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日本薬局方
ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド錠
処方箋医薬品注)
高血圧症
過度な血圧低下のおそれ等があり、本剤を高血圧治療の第一選択薬としないこと。
成人には1日1回1錠(ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mg又は100mg/12.5mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
原則として、ロサルタンカリウム50mgで効果不十分な場合にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mgの投与を、ロサルタンカリウム100mg又はロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして50mg/12.5mgで効果不十分な場合にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジドとして100mg/12.5mgの投与を検討すること。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
低カリウム血症又は高カリウム血症を起こすおそれがある。,,,
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。本剤の成分であるロサルタンカリウムは、高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値のモニタリングを定期的に実施し、観察を十分に行うこと。,
過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させるおそれがある。
一過性の血圧低下を起こすおそれがある。
低ナトリウム血症を起こすおそれがある。特に、厳重な減塩療法中の患者では、一過性の血圧低下を起こすおそれがある。,
急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがある。,
電解質失調があらわれるおそれがある。
血清カルシウムを上昇させるおそれがある。
本剤の降圧作用が増強されるおそれがある。
投与しないこと。
投与しないこと。腎機能を更に悪化させるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。ヒドロクロロチアジドにより腎血流量が低下し、ロサルタンカリウムにより腎機能障害が悪化するおそれがある。
本剤投与中は定期的に血清クレアチニン値及び血清尿酸値のモニタリングを実施し、観察を十分に行うこと。血清クレアチニン値上昇及び血清尿酸値上昇のおそれがある。
投与しないこと。,
外国において、軽・中等度のアルコール性肝硬変患者にロサルタンカリウム50mgを単回経口投与すると、健康成人と比較してロサルタンの消失速度が遅延し、ロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度がそれぞれ約5倍及び約2倍に上昇することが報告されている。また、ヒドロクロロチアジドは肝性昏睡を誘発するおそれがある。
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、多臓器不全、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。なお、チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少症等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少があらわれることがある。,
授乳しないことが望ましい。ラットの周産期及び授乳期にロサルタンカリウム1mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド0.25mg/kg/day~ロサルタンカリウム50mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド12.5mg/kg/dayを投与した試験において、ロサルタンカリウム50mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド12.5mg/kg/day群で産児体重の減少及び腎の病理組織学的変化がみられた。また、ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドの乳汁移行性も確認された。本試験の産児に対する無毒性量はロサルタンカリウム10mg/kg/day/ヒドロクロロチアジド2.5mg/kg/dayであった。ヒドロクロロチアジドは、ヒト母乳中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。乳児は電解質バランスがくずれやすい。
アリスキレン
(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く。)
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。
レニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
デスモプレシン酢酸塩水和物
(男性における夜間多尿による夜間頻尿)
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。
いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。
カリウム保持性利尿剤:
カリウム補給剤:
トリメトプリム含有製剤:
血清カリウム値が上昇するおそれがある。
本剤の成分であるロサルタンカリウムとの併用によりカリウム貯留作用が増強するおそれがある。腎機能障害のある患者には特に注意すること。
利尿降圧剤:
利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
バルビツール酸誘導体
起立性低血圧が増強されることがある。
これらの薬剤の中枢抑制作用と本剤の成分であるヒドロクロロチアジドの降圧作用による。
あへんアルカロイド系麻薬
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドとあへんアルカロイドの大量投与で血圧下降があらわれることが報告されている。
アルコール
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドと血管拡張作用を有するアルコールとの併用により降圧作用が増強される可能性がある。
昇圧アミン:
昇圧アミンの作用を減弱することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させることが報告されている。
ツボクラリン及びその類似作用物質:
ツボクラリン及びその類似作用物質の麻痺作用を増強することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強すると考えられている。
降圧作用を有する他の薬剤:
降圧作用を増強するおそれがある。降圧剤の用量調節等に注意すること。
作用機序の異なる降圧作用により互いに協力的に作用する。
ジギタリス剤:
ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、不整脈等を起こすことがある。血清カリウム値に十分注意すること。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。マグネシウム低下も同様の作用を示す。
乳酸ナトリウム
チアジド系薬剤による代謝性アルカローシス、低カリウム血症を増強することがある。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドのカリウム排泄作用により低カリウム血症や代謝性アルカローシスが引き起こされることがある。アルカリ化剤である乳酸ナトリウムの併用はこの状態を更に増強させる。
リチウム:
リチウム中毒が報告されている。血中リチウム濃度に注意すること。
本剤の成分であるロサルタンカリウムのナトリウム排泄作用により、リチウムの蓄積が起こると考えられている。
振戦、消化器愁訴等、リチウム中毒を増強することがある。血清リチウム濃度に注意すること。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは腎におけるリチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。
副腎皮質ホルモン剤ACTH
低カリウム血症が発現することがある。
本剤の成分であるヒドロクロロチアジド及び副腎皮質ホルモン剤、ACTHともカリウム排泄作用を持つ。
グリチルリチン製剤
血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。
グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。したがって本剤の成分であるヒドロクロロチアジドとグリチルリチン製剤の併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。
糖尿病用剤:
糖尿病用剤の作用を著しく減弱することがある。
機序は明確ではないが、本剤の成分であるヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。
コレスチラミン
チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。
コレスチラミンの吸着作用により本剤の成分であるヒドロクロロチアジドの吸収が阻害されることがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤:
降圧作用が減弱されるおそれがある。
プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
腎機能が悪化している患者では、さらに腎機能が悪化するおそれがある。
プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用により、腎内プロスタグランジンが減少し、水・ナトリウムの体内貯留が生じて本剤の成分であるヒドロクロロチアジドの作用と拮抗する。
*グレープフルーツジュース
降圧作用が減弱されるおそれがある。本剤の投与中はグレープフルーツジュースの摂取は避けること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A4阻害作用により本剤の有効成分であるロサルタンカリウムの活性代謝物の血中濃度が低下するため、本剤の降圧作用が減弱されるおそれがある。
不快感、口内異常感、発汗、蕁麻疹、呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがある。
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹があらわれることがある。
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。,,
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
血清カリウム値の異常変動に伴い、倦怠感、脱力感、不整脈等があらわれることがある。,,,
心室性期外収縮、心房細動等の不整脈があらわれることがある。
間質性肺炎、肺水腫があらわれることがある。また、ヒドロクロロチアジド服用後、数分から数時間以内に急性呼吸窮迫症候群が発現したとの報告がある3),4),5),6)。
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。,
急性近視(霧視、視力低下等を含む)、閉塞隅角緑内障があらわれることがあるので、急激な視力の低下や眼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、速やかに眼科医の診察を受けるよう、患者に指導すること。
0.1~5%未満注1)
頻度不明
精神神経系
めまい、浮遊感、眠気、頭痛
耳鳴、不眠、知覚異常
循環器系
低血圧、起立性低血圧、動悸
調律障害(頻脈等)、胸痛
消化器
嘔吐・嘔気
口内炎、下痢、口角炎、胃不快感、胃潰瘍、腹部仙痛、膵炎、唾液腺炎、便秘、食欲不振、腹部不快感、口渇
肝臓
黄疸、肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、LDH上昇等)
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
皮膚
発疹、蕁麻疹
多形紅斑、光線過敏、紅皮症、紅斑、そう痒、顔面潮紅、皮膚エリテマトーデス
血液
貧血、赤血球数増加、赤血球数減少、ヘマトクリット低下、ヘマトクリット上昇、ヘモグロビン増加、白血球数増加、リンパ球数増加
好酸球数増加、好中球百分率増加、リンパ球数減少
その他
倦怠感、CK上昇、高尿酸血症、高血糖症、頚部異和感、多汗、頻尿、CRP増加、尿中ブドウ糖陽性、尿中赤血球陽性、尿中白血球陽性、尿中蛋白陽性、BNP増加
発熱、味覚障害、しびれ感、眼症状(かすみ、異和感等)、黄視症、ほてり、浮腫、筋肉痛、咳嗽、低マグネシウム血症、低クロール性アルカローシス、血清カルシウム増加、インポテンス、高カルシウム血症を伴う副甲状腺障害、筋痙攣、関節痛、鼻閉、紫斑、呼吸困難、血清脂質増加、女性化乳房
甲状腺障害のない患者の血清PBIを低下させることがある。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
海外で実施された疫学研究において、ヒドロクロロチアジドを投与された患者で、基底細胞癌及び有棘細胞癌のリスクが増加することが報告されている7),8)。
ロサルタンカリウム50 mg/ヒドロクロロチアジド12.5 mg
ロサルタン
カルボン酸体
ヒドロクロロチアジド
Cmax(ng/mL)
291.0±96.9
592.9±137.4
95.9±20.9
Tmax(hr)
1.4±0.8
3.7±1.2
2.8±0.9
AUC0-∞(ng・hr/mL)
504.8±180.2
3674.1±680.2
516.2±89.8
t1/2(hr)
1.7±0.6
5.8±1.1
7.9±1.2
n=11、平均±標準偏差(Cmax、AUC:幾何平均、Tmax:算術平均、t1/2:調和平均)
軽症及び中等症の本態性高血圧症患者にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回14日間反復経口投与した時、血漿中ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドのいずれにも蓄積性は認められなかった。
ヒトにおけるロサルタン及びカルボン酸体の血漿蛋白結合率は、いずれも99%以上であった。ヒドロクロロチアジドのヒト血清蛋白結合率は22%であった。外国人におけるロサルタンの分布容積は34 Lであった。
ヒトにおいて、ロサルタンは主としてカルボン酸体へ代謝され、この代謝には、主としてCYP2C9が関与した。ヒトにおいてヒドロクロロチアジドはほとんど代謝されなかった。
健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与後48時間までに、ロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドが、尿中にそれぞれ投与量の3.7%、7.7%及び66.6%排泄された。
腎機能障害を伴う高血圧症患者(血清クレアチニン値1.5~2.5mg/dL)にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回7日間反復経口投与した時のロサルタン及びカルボン酸体のCmaxは、腎機能正常患者に比べ1.2倍高く、AUC0-24hrは1.5~1.7倍高かった。ヒドロクロロチアジドのCmax及びAUC0-24hrは、それぞれ腎機能正常患者の1.4倍及び2.2倍、腎クリアランスは27%であった。
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを1日1回7日間反復経口投与後のロサルタン及びカルボン酸体の血漿中濃度は、非高齢者と差はなく、ヒドロクロロチアジドの吸収も非高齢者と差がなかった(外国人データ)。
健康成人にロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを単回経口投与した後のロサルタン、カルボン酸体及びヒドロクロロチアジドの血漿中濃度は、各単剤投与後と差がなく、ロサルタンとヒドロクロロチアジドとの薬物動態的な相互作用は認められなかった。海外において、ロサルタンとシメチジン、フェノバルビタール、ワルファリン、ジゴキシン、ケトコナゾール及びエリスロマイシンとの相互作用について検討したが、いずれも臨床上問題となる薬物動態的な相互作用は認められなかった。ロサルタンとリファンピシン(代謝酵素誘導剤)との併用により、ロサルタン及びカルボン酸体の消失が速くなり、それらのAUCは減少した。また、ロサルタンとフルコナゾール(CYP2C9の阻害剤)の併用により、カルボン酸体のCmax及びAUCが減少したが、ロサルタンのAUCは増加した。
日本人を対象とした二重盲検比較試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgはロサルタンカリウム50mg投与よりも有意に優れた降圧効果が認められた。降圧効果判定採用154例のうち有効(拡張期血圧が90mmHg未満に又は10mmHg以上低下した症例)と判定された症例は112例(73%)であった。なお、8週間時における拡張期血圧の平均変化量は下図のとおりであった。
Pbo=プラセボ、L=ロサルタンカリウム、H=ヒドロクロロチアジド†主要評価項目のFAS解析対象例、‡平均値(標準偏差)、§最小二乗平均値(標準誤差)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgが投与された患者で自他覚症状の副作用が報告されたのは155例中14例(9.0%)であり、主な副作用は浮動性めまい5例(3.2%)、悪心2例(1.3%)であった。また、臨床検査値の副作用が報告されたのは155例中22例(14.2%)であり、主な臨床検査値の副作用は、尿酸増加8例(5.3%)、ALT増加、CK増加各3例(2.0%)、赤血球数減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、AST増加、BUN増加各2例(1.3%)であった。また、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgの副作用発現率は、プラセボと同程度であった。
日本人を対象に長期の安全性を検討した第Ⅲ相試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgが投与された患者で自他覚症状の副作用が報告されたのは200例中28例(14.0%)であり、主な副作用は頻尿6例(3.0%)、浮動性めまい4例(2.0%)、右脚ブロック、動悸、異常感、蕁麻疹各2例(1.0%)であった。また、臨床検査値の副作用が報告されたのは200例中26例(13.0%)であり、主な臨床検査値の副作用は尿酸増加6例(3.0%)、ALT増加5例(2.5%)、AST増加、カリウム減少各4例(2.0%)、赤血球数減少、ヘマトクリット減少各3例(1.5%)、白血球数増加、ヘモグロビン減少、LDH増加、CK増加、尿中赤血球陽性各2例(1.0%)であった。
ロサルタンカリウム100 mgを服用後に血圧コントロールが不十分であった日本人本態性高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検試験において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgはロサルタンカリウム100mg投与よりも、投与8週時の平均トラフ坐位収縮期及び拡張期血圧共に、有意に優れた降圧効果を示した(P<0.001)。投与8週時における平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量を表1に示す9)。
ベースラインの血圧注3)
投与8週時の変化量注2)
ロサルタンカリウム100mg(N=170)注4)
収縮期
155.0(10.4)
-5.4(1.0)
拡張期
97.7(5.7)
-3.6(0.6)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mg(N=166)注4)
155.4(11.0)
-14.5(1.0)
97.1(5.3)
-8.7(0.6)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは166例中16例(9.6%)であり、主な副作用は血中尿酸増加4例(2.4%)、高尿酸血症、浮動性めまい、低血圧、ALT増加、AST増加、血中ビリルビン増加各2例(1.2%)であった9)。
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgを8週間服用後に血圧コントロールが不十分であった日本人本態性高血圧症患者を対象に長期安全性を評価した第Ⅲ相試験の二重盲検期(8週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgはロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mgと比べて、投与8週時の平均トラフ坐位拡張期血圧では同程度の降圧効果を示し、投与8週時の平均トラフ坐位収縮期血圧では上乗せの降圧効果を示した。投与8週時における平均トラフ坐位血圧のベースラインからの変化量を表2に示す9)。
ベースラインの血圧注6)
投与8週時の変化量注5)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド50mg/12.5mg(N=144)注7)
151.7(9.5)
-6.2(1.0)
95.9(5.4)
-5.3(0.7)
ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mg(N=134)注7)
152.4(11.2)
-8.5(1.0)
95.1(4.5)
-5.0(0.7)
また、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgの降圧効果は、収縮期及び拡張期血圧共に52週時においても持続した9)。二重盲検期(8週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは134例中7例(5.2%)であり、主な副作用は血中尿酸増加3例(2.2%)であった。延長期(52週間)において、ロサルタンカリウム/ヒドロクロロチアジド100mg/12.5mgが投与された患者で副作用が報告されたのは265例中32例(12.1%)であり、主な副作用は血中尿酸増加7例(2.6%)、高尿酸血症4例(1.5%)、浮動性めまい、AST増加、BNP増加各3例(1.1%)であった9)。
本剤の配合成分であるロサルタンカリウム(ロサルタン)は、経口投与後速やかに吸収され、その一部が主代謝物であるカルボン酸体に変換される。ロサルタン及びカルボン酸体は、いずれも生理的昇圧物質であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)が作用する受容体(AT1受容体)に極めて高い親和性を示し、AⅡの作用を選択的に拮抗することにより降圧効果を発揮する。ロサルタンは、レニン・アンジオテンシン系(RAS)が活性化されている高レニン性高血圧モデルにおいて著明な降圧効果を示し10),11)、逆にRASの関与が少ない低レニン性高血圧モデルにおける降圧効果は弱いことが知られている11)。一方の配合成分であるヒドロクロロチアジドは、チアジド系の降圧利尿薬である。ヒドロクロロチアジドの降圧機序に関しては、尿細管におけるナトリウム再吸収抑制作用による循環血液量減少作用が考えられている12)。また、ヒドロクロロチアジドはその利尿作用によりRASの活性化を起こす13)。したがって、本剤はRAS活性化状態で著明な降圧効果を示すロサルタンとRASを活性化させるヒドロクロロチアジドとの配合剤であるため、両成分の併用投与は各単剤投与に比較しより顕著な降圧効果を示すと考える。
自然発症高血圧ラットにおいて、単独投与で中等度の降圧効果(約15mmHg低下)を示した用量のロサルタンと単独投与では降圧効果が認められなかった用量のヒドロクロロチアジドを併用投与することにより、著明な降圧効果(約30mmHg低下)が認められた。併用投与群における降圧効果は各単独投与群の効果と比較し有意であった14)。
ロサルタンカリウム(Losartan Potassium)
Monopotassium 5-{[4’-(2-butyl-4-chloro-5-hydroxymethyl-1H-imidazol-1-yl)methyl]biphenyl-2-yl}-1H-tetrazol-1-ide
C22H22ClKN6O
461.00
白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)
6-Chloro-3,4-dihydro-2H-1,2,4-benzothiadiazine-7-sulfonamide 1,1-dioxide
C7H8ClN3O4S2
297.74
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。アセトンに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。
約267℃(分解)
1) **阿部真也、他. 周産期医学. 2017;47:1353-5.
2) **齊藤大祐、他. 鹿児島産科婦人科学会雑誌. 2021;29:49-54.
3) *Rai A, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2016;193:A1890.
4) *Jansson PS, et al. J Emerg Med. 2018;55:836-40.
5) *Vadas P. Am J Emerg Med. 2020;38:1299.e1-2.
6) *Kane SP, et al. Perfusion. 2018;33:320-2.
7) Pottegård A, et al. J Intern Med. 2017;282:322-31.
8) Pedersen SA, et al. J Am Acad Dermatol. 2018;78:673-81.
9) Rakugi H, et al. Hypertens Res. 2014;37:1042-9.
10) 岡田恵、他. 基礎と臨床. 1994;28:4063-73.
11) Wong PC, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1990;252:726-32.
12) Shah S, et al. Am Heart J. 1978;95:611-8.
13) Lijnen P, et al. Br J Clin Pharmacol. 1981;12:387-92.
14) 社内資料:ロサルタンとヒドロクロロチアジド併用による降圧作用
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