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エトキシスクレロール1%注射液

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.2製造販売後調査等
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2止血作用
18.3組織線維化作用
18.4血管内皮細胞障害作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

エトキシスクレロール1%注射液

添付文書番号

3329405A1022_2_02

企業コード

200343

作成又は改訂年月

2023年2月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

873329

薬効分類名

食道静脈瘤硬化剤

承認等

エトキシスクレロール1%注射液

販売名コード

YJコード

3329405A1022

販売名英語表記

Aethoxysklerol 1% Injection

販売名ひらがな

えときしすくれろーる1%ちゅうしゃえき

承認番号等

承認番号

20300AMY00180000

販売開始年月

1991年10月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

ポリドカノール

1. 警告

本剤による内視鏡的食道静脈瘤硬化療法では、ときにショック等の重篤な副作用が起こることがある。,,,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 ショックあるいは前ショック状態にある患者。[ショックによる障害を起こし易い。],,,,
  2. 2.2 多臓器障害あるいは播種性血管内凝固症候群(DIC)状態の患者。[全身状態が悪いので障害が起こり易い。]
  3. 2.3 胃潰瘍出血、十二指腸潰瘍出血又は胃びらん出血のある患者。[食道静脈瘤塞栓の結果、血行路の変化による胃・十二指腸部出血悪化のおそれがある。]
  4. 2.4 内視鏡検査が危険と判断される患者。[内視鏡的食道静脈瘤硬化療法で障害が起こり易い。]
  5. 2.5 重篤な心疾患のある患者。[用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。],,,,
  6. 2.6 動脈硬化又は糖尿病性細小血管症のある患者。[末梢血管病変が悪化するおそれがある。]
  7. 2.7 血液凝固阻止剤を使用している患者。[血栓形成が抑制・阻害されるおそれがある。]
  8. 2.8 投与部位並びにその周辺に炎症又は潰瘍のある患者。[催炎作用により既存炎症の悪化、また潰瘍部よりの出血のおそれがある。]
  9. 2.9 妊娠初期(妊娠3ケ月以内)の女性。,
  10. 2.10 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。,

3. 組成・性状

3.1 組成

エトキシスクレロール1%注射液

有効成分1バイアル(30mL)中ポリドカノール   0.3g
添加剤リン酸水素ナトリウム二水塩72mg、リン酸二水素カリウム25.5mg、エタノール(96%)1.26g

3.2 製剤の性状

エトキシスクレロール1%注射液

pH6.4~8.4
性状無色澄明で低粘性

4. 効能又は効果

食道静脈瘤出血の止血及び食道静脈瘤の硬化退縮

5. 効能又は効果に関連する注意

患者の選択にあたっては、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法の適応患者であることを十分に確認すること。

6. 用法及び用量

本剤は、経内視鏡的食道静脈瘤硬化療法に用いるものである。
通常、成人には1穿刺あたり本剤1~3mLを食道静脈瘤周囲に注入する。なお、注入量は静脈瘤の状態及び患者の病態により適宜増減するが、1内視鏡治療あたりの総注入量は30mL以内とする。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤は、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法に十分な知識及び経験のある医師が使用すること。
  2. 8.2 ときに、ショック等の重篤な症状を起こすことがあるので、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法施行に際しては、十分に問診し、患者の全身状態を観察し、異常が生じた場合直ちに中止すること。使用に際しては、救急処置がとれるようにすること。,,,,,
  3. 8.3 本剤の投与により食道血腫を形成することがあるので、経過観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 全身消耗性疾患を有する患者

    全身状態が悪くなるおそれがある。

  2. 9.1.2 心疾患のある患者

    用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。,,,,

  3. 9.1.3 発熱のある患者

    催炎性物質であり、発熱症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者

    肝機能障害が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1 妊娠初期(妊娠3ケ月以内)の女性

    投与しないこと。動物実験(ラット)で妊娠初期に胎児への移行が報告されている。

  2. 9.5.2 妊婦(妊娠3ケ月以内の女性を除く)又は妊娠している可能性のある女性

    治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。動物実験(ウサギ)において器官形成期の投与により胚胎児死亡率の増加及び胎児体重の低下が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量に注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    モノエタノールアミンオレイン酸塩

    同時投与を避けることが望ましい。1内視鏡治療で同時に使用すると、食道潰瘍、食道狭窄、胸水貯留の発現率が高くなることが報告されている。

    同様の作用機序を有する。

    麻酔剤

    麻酔剤の心臓に対する作用(抗不整脈作用)を増強することがある。

    本剤は当初、麻酔剤として開発されたものであり、本剤の心拍数減少、心伝導系抑制作用により、相互に心機能抑制作用を増強させることが考えられる。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

      喘鳴、呼吸困難、血圧低下、意識消失、全身潮紅、蕁麻疹、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)等があらわれることがある。,,,,,

    2. 11.1.2 播種性血管内凝固症候群(DIC)(1%未満)

    11.2 その他の副作用

    5%以上

    1~5%未満

    1%未満

    頻度不明

    血液

    血小板減少、貧血

    白血球増加、プロトロンビン時間延長、白血球減少

    脳血管障害、菌血症、門脈血栓、好酸球増多

    食道

    食道潰瘍

    食道狭窄

    食道びらん・潰瘍出血、血腫

    食道静脈瘤出血、食道穿孔

    消化器

    嚥下障害

    出血性胃炎、嘔気、嘔吐

    胃・十二指腸潰瘍出血

    胸部

    胸痛

    胸水貯留、縦隔炎

    肺炎、肺塞栓

    腎臓

    BUN上昇、クレアチニン上昇

    肝臓

    AST・ALT・ビリルビン・LDHの上昇、アルブミン低下

    Al-P・アンモニアの上昇、血清総蛋白減少

    その他

    発熱

    心窩部痛、尿糖陽性

    希少疾病用医薬品で臨床試験データが限定的であり、アンケート結果を含む発現頻度である。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 希釈して使用しないこと。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 注入量は必要最小限にとどめること。
    2. 14.2.2 食道静脈瘤内へ使用しないこと。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    内視鏡的食道静脈瘤硬化療法後に食道癌が発現したとの報告がある。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    ラット及びイヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、血中からのポリドカノールの消失は比較的速やかであった。また、ラット及びイヌのいずれにおいても、血漿中濃度が血中濃度を上回った1),2)

    16.3 分布

    ラットに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、投与1時間後に、腎、肝に高濃度で認められた。14C標識ポリドカノールを24時間毎4回の反復静脈投与で、14C標識ポリドカノールの蓄積は認められなかった。また、血液-脳関門通過性は低く、胎盤の通過性は分化の進む妊娠後期(19日目)には低下した。哺育中ラットに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)静脈内投与したとき、乳汁中放射能濃度は投与後30分に最高濃度に達したのち、6時間から48時間まで半減期17時間で消失した3),4)

    16.4 代謝

    イヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、尿中に5種類のポリドカノール代謝体を認め、その代謝体は尿より検出された全放射能の40%を占めた5)

    16.5 排泄

    ラット及びイヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、ラットでは、48時間後に投与量の約100%(尿中約43%、糞中約57%)が排泄され、イヌでは、72時間後に投与量の約97%(尿中約61%、糞中約37%)が排泄された1),2)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験(止血効果、硬化効果)

      国内5施設で20例(急性出血例(緊急例)5例を含む)を対象に臨床試験を実施した。急性出血例(緊急例)5例に対する本剤の止血有効率は5/5(100%)であった。また、効果の判定が行われた食道静脈瘤患者19例に対する本剤の硬化作用に基づく食道静脈瘤出血予防効果の有効率は18/19(94.7%)であった。
      全症例20例の総硬化療法施行回数63回中、副作用が報告されたのは消化管障害及び肝障害の2例(3.2%)であった。臨床検査値の異常変動はプロトロンビン時間延長1例(1.6%)、AST値、ALT値及びLDH値の上昇1例(肝障害の副作用症例と同一症例)(1.6%)が報告された6)

    17.2 製造販売後調査等

    製造販売後調査1051例中251例(23.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。その主なものは食道潰瘍、食道狭窄等の消化管障害135例、AST・ALT・ビリルビン・LDHの上昇、アルブミン低下等の肝臓系69例、血小板減少、赤血球減少、ヘモグロビン減少、白血球増加、プロトロンビン時間延長等の血液系38例、発熱43例、胸痛22例等である。(再審査終了時)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    本剤の粘膜注入により形成されたクアーデルによる出血孔の圧迫止血と破綻局所の血栓化により止血する。さらに、出血部へ血液を供給する静脈瘤をクアーデルにより圧迫狭小化することで、血流を減少させることも止血に対して有効に作用すると考えられる。
    本剤注入により、注入部位の周囲に浮腫、急性炎症性変化、潰瘍形成、肉芽組織を経て潰瘍治癒、線維化が起こる。この炎症性変化や線維化による食道静脈瘤の圧迫、狭小化及び閉鎖や食道静脈瘤を線維化層で覆うことにより、食道静脈瘤の硬化・退縮をもたらす。
    また、細い静脈瘤に対しては、外部から静脈内膜炎を誘発し、血栓の形成を起こし、血栓の器質化をもたらすことにより静脈瘤を消失させる7),8),9)

    18.2 止血作用

    静脈瘤周囲注入により、出血孔及び出血血液供給静脈を圧迫閉鎖すると共に、血管破綻部における血栓形成を促進して急性出血の止血に有効に作用する7)

    18.3 組織線維化作用

    注入部位周囲に、炎症反応・潰瘍形成に続く、組織線維化作用をきたし、静脈瘤を硬化、退縮させる(イヌ)8)

    18.4 血管内皮細胞障害作用

    血管内皮細胞障害による外因性血栓を形成し、それに続く器質化により静脈瘤を硬化、退縮させる(イヌ)9)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    ポリドカノール(polidocanol)

    化学名

    polyethyleneglycol monododecyl ether

    分子式

    C12H25O(CH2CH2O)nH n:約9

    分子量

    約600(平均分子量)

    性状

    ポリドカノールは無色澄明な液又は白色のワセリン様若しくはろう状の固体で、特異なにおいがあり、味はやや苦く、わずかに刺激性である。エタノール、エーテル、クロロホルム又はピリジンに極めて溶けやすい。水に溶けやすいか、又は微細な油滴状になる。本品の水溶液(1→10)を加熱するとき約80℃で曇り、冷却するとき消える。

    化学構造式

    融点

    23~25℃

    22. 包装

    30mL 1バイアル(ガラス)

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    カイゲンファーマ株式会社 信頼性保証部 お客様相談室

    〒541-0045 大阪市中央区道修町二丁目5番14号

    TEL 06(6202)8975
    FAX 06(6202)0872

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    カイゲンファーマ株式会社

    大阪市中央区道修町二丁目5番14号

    26.2 製造元

    クロイスラーCo.GmbH(ドイツ)

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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