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劇薬
処方箋医薬品注)
男性における男性型脱毛症の進行遅延
男性成人には、通常、フィナステリドとして0.2mgを1日1回経口投与する。なお、必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上限とする。
3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また、効果を持続させるためには継続的に服用すること。なお、増量による効果の増強は、確認されていない。本剤を6ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止すること。また、6ヵ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討すること。
本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は取扱わないこと。本剤はコーティングされているので、割れたり砕けたりしない限り、通常の取扱いにおいて有効成分に接触することはない。
本剤との因果関係は明らかではないが、自殺念慮、自殺企図、自殺既遂が報告されている。
本剤は主に肝臓で代謝される。肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。,,
授乳中の女性には投与しないこと。本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明である。,,
小児等に対する適応はない。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
前立腺肥大症患者を対象にした臨床試験(フィナステリド5 mg)では、高齢者と非高齢者において副作用の発現割合に明らかな差は認められていない。しかし、一般に高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。高齢者における有効性は確立していない。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒症、じん麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉及び顔面腫脹を含む)
生殖器
リビドー減退注1)
勃起機能不全注1)、射精障害注1)、精液量減少
睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)注2)
肝臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇
その他
乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい
国内で実施した24歳から50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺特異抗原(PSA)の濃度が約40%低下した。海外臨床試験において、高年齢層の前立腺肥大症患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下した2)。したがって、本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること。
本剤を分割・粉砕しないこと。本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は取扱わないこと。,,,
アカゲザルの妊娠20日から100日までフィナステリド120 ng/kg/dayを毎日静脈内投与した場合でも雌雄胎児に異常所見は認められなかった(アカゲザルへの投与量は、フィナステリド1 mgが投与された患者の1回の射精を介して女性が曝露される可能性のあるフィナステリド量の少なくとも750倍に相当する)7)。
健康成人にフィナステリド0.2mg及び1mgを単回経口投与した時、血漿中濃度は投与後1.2及び1.4時間に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、以後3及び4時間の半減期(t1/2)で消失した(表1)8)。
投与量(mg)
AUC0-24hr(ng・hr/mL)†
Cmax(ng/mL)†
Tmax(hr)‡
t1/2(hr)§
0.2(n=12)
2.19±3.70
0.56±0.42
1.17±0.39
2.76±0.43
1(n=11)
49.29±12.40
9.89±2.56
1.36±0.92
4.15±0.26
† 幾何平均 ± 幾何標準偏差‡ 算術平均 ± 標準偏差§ 調和平均 ± ジャックナイフ標準偏差
健康成人にフィナステリド0.2mg及び1mgを1日1回17日間反復経口投与した時、いずれの投与量においても血漿中濃度は投与2~3日目に定常状態に達した。投与17日目における0.2mg及び1mgの血漿中濃度は、投与後1.2及び1.5時間にCmaxに達し、以後4時間のt1/2で消失した。また、0.2mg及び1mg投与の定常状態における血漿中濃度はほぼ用量に比例した(図1及び表2)9)。
10.39±3.84
1.96±0.42
1.17±0.58
4.11±0.38
60.49±17.02
10.84±2.05
1.45±0.93
4.13±0.23
健康成人にフィナステリド0.2mg及び1mgを空腹時あるいは食後30分以内に1日1回7日間反復経口投与した際、投与7日目のAUC及びCmaxは空腹時及び食後投与間でほぼ同値であり、食事の影響は認められなかった10)。
健康成人にフィナステリド5mg注3)を点滴静脈内投与時の血漿クリアランスは約165mL/min、分布容積は約76Lであり、また、AUCの比較により算出した5mg注3)経口投与時の生物学的利用率は約80%であった11)(外国人データ)。
ヒト血漿におけるin vitro蛋白結合率は83~85%であった12)。
男性型脱毛症患者にフィナステリド1mgを1日1回6週間経口投与した時の精液中への移行量は極めて微量(投与量の0.00076%以下)であった13)(外国人データ)。
健康成人にフィナステリド100mg注3)を単回経口投与後1日間の尿中への排泄率は、投与量の0.04%であった17)。
健康成人に14C標識フィナステリド38mg注3)を単回経口投与後7日間の尿中及び糞中放射能排泄率は、それぞれ39%及び57%であった18)。
重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランスCLcr<30mL/min)と健康成人(CLcr≧90mL/min)における14C標識フィナステリド10mg注3)単回経口投与時の血漿中薬物動態パラメータを比較したところ、両群間で差異は認められなかった(腎機能障害患者における反復投与試験は実施していない)19)(外国人データ)。
健康な高齢者(65~71歳)と非高齢者(20~60歳)におけるフィナステリド5mg注3)単回経口投与時の血漿中薬物動態パラメータを比較したところ、両群間で差異は認められなかった20)。
健康成人(CYP2C19のExtensive Metabolizer)にフィナステリド1mgを1日1回3日間反復経口投与し、投与3日目は同時にオメプラゾール20mgを単回経口投与した際、オメプラゾールの血漿中薬物動態における薬物相互作用は認められなかった21)。
フィナステリド5mg注3)あるいは10mg注3)とアンチピリン、プロプラノロール、ジゴキシン、グリベンクラミド、ワルファリン並びにテオフィリンとの併用時に、各併用薬の血漿中薬物動態における薬物相互作用は認められなかった22)(外国人データ)。
24歳から50歳の男性型脱毛症患者(Modified Norwood-Hamilton分類23),24)Ⅱvertex、Ⅲvertex、Ⅳ及びⅤ:図1)414例を対象とした48週間のプラセボ対照二重盲検比較試験において、頭頂部毛髪の変化を写真により7段階で評価した結果、本剤投与群(0.2mg/日及び1mg/日)はプラセボ群と比較して統計的に有意な改善を示したが、実薬群間では統計的な有意差は認められなかった(図2)。投与前と比べ48週で改善と判定されたのは、0.2mg投与群で54.2%(71/131例)、1mg投与群で58.3%(77/132例)、プラセボ群で5.9%(8/135例)であった。副作用(臨床検査値異常変動を含む)の発現割合は0.2mg投与群で1.5%(2/137例)、1mg投与群で6.5%(9/139例)、プラセボ群で2.2%(3/138例)であった。性機能に関する副作用は0.2mg投与群で1.5%(2/137例)、1mg投与群で2.9%(4/139例)、プラセボ群で2.2%(3/138例)に認められた25)。本剤投与群(0.2mg及び1mg)に認められた主な症状はリビドー減退1.1%(3/276例)、勃起機能不全0.7%(2/276例)であった。
国内第Ⅱ/Ⅲ相二重盲検比較試験(48週間)終了後に、移行可能であった374例全例に本剤1mgを投与する長期投与試験(48週間、通算96週)において有効性(頭頂部写真評価)は維持することが示された。国内長期投与試験期間中における副作用(臨床検査値異常変動を含む)の発現割合は1.1%(4/374例)であり、前相を含め96週間にわたり1mgが投与された症例の長期投与試験期間中における副作用の発現割合は1.6%(2/124例)であった。
フィナステリドは、5α-還元酵素Ⅱ型を選択的に抑制することによりテストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害し、発毛作用を示すものと考えられる。
フィナステリドは、in vitroにおいてヒト遺伝子組換え5α-還元酵素Ⅱ型を阻害し、緩徐に酵素との安定な複合体を形成する26)。
フィナステリドは、男性型脱毛症モデル動物であるベニガオザルにおいて、ジヒドロテストステロンの低下を伴った発毛作用を示した27)。
フィナステリドは、in vitroにおいて、ハムスター又はラット由来のステロイドホルモン受容体に対する親和性を示さず、ヒト又はラット由来の5α-還元酵素以外のステロイドホルモン生合成酵素に対する阻害作用も極めて弱かった28)。
フィナステリドは、マウス、ラット又はウサギにおいて、エストロゲン様作用、抗エストロゲン作用、ゴナドトロピン分泌抑制作用、アンドロゲン様作用、プロゲスチン様作用及び抗プロゲスチン作用を示さなかった29)。
フィナステリド(Finasteride)
(-)-N-tert-Butyl-3-oxo-4-aza-5α-androst-1-ene-17β-carboxamide
C23H36N2O2
372.55
白色の結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にはほとんど溶けない。
28錠 [14錠(PTP) × 2]
28錠 [14錠(PTP) × 2]140錠 [14錠(PTP) × 10]
1) Price VH, et al. J Am Acad Dermatol. 2000; 43: 768-76.
2) Guess HA, et al. J Urol. 1996; 155: 3-9.
3) McConnell JD, et al. N Engl J Med. 2003; 349: 2387-98.
4) McConnell JD, et al. N Engl J Med. 1998; 338: 557-63.
5) Thompson IM, et al. N Engl J Med. 2003; 349: 215-24.
6) Theoret MR, et al. N Engl J Med. 2011; 365: 97-9.
7) Prahalada S, et al. Teratology. 1997; 55: 119-31.
8) 社内資料:フィナステリド単回投与における血中濃度[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (5). 1) ]
9) 社内資料:フィナステリド反復投与における血中濃度[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (5). 1) ]
10) 社内資料:フィナステリドの食事の影響[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (5). 2) ]
11) Steiner JF. Clin Pharmacokinet. 1996; 30: 16-27.
12) 社内資料:フィナステリドの血漿蛋白結合[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ2. (2). 4) ]
13) 社内資料:フィナステリドの精液移行[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (3). 3) ]
14) Huskey SW, et al. Drug Metab Dispos. 1995; 23: 1126-35.
15) 社内資料:フィナステリドの代謝[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ2. (3). 5) ]
16) 社内資料:フィナステリドの代謝[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ2. (3). 6) ]
17) Ohtawa M, et al. Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 1991; 16: 15-21.
18) Carlin JR, et al. Drug Metab Dispos. 1992; 20: 148-55.
19) 社内資料:フィナステリドの腎機能障害患者における体内動態[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (3). 1) ]
20) 石井康行 他. 薬物動態. 1995; 10: 197-204.
21) Yasumori T, et al. Eur J Clin Pharmacol. 2006; 62: 939-46.
22) 社内資料:フィナステリドと他剤との相互作用[2005年10月11日承認、申請資料概要ヘ3. (3). 2) ]
23) Norwood OT. South Med J. 1975; 68: 1359-65.
24) Takashima I, et al. Hair Research Status and Future Aspects, edited by Orfanos, C. E. et al. 1981; 287-93.
25) Kawashima M, et al. Eur J Dermatol. 2004; 14: 247-54.
26) Herbert GB, et al. J Am Chem Soc. 1996; 118: 2359-65.
27) Rhodes L, et al. J Clin Endocrinol Metab. 1994; 79: 991-6.
28) 社内資料:フィナステリドのステロイドホルモン受容体に対する親和性[2005年10月11日承認、申請資料概要ホ1. (1). 3) ]
29) 社内資料:フィナステリドのホルモン様作用[2005年10月11日承認、申請資料概要ホ1. (1). 3) ]
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