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劇薬
処方箋医薬品注)
一次性下肢静脈瘤(伏在静脈瘤の本幹を除く)の硬化退縮
一次性下肢静脈瘤の硬化退縮
直径1mm未満の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.1〜0.5mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。
直径1mm以上3mm未満の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.5〜1mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。
小型の一次性下肢静脈瘤を対象に、静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。1穿刺あたりの最大投与量は、対象となる静脈瘤の大きさに応じてフォーム硬化剤として2〜6mLとする。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下、かつ、フォーム硬化剤として10mL以下とする。1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。
直径3mm以上8mm以下の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.5〜1mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。
中型又は大型の一次性下肢静脈瘤を対象に、静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。1穿刺あたりの最大投与量は、対象となる静脈瘤の大きさに応じてフォーム硬化剤として4〜6mLとする。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下、かつ、フォーム硬化剤として10mL以下とする。1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。
使用薬剤
患者体重
1日上限投与量
ポリドカスクレロール0.5%注2mL
50kg
20.0mL
60kg
24.0mL
70kg
28.0mL
ポリドカスクレロール1%注2mL
10.0mL
12.0mL
14.0mL
ポリドカスクレロール3%注2mL
3.3mL
4.0mL
4.6mL
静脈瘤径
直径1mm未満
直径1mm以上3mm未満
直径3mm以上8mm以下
静脈針又は翼状針を静脈瘤内に穿刺して血液の逆流等で瘤内に穿刺されていることを確認し、ポリドカスクレロール1%注2mL、ポリドカスクレロール3%注2mLを投与する場合はまず生理食塩液等を注入し瘤内の血液をなるべく除外したのち、本剤をゆっくり注入する。注入後は、直ちに枕子等で圧迫後、弾力包帯又は弾力ストッキングを装着し、投与部位の血管内皮を接着させ、積極的に歩行させるか、屈伸運動を行い、深部静脈血栓形成の防止に努める。
弾力包帯又は弾力ストッキングを用い、圧迫は最低1週間行う。圧迫1週間後に下肢検査を行う。血栓除去術はこの時点で行う。その後弾力ストッキングで約1カ月間圧迫する。
静脈瘤のサイズ
静脈瘤の例
1穿刺あたりの投与量
小型
側枝静脈瘤
通常4mL以下(最大6mL以下)
不全穿通枝
通常2mL以下(最大4mL以下)
中型又は大型
小伏在静脈瘤
通常4mL以下
大伏在静脈瘤
フォーム硬化剤を注入後、投与部位を被覆し、2〜5分間の下肢の運動を避け、バルサルバ法や筋活動を行わせないように努めること。投与部位の圧迫は、即時圧迫を避け、大伏在静脈及び小伏在静脈の治療においては約10分後、側枝静脈瘤、再発静脈瘤又は穿通枝静脈の治療においては約5分後に枕子等で圧迫後、弾力包帯又は弾力ストッキングを装着し圧迫すること。
用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。,,,,,
原疾患があるため、障害を起こし易い。
脳血管障害(一過性脳虚血発作等)、視覚障害、片頭痛があらわれることがある。,,,
腎機能障害が悪化するおそれがある。
肝機能障害が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、器官形成期の投与により胚胎児死亡率の増加及び胎児体重の低下が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
用量に注意すること。一般に生理機能が低下している。
麻酔剤
麻酔剤の心臓に対する作用(抗不整脈作用)を増強することがある。
本剤は当初、麻酔剤として開発されたものであり、本剤の心拍数減少、心伝導系抑制作用により、相互に心機能抑制作用を増強させることが考えられる。
外国においてアナフィラキシーショックにより致死的な転帰をたどることが報告されているので、喘息発作、血圧低下、意識消失、全身性蕁麻疹、血管浮腫(眼瞼浮腫等)、呼吸困難等があらわれることがある。,,,,,
肺塞栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎等の血栓塞栓症があらわれることがあるので、投与後の観察を十分に行い、呼吸困難、息切れ、胸部不快感、下肢の疼痛・浮腫等の異常が認められた場合には早急に精査の上、血栓溶解剤投与などの適切な処置を行い、次回の投与を中止すること。,,
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外国において心停止により致死的な転帰をたどること及び循環虚脱が報告されているので、息切れ、動悸、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。,
肺水腫があらわれることがあるので、投与後の観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行い、次回の投与を中止すること。
錯乱があらわれることがあるので、投与後の観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行い、次回の投与を中止すること。
局所組織障害(壊死、潰瘍)があらわれることがあるので、投与後の局所の観察を十分に行い、異常が認められた場合には次回の投与を中止し、適切な処置を行うこと。承認時までの臨床試験では、瘤内血栓の発現率は高濃度ほど高く0.5%製剤で10.2%、1%製剤で37.5%、3%製剤で56.1%、色素沈着は0.5%製剤で16.9%、1%製剤で34.7%、3%製剤で36.6%であった。,
5%以上
0.1〜5%未満
0.1%未満
頻度不明
皮膚
瘤内血栓、色素沈着
水疱、皮下出血、異常感覚、掻痒、浮腫、発赤、静脈炎、皮膚炎、びらん、疼痛、圧痛、湿疹、アレルギー性皮膚反応
痂皮、血腫
血液
白血球減少
ヘモグロビン低下、プロトロンビン時間短縮
肝臓
中性脂肪上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇
γ-GTP低下、AL-P低下、総コレステロール上昇・低下
腎臓
尿蛋白
その他
CRP上昇、CK上昇、めまい
悪心、嘔気、多毛症、発熱、ほてり
頭痛、片頭痛、錯感覚、胸痛、視覚障害、味覚異常、血圧低下
本剤は、いずれのアンプルも1回使い切りの製剤であり、未使用の残液は廃棄すること。
ポリドカノールによる内視鏡的食道静脈瘤硬化療法でショック及び播種性血管内凝固症候群(DIC)の発現が報告されている。,,,,
動物実験(ラット、イヌ)で溶血に起因すると考えられる血液学的検査異常が報告されている。
一次性下肢静脈瘤患者にポリドカノールを1.62~1.88mg/kg静脈瘤内に投与したとき、血漿中ポリドカノールは投与直後に最高血中濃度を示した後、速やかに消失した。投与後3時間までの半減期は0.94~1.27時間であった1)。
図16.1 ポリドカノールを下肢静脈瘤患者に単回静脈瘤内投与したときの血漿中濃度推移(投与量1.62〜1.88mg/kg、n=5)
雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、各組織中の放射活性は最初の測定時間である投与後5分で最も高く、特に副腎、肝臓及び腎臓に、ついで膵臓、心臓及び下顎腺で高濃度を示した。いずれの組織も投与後168時間には投与後5分の濃度の7%以下に減少した。哺育ラットの乳汁中放射能濃度は投与後30分に最高濃度を示したのち、6時間から48時間まで半減期17時間で消失し、投与後48時間には最高濃度の12%にまで減少した2)。
雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、血漿中に未変化体が投与後5分で血漿中放射能量の53%を示した後、速やかに減少し、2時間後には血漿中放射能量の8.5%となった2)。ヒト型チトクロームP450発現系ミクロソームを用いたin vitro試験から、チトクロームP450のCYP3A4による代謝がみられた3)。
雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、48時間以内にほとんど排泄され、主たる排泄経路は尿及び糞中であった2)。
国内で実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験の総評価症例301例中、該当濃度で静脈瘤消失効果の判定が行われた155例についての臨床試験の概要はつぎのとおりである4),5)。
薬剤濃度
症例数
有効率注1)
0.5%
1mm未満
37例
35/37(94.6%)
1%
1mm以上3mm未満
51例
50/51(98.0%)
3%
3mm以上
25例
25/25(100%)
注1)有効率:静脈瘤治療効果(1回投与で静脈瘤が50%以上縮小又は複数回投与で完全消失)を示した症例の割合
有効率注2)
13例
9/13(69.2%)
15例
13/15(86.7%)
14例
14/14(100%)
注2)有効率:静脈瘤治療効果(1回投与で静脈瘤が50%以上縮小)を示した症例の割合・第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験の総評価症例301例中副作用が報告されたのは146例(48.5%)、212件であった。その主なものは瘤内血栓95件(31.6%)、色素沈着79件(26.2%)であり、その他水疱7件(2.3%)、皮下出血6件(2.0%)、異常感覚6件(2.0%)、掻痒3件(1.0%)、浮腫3件(1.0%)、発赤3件(1.0%)等であった。・効果判定は硬化療法の1ヵ月後に行っており、その後の再発に関する情報は収集していない。
本剤の主成分ポリドカノールは分子内に疎水性部分(ドデシル基)と親水性部分(ポリオキシエチレン基)をもつ非イオン性の界面活性剤である。本剤はポリドカノールが有する界面活性作用により細胞膜を障害することで血管内皮細胞を障害すると考えられる6)。下肢静脈瘤硬化療法において本剤は、血管内皮細胞を障害することにより内皮皮下組織の露出を起こし、圧迫により過剰な血栓形成を抑制しながら障害された血管を線維化することで、静脈瘤を退縮させるものと考えられる。
静脈内投与後の圧迫処置なしでは、0.5%ポリドカノールで血栓形成とそれに続く器質化(血栓が肉芽組織で置き換えられていく)がみられたが30日後には再疎通した。1%ポリドカノールでは投与後60日後まで投与血管の消失が認められたが、潰瘍の形成がみられた7),8)。投与後の圧迫処置により血栓の形成は抑制された9)。
1%ポリドカノールをヒト血液で希釈した各種濃度のポリドカノールを30秒間暴露させたところ、0.9~1%のポリドカノール濃度で血管内皮細胞障害及び血栓形成がみられた10)。
ウシ肺動脈内皮細胞由来株細胞11) 及びヒト臍帯静脈内皮細胞6) に対して濃度依存的な細胞障害作用がみられた。血清による希釈により細胞障害作用は減弱された。
ポリドカノール(polidocanol)
polyethyleneglycol monododecyl ether
C12H25O(CH2CH2O)nH n:約9
約600(平均分子量)
ポリドカノールは無色又は微黄色の澄明な液、又は白色のワセリン様、若しくはろう状の固体である。メタノール、無水エタノールに極めて溶けやすく、水に溶けやすい。
本剤は「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、ヤスリを用いず、アンプル玉部のマークの反対方向に折り取ること。①ポイントマークが真正面になるようアンプル胴部を持つ。
②次に玉部のポイントマーク真上に親指を置いて人差し指を添え、頭部をポイントマークと反対方向に折る。このときカット部分で手指を傷つけないよう十分注意すること。
アンプル2mL×5管
1) 佐戸川弘之他:静脈学,2003;14(4):283-289
2) 社内資料
3) 社内資料
4) 佐戸川弘之他:静脈学,2004;15(1):33-44
5) 佐戸川弘之他:静脈学,2004;15(3):207-215
6) 折笠和栄:日本消化器病学会雑誌,1989;86(10):2365-2372
7) 社内資料
8) Goldman MP et al.:Arch Dermatol,1987;123:1196-1201
9) 社内資料
10) Kasukawa R et al.:Excerpta Medica International Congress Series,1988;794:75-84
11) 社内資料
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。株式会社インテグラル フレボロジー事業部
〒141-0021 東京都品川区上大崎2-25-2 新目黒東急ビル
TEL 03-6417-0810FAX 03-6417-0853受付時間9:00~16:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
カイゲンファーマ株式会社
大阪市中央区道修町二丁目5番14号
クロイスラーCo.GmbH(ドイツ)
株式会社インテグラル
東京都品川区上大崎2-25-2 新目黒東急ビル
〈参考:フォーム硬化剤の調製方法(ポリドカスクレロール1%注2mL、ポリドカスクレロール3%注2mL)〉フォーム硬化剤は、本剤と空気又は二酸化炭素を混和し泡状に調製する。調製方法の一例は以下のとおりである。1)ディスポーザブルシリンジ2本、滅菌済み三方活栓1個、滅菌済みシリンジフィルター(孔径0.2μm)1個を準備する。なお、調製時には、2本のシリンジを三方活栓で連結して混和操作を行うため、シリンジはルアーロック式シリンジの使用が望ましい。2)必要量の本剤をシリンジに吸引する。3)無菌的に調製するため、必要量の空気又は二酸化炭素(本剤の4〜5倍容量)を、滅菌済みシリンジフィルター(孔径0.2μm)を通して、もう1本のシリンジに吸引する。4)それぞれのシリンジを流路が直角になるように滅菌済み三方活栓にしっかり接続する。ルアーロック式シリンジを使用する際は、シリンジのオスコネクタ及びメスコネクタが三方活栓としっかりと接続していることを確認する。5)プランジャーを交互に押して本剤と空気又は二酸化炭素を混和する。プランジャーの往復運動は10秒以内に20回行う。6)シリンジの内容物の性状を肉眼で観察し、次の条件に適合することを確認した後使用する。・肉眼で観察できる粒子径の大きな泡を認めないこと・本剤又は気体の分離を認めないことなお、粒子径の大きな泡等を認めた場合には、プランジャーの往復運動を数回繰り返した後、上記の条件に適合することを確認し使用する。
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