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グルベス配合OD錠

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2血糖上昇抑制作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

グルベス配合OD錠

添付文書番号

3969102F2026_1_04

企業コード

230034

作成又は改訂年月

2020年4月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

873969

薬効分類名

速効型インスリン分泌促進薬/食後過血糖改善薬配合剤

承認等

グルベス配合OD錠

販売名コード

YJコード

3969102F2026

販売名英語表記

GLUBES Combination OD Tablets

販売名ひらがな

ぐるべすはいごうおーでぃーじょう

承認番号等

承認番号

23100AMX00246000

販売開始年月

2019年6月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

ミチグリニドカルシウム水和物/ボグリボース配合口腔内崩壊錠

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
  2. 2.2 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンによる血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
  3. 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  4. 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

3. 組成・性状

3.1 組成

グルベス配合OD錠

グルベス配合OD錠
有効成分   1錠中 日局ミチグリニドカルシウム水和物(10㎎)及び日局ボグリボース(0.2㎎)
添加剤D-マンニトール、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、フマル酸ステアリルナトリウム、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、エチルセルロース水分散液、クロスポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、スクラロース、香料、プロピレングリコール、アラビアガム、デキストリン

3.2 製剤の性状

グルベス配合OD錠

グルベス配合OD錠
剤形素錠
色調淡赤白色
外形表面
裏面
側面
大きさ直径8.0㎜
厚さ約3.9㎜
質量約200㎎
識別コード

4. 効能又は効果

2型糖尿病

ただし、ミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースの併用による治療が適切と判断される場合に限る。

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤の適応においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行うこと。
  2. 5.2 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
  3. 5.3 原則として、以下の場合に本剤の使用を検討すること。
    • 既にミチグリニドカルシウム水和物として1回10mg、1日3回及びボグリボースとして1回0.2mg、1日3回を併用し状態が安定している場合
    • ミチグリニドカルシウム水和物として1回10mg、1日3回の単剤の治療により効果不十分な場合
    • ボグリボースとして1回0.2mg、1日3回の単剤の治療により効果不十分な場合
  4. 5.4 ミチグリニドカルシウム水和物又はボグリボースを使用している患者では、投与の際の空腹時血糖が126㎎/dL以上、又は食後血糖1時間値又は2時間値が200㎎/dL以上を目安とする。

6. 用法及び用量

通常、成人には1回1錠(ミチグリニドカルシウム水和物/ボグリボースとして10㎎/0.2㎎)を1日3回毎食直前に経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 ミチグリニドカルシウム水和物は、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。また、ミチグリニドカルシウム水和物は投与後速やかに薬効を発現するため、食前30分投与では食前15分に血中インスリン値が上昇し食事開始時の血糖値が低下することが報告されており、食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。
  2. 8.2 本剤は、ときに低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
  3. 8.3 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2~3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
  4. 8.4 ミチグリニドカルシウム水和物の治療により効果不十分な場合の本剤使用に関する臨床試験を実施しておらず、有効性及び安全性に関する成績は限られている。
  5. 8.5 本剤の配合成分であるミチグリニドカルシウム水和物は、速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニル尿素系製剤と同じであり、スルホニル尿素系製剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性は確認されていないので、スルホニル尿素系製剤とは併用しないこと。
  6. 8.6 本剤と他の糖尿病用薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
  7. 8.7 本剤投与中において、本剤の投与がミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 虚血性心疾患のある患者

    ミチグリニドカルシウム水和物の投与中に心筋梗塞を発症した患者が報告されている。

  2. 9.1.2 開腹手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者

    ボグリボースは腸内ガス等の増加により腸閉塞が発現しやすい。

  3. 9.1.3 消化・吸収障害を伴った慢性腸疾患の患者

    ボグリボースの作用により病態が悪化することがある。

  4. 9.1.4 ロエムヘルド症候群、重度のヘルニア、大腸の狭窄・潰瘍等の患者

    ボグリボースは腸内ガス等の増加により症状が悪化することがある。

  5. 9.1.5 低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態
    • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
    • 下痢、嘔吐等の胃腸障害
    • 栄養不良状態、飢餓状態、食事摂取量の不足又は衰弱状態
    • 激しい筋肉運動
    • 過度のアルコール摂取者

9.2 腎機能障害患者

低血糖を起こすおそれがある。ミチグリニドカルシウム水和物は、慢性腎不全患者において、血漿中薬物未変化体濃度の消失半減期の延長が報告されている。,

9.3 肝機能障害患者

低血糖を起こすおそれがある。また、肝機能障害を悪化させるおそれがある。肝機能障害のある患者は代謝状態が変化することがあるため血糖管理状況が大きく変化するおそれがある。重篤な肝硬変例で、高アンモニア血症が増悪し意識障害を伴うことがある。,,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ミチグリニドカルシウム水和物は動物実験(ラット)で胎盤通過が認められている。また、動物実験(ラット)で周産期に薬理作用に基づく低血糖によると推定される母動物の死亡が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

ミチグリニドカルシウム水和物は動物実験(ラット)で母乳への移行が認められている。また、ボグリボースは動物実験(ラット)で、母動物の糖質吸収の抑制に起因する乳汁産生の抑制によると考えられる出生児の体重の増加抑制が認められている1),2)

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

血糖値及び消化器症状の発現に留意するなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。なお、本剤の有効成分であるミチグリニドカルシウム水和物及びボグリボースを低用量で使用する必要がある場合には、各単剤の併用を選択すること。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • 糖尿病用薬
      • インスリン製剤
      • ビグアナイド系薬剤
      • 速効型インスリン分泌促進剤
      • α-グルコシダーゼ阻害剤
      • チアゾリジン系薬剤
      • DPP-4阻害剤
      • GLP-1受容体作動薬
      • SGLT2阻害剤

    低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること。

    特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。

    チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。

    ・血糖降下作用が増強されるおそれがある。

    • サリチル酸製剤
      • アスピリン等
    • クロフィブラート等
    • サルファ剤
      • スルファメトキサゾール等

    低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること。

    特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。

    チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。

    ・血糖降下作用が増強されるおそれがある。

    ・ミチグリニドカルシウム水和物の血中蛋白との結合抑制及び代謝阻害により血糖降下作用が増強されるおそれがある。

    ・アスピリンとして1回量1500㎎の併用時に影響する可能性があるが、低用量(アスピリンとして1回量300㎎)では影響しない。

    • β-遮断剤
      • プロプラノロール塩酸塩等
    • モノアミン酸化酵素阻害剤
    • タンパク同化ホルモン剤
    • テトラサイクリン系抗生物質
      • テトラサイクリン塩酸塩
      • ミノサイクリン塩酸塩等
    • ワルファリン

    低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要に応じて中止を考慮すること。

    特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。

    チアゾリジン系薬剤との併用時には、特に浮腫の発現に注意すること。

    血糖降下作用が増強されるおそれがある。

    • アドレナリン
    • 副腎皮質ホルモン
      • メチルプレドニゾロン等
    • 卵胞ホルモン
      • エチニルエストラジオール等
    • ニコチン酸
    • イソニアジド
    • ピラジナミド
    • フェノチアジン系薬剤
      • クロルプロマジン等
    • 利尿剤
      • チアジド系等
    • フェニトイン

    経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖が上昇してコントロール不良になることがある。

    食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。

    血糖コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じて中止を考慮すること。

    血糖降下作用が減弱されるおそれがある。

    • 甲状腺ホルモン
      • 乾燥甲状腺等

    血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する。

    血糖コントロールがむずかしくなるおそれがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 心筋梗塞(頻度不明)

    2. 11.1.2 低血糖(頻度不明)

      低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、意識消失等)があらわれることがある。低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。,,,,,

    3. 11.1.3 腸閉塞(頻度不明)

      腹部膨満、鼓腸、放屁増加等があらわれ、腸内ガス等の増加により、腸閉塞があらわれることがある。また、持続する腹痛、嘔吐等の症状がでることがある。

    4. 11.1.4 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

      劇症肝炎、AST、ALTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

    5. 11.1.5 意識障害(頻度不明)

      重篤な肝硬変例に投与した場合、便秘等を契機として高アンモニア血症が増悪し、意識障害を伴うことがある。

    11.2 その他の副作用

    5%以上

    0.1~5%未満

    頻度不明

    代謝

    低血糖症状(眩暈、空腹感、振戦、脱力感、冷汗、発汗、悪寒、意識低下、倦怠感、動悸、頭重感、眼のしょぼしょぼ感、嘔気、気分不良、しびれ感、眠気、歩行困難、あくび等)

    消化器

    口渇、胸やけ、嘔気、胃不快感、胃炎、胃潰瘍、腹部膨満、腹鳴、腹痛、放屁増加、下痢、軟便、便秘、空腹感、味覚異常、食欲不振

    口内炎、舌のしびれ、嘔吐、胃痛、胃腸炎、腸管嚢胞様気腫症、食欲亢進

    皮膚

    湿疹

    発疹、そう痒、皮膚乾燥、光線過敏症

    筋骨格系

    背部痛、筋肉痛、関節痛、下肢痙直、筋骨格硬直

    精神神経系

    頭痛、眩暈、しびれ感

    眠気、不眠、ふらつき

    耳痛

    肝臓

    胆嚢ポリープ、総ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇

    循環器

    心拡大、心室性期外収縮、血圧上昇

    動悸、高血圧悪化

    呼吸器

    咳、咽頭異和感、かぜ症候群

    腎臓・泌尿器

    尿蛋白、尿潜血、BUN上昇

    腎嚢胞、頻尿

    その他

    倦怠感、冷汗、ほてり、胸部不快感、四肢痛、体重増加、好酸球数増加、好中球数増加、トリグリセリド上昇、遊離脂肪酸上昇、尿酸上昇、カリウム上昇

    脱力感、発汗、浮腫、脱毛、眼のしょぼしょぼ感、眼のかすみ、胸痛、右季肋部痛、貧血、血小板減少、顆粒球減少、血清アミラーゼ上昇、乳酸上昇、総コレステロール上昇、LDL-コレステロール上昇、HDL-コレステロール低下、CK上昇、高カリウム血症、ピルビン酸上昇、BNP上昇

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤交付時の注意

    1. 14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
    2. 14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
    3. 14.1.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用しないこと。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      健康成人男性を対象として、グルベス配合錠と標準製剤(ミチグリニドカルシウム水和物10㎎及びボグリボース0.2㎎の併用投与)をクロスオーバー法により空腹下で単回経口投与したときの血漿中ミチグリニド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC0-5hr、Cmax)から、グルベス配合錠と標準製剤の生物学的同等性が確認された。また、グルベス配合錠を投与したときの血漿中ミチグリニド濃度は、投与後0.46時間で最高血漿中濃度(Cmax)(896.9ng/mL)に達し、半減期(t1/2)は1.25時間であった3)

      健康成人男性におけるグルベス配合錠及び標準製剤投与時のミチグリニドの薬物動態パラメータ

      投与時期

      (空腹下投与)

      Cmax

      (ng/mL)

      Tmax

      (hr)

      t1/2

      (hr)

      グルベス配合錠(n=40)

      896.9

      0.46

      1.25

      標準製剤(n=40)

      900.0

      0.44

      1.23

      図 健康成人男性におけるグルベス配合錠及び標準製剤投与時の血漿中ミチグリニド濃度(空腹下)(平均値+標準偏差)
    2. 16.1.2 反復投与

      健康成人男性(6名)にボグリボース1回0.2㎎、1日3回、7日間反復投与した場合、血漿中及び尿中にボグリボースは検出されない4)

    3. 16.1.3 生物学的同等性試験

      健康成人男性を対象として、グルベス配合OD錠(水なし又は水で服用)又はグルベス配合錠(標準製剤、水で服用)それぞれ1錠をクロスオーバー法により空腹下に単回経口投与した。血漿中ミチグリニド濃度の同等性評価パラメータ(AUC0-5hr及びCmax)について、90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、生物学的同等性の判定基準(log(0.80)~log(1.25))の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)

      健康成人男性における空腹時単回投与時の薬物動態パラメータ(OD錠を水なしで服用した場合)

      薬剤名(用法)

      Cmax

      (ng/mL)

      AUC0-5hr

      (ng・hr/mL)

      Tmax

      (hr)

      t1/2

      (hr)

      グルベス配合OD錠

      (水なしで服用)(n=40)

      983.1±339.1

      1519±219

      0.44±0.21

      1.30±0.15

      グルベス配合錠

      (水で服用)(n=40)

      1046.9±341.7

      1481±224

      0.55±0.32

      1.33±0.21

      平均値±標準偏差

      図 健康成人男性におけるグルベス配合OD錠及び標準製剤投与時の血漿中ミチグリニド濃度(空腹下・OD錠を水なしで投与した場合)(平均値+標準偏差)
      健康成人男性における空腹時単回投与時の薬物動態パラメータ(OD錠を水で服用した場合)

      薬剤名(用法)

      Cmax

      (ng/mL)

      AUC0-5hr

      (ng・hr/mL)

      Tmax

      (hr)

      t1/2

      (hr)

      グルベス配合OD錠

      (水で服用)(n=39)

      1103.5±288.6

      1517±267

      0.39±0.15

      1.34±0.14

      グルベス配合錠

      (水で服用)(n=39)

      1035.8±294.9

      1466±238

      0.58±0.36

      1.34±0.13

      平均値±標準偏差

      図 健康成人男性におけるグルベス配合OD錠及び標準製剤投与時の血漿中ミチグリニド濃度(空腹下・OD錠を水で投与した場合)(平均値+標準偏差)

    16.2 吸収

    1. 16.2.1 食事の影響

      健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5㎎を食後に経口投与したとき、食直前に比し最高血漿中濃度(Cmax)の低下及び最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の遅延が認められた6)

      健康成人男性におけるミチグリニドカルシウム水和物5㎎の食直前及び食後投与時の薬物動態パラメータ

      投与時期

      Cmax

      (ng/mL)

      Tmax

      (hr)

      t1/2

      (hr)

      AUC0‐24hr

      (ng・hr/mL)

      食直前(n=6)

      384.9

      0.29

      1.42

      472

      食後(n=6)

      143.5

      2.08

      1.26

      444

    16.3 分布

    1. 16.3.1 蛋白結合率

      ヒト血漿に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物を添加した時の蛋白結合率は約97%であった7)in vitro)。

    2. 16.3.2 組織移行

      ラットに[14C]ボグリボース1㎎/㎏単回投与した試験で胎児及び乳汁中への移行が認められている8)

    16.4 代謝

    1. 16.4.1 健康成人男性にミチグリニドカルシウム水和物5、10及び20㎎を食直前に単回経口投与したとき、24時間までに投与量の約54~74%が尿中に排泄され、そのほとんどがグルクロン酸抱合体代謝物であり、ミチグリニドは1%未満であった9)
    2. 16.4.2 健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11㎎溶液を食直前に単回経口投与したとき、投与0.5及び4時間後の血漿中放射能は主にミチグリニド由来であり、ミチグリニドのグルクロン酸抱合体はミチグリニドの約1/3から1/6量が存在し、ヒドロキシ体代謝物はさらに少なかった10)(外国人データ)。
    3. 16.4.3 ミチグリニドカルシウム水和物は、ヒトにおいて肝臓及び腎臓で代謝され、グルクロン酸抱合体は主に薬物代謝酵素のUGT1A9及び1A3により、ヒドロキシ体は主にCYP2C9により生成されることがin vitro試験により確認されている11),12)

    16.5 排泄

    1. 16.5.1 健康成人男性に[14C]標識ミチグリニドカルシウム水和物11mg溶液を食直前に単回経口投与したとき、放射能の約93%は尿中に、約6%は糞中に排泄された13)(外国人データ)。
    2. 16.5.2 ラットに[14C]ボグリボース1㎎/㎏単回投与した試験における尿、糞への排泄率はそれぞれ約5%、98%である8)

    16.6 特定の背景を有する患者

    1. 16.6.1 腎機能障害者

      成人腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者(ミチグリニドカルシウム水和物投与前日の平均クレアチニンクリアランス値はそれぞれ113.75、37.01及び3.431mL/min)にミチグリニドカルシウム水和物10㎎を食直前に単回経口投与したとき、クレアチニンクリアランスの低下に伴いt1/2は延長したが、その他の主要パラメータ(Cmax、AUC0-inf及びCLtot/F)とクレアチニンクリアランスとの間に、有意な相関は認められなかった14)

      腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者におけるミチグリニドカルシウム水和物10㎎投与時の薬物動態パラメータ

      Cmax

      (ng/mL)

      Tmax

      (hr)

      t1/2

      (hr)

      AUC0-inf

      (ng・hr/mL)

      CLtot/F

      (mL/min/㎏)

      Vdss/F

      (L/㎏)

      腎機能正常者

      (n=8)

      Ccrが91mL/min以上

      1275.3

      0.69

      1.48

      1517

      1.64

      0.16

      腎機能低下者

      (n=7)

      Ccrが31~50mL/min

      1643.9

      0.29

      3.22

      2132

      1.37

      0.20

      慢性腎不全患者

      (n=8)

      Ccrが30mL/min以下で透析を実施中

      764.7

      0.41

      11.7

      1741

      1.70

      0.86

      図 腎機能正常者、腎機能低下者及び慢性腎不全患者におけるミチグリニドカルシウム水和物10mg投与時の血漿中ミチグリニド濃度(平均値+標準偏差)

    16.7 薬物相互作用

    ボグリボースの併用投与によるミチグリニドカルシウム水和物の薬物動態に変化はなかった15)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 α-グルコシダーゼ阻害剤併用療法 第II/III相二重盲検比較試験

      食事療法に加えてボグリボース(1回0.2㎎)単剤による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない385例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)平均値±標準偏差7.10±0.47%)を対象に、ボグリボース0.2㎎にミチグリニドカルシウム水和物1回10㎎を上乗せして1日3回毎食直前12週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、ボグリボース0.2㎎単独群-0.02±0.36%に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10㎎併用群で-0.64±0.46%と有意に低下した(p<0.001、分散分析)。副作用(臨床症状)の発現割合は、ボグリボース単独群の14.6%(13/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では22.5%(23/102例)であった。副作用(臨床検査値)の発現割合は、ボグリボース単独群の13.5%(12/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では15.8%(16/101例)であった。低血糖症状の発現割合は、ボグリボース単独群の1.1%(1/89例)に対し、ミチグリニドカルシウム水和物10mg併用群では6.9%(7/102例)であった16)

    2. 17.1.2 α-グルコシダーゼ阻害剤併用療法 長期併用投与試験

      食事療法に加えてボグリボース(1回0.2㎎)単剤による薬物療法により十分な血糖コントロールが得られていない161例の2型糖尿病患者(併用投与開始時のHbA1c(JDS)平均値±標準偏差7.08±0.46%)を対象に、ボグリボース0.2㎎にミチグリニドカルシウム水和物1回10㎎を上乗せして1日3回毎食直前52週間経口投与した。最終評価時のHbA1c(JDS)の変化量は、-0.48±0.62%であり、安定したHbA1c(JDS)の改善が確認された。副作用(臨床症状)、副作用(臨床検査値)及び低血糖症状の発現割合は、それぞれ30.7%(27/88例)、21.6%(19/88例)及び10.2%(9/88例)であった17)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    1. 18.1.1 ミチグリニドカルシウム水和物

      膵β細胞のスルホニル尿素受容体への結合を介して、ATP感受性K+チャネル(KATPチャネル)電流を阻害することにより、インスリンの分泌を促進する18),19),20)in vitro)。

    2. 18.1.2 ボグリボース
      1. (1) ブタ小腸由来マルターゼとスクラーゼに対してアカルボースよりそれぞれ約20倍及び30倍強い阻害作用を示し、ラット小腸由来マルターゼ及びスクラーゼ阻害活性はそれぞれアカルボースの約270倍及び190倍である(in vitro)。一方、ブタ及びラット膵α-アミラーゼに対する阻害作用はアカルボースの約1/3000であり、β-グルコシダーゼに対しては阻害活性を示さない21)in vitro)。
      2. (2) ラット小腸由来のスクラーゼ‐イソマルターゼの複合体の二糖類水解酵素に対する阻害様式は競合拮抗的である21)in vitro)。

    18.2 血糖上昇抑制作用

    1. 18.2.1 健康成人男性を対象として、グルベス配合錠と標準製剤(ミチグリニドカルシウム水和物10㎎及びボグリボース0.2㎎の併用投与)をクロスオーバー法によりショ糖負荷直前に経口投与したときの血漿中グルコース濃度を測定した結果、グルベス配合錠投与時と標準製剤投与時の血糖上昇抑制効果は同等であった3)
      図 健康成人男性におけるショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度(平均値+標準偏差)
    2. 18.2.2 健康成人男性を対象として、グルベス配合OD錠(水なし又は水で服用)又はグルベス配合錠(標準製剤、水で服用)それぞれ1錠をクロスオーバー法によりショ糖負荷直前に経口投与した。血漿中グルコース濃度の同等性評価パラメータ(ΔAUC0-3hr及びΔMax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、生物学的同等性の判定基準(-0.20~0.20)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。なお、グルベス配合OD錠の評価にあたっては、予備的な臨床試験により、他の評価時点における生物学的同等性についても検討されている。
      • ΔAUC0-3hr:投与前後のショ糖負荷後3時間までの血漿中グルコース濃度―時間曲線下面積の差
      • ΔMax:投与前後の血漿中グルコース濃度の最大変化量
      • ΔCmax:投与前後の血漿中グルコース濃度の最大値の変化量
        ショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度の同等性評価パラメータ(OD錠を水なしで服用した場合)

        薬剤名(用法)

        ΔAUC0-3hr

        (mg・hr/dL)

        ΔMax

        (mg/dL)

        ΔCmax

        (mg/dL)

        グルベス配合OD錠

        (水なしで服用)(n=38)

        75.8±30.8

        77.8±16.7

        53.4±16.8

        グルベス配合錠

        (水で服用)(n=38)

        75.3±29.3

        74.1±17.2

        52.0±17.5

        平均値±標準偏差

        図 健康成人男性におけるショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度(OD錠を水なしで投与した場合)(平均値+標準偏差)
        ショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度の同等性評価パラメータ(OD錠を水で服用した場合)

        薬剤名(用法)

        ΔAUC0-3hr

        (mg・hr/dL)

        ΔMax

        (mg/dL)

        ΔCmax

        (mg/dL)

        グルベス配合OD錠

        (水で服用)(n=40)

        78.9±36.2

        85.8±16.1

        56.0±18.7

        グルベス配合錠

        (水で服用)(n=40)

        78.6±30.4

        80.3±18.5

        53.6±15.7

        平均値±標準偏差

        図 健康成人男性におけるショ糖負荷後の血漿中グルコース濃度(OD錠を水で投与した場合)
    3. 18.2.3 ニコチンアミド前処置ストレプトゾトシン誘発2型糖尿病ラットにミチグリニドカルシウム水和物とボグリボースを経口併用投与すると、液体飼料経口負荷後の血糖上昇が抑制され、負荷後の血漿中グルコース濃度―時間曲線下面積値は相加的に低下した22)in vivo)。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    ミチグリニドカルシウム水和物

    一般的名称

    ミチグリニドカルシウム水和物(Mitiglinide Calcium Hydrate)(JAN)

    化学名

    Monocalcium bis{(2S)-2-benzyl-4-[(3aR,7aS)-octahydroisoindol-2-yl]-4-oxobutanoate}dihydrate

    分子式

    C38H48CaN2O6・2H2O

    分子量

    704.91

    性状

    ミチグリニドカルシウム水和物は白色の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に溶けにくい。

    結晶多形が認められる。

    化学構造式

    ボグリボース

    一般的名称

    ボグリボース(Voglibose)(JAN)

    化学名

    3,4-Dideoxy-4-[2-hydroxy-1-(hydroxymethyl)ethylamino]-2-C-(hydroxymethyl)-D-epi-inositol

    分子式

    C10H21NO7

    分子量

    267.28

    性状

    ボグリボースは白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、酢酸(100)に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 製剤の特徴上、吸湿により錠剤表面がざらつくことがある。
    2. 20.2 錠剤表面に使用色素による茶色、赤色及び黄色の斑点がみられることがある。
    3. 20.3 アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。

    22. 包装

    • 100錠[10錠(PTP)×10]、210錠[21錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]

    23. 主要文献

    1) Morseth S.L.et al.:薬理と治療.1991;19(11):4325-4340.[文献参照番号][13724]

    2) Morseth S.L.et al.:薬理と治療.1991;19(11):4375-4396.[文献参照番号][13727]

    3) 社内資料:健康成人を対象とした生物学的同等性試験(2011年4月22日承認;グルベス配合錠,CTD 2.7.1.2)[文献参照番号][14811]

    4) 平賀興吾:基礎と臨床.1992;26(1):283-294.[文献参照番号][13703]

    5) 社内資料:健康成人を対象とした生物学的同等性試験(口腔内崩壊錠)[文献参照番号][000182]

    6) 社内資料:健康成人を対象とした第I相臨床試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.3.1.2)[文献参照番号][44005]

    7) 社内資料:ミチグリニドの血漿蛋白結合率(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.2.2.5)[文献参照番号][70169]

    8) 前芝良宏ほか:薬理と治療.1991;19(9):3639-3649.[文献参照番号][13717]

    9) 社内資料:健康成人を対象とした臨床薬理試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.3.1.2)[文献参照番号][44004]

    10) 社内資料:健康成人を対象とした海外臨床薬理試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.3.5.2)[代謝物の検討][文献参照番号][44007]

    11) 社内資料:ミチグリニド代謝に関与するUGT分子種(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.2.3.3)[文献参照番号][44009]

    12) 社内資料:ミチグリニド代謝に関与するチトクロームP450分子種(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.2.3.4)[文献参照番号][44010]

    13) 社内資料:健康成人を対象とした海外臨床薬理試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.3.5.2)[薬物動態と排泄の検討][文献参照番号][44008]

    14) 社内資料:腎機能低下者を対象とした臨床薬理試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ヘ.3.3.2)[文献参照番号][44006]

    15) 陶易王ほか:薬理と治療.2007;35(suppl.1):39-49.[文献参照番号][56841]

    16) 加来浩平ほか:薬理と治療.2007;35(suppl.1):51-72.[文献参照番号][56842]

    17) 社内資料:2型糖尿病患者を対象とした長期併用投与試験(ボグリボース)[文献参照番号][000165]

    18) Ohnota,H.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther. 1994;269(2):489-495.[文献参照番号][22539]

    19) Ichikawa,K.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res. 2002;52(8):605-609.[文献参照番号][39444]

    20) Sunaga,Y.et al.:Eur.J.Pharmacol. 2001;431(1):119-125.[文献参照番号][36017]

    21) 小高裕之ほか:日本栄養・食糧学会誌.1992;45(1):27-31.[文献参照番号][13696]

    22) 社内資料:ニコチンアミド前処置ストレプトゾトシン誘発2型糖尿病ラットにおける薬効薬理試験(2004年1月29日承認;ミチグリニドカルシウム水和物,申請資料概要 ホ.1.4.3)[文献参照番号][70170]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    キッセイ薬品工業株式会社 くすり相談センター

    〒112-0002 東京都文京区小石川3丁目1番3号

    フリーダイヤル:0120-007-622

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    キッセイ薬品工業株式会社

    松本市芳野19番48号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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