当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人には、デクスラゾキサンとして、1日1回、投与1日目及び2日目は1000mg/m2(体表面積)、3日目は500mg/m2を1~2時間かけて3日間連続で静脈内投与する。なお、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始し、投与2日目及び3日目は投与1日目と同時刻に投与を開始する。また、用量は、投与1日目及び2日目は各2000mg、3日目は1000mgを上限とする。
中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス:40mL/min未満)では投与量を通常の半量とする。
身長、体重より求めた体表面積より投与量を算出すること。
血液毒性の発現に注意して観察すること。デクスラゾキサンは大部分が腎排泄されることが知られており、腎機能障害のある患者では、本剤の排泄率が低下し、全身への曝露時間が延長する可能性があることから、副作用が強くあらわれるおそれがある。
肝機能障害の副作用がおこることがある。
性腺に対する影響を考慮すること。
本剤の妊娠に及ぼす危険性について患者に説明した上で、本剤投与中及び少なくとも投与終了後3ヵ月を経過するまでは避妊するよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験注1)において胎児毒性(マウス、ラット及びウサギ)、催奇形性(マウス及びラット)が報告されている1)。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、一般に高齢者では腎機能が低下していることが多い。
フェニトイン
痙攣の悪化を誘発するおそれがある。
細胞毒性を有する薬剤と併用することによりフェニトインの吸収作用を減退させるおそれがある。
**,*重篤な血球減少があらわれることがあり、投与後10日以上経過して発現する例が報告されている。また、骨髄抑制に起因する重篤な感染症(2.1%注2))、発熱性好中球減少症(11.0%注2))があらわれることがある。
**,*
10%以上
10%未満
頻度不明
消化器
悪心、嘔吐
下痢、口内炎、口内乾燥、口渇、食欲減退、腹痛、胃炎
皮膚
脱毛、点状出血、そう痒
*肝臓
AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇
Al-P上昇
γ-GTP上昇
腎臓
クレアチニン上昇
精神神経系
浮動性めまい、頭痛、感覚消失、傾眠、失神、振戦、うつ病、不眠症
呼吸器
呼吸困難、咳、肺炎
循環器
高血圧、深部静脈血栓症、ほてり、心房細動
注射部位
注射部位反応(注射部位の疼痛、紅斑、腫脹、肥厚、硬結、注射部位静脈炎、血管穿刺部位血栓、血栓性静脈炎等)
その他
発熱
感染(創傷感染、丹毒、ヘルペスウイルス感染、好中球減少性感染等)、創部痛、疲労、関節痛、浮腫、顔面浮腫、衰弱、腹水、脱水、骨盤痛、腟出血、貧血、かすみ目、体重減少、カルシウム上昇、カルシウム低下、ナトリウム低下、カリウム上昇、カリウム低下
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤による心筋症注3)において、18歳未満の患者では、本剤の投与により、急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群の発現リスクが増加することが海外で実施された臨床試験により報告されている2),3),4),5)。
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者6例を対象として、投与1日目及び2日目はデクスラゾキサン1000mg/m2を、3日目は500mg/m2を1日1回1~2時間かけて、3日間連日静脈内投与したときの全身クリアランスは、投与1日目及び2日目でそれぞれ9.9±3.1及び11.1±4.5L/hr、定常状態分布容積は、それぞれ30.5±11.1及び35.8±19.7L(平均値±標準偏差)であった。消失半減期は、投与1~3日目を通して2.1~2.2時間(平均値)とほぼ同様であった。24時間血中濃度-時間曲線下面積は、投与1日目及び2日目でそれぞれ187455及び170305ng・hr/mL(平均値)であり、反復投与による蓄積は認められなかった(外国人データ)6)。
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者2例に対して、本剤を1日1回90分かけて、3日間連日静脈内投与したときの血漿中薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)。
投与日
投与量
(mg/m2)
Cmaxa)
(ng/mL)
AUClastb)
(ng・hr/mL)
CLtot
(L/hr)
Vdss
(L)
t1/2
(hr)
患者1c)
投与1日目
500
20122
82915
10.1
52.3
3.1
投与2日目
25508
90239
9.4
42.1
2.9
投与3日目d)
250
8318
‐
患者2
1000
47549
125745
12.0
2.1
51166
127903
11.8
39.8
投与3日目
19739
46115
13.7
46.0
1.9
a)投与終了直後
b)投与1~3日目の各投与における投与開始時から血漿中薬物濃度定量可能最終時点(投与1日目及び2日目:次投与直前、投与3日目:投与終了4時間後)までのAUC
c)腎機能障害のある患者であったため、通常の半量が投与された
d)投与終了直後の1ポイントのみの測定であった
デクスラゾキサンはin vivoで速やかに(数分以内で)加水分解され、1つの環が開環した2種類の中間代謝物になる。中間代謝物Bの濃度はデクスラゾキサン濃度の8~29%に達し、中間代謝物Cの濃度は同3~5%に達した。その後、これらの代謝物は再び速やかに(15分で最高濃度に到達後、半減期2.5時間と0.6時間で消失)2つの環が開環したADR-925に変換され、その後、血清中から半減期24時間で消失した(外国人データ)8)。
腎機能の程度が異なる24例の成人男性及び成人女性を対象として150mg/m2注5)のデクスラゾキサンを一定速度で15分間静脈注入したとき、デクスラゾキサンのCLtotは腎機能低下者で低下し、AUC0-∞は、腎機能正常者(CCr>80mL/min)と比べて、中等度(CCr:30~50mL/min)及び重度(CCr<30mL/min)の腎機能低下者では2倍高値を示した(外国人データ)9)。
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者23例に、血管外漏出の発生後から6時間以内に本剤の投与を開始し(1000mg/m2)、初回投与開始24時間後(1000mg/m2)及び48時間後(500mg/m2)に投与を繰り返したところ、血管外漏出に対して外科的処置が必要な患者は認められなかった。また、いずれの患者においても、血管外漏出による壊死は発現せず、本剤投与後に新たな水疱の発現も認められなかった10)。副作用発現割合は、82.6%(19/23例)であった。主な副作用は、注射部位疼痛30.4%(7/23例)、注射部位静脈炎26.1%(6/23例)、悪心21.7%(5/23例)、注射部位反応17.4%(4/23例)であった。主な臨床検査値異常は、白血球数減少73.9%(17/23例)、好中球数減少63.6%(14/23例)、ヘモグロビン減少39.1%(9/23例)、AST上昇26.3%(5/19例)、血小板数減少21.7%(5/23例)であった11)。
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者57例に、血管外漏出の発生後から6時間以内に本剤の投与を開始し(1000mg/m2)、初回投与開始24時間後(1000mg/m2)及び48時間後(500mg/m2)に投与を繰り返したところ、血管外漏出に対する外科的処置が行われた患者は36例中1例(2.8%)であった。また、最終評価時において血管外漏出による壊死が確認された患者は36例中1例(2.8%)であり、外科的処置を行った患者と同一症例であった10)。副作用発現割合は、47.4%(27/57例)であった。主な副作用は、悪心17.5%(10/57例)、脱毛症8.8%(5/57例)、注射部位疼痛7.0%(4/57例)、発熱7.0%(4/57例)、嘔吐7.0%(4/57例)、処置後感染7.0%(4/57例)であった。主な臨床検査値異常は、白血球数減少71.9%(41/57例)、好中球数減少59.6%(34/57例)、ヘモグロビン減少43.9%(25/57例)、血小板数減少28.1%(16/57例)、AST上昇28.1%(16/57例)、ALT上昇28.1%(16/57例)、クレアチニン上昇14.0%(8/57例)、ビリルビン上昇10.5%(6/57例)であった11)。
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者2例に本剤を投与した。1例目の被験者は腎機能低下が認められたため、投与量を通常の半量とし、1及び2日目は500mg/m2、3日目は250mg/m2を投与し、2例目の被験者は1及び2日目は1000mg/m2、3日目は500mg/m2を投与したところ、血管外漏出に対する外科的処置は実施されず、血管外漏出による壊死も確認されなかった。副作用として、1例目の被験者に悪心、血中尿素増加、血中クレアチニン増加、倦怠感、発熱性好中球減少症、胸膜炎、肺炎及び貧血、2例目の被験者に注入部位反応、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、リンパ球数減少、血小板数減少、好中球数減少、紫斑、頭痛、白血球数減少及び血中クレアチニン増加が認められた7)。
ダウノルビシン誘発皮膚潰瘍モデルにおいて、デクスラゾキサンは単回腹腔内投与により潰瘍発現を用量依存的に抑制し、1日1回3日間の反復腹腔内投与では潰瘍面積を著しく減少させた。また、ダウノルビシン及びドキソルビシン誘発皮膚潰瘍モデルにおいて、デクスラゾキサンは静脈内投与においても潰瘍抑制作用を示し、静脈内と腹腔内の投与経路の違いによる効果の差異は認められなかった。
デクスラゾキサン(Dexrazoxane) (JAN)
(2S)-4,4'-(Propane-1,2-diyl)bis(piperazine-2,6-dione)
C11H16N4O4
268.27
白色の結晶性の粉末。水にやや溶けにくい。
1バイアル
1) Duke DI. Teratology. 1975; 11(1): 119-126[文献参照番号][80797]
2) Tebbi CK, et al. J Clin Oncol. 2007; 25(5): 493-500[文献参照番号][80299]
3) Salzer WL, et al. Leukemia. 2010; 24(2): 355-370 [文献参照番号][78947]
4) Schwartz CL, et al. Blood. 2009; 114(10): 2051-2059[文献参照番号][80798]
5) Swain SM, et al. J Clin Oncol. 1997; 15(4): 1318-1332[文献参照番号][78946]
6) 社内資料:海外市販後臨床試験(TT04)[文献参照番号][16501]
7) 社内資料:国内臨床試験(KDX1101)[文献参照番号][16492]
8) Schroeder PE, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2003; 52(2): 167-174[文献参照番号][80137]
9) Brier ME, et al. J Clin Pharmacol. 2011; 51(5): 731-738[文献参照番号][80212]
10) Mouridsen HT, et al. Ann Oncol. 2007; 18(3): 546-550[文献参照番号][76642]
11) 臨床的安全性(承認年月日:2014年1月17日、CTD 2.7.4)
キッセイ薬品工業株式会社 くすり相談センター
〒112-0002 東京都文京区小石川3丁目1番3号
フリーダイヤル:0120-007-622
キッセイ薬品工業株式会社
松本市芳野19番48号
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.