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日本薬局方
ベラプロストナトリウム錠
劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日120μgを3回に分けて食後に経口投与する。
通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日60μgを3回に分けて食後に経口投与することから開始し、症状(副作用)を十分観察しながら漸次増量する。増量する場合には、投与回数を1日3~4回とし、最高用量を1日180μgとする。
原発性肺高血圧症は薬物療法に対する忍容性が患者によって異なることが知られており、本剤の投与にあたっては、投与を少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこと。
出血傾向を助長するおそれがある。
曝露量(AUC)が増加するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
一般に生理機能が低下している。
抗凝血剤
抗血小板剤
血栓溶解剤
出血傾向を助長することがある。
相互に作用を増強することがある。
プロスタグランジンI2製剤
エンドセリン受容体拮抗剤
血圧低下を助長するおそれがあるので、血圧を十分に観察すること。
相互に作用を増強することが考えられる。
脳出血、消化管出血、肺出血、眼底出血があらわれることがある。
血圧低下、頻脈、顔面蒼白、嘔気等が認められた場合には投与を中止すること。
黄疸や著しいAST、ALTの上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
出血傾向
出血傾向、皮下出血、鼻出血
血液
貧血、白血球増多
好酸球増多、血小板減少、白血球減少
過敏症
発疹、湿疹、そう痒
蕁麻疹、紅斑
精神・神経系
頭痛
眠気、ふらつき
めまい、立ちくらみ、もうろう状態、しびれ感、振戦、不眠、浮遊感
消化器系
下痢、嘔気、食欲不振、腹痛
嘔吐、口渇、胃不快感
上腹部痛、胃潰瘍、胃障害、胸やけ
肝臓
ALT上昇、γ-GTP上昇、AST上昇、LDH上昇
ビリルビン上昇、Al-P上昇
黄疸
腎臓
BUN上昇
血尿
頻尿
循環器系
顔面潮紅
ほてり、のぼせ
動悸、潮紅
血圧低下、頻脈
その他
トリグリセライド上昇
倦怠感、冷汗、疼痛、関節痛、息苦しさ、耳鳴、発汗
浮腫、胸部不快感、胸痛、発熱、熱感、顎痛、気分不良、背部痛、頸部痛、脱毛、咳嗽、筋痛、脱力感
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
慢性動脈閉塞症において本剤を1日180μg投与したとき、副作用発現頻度が高くなるとの報告がある。
健康成人にベラプロストナトリウム100μg注2)を経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった1)。
Cmax(pg/mL)
Tmax(h)
t1/2(h)
440
1.42
1.11
n=8
健康成人に本剤40μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった2)。
AUC0-6(pg・h/mL)
228.4±94.6
1.3±0.6
462±144
n=12、平均値±SD
なお、健康成人に「ベラサスLA錠60μg」又は「ケアロードLA錠60μg」(120μg又は180μg)を食後経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであった3)。
「ベラサスLA錠60μg」、「ケアロードLA錠60μg」投与量
AUC0-48(pg・h/mL)
MRT0-48(h)
120μg(n=12)
178.5±74.3
3.2±1.0
1076±322
8.38±2.69
180μg(n=12)
264.5±112.9
3.9±1.1
1989±847
10.70±1.60
平均値±SD
健康成人にベラプロストナトリウム50μg注2)を1日3回10日間経口反復投与したときの最高血漿中未変化体濃度は0.3~0.5ng/mLであり、反復投与による蓄積性は認められなかった4)。
血漿蛋白結合率は約90%であった5)(in vitro)。
ベラプロストナトリウムは、ヒトにおいて主にβ-酸化、15位水酸基の酸化及び13位二重結合の水素化、グルクロン酸抱合により代謝された1)。また、ベラプロストナトリウムは、CYP2C8によって添加量の約3%とわずかに代謝されたが、他のCYP分子種(1A2、2A6、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4、4A11)では代謝されなかった6)(in vitro)。CYP分子種(1A2、2A6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4)のいずれに対しても阻害を認めず、また、CYP分子種(1A2、2C9、2C19、3A4)のいずれに対しても、その活性を誘導しなかった6)(in vitro)。
健康成人12人にベラプロストナトリウム50μg注2)を経口単回投与したときの24時間後までの尿中未変化体排泄量は2.8μgであり、β-酸化体は5.4μgであった。未変化体及びβ-酸化体は、グルクロン酸抱合体としても排泄される。なお、排泄量における遊離体の割合はそれぞれ14%、70%であった1)。
腎機能正常者、中等度腎機能障害患者及び高度腎機能障害患者を対象に本剤40μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメーターは以下のとおりであり、腎機能正常者と比較し、高度腎機能障害患者でAUC0-24が増加する傾向が認められた。
AUC0-24(pg・h/mL)
腎機能正常者(Scr<1.3mg/dL)
141.28±76.98
2.77±1.50
1.46±0.30※
404.15±185.75
中等度腎機能障害患者(1.3≦Scr<2.5mg/dL)
132.33±85.70
2.02±0.85
1.27±0.62
308.18±117.71
高度腎機能障害患者(Scr≧2.5mg/dL)
148.55±60.13
3.15±2.16
1.55±0.39※
682.83±189.27
Scr:血清クレアチニンn=8(※:n=7)、平均値±SD
慢性動脈閉塞症に対する国内第Ⅲ相二重盲検比較試験により本剤の有用性が認められた7)。国内第Ⅲ相二重盲検比較試験を含む臨床試験205例において、潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状に対する改善度は、中等度改善以上63.9%(131例)、軽度改善以上82.9%(170例)であった。
肺高血圧症に対する多施設オープン試験において、原発性肺高血圧症21例における全肺血管抵抗等の心血行動態指標及び自他覚所見等を総合した最終全般改善度は、中等度改善以上38.1%(8例)、軽度改善以上61.9%(13例)であった8)。副作用発現頻度は、68.2%(15/22例)であった。主な副作用は、頭痛、ビリルビン上昇各18.2%(4/22例)、LDH上昇13.6%(3/22例)、下痢、嘔気、食欲不振、顔面潮紅、γ-GTP上昇、BUN上昇、トリグリセライド上昇各9.1%(2/22例)等であった。
プロスタサイクリンと同様に、ベラプロストナトリウムは血小板及び血管平滑筋のプロスタサイクリン受容体を介して、アデニレートシクラーゼを活性化し、細胞内cAMP濃度上昇、Ca2+流入抑制及びトロンボキサンA2生成抑制等により抗血小板作用、血管拡張作用等を示す9),10),11),12),13)。
血小板由来増殖因子刺激によるヒト肺動脈血管平滑筋細胞の増殖を抑制する20)(in vitro)。
ラウリン酸誘発ラット後肢循環障害、エルゴタミン-エピネフリン誘発ラット尾循環障害及び電気刺激誘発ウサギ動脈血栓において、虚血性病変の進展あるいは血栓形成を抑制する21)。
ラット動脈血栓症及びラット静脈血栓症等に対し、血栓形成の抑制効果を認める11)。
ラット酢酸皮膚潰瘍に対し、治癒促進効果を示す22)。
モノクロタリン誘発ラット肺高血圧モデルにおいて、経口投与で右室収縮期圧の上昇及び肺血管中膜の筋性肥大を抑制する20),23)。トロンボキサンアゴニスト誘発イヌ肺高血圧モデルにおいて、静脈内投与で肺動脈圧及び肺血管抵抗を低下させる20)。塞栓誘発ラット肺高血圧モデルにおいて右室収縮期圧上昇を抑制する20)。
ベラプロストナトリウム(JAN)(beraprost(INN))
Monosodium(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2,3,3a,8b-tetrahydro-2-hydroxy-1-[(1E,3SR,4RS)-3-hydroxy-4-methyloct-1-en-6-yn-1-yl]-1H-cyclopenta[b]benzofuran-5-butanoateMonosodium(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2,3,3a,8b-tetrahydro-2-hydroxy-1-[(1E,3SR,4SR)-3-hydroxy-4-methyloct-1-en-6-yn-1-yl]-1H-cyclopenta[b]benzofuran-5-butanoate
C24H29NaO5
420.47
白色の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、水又はエタノール(99.5)に溶けやすい。吸湿性である。水溶液(1→200)は旋光性を示さない。
(1-オクタノール/水系)pH3 460pH7 15pH9 0.41
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]500錠[瓶、バラ]1,000錠[10錠(PTP)×100]1,050錠[21錠(PTP)×50]
1) 加藤隆一 他:臨床薬理. 1989;20(3):515-527
2) 社内資料:健康成人男子における第Ⅰ相臨床試験-1日2回反復投与試験-
3) 社内資料:健康成人男子における第Ⅰ相臨床試験-単回投与試験:食事の影響-
4) 加藤隆一 他:臨床薬理. 1989;20(3):529-539
5) 社内資料:Beraprost Sodium(BPS)の血清蛋白結合率および血球移行率
6) Fukazawa,T.et al.:薬学雑誌. 2008;128(10):1459-1465
7) 阪口周吉 他:臨牀と研究. 1990;67(2):575-584
8) 国枝武義 他:臨牀と研究. 1997;74(10):2611-2629
9) Nishio,S.et al.:Japan.J.Pharmacol. 1988;47(1):1-10
10) 西尾伸太郎 他:日本薬理学雑誌. 1989;94(6):351-361
11) Umetsu,T.et al.:Japan.J.Pharmacol. 1987;43(1):81-90
12) Umetsu,T.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res. 1989;39(1):68-73
13) Kajikawa,N.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res. 1989;39(4):495-499
14) 勝村達喜 他:新薬と臨牀. 1989;38(9):1401-1406
15) 池田康夫 他:現代医療. 1992;24(特):141-146
16) 安納重康 他:血栓と循環. 2001;9(3):298-302
17) 木村忠広 他:脈管学. 1992;32(4):327-331
18) 勝村達喜 他:血管. 1989;12(4):195-199
19) Akiba,T.et al.:Br.J.Pharmacol. 1986;89(4):703-711
20) 車谷元 他:血栓と循環. 1999;7(2):185-196
21) Murai,T.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res. 1989;39(8):856-859
22) Nishio,S.et al.:Res.Comm.Chem.Pathol.Pharmacol. 1989;64(3):381-393
23) 結城秀樹 他:血栓と循環. 2001;9(3):293-297
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