆粒94%

有効成分1g中フェニル酪酸ナトリウム   940mg
添加剤軽質無水ケイ酸、ステアリン酸カルシウム

3.2 製剤の性状

ブフェニール錠500mg

剤形楕円形の素錠
色調片面刻印入りの白色~微帯黄白色
外形表面
裏面
側面
大きさ長径約16mm
短径約9.5mm
厚さ約6.7mm
質量約675mg
識別コードUCY500

ブフェニール顆粒94%

色・剤形白色~微帯黄白色の結晶性の粉末または塊を含む粉末

4. 効能又は効果

  • 尿素サイクル異常症
  • *進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 5.1 本剤は新生児期に発症する尿素サイクル異常症患者(出生後28日以内に発症する完全な尿素サイクル酵素欠損症患者)及び高アンモニア血症の既往を有する遅発型尿素サイクル異常症の患者に適用される。
    2. 5.2 本剤の適用患者には食事制限(食品蛋白の摂取制限)及び必須アミノ酸補給等の十分な栄養管理の下に本剤を投与する必要があるので、食事指導を行うこと。

6. 用法及び用量

  • 〈尿素サイクル異常症〉

    通常、以下のとおり投与する。

    対象

    1日投与量
    (フェニル酪酸ナトリウムとして)

    用法

    体重20kg未満の新生児、乳幼児及び小児

    450〜600mg/kg

    1日3回〜6回に分割し、食事又は栄養補給とともに若しくは食直後に経口投与する。

    成人及び体重20kg以上の小児

    9.9〜13.0g/m2(体表面積)

    投与は少量より開始し、患者の状態、血中アンモニア濃度、血漿中アミノ酸濃度等を参考に適宜増減する。また、食事制限及び必須アミノ酸補給等の十分な栄養管理の下に投与する。

  • 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉

    *通常、以下のとおり投与する。

    対象

    1日投与量
    (フェニル酪酸ナトリウムとして)

    用法

    体重20kg未満の乳幼児及び小児

    450mg/kgから開始し、投与開始4週後、600mg/kgに増量する。
    患者の状態により600mg/kgは450mg/kgに450mg/kgは300mg/kgに減量する。

    1日3回に分割し、食前に経口投与する。

    成人及び体重20kg以上の小児

    9.75g/m2から開始し、投与開始4週後、13.0g/m2に増量する。患者の状態により、13.0g/m2は9.75g/m2に9.75g/m2は6.5g/m2に減量する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 1日あたり20g(40錠)以上の投与に関する安全性及び臨床効果は確認されていない。
  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 7.2 風邪、過激な運動、食事及び便秘等により高アンモニア血症が悪化した場合は適宜増量する。また、高アンモニア血症の急性増悪が認められた場合には他の治療法を検討すること。

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 本剤はナトリウム含量が高いため、うっ血性心不全、腎不全、浮腫を伴うナトリウム貯留が認められる患者に投与する場合は注意すること。(500mg錠1錠あたり62mg、顆粒剤1gあたり116mgのナトリウムを含有する),
    2. 8.2 主代謝物であるフェニルアセチルグルタミンの腎排泄はカリウムの尿中消失を誘発するおそれがあるため、本剤投与中は血清中カリウム濃度をモニタリングすること。
    3. 8.3 本剤投与及び栄養管理により血漿中アミノ酸濃度が低下する可能性があるため、アルギニン濃度、分岐鎖アミノ酸濃度及び血清中蛋白濃度を基準範囲内に維持すること。
    4. 8.4 *本剤の代謝物であるフェニル酢酸の血中濃度の上昇により、神経学的事象(嘔吐、悪心、頭痛、傾眠、錯乱等)が生じるおそれがある。血中アンモニア濃度の高値を伴わずに神経学的事象を認めた場合には、血中フェニル酢酸濃度を高値と疑い、本剤を減量する等、適切な処置を行うこと。
  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 8.5 血中アンモニア濃度、血漿中グルタミン濃度等を測定し、治療効果を確認すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 うっ血性心不全、浮腫を伴うナトリウム貯留が認められる患者

    疾患を増悪させるおそれがある。

  2. 9.1.2 先天性のβ酸化異常を有する患者

    代謝遅延により、血漿中のフェニル酪酸濃度が上昇するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎不全患者

    疾患を増悪させるおそれがある。

  2. 9.2.2 腎機能障害を有する患者

    主代謝物であるフェニルアセチルグルタミンは主に腎臓から排泄されるため、蓄積するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 肝機能障害を有する患者

    *神経学的事象の発現の有無や血中アンモニア濃度等、患者の状態を慎重に観察し、本剤の投与量を調節すること。肝臓におけるフェニル酢酸からフェニルアセチルグルタミンへの代謝能の低下により、血中フェニル酢酸濃度が上昇するおそれがある。,

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットにフェニル酪酸のプロドラッグであるフェニル酪酸グリセロール(フェニル酪酸は本剤の遊離酸)を投与したとき、胎児に尾の異常が認められた。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  • 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉

    *新生児は臨床試験には組み入れられていない。

10. 相互作用

  • *本剤はCYP3Aに対する誘導作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
  • CYP3Aの基質となる薬剤
    • シクロスポリン
    • キニジン
    • ミダゾラム

これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。

本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する。

  • プロベネシド

本剤の代謝物であるフェニルアセチルグルタミンの血中濃度が上昇するおそれがある。

フェニルアセチルグルタミンの尿中排泄を阻害する可能性がある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

10%以上

1~10%未満

1%未満

頻度不明

*内分泌系

高アンモニア血症

アミノ酸濃度減少、体重増加

肥満

食欲増進、高尿酸血症、高アルカリホスファターゼ血症、アミノ酸濃度増加

精神神経系

人格変化、運動失調、頭痛

灼熱感、協調運動異常、構語障害、脳症、嗜眠、末梢性ニューロパチー、食欲減退、めまい、悪寒

消化器系

腹部不快感、悪心、流涎過多、肝機能障害、嘔吐

膵炎、腹痛

下痢、嚥下障害、胃炎、食道痛、口腔内不快感、逆流性食道炎

皮膚

脱毛症

発疹

毛髪障害

紅斑、末梢性浮腫

感覚器

味覚倒錯

脊椎固定、腱障害、背部痛

血液

斑状出血

汎血球減少症、アシドーシス、低カリウム血症

呼吸器

肺炎

鼻炎

泌尿・生殖器

月経障害、無月経

失禁

急性腎障害

その他

体臭

感染、薬物相互作用

紅痛症、脱水

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    *尿素サイクル異常症患者の5ヶ月齢の男児に偶発的に10g(1370mg/kg)を単回投与。下痢、神経過敏症、代謝性アシドーシスを呈し、対症療法を施した後48時間以内に回復した。

  2. 13.2 処置

    薬の投与を中止する。血液透析あるいは腹膜透析が有用であると考えられる。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  • 〈製剤共通〉
    1. 14.1.1 グラシン紙等水分透過性の高い包材に分包して投薬する場合には、気密性の高い容器に入れるなどして湿気を避けて保存すること。
  • 〈ブフェニール錠500mg〉
    1. 14.1.2 通常の錠剤に比べて柔らかいため自動分包機に適さない。
  • 〈ブフェニール顆粒94%〉
    1. 14.1.3 顆粒剤を液体と混合すると、フェニル酪酸ナトリウムのみが溶け(水10mLに5g)、添加剤は溶けない。

14.2 薬剤交付時の注意

  • 〈ブフェニール顆粒94%〉
    〈尿素サイクル異常症〉
    1. 14.2.1 顆粒剤服用時は、食物(固形、液状どちらでも良い)と混合して投与するのが望ましい。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 *ラットを用いた2年間がん原性試験において、フェニル酪酸グリセロール(本剤の遊離酸であるフェニル酪酸のプロドラッグ)を雄に0.65g/kg又は雌に0.9g/kg(ヒトにフェニル酪酸グリセロールの臨床用量を投与したとき、フェニル酪酸の曝露量の約0.3倍(雄)及び約0.7倍(雌)、並びにフェニル酢酸の曝露量の約8.9倍(雄)及び約15.9倍(雌)に相当する用量)を経口投与したとき、副腎皮質、膵臓、甲状腺及び子宮における腫瘍発生率の上昇が認められた1)
  2. 15.2.2 *幼若ラットを用いた反復投与毒性試験において、生後2日から妊娠20日目までフェニル酪酸グリセロール1.2g/kg(ヒトにフェニル酪酸グリセロールの臨床用量を投与したときのフェニル酪酸及びフェニル酢酸の曝露量の、それぞれ約0.8倍及び約19.0倍に相当する用量)を経口投与したとき、胎児に尾の異常が認められた。また、ラットを用いた胚・胎児発生試験において、フェニル酪酸グリセロール0.65g/kg(ヒトにフェニル酪酸グリセロールの臨床用量を投与したときのフェニル酪酸及びフェニル酢酸の曝露量の、それぞれ約1.0倍及び約10.4倍に相当する用量)を妊娠7~17日目に経口投与したときにも、胎児に尾の異常が認められた2)
  3. 15.2.3 *ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験において、フェニル酪酸グリセロール1.2g/kg(ヒトにフェニル酪酸グリセロールの臨床用量を投与したときのフェニル酪酸及びフェニル酢酸の曝露量の、それぞれ約0.4倍及び約6.0倍に相当する用量)を経口投与した雄ラットと交配した、無処置の雌ラット及びフェニル酪酸グリセロール1.2g/kgを交配15日前から妊娠7日目まで経口投与した雌ラットのいずれにおいても、生存胚数低値及び死亡胚数高値が認められた3)
  4. 15.2.4 妊娠ラットにフェニル酪酸の活性代謝物であるフェニル酢酸の胎児及び新生児への影響を検討した4) 結果、フェニル酢酸非抱合体(フェニル酢酸及びフェニルアセチルCoA)の血漿中濃度が0.5μmol/mLを上回った群では、妊娠9〜20日の12日間持続皮下投与したとき、自然流産及び新生児の早期死亡がみられた。血漿中濃度を0.25〜0.45μmol/mLに維持した群では、ほぼ全ての新生児が生存したが、体重及び大脳半球重量は通常より有意に低く(いずれもp<0.001)、全ての同腹児に学習障害がみられた。一方、2日齢のラットにフェニル酢酸を20日間投与した後では、17%の体重減少が認められ、成長の遅延がみられた5)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与6)

    健康成人男性10例及び健康成人女性11例の合計21例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤及び錠剤を空腹時に単回経口投与し、フェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の薬物動態をクロスオーバー試験で検討した。海外第III相試験における使用製剤を用い、投与量は、錠剤及び顆粒剤ともにフェニル酪酸ナトリウムとして5g1) とした(外国人データ)。

    健康成人にフェニル酪酸ナトリウム(5g)1) を単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
    (平均値(変動係数%))

    測定物質

    製剤

    tmax
    (hr)

    Cmax
    (μg/mL)

    AUC0-t
    (μg・hr/mL)

    t1/2
    (hr)

    フェニル酪酸

    錠剤

    1.35(49)

    218.0(25)

    577.3(31)

    0.77(35)

    顆粒剤

    1.00(35)

    195.2(25)

    493.8(28)

    0.76(39)

    フェニル酢酸

    錠剤

    3.74(22)

    48.5(39)

    210.6(47)

    1.15(23)

    顆粒剤

    3.55(18)

    45.3(36)

    187.6(41)

    1.29(29)

    フェニルアセチルグルタミン

    錠剤

    3.43(14)

    68.5(20)

    306.0(25)

    2.41(32)

    顆粒剤

    3.23(13)

    62.8(17)

    267.7(24)

    2.36(26)

    錠剤(n=21)、顆粒剤(n=20)

  2. 16.1.2 反復投与

    尿素サイクル異常症患者13例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤又は錠剤を反復経口投与し、治験責任(分担)医師により薬物動態評価用の採血が実施された8例を対象としてフェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の血漿中濃度を測定した。投与量は1.33~4.5g1) であった7)

    尿素サイクル異常症患者にフェニル酪酸ナトリウムの維持用量を投与したときの血漿中濃度推移

    測定項目

    採血時期

    平均値
    (μg/mL)

    標準偏差

    フェニル酪酸

    投与前

    定量限界未満

    1時間後

    94.880

    76.906

    4時間後

    34.518

    42.888

    フェニル酢酸

    投与前

    定量限界未満

    1時間後

    12.591

    12.815

    4時間後

    19.440

    16.524

    フェニルアセチルグルタミン

    投与前

    6.794

    6.739

    1時間後

    27.488

    15.354

    4時間後

    66.973

    50.512

    n=8、定量限界:5μg/mL未満

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

    *健康成人20例を対象に、フェニル酪酸ナトリウム(4.3g/m2又は1.4g/m21) を朝食30分前、又は朝食直後に経口投与した。その結果、朝食30分前に投与したときのフェニル酪酸のCmax及びAUC0-10は、朝食直後に投与したときと比較して、4.3g/m2群でそれぞれ1.37倍及び1.21倍、1.4g/m2群でそれぞれ2.33倍及び1.59倍であった8)
    また、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症患者7例を対象にフェニル酪酸ナトリウム150mg/kgを朝食30分前、朝食直前又は直後に経口投与した。その結果、朝食30分前に投与したときのフェニル酪酸のCmax及びAUC0-4hは、朝食直後に投与したときと比較して、それぞれ2.47倍及び2.43倍であった。なお、朝食30分前及び直前に投与したときのフェニル酪酸の薬物動態パラメータに明確な差異は認められなかった9)

16.4 代謝

健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)1) を単回経口投与したとき、速やかに体内に吸収された後、β酸化を受け、活性代謝物であるフェニル酢酸に代謝された。フェニル酢酸は、体内のグルタミンと結合してフェニルアセチルグルタミンを形成する10),11) (外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)1) を単回経口投与したとき、フェニルアセチルグルタミンとして、尿中に排泄された。投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約71〜82%、投与24時間以内に約92%がフェニルアセチルグルタミンとして腎排泄された10),11) (外国人データ)。
健康成人男性2例を対象にフェニル酢酸の14C標識体(1mg/kg)1) を単回経口投与したとき、投与24時間後までに投与量の98%が尿中に排泄され、組成比はフェニル酢酸のグルタミン抱合体(フェニルアセチルグルタミン)93%、グリシン抱合体<0.05%、タウリン抱合体6%であり、未変化体は検出されなかった12) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 肝硬変患者
    1. (1) 単回投与13)

      男性肝硬変患者4例にフェニル酪酸ナトリウム(2.5g)1) を、空腹時に単回経口投与したとき、4例中3例で投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約33〜46%がフェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄され、フェニル酢酸の尿中排泄も認められた。肝硬変患者ではフェニル酢酸からその後尿中に排泄されるフェニルアセチルグルタミンへの変換は比較的緩徐であることが示唆された(外国人データ)。

    2. (2) 反復投与14)

      門脈圧亢進症を合併する男性肝硬変患者6例にフェニル酪酸ナトリウム(20g/日)1) を1日3回3日間反復経口投与したとき、6例中3例で血漿中フェニル酢酸が投与1日目から3日目にかけて継続して上昇し、フェニル酢酸の蓄積が示唆された(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 臨床薬物相互作用試験15)
    1. (1) ミダゾラム

      *健康成人24例にフェニル酪酸グリセロール4.4gを1日3回経口投与し、ミダゾラム(CYP3A基質)3mgを単回経口併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUClastの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ0.74及び0.68であった。

1) 本剤の承認された用法・用量は、以下のとおりである。
〈尿素サイクル異常症〉
成人及び体重20kg以上の小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日9.9〜13.0g/m2(体表面積)、体重20kg未満の新生児、乳幼児及び小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日450〜600mg/kgを3〜6回に分割し食事又は栄養補給とともに若しくは食直後に経口投与する。
〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉
通常、成人及び体重20kg以上の小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日あたり9.75g/m2(体表面積)を3回に分割し、食前に経口投与する。投与開始4週後、1日あたり13.0g/m2に増量する。患者の状態により1日あたり13.0g/m2は9.75g/m2に、1日あたり9.75g/m2は6.5g/m2に減量する。体重20kg未満の乳幼児及び小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日あたり450mg/kgを3回に分割し、食前に経口投与する。投与開始4週後、1日あたり600mg/kgに増量する。患者の状態により1日あたり600mg/kgは450mg/kgに、1日あたり450mg/kgは300mg/kgに減量する。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 17.1.1 国内第I/II相試験7)

      日本人尿素サイクル異常症患者13例(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症11例、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症1例、及びカルバミルリン酸合成酵素欠損症1例)を対象として食事又は栄養補給とともに、若しくは食直後に1日3~6回に分割して経口投与した。平均投与量は、1.59~13.86g/日2) であった。高アンモニア血症(血中アンモニア濃度≥150μg/dL)は治験開始後に13例中10例で合計51回発現した。このうち、血中アンモニア濃度が200μg/dLを超えたのは8例で30回、300μg/dLを超えたのは5例で13回であった。13例中3例では、治験薬投与開始後に高アンモニア血症の発現は認められなかった。これらの高アンモニア血症はいずれも回復した。
      副作用の発現割合は61.5%(8/13例)であった。発現した副作用は、高アンモニア血症4例(30.8%)、脱毛症3例(23.1%)、頭痛2例(15.4%)、膿痂疹、尿路感染、皮膚乳頭腫、人格変化、運動失調、片頭痛、上気道の炎症、腹部不快感、胃潰瘍、胃腸出血、悪心、急性膵炎、流涎過多、嘔吐、肝障害、発疹、排尿困難、月経障害、嚢胞、尿中ブドウ糖陽性、アミノ酸濃度減少 各1例(7.7%)であった(本試験の延長試験として実施された製造販売後臨床試験の結果を含む)。

    2. 17.1.2 海外第III相試験16)

      海外の尿素サイクル異常症患者183例(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症122例、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症39例及びカルバミルリン酸合成酵素欠損症22例)を対象に、新生児、幼児及び体重20kg未満の小児ではフェニル酪酸ナトリウムとして450~600mg/kg/日、体重20kg以上の小児、10代の患者及び成人患者ではフェニル酪酸ナトリウムとして9.9~13.0g/m2/日を経口投与(必須アミノ酸や蛋白質の摂取量維持のための食事療法も併用)した。有効性評価対象183例のうち139例が生存し、全体の生存率は約76%であった。高アンモニア血症は評価可能症例173例のうち29%の被験者で発症しなかった。血漿中のアンモニア濃度は85例で測定され、281回の測定値のうち61.2%は検査施設の基準範囲内であった。また、85例中17例(6%)は基準範囲値上限の2倍以上高かった。
      安全性の評価が可能であった183例中、副作用は34例(18.6%)に54件報告された。全体で2例以上の副作用は、月経障害10例(5.5%)、体臭7例(3.8%)、無月経5例(2.7%)、体重増加4例(2.2%)、嘔吐3例(1.6%)、味覚倒錯、肺炎 各2例(1.1%)であった。

  • 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉
    1. 17.1.3 国内第II相試験17) (UMIN000024753)

      *進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型患者6例を対象に本剤450mg/kg/日~600mg/kg/日を1日3回(患者の状態に応じて適宜増減)食前に52週間投与した時の有効性及び安全性を検討した。
      主要評価項目である24週後の肝組織像スコアにおける有効割合a)は50%(3/6例)であった。血液マーカー(AST、ALT、γ-GTP、総ビリルビン及び直接ビリルビン)及び皮膚そう痒感の評価指標(Visual Analogue Scale(VAS)、5-Dかゆみスケール及びPruritus score)は、いずれも投与前に比べ、投与52週後まで経時的に改善する傾向が認められた。
      副作用の発現割合は83.3%(5/6例)であった。発現した副作用は、アミノ酸濃度減少3例(50.0%)、肝酵素上昇2例(33.3%)、高尿酸血症、高アルカリホスファターゼ血症、悪心、嘔吐、アミノ酸濃度増加各1例(16.7%)であった。

      a)「改善」又は「変化なし」を有効と定義

17.3 その他

  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 17.3.1 国内臨床研究18)

      日本人尿素サイクル異常症患者であるオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症6例(新生児発症型1例、遅発型5例)を対象に本剤(錠剤1例、顆粒剤5例)を450~600mg/kg/日(体重20kg未満)又は9.9~13.0g/m2/日(体重20kg以上)を1日3回食後(患者の食事摂取量に合わせ適宜増減。アルギニンとシトルリンの併用は可)12ヶ月投与した結果、服薬コンプライアンスを保つことが困難な1例を除き、血中アンモニアのコントロールに有用で、ほとんどの症例で摂取蛋白量の増加が示された。
      副作用は、6例中4例に分岐鎖アミノ酸の低下が認められた。

  • 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉
    1. 17.3.2 国内臨床研究19)

      *日本人進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型患者3例に本剤200mg/kg/日を4回に分けて投与を開始し、治療効果と安全性を確認しながら500mg/kg/日を上限に漸増し、6ヶ月間治療を行った。その結果、いずれの患者においても本剤500mg/kg/日の治療により難治性そう痒の評価指標(Whitington scale:Pruritus scoreと同一)が4から2に改善したが、本剤の投与終了後にベースラインと同程度となった。本剤の投与によりBile Salt Export Pump(BSEP)の発現量は増加したが肝組織像には変化を認めず、また、投与期間中、肝機能検査値の改善は認められなかった。6ヶ月間の治療中及び治療後にいずれの患者も有害事象は認められなかった。

2) 本剤の承認された用法・用量は、以下のとおりである。
〈尿素サイクル異常症〉
成人及び体重20kg以上の小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日9.9〜13.0g/m2(体表面積)、体重20kg未満の新生児、乳幼児及び小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日450〜600mg/kgを3〜6回に分割し食事又は栄養補給とともに若しくは食直後に経口投与する。
〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉
通常、成人及び体重20kg以上の小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日あたり9.75g/m2(体表面積)を3回に分割し、食前に経口投与する。投与開始4週後、1日あたり13.0g/m2に増量する。患者の状態により1日あたり13.0g/m2は9.75g/m2に、1日あたり9.75g/m2は6.5g/m2に減量する。体重20kg未満の乳幼児及び小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日あたり450mg/kgを3回に分割し、食前に経口投与する。投与開始4週後、1日あたり600mg/kgに増量する。患者の状態により1日あたり600mg/kgは450mg/kgに、1日あたり450mg/kgは300mg/kgに減量する。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

  • 〈尿素サイクル異常症〉
    1. 18.1.1 尿素サイクル異常症患者では残余窒素の尿素としての排泄が不十分となることにより高アンモニア血症を呈する。フェニル酪酸ナトリウムは、ヒト生体内でβ酸化により速やかにフェニル酢酸に代謝されてグルタミンと結合し、フェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄される12),20) 。αケトグルタル酸からグルタミン酸を経てグルタミンが生合成される過程で、アンモニア2分子が取り込まれるため、フェニル酪酸ナトリウム1分子により残余窒素2原子が排泄される。
  • 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型〉
    1. 18.1.2 *進行性家族性肝内胆汁うっ滞症は、各種遺伝子変異により肝臓から胆汁が排泄できなくなり胆汁がうっ滞し、肝細胞等が障害されることで生じる。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型では肝細胞から胆汁酸を排出するBSEPの肝細胞毛細胆管側膜上における発現量低下が示されており、病態発症の一因となっている。また、他の多くの病型でもBSEPの二次的な発現低下が示されており、病態発症の一因となることが示唆されている。フェニル酪酸ナトリウムはBSEPの細胞膜発現量を増加させ胆汁酸の細胞外排泄を促進する作用を有している21),22)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

フェニル酪酸ナトリウム(Sodium Phenylbutyrate)(JAN)

化学名

4-フェニル酪酸ナトリウム(Sodium 4-phenylbutanoate)

分子式

C10H11O2Na

分子量

186.18

性状

白色~黄白色の粉末である。水又はメタノールに溶けやすく、ジクロロメタンにはほとんど溶けない。

化学構造式

20. 取扱い上の注意

無包装開放状態で吸湿することが認められているため、開栓後は防湿に留意すること。

22. 包装

  • 〈ブフェニール錠500mg〉

    (バラ:チャイルドレジスタンスキャップ、プラスチックボトル)250錠

  • 〈ブフェニール顆粒94%〉

    (チャイルドレジスタンスキャップ、プラスチックボトル)266g

23. 主要文献

1) *社内資料:ラットを用いた24カ月がん原性試験(フェニル酪酸グリセロール、2025年12月22日承認、CTD2.6.6.5.1)

2) *社内資料:新生児ラットを用いた反復投与毒性試験(フェニル酪酸グリセロール、2025年12月22日承認、CTD2.6.6.6.4.2)

3) *社内資料:ラットを用いた胚・胎児発生試験(フェニル酪酸グリセロール、2025年12月22日承認、CTD2.6.6.6.2.2)

4) Loo YH, et al.: Dev Neurosci. 1983-1984; 6: 227-234.

5) Fulton TR, et al.: Life Sci. 1980; 27: 1271-1281.

6) 社内資料:海外健康成人の薬物動態(StudyIV-6)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.1)

7) 社内資料:国内第 I/II相試験(CM02-001試験2013年9月27日治験総括報告書最終報告)(2012年9月28日承認)

8) *Osaka S, et al.: Mol Gen Metab 2021; 132: 220-226.

9) *Nakano S, et al.: Sci Rep. 2019; 9: 17075.

10) 社内資料:海外健康成人2例単回投与時薬物動態(StudyIV-4)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.2)

11) 社内資料:海外健康成人1例単回投与時薬物動態(StudyIV-5)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.3)

12) James MO, et al.: Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1972; 182: 25-35.

13) 社内資料:海外肝硬変患者4例単回投与時薬物動態(StudyIV-15)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.5)

14) 社内資料:海外肝硬変患者6例反復投与時薬物動態(StudyIV-16)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.6)

15) *社内資料:HPN-100-019試験(フェニル酪酸グリセロール、2025年12月22日承認、CTD2.7.6.1)

16) 社内資料:海外第III相試験(StudyIV-17)(2012年9月28日承認、CTD2.7.6.7)

17) *社内資料:進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型を対象としたKDN-413の有効性と安全性の検討を目的とした医師主導治験成績(CTD2.7.6.1)

18) 小松崎匠子ほか.: 日本小児科学会雑誌 2012; 116: 842-848.

19) *Hasegawa Y, et al.: Orphanet J Rare Dis 2014; 9: 89.

20) Moldave K, et al.: Biol Chem. 1957; 229: 463-476.

21) *Hayashi H, et al.: Hepatology 2007; 45: 1506-1516.

22) *Hayashi H, et al.: Hepatology 2012a; 55: 1889-1900.

24. 文献請求先及び問い合わせ先

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