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日本薬局方
モンテルカストナトリウム錠
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはモンテルカストとして10mgを1日1回就寝前に経口投与する。
通常、成人にはモンテルカストとして5~10mgを1日1回就寝前に経口投与する。
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。海外の市販後において、妊娠中に本剤を服用した患者から出生した新生児に先天性四肢奇形がみられたとの報告がある。これらの妊婦のほとんどは妊娠中、他の喘息治療薬も服用していた。本剤とこれらの事象の因果関係は明らかにされていない。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
国内において、低出生体重児、新生児、1歳未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
フェノバルビタール
本剤の作用が減弱するおそれがある。
フェノバルビタールがCYP3A4を誘導し、本剤の代謝が促進される。
初期症状として、紫斑、鼻出血、歯肉出血等の出血傾向があらわれることがある。
0.1~5%未満注1)
頻度不明
過敏症
皮疹
そう痒、蕁麻疹、肝臓の好酸球浸潤
精神神経系
頭痛、傾眠
異夢、易刺激性、情緒不安、痙攣、不眠、幻覚、めまい、感覚異常(しびれ等)、激越、振戦、夢遊症、失見当識、集中力低下、記憶障害、せん妄、強迫性症状
呼吸器
肺好酸球増多症
消化器系
下痢、腹痛、胃不快感、嘔気、胸やけ、嘔吐、便秘
消化不良、口内炎
肝臓
肝機能異常、AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇
筋骨格系
筋痙攣を含む筋痛、関節痛
その他
口渇、尿潜血、血尿、尿糖、浮腫、倦怠感、白血球数増加、尿蛋白、トリグリセリド上昇
出血傾向(鼻出血、紫斑等)、挫傷、動悸、頻尿、発熱、脱力、疲労、脱毛、遺尿
プラセボ対照臨床試験41試験を対象に統合解析を行った結果、本剤投与群9,929例中1例において自殺念慮が認められたのに対して、プラセボ群7,780例において自殺念慮は認められなかった2)。また、プラセボ対照臨床試験46試験を対象に統合解析を行った結果、行動変化に関連する事象(不眠、易刺激性等)が、本剤投与群11,673例中319例(2.73%)、プラセボ群8,827例中200例(2.27%)において認められたが、統計学的な有意差は認められなかった3)。
健康成人8例にモンテルカストフィルムコーティング錠10mgを空腹時に単回経口投与したとき、モンテルカストの血漿中濃度は投与3.9時間後に最高値(Cmax)526ng/mLに達し、消失半減期(t1/2)4.6時間で消失した(図1)。Cmax及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は2~50mg注2)の範囲で投与量に比例して増大した(表1)4)。
投与量(mg)
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
t1/2(hr)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
2
2.8±0.9
108±23.1
4.34±0.76
753±242
10
3.9±1.5
526±138
4.57±0.39
3840±906
50
3.6±1.2
2550±1250
4.63±0.41
19100±7910
健康成人8例にモンテルカストフィルムコーティング錠10mgを1日1回7日間反復経口投与したときのCmaxは1日目が580±136ng/mL、7日目が660±124ng/mLであったが、投与7日目のAUC0-24hrは投与1日目のAUC0-∞と一致しており、連続投与による蓄積性は認められなかった4)。
クロスオーバー法により健康成人男性(120例)に空腹時、モンテルカストOD錠10mg(1錠、水なし若しくは水あり)又はモンテルカストフィルムコーティング錠10mg(1錠、水あり)でそれぞれ単回経口投与したとき、モンテルカストの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった。得られた薬物動態パラメータ(Cmax及びAUC0-t)の幾何平均比について、90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、Log(0.80)~Log(1.25)の範囲内であり、モンテルカストOD錠10mgは水なし又は水とともに服用した場合のいずれにおいても、モンテルカストフィルムコーティング錠10mg(水あり)と生物学的に同等であることが示された5)。
飲水
N
AUC0-t(ng・hr/mL)
OD錠10mg(算術平均±標準偏差)
なし
120
588±129
3917±1001
2.4±1.1
4.6±2.4
あり
119
531±138
3638±1036
2.1±0.9
4.2±0.5
フィルムコーティング錠10mg(算術平均±標準偏差)
495±105
3517±878
3.6±1.4
4.2±0.6
OD錠10mg(水なし)/フィルムコーティング錠10mg幾何平均比(90%信頼区間)
1.17(1.10-1.24)
1.10(1.05-1.15)
-
OD錠10mg(水あり)/フィルムコーティング錠10mg幾何平均比(90%信頼区間)
1.06(1.01-1.11)
1.03(0.99-1.07)
健康成人8例にモンテルカストフィルムコーティング錠10mgを食後投与したとき、空腹時に比べてAUC0-∞は3420±598ng・hr/mLから4240±1120ng・hr/mLに24%増加した。最高血漿中濃度到達時間(Tmax)(空腹時:4.0±1.1時間、食後:4.4±1.8時間)及びt1/2(空腹時:4.31±0.58時間、食後:4.30±0.35時間)には差がなかった4)。
健康成人における生物学的利用率は、58~67%であった6)(外国人データ)。
モンテルカストのヒト血漿蛋白との結合率は99.6%であった。モンテルカストは生理的な濃度のアルブミン及びα1-酸性糖蛋白質の両方に99%以上結合した7)(in vitro)。
ヒトにおけるモンテルカストの主要代謝物は側鎖メチル基の水酸化体及びベンジル位メチレン基の水酸化体であった。これら代謝物の生成にはそれぞれチトクロームP450(CYP)の分子種であるCYP2C8/2C9及び3A4が関与しており、CYP2C8がモンテルカストの主要代謝酵素であった。更に側鎖メチル基の水酸化体はカルボン酸体まで酸化的代謝を受けることが確認されている。In vitro試験により治療時の血漿中濃度では、モンテルカストはCYP3A4、2C9、1A2、2A6、2C19又は2D6を阻害しないことが示された8),9),10),11)。また、in vitro試験によりモンテルカストはCYP2C8を阻害することが示されたが、in vivoにおいてはモンテルカストは主にCYP2C8で代謝される代表的な薬剤であるロシグリタゾンとの臨床薬物相互作用試験で、CYP2C8を阻害しないことが示された12)(外国人データ)。したがって、モンテルカストはCYP2C8で代謝される薬剤(パクリタキセル等)の代謝に影響を及ぼさないと考えられる。
軽度から中等度の肝機能障害のある肝硬変患者にモンテルカストフィルムコーティング錠10mgを単回経口投与したとき、4.0時間後にCmax 313ng/mLに達し、t1/2 8.6時間で消失した。t1/2は健康成人の4.7時間に比べて遅くなり、AUC0-∞は2248.7±812.1ng・hr/mLから3167.2±1300.5ng・hr/mLに41%増加した14)(外国人データ)。
健康高齢者(65歳~73歳)にモンテルカストフィルムコーティング錠10mgを単回経口投与したとき、2.8時間後にCmax 495ng/mLに達し、t1/2 6.6時間で消失した。高齢者のAUC0-∞(3423.2±1344.7ng・hr/mL)は健康非高齢者(20歳~48歳)のAUC0-∞(3624.0±1257.8ng・hr/mL)と比較して有意差はなかった15)(外国人データ)。
健康成人にフェノバルビタール100mg(14日間反復)を経口投与したとき、モンテルカストフィルムコーティング錠10mg(単回)を経口投与により併用するとモンテルカストのAUC0-∞は約40%減少した16)(外国人データ)。
健康成人にモンテルカストカプセル剤を高用量(200mg注2)を1日1回6週間反復あるいは1日3回8日間反復)で経口投与し、テオフィリンの経口投与(250mg単回)あるいは静脈内投与(5mg/kg単回)を併用したとき、血漿中テオフィリン濃度の低下が認められたが、モンテルカストフィルムコーティング錠10mg(10日間反復)の経口投与とテオフィリン5mg/kg(単回)の静脈内投与の併用では血漿中テオフィリン濃度の変化は認められなかった17)(外国人データ)。
健康成人にモンテルカストカプセル剤200mg注2)(6週間反復)とプレドニゾン20mg(単回)を経口投与により併用したとき、プレドニゾンのAUC0-∞がプラセボ群と比較して有意に低下したが、同一被験者のモンテルカストカプセル剤200mg注2)投与前後の比較では変化はなく、活性代謝物であるプレドニゾロンの薬物動態も変化はなかった。また、健康成人にモンテルカストカプセル剤200mg注2)(6週間反復)とプレドニゾロン20mg(単回)を静脈内投与により併用したとき、プレドニゾン及びプレドニゾロンの薬物動態はいずれも影響を受けなかった(外国人データ)。
健康成人にモンテルカストカプセル剤100mg注2)(8日間反復)と経口避妊薬(エチニルエストラジオール35μg/ノルエチンドロン1mg単回)を経口投与により併用したとき、エチニルエストラジオール及びノルエチンドロンの薬物動態はいずれも影響を受けなかった18)(外国人データ)。
健康成人にモンテルカストフィルムコーティング錠10mg(7日間反復)とジゴキシン0.5mg(単回)を経口投与により併用したとき、免疫反応性ジゴキシンの薬物動態は影響を受けなかった19)(外国人データ)。
健康成人にモンテルカストフィルムコーティング錠10mg(7日間反復)とワルファリン30mg(単回)を経口投与により併用したとき、ワルファリンの血漿中総薬物濃度は影響を受けなかった。また、プロトロンビン時間への影響もなかった20)(外国人データ)。
二重盲検比較試験を含む成人気管支喘息患者を対象とした臨床試験におけるモンテルカストフィルムコーティング錠10mg群の最終全般改善度の有効率は55.6%(145/261例)であった。
気管支喘息患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験におけるモンテルカストフィルムコーティング錠10mg群の最終全般改善度の有効率は58.5%(83/142例)であり、プランルカスト水和物450mg群[46.0%(63/137例)]に対する非劣性が検証された(非劣性マージンΔ=10%)21)。副作用発現率は11.0%(20/182例)であり、主な副作用は胸やけ3例(1.6%)、眼瞼浮腫、胃痛、胃不快感、食欲不振、嘔気、下痢が各2例(1.1%)であった。また臨床検査値異常変動は8.8%(16/182例)であり、主な臨床検査値異常変動はALT上昇2.3%(4/178例)、尿潜血1.9%(3/156例)であった。
季節性アレルギー性鼻炎患者における第Ⅱ相至適用量設定試験(約900例)の結果、総合鼻症状点数[日中鼻症状点数注3)と夜間鼻症状点数注4)の平均(治療期2週間の平均)]のベースラインからの変化量の最小二乗平均(LS mean)は、モンテルカストフィルムコーティング錠5mg群で-0.47点、10mg群で-0.47点であり、プラセボ群(-0.37点)と比較して有意に改善した22)。副作用発現率は、5mg群で4.7%(15/318例)、10mg群で4.2%(13/310例)であった。主な副作用は、5mg群で1%以上発現した副作用はなく、10mg群で口渇4例(1.3%)、頭痛、傾眠が各3例(1.0%)であった。また臨床検査値異常変動の副作用発現率は、5mg群で1.9%(6/318例)、10mg群で5.8%(18/310例)であった。主な臨床検査値異常の副作用は、5mg群で1%以上発現した臨床検査値異常はなく、10mg群で尿潜血陽性、尿中蛋白陽性が各4例(1.3%)、血中ビリルビン増加、血中トリグリセリド増加が各3例(1.0%)であった。
季節性アレルギー性鼻炎患者における第Ⅲ相二重盲検比較試験(約1,400例)の結果、総合鼻症状点数[日中鼻症状点数注3)と夜間鼻症状点数注4)の平均(治療期2週間の平均)]のベースラインからの変化量のLS meanは、モンテルカストフィルムコーティング錠5mg群で-0.19点、10mg群で-0.19点であり、プランルカスト水和物450mg群(-0.20点)に対する非劣性が検証された(非劣性マージンΔ=0.085点)23)。副作用発現率は、5mg群で4.8%(22/462例)、10mg群で4.2%(19/457例)であった。主な副作用は、5mg群で口渇6例(1.3%)、傾眠5例(1.1%)であり、10mg群で傾眠5例(1.1%)であった。また臨床検査値異常変動の副作用発現率は、5mg群で2.4%(11/459例)、10mg群で2.0%(9/456例)であった。5mg群、10mg群のいずれにおいても1%以上発現した臨床検査値異常の副作用はなかった。
受容体結合試験(モルモット肺細胞膜、U937細胞膜及びTHP-1細胞膜)で、LTD4の受容体結合を強力に阻害し、その作用は血液成分による影響を受けなかった。LTC4及びLTB4に対する受容体拮抗作用は弱かった24)。
モルモット摘出気管におけるLTD4の収縮を競合的に阻害した。また、モルモット及びリスザルにおいてLTD4誘発気管支収縮反応に対して強力かつ持続的な阻害作用を示した。一方、モンテルカストは、LTC4(LTC4の代謝を阻害した条件下)による摘出組織の収縮を阻害しなかった。また、モルモットを用いたヒスタミン、アラキドン酸、セロトニン及びアセチルコリン誘発の気管支収縮をほとんど阻害しなかった24)。
感作した近交系喘息ラット、モルモット及びリスザルの抗原誘発による気管支収縮反応を静脈内投与及び経口投与で抑制した24)。海外の臨床試験において、抗原投与による即時型及び遅発型気管支収縮をそれぞれ75%、57%抑制した25)。
感作リスザルの抗原誘発による即時型及び遅発型気管支収縮反応を経口投与で抑制した24)。
感作モルモットの卵アルブミンによるアナフィラキシーショックを部分的に抑制した26)。
感作モルモットを用い、卵アルブミン吸入で誘発される鼻腔通気抵抗の上昇(鼻閉)に対し、モンテルカスト1及び3mg/kg(腹腔内投与)は、それぞれ55%、85%の抑制効果を示した27)。
軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、1秒量及び最大呼気流量を改善した28)。
軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、喀痰中の好酸球比率をプラセボに比べて有意に低下させた。同様に成人、小児患者における末梢血好酸球比率も有意に低下させた28),29),30),31)。
モンテルカストナトリウム(Montelukast Sodium)
Monosodium{1-[({(1R)-1-{3-[(1E)-2-(7-chloroquinolin-2-yl)ethenyl]phenyl}-3-[2-(2-hydroxypropan-2-yl)phenyl]propyl}sulfanyl)methyl]cyclopropyl}acetate
C35H35ClNNaO3S
608.17
白色~微黄白色の粉末である。メタノール及びエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、水に溶けやすい。吸湿性である。光によって黄色に変化する。結晶多形が認められる。
アルミニウム袋開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。
1) Knorr B, et al. J Clin Pharmacol. 1999;39:786-93.
2) Philip G, et al. J Allergy Clin Immunol. 2009;124:691-6.
3) Philip G, et al. J Allergy Clin Immunol. 2009;124:699-706.
4) 大西明弘、他. 臨床医薬. 2001;17:443-70.
5) 社内資料:モンテルカストの生物学的同等性試験
6) 社内資料:モンテルカストの生物学的利用率
7) 社内資料:モンテルカストの蛋白との結合
8) Filppula AM, et al. Drug Metab Dispos. 2011;39:904-11.
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15) Zhao JJ, et al. Biopharm Drug Dispos. 1997;18:769-77.
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26) 社内資料:モンテルカストのアナフィラキシーショックに対する抑制作用
27) 社内資料:モンテルカストの抗原誘発による鼻腔通気抵抗上昇(鼻閉)に対する抑制効果(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.2)
28) 宮本昭正、他. 臨床医薬. 2001;17:577-95.
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