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劇薬
処方箋医薬品注)
肺動脈性肺高血圧症
通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日120μgを2回に分けて朝夕食後に経口投与することから開始し、症状(副作用)を十分観察しながら漸次増量する。なお、用量は患者の症状、忍容性などに応じ適宜増減するが、最大1日360μgまでとし、2回に分けて朝夕食後に経口投与する。
肺動脈性肺高血圧症は薬物療法に対する忍容性が患者によって異なることが知られており、本剤の投与にあたっては、投与を少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこと。
出血傾向を助長するおそれがある。
最高血漿中濃度(Cmax)及び曝露量(AUC)が増加するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
一般に生理機能が低下している。
抗凝血剤
抗血小板剤
チクロピジン等
血栓溶解剤
出血傾向を助長することがある。
相互に作用を増強することがある。
プロスタグランジンI2製剤
ベラプロスト注2)
エンドセリン受容体拮抗剤
血圧低下を助長するおそれがあるので、血圧を十分に観察すること。
相互に作用を増強することが考えられる。
脳出血、消化管出血、肺出血、眼底出血があらわれることがある。
血圧低下、頻脈、顔面蒼白、嘔気等が認められた場合には投与を中止すること。
黄疸や著しいAST、ALTの上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
10%以上
10%未満
頻度不明
出血傾向
出血傾向、皮下出血、鼻出血
血液
白血球減少、白血球増多、血小板減少
貧血、好酸球増多
過敏症
そう痒
発疹、蕁麻疹、湿疹、紅斑
精神・神経系
頭痛(73.9%)、ふらつき、不眠
眠気、めまい、立ちくらみ、浮遊感、もうろう状態、しびれ感
振戦
消化器系
嘔気(28.3%)、下痢(21.7%)、腹痛、胃不快感、嘔吐
上腹部痛、食欲不振
胃潰瘍、胃障害、口渇、胸やけ
肝臓
ALT上昇
黄疸、AST上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇、Al-P上昇
腎臓
血尿
頻尿、BUN上昇
循環器系
顔面潮紅(67.4%)、ほてり(56.5%)、動悸
潮紅、血圧低下、頻脈
のぼせ
その他
倦怠感(28.3%)、浮腫、疼痛
胸部不快感、関節痛、筋痛、顎痛、発熱、胸痛、耳鳴、熱感、冷汗、息苦しさ、頸部痛、発汗、脱力感
脱毛、咳嗽、背部痛、トリグリセライド上昇、気分不良
健康成人に本剤120μg又は180μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった1)。
投与量
薬物動態パラメーター(平均値±SD)
Cmax(pg/mL)
Tmax(h)
AUC0-48(pg・h/mL)
MRT0-48(h)
本剤120μg(n=12)
178.5±74.3
3.2±1.0
1076±322
8.38±2.69
本剤180μg(n=12)
264.5±112.9
3.9±1.1
1989±847
10.70±1.60
健康成人に「プロサイリン錠20」又は「ドルナー錠20μg」40μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった2)。
AUC0-6(pg・h/mL)
プロサイリン錠、ドルナー錠40μg(n=12)
228.4±94.6
1.3±0.6
462±144
健康成人に本剤240μgを朝夕食後2回に分けて7日間経口投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった。血漿中濃度は投与3日目に定常状態に達し、蓄積性は認められなかった2)。
1日用量
AUC0-12(pg・h/mL)
240μg(n=12)
1日目
170.4±63.1
4.2±2.6
810±295
7日目
214.7±89.1
3.0±1.0
1225±343
健康成人男子に単回投与クロスオーバー法で180μg投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった。血漿中ベラプロストナトリウム濃度から計算した食後投与及び空腹時投与のCmax及びAUC0-48について検討した結果、いずれも同等性を示さず、食事の影響があると判断された1)。
食事
180μg(n=12)
あり
なし
177.4±69.2
2.3±1.4
2242±1078
血漿蛋白結合率は約90%であった3)(in vitro)。
ベラプロストナトリウムは、ヒトにおいて主にβ-酸化、15位水酸基の酸化及び13位二重結合の水素化、グルクロン酸抱合により代謝された4)。また、ベラプロストナトリウムは、CYP2C8によって添加量の約3%とわずかに代謝されたが、他のCYP分子種(1A2、2A6、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4、4A11)では代謝されなかった5)(in vitro)。CYP分子種(1A2、2A6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4)のいずれに対しても阻害を認めず、また、CYP分子種(1A2、2C9、2C19、3A4)のいずれに対しても、その活性を誘導しなかった5)(in vitro)。
健康成人に本剤120μg又は180μgを食後経口単回投与したとき、48時間後までの尿中未変化体排泄率はそれぞれ0.87%、0.93%であった1)。
腎機能正常者、軽度腎機能障害患者、中等度腎機能障害患者及び重度腎機能障害患者を対象に本剤120μgを空腹時経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであり、腎機能正常者と比較し、腎機能障害患者でCmax及びAUC0-48が増加する傾向が認められた。
t1/2(h)
腎機能正常者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)
84.917±22.933
3.3±3.4
14.73±9.45
977.802±226.339
軽度腎機能障害患者(60≦eGFR<90mL/min/1.73m2)
119.800±36.428
3.8±3.3
8.02±4.50
1252.389±427.457
中等度腎機能障害患者(30≦eGFR<60mL/min/1.73m2)
190.583±137.329
4.2±1.6
13.76±5.45
1862.457±964.327
重度腎機能障害患者(15≦eGFR<30mL/min/1.73m2)
240.167±110.512
3.7±0.5
18.82±17.15
1766.488±806.401
eGFR:推算糸球体濾過量
n=6、平均値±SD
原発性肺高血圧症及び膠原病に伴う肺高血圧症患者44例に対し、本剤の1日用量を1週目は120μg、2週目は240μg、3週目以降は360μgとして、1日2回、朝夕食後に計12週間投与したとき、0週に対する12週又は投与中止時の6分間歩行距離、平均肺動脈圧及び肺血管抵抗係数の差は以下のとおりであった6)。
解析対象
基本統計量
6分間歩行距離(m)
測定時期
0週に対する12週又は中止時の差
0週
12週又は中止時
全症例(n=44)
平均値±SD95%信頼区間
402.1±124.6[364.2, 440.0]
435.6±121.0[398.8, 472.4]
33.4±66.0[13.4, 53.5]
PPH(n=25)
428.2±119.3[378.9, 477.4]
442.6±123.4[391.6, 493.5]
14.4±49.8[-6.2, 35.0]
CPH(n=19)
367.9±126.3[307.0, 428.8]
426.4±120.5[368.3, 484.5]
58.5±77.0[21.4, 95.6]
平均肺動脈圧(mmHg)
0週に対する差
投与開始前
投与終了後
投与終了後又は中止時
全症例
例数平均値±SD95%信頼区間
4446.8±14.2[42.5, 51.1]
3643.0±14.1[38.2, 47.8]
3944.0±14.3[39.3, 48.6]
36-3.3±5.4[-5.1, -1.5]
39-2.8±5.5[-4.6, -1.0]
PPH
2552.6±14.4[46.6, 58.5]
2248.7±13.3[42.8, 54.6]
2449.5±13.5[43.8, 55.3]
22-2.5±6.1[-5.2, 0.2]
24-2.2±6.0[-4.7, 0.4]
CPH
1939.2±9.7[34.5, 43.9]
1433.9±10.4[27.9, 39.9]
1535.1±10.9[29.0, 41.1]
14-4.6±4.0[-6.9, -2.2]
15-3.9±4.7[-6.5, -1.2]
肺血管抵抗係数(mmHg/L・min・m2)
4115.0±7.6[12.6, 17.4]
3412.4±6.5[10.1, 14.6]
3713.3±7.6[10.8, 15.8]
33-1.4±3.6[-2.6, -0.1]
36-1.2±3.9[-2.5, 0.1]
2317.7±7.6[14.4, 20.9]
2015.0±6.6[11.9, 18.1]
2216.0±7.9[12.5, 19.5]
20-1.0±3.0[-2.4, 0.4]
22-1.2±3.1[-2.5, 0.2]
1811.6±6.3[8.5, 14.7]
148.5±4.1[6.2, 10.9]
159.3±4.9[6.6, 12.0]
13-2.0±4.4[-4.6, 0.7]
14-1.2±5.0[-4.1, 1.7]
副作用発現頻度は、97.8%(45/46例)であった。主な副作用は、頭痛73.9%(34/46例)、顔面潮紅67.4%(31/46例)、ほてり56.5%(26/46例)、嘔気、倦怠感各28.3%(13/46例)、下痢21.7%(10/46例)、動悸、腹痛各17.4%(8/46例)等であった。
プロスタサイクリンと同様に、ベラプロストナトリウムは血小板及び血管平滑筋のプロスタサイクリン受容体を介して、アデニレートシクラーゼを活性化し、細胞内cAMP濃度上昇、Ca2+流入抑制及びトロンボキサンA2生成抑制等により、血管拡張作用、抗血小板作用及び血管平滑筋細胞増殖抑制作用を示す7),8),9),10),11),12),13)。
K+、PGF2αにより収縮させたイヌの大腿動脈、腸管膜動脈等、各種摘出動脈及びセロトニン、フェニレフリンにより収縮させたイヌの摘出肺動脈に対し、弛緩作用を示し 8),16)(in vitro)、イヌの各種臓器血管の血流を増加させる9)。
血小板由来増殖因子刺激によるヒト肺動脈血管平滑筋細胞の増殖を抑制する8)(in vitro)。
モノクロタリン誘発ラット肺高血圧モデルにおいて、経口投与で右室収縮期圧の上昇及び肺血管中膜の筋性肥大を抑制する8),17)。トロンボキサンアゴニスト誘発イヌ肺高血圧モデルにおいて、静脈内投与で肺動脈圧及び肺血管抵抗を低下させる8)。塞栓誘発ラット肺高血圧モデルにおいて、右室収縮期圧上昇を抑制する8)。
ラット動脈血栓症及びラット静脈血栓症等に対し、血栓形成の抑制効果を認める10)。
ベラプロストナトリウム(JAN)(beraprost(INN))
Monosodium(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2,3,3a,8b-tetrahydro-2-hydroxy-1-[(1E,3SR,4RS)-3-hydroxy-4-methyloct-1-en-6-yn-1-yl]-1H-cyclopenta[b]benzofuran-5-butanoateMonosodium(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2,3,3a,8b-tetrahydro-2-hydroxy-1-[(1E,3SR,4SR)-3-hydroxy-4-methyloct-1-en-6-yn-1-yl]-1H-cyclopenta[b]benzofuran-5-butanoate
C24H29NaO5
420.47
白色の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、水又はエタノール(99.5)に溶けやすい。吸湿性である。水溶液(1→200)は旋光性を示さない。
(1-オクタノール/水系)pH3 460pH7 15pH9 0.41
アルミピロー包装開封後は湿気を避けて遮光し、気密容器に保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 社内資料:健康成人男子における第Ⅰ相臨床試験-単回投与試験:食事の影響-(2007年10月19日承認、CTD2.7.6)
2) 社内資料:健康成人男子における第Ⅰ相臨床試験-1日2回反復投与試験-(2007年10月19日承認、CTD2.7.6)
3) 社内資料:Beraprost Sodium(BPS)の血清蛋白結合率および血球移行率
4) 加藤隆一 他:臨床薬理.1989;20(3):515-527
5) Fukazawa, T.et al.:薬学雑誌.2008;128(10):1459-1465
6) Kunieda, T.et al.:Int.Heart J.2009;50(4):513-529
7) Nishio, S.et al.:Japan.J.Pharmacol.1988;47(1):1-10
8) 車谷元 他:血栓と循環.1999;7(2):185-196
9) 西尾伸太郎 他:日本薬理学雑誌.1989;94(6):351-361
10) Umetsu, T.et al.:Japan.J.Pharmacol.1987;43(1):81-90
11) Umetsu, T.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res.1989;39(1):68-73
12) Kajikawa, N.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res.1989;39(4):495-499
13) 大森英爾 他:血栓と循環.1994;2(1):73-82
14) 社内資料:健康成人男子における臨床薬理試験-血小板凝集抑制作用:プラセボとの比較-(2007年10月19日承認、CTD2.7.6)
15) 安納重康 他:血栓と循環.2001;9(3):298-302
16) Akiba, T.et al.:Br.J.Pharmacol.1986;89(4):703-711
17) 結城秀樹 他:血栓と循環.2001;9(3):293-297
科研製薬株式会社 医薬品情報サービス室
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