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劇薬
処方箋医薬品注)
慢性特発性血小板減少性紫斑病
以下の場合で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。
通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与する。初回投与量を4週間以上投与しても目標とする血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mgを1日2回に増量する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減するが、最高投与量は1回150mgを1日2回とする。
1日投与量
用法
300mg/日
150mgを1日2回a)
200mg/日
100mgを1日2回a)
150mg/日
150mgを1日1回
100mg/日b)
100mgを1日1回
a) 1日2回投与では8時間を目安に間隔を空けて投与すること。
b) 100mg/日未満への減量が必要な場合は、投与を中止すること。
発現事象
対処方法(目安)
下痢,
グレード注)3又は4
以下のいずれかに該当する場合等
- 投与開始前と比較して1日7回以上の排便回数の増加
- 入院を要する
- 日常生活動作の制限が必要となるほどの下痢が発現した場合
本剤を休薬する。
グレード1以下に下痢が改善した場合は、7.1項の表を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
高血圧,,
収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上に上昇した場合
必要に応じて降圧薬の投与等を行う。
適切な降圧療法にもかかわらず、血圧をコントロールできない場合は、本剤を減量又は休薬する。
休薬により血圧がコントロールされた場合は、7.1項の表を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
収縮期血圧160mmHg以上又は拡張期血圧100mmHg以上に上昇した場合
降圧薬の投与等を行う。
適切な降圧療法にもかかわらず、血圧をコントロールできない場合は、本剤を休薬する。
収縮期血圧180mmHg以上又は拡張期血圧110mmHg以上に上昇した場合
本剤を休薬又は中止し、降圧薬の投与等を行う。
好中球減少,,
好中球数が1,000/μL未満に減少した場合
好中球数を追加で測定し、1,000/μL未満であった場合は、本剤を休薬する。
休薬により好中球数が1,500/μL超まで回復したら、7.1項の表を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
肝機能障害,,,
以下のいずれかを満たし、悪心、嘔吐、腹痛等の症状が認められる場合
- AST又はALTが基準値上限の3倍以上5倍未満
- 総ビリルビンが基準値上限の2倍超
休薬によりAST、ALT及び総ビリルビンが基準値上限の1.5倍未満に回復した場合は、7.1項の表を参照して1日投与量を1段階下げて、本剤の投与を再開する。
以下のいずれかを満たし、症状が認められない場合
AST又はALTの上昇が持続する場合は、本剤を減量又は休薬する。
以下を満たす場合
- AST又はALTが基準値上限の5倍以上
AST又はALTが基準値上限の5倍以上で持続する場合は、本剤を中止する。
以下のいずれも満たす場合
- AST又はALTが基準値上限の3倍以上
本剤を中止する。
注)グレードはCTCAE ver 5.0による。
血栓塞栓症があらわれるおそれがある。血栓症又は血栓塞栓症の既往歴や素因を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の臨床症状と臨床検査値の観察を十分に行い、B型肝炎の再燃の徴候に注意すること。
本剤投与の可否を慎重に判断し、投与する場合には初回投与量の減量を考慮するとともに、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。非結合形R406の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤投与中及び最終投与後一定期間は適切な避妊を徹底するように指導すること。ヒトの受胎能への影響に関するデータは得られていない。動物実験(雌ラット)において受胎率の低下が報告されていることから、本剤は女性の受胎能に影響を及ぼす可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。海外の臨床試験において、妊娠した患者で死産/自然流産の報告がある。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床推奨用量を下回る曝露で胚・胎児死亡率の増加、胎児の低体重並びに骨格及び内臓異常(変異及び奇形)が認められた。,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。また、動物実験(ラット)において、乳汁を介した曝露に起因すると考えられる出生児の死亡率の増加及び低体重が認められた。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験(ラット、マウス及び幼若ウサギ)において、活発に成長している骨への影響として、大腿骨頭の軟骨形成異常、大腿骨近位及び大腿脛骨関節の成長板異形成、並びに大腿骨及び胸骨の骨髄細胞密度の減少が認められた。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
R406の血漿中濃度が上昇し、本剤の副作用が増強される可能性がある。
併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じて本剤の減量を考慮すること。
これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用による。
R406の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱する可能性がある。
本剤投与時はこれらの薬剤等を投与しないことが望ましい。
これらの薬剤の強いCYP3A誘導作用による。
シンバスタチン及びシンバスタチン酸の血漿中濃度が上昇し、副作用が増強される可能性がある。
併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてシンバスタチンの減量を考慮すること。
ホスタマチニブ及びR406はBCRPの阻害作用を有し、R406はCYP3Aの弱い阻害作用を有する。
ジゴキシンの血漿中濃度が上昇し、副作用が増強される可能性がある。
併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてジゴキシンの減量を考慮すること。
ホスタマチニブはP-gpの阻害作用を有する。
ロスバスタチンの血漿中濃度が上昇し、副作用が増強される可能性がある。
併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてロスバスタチンの減量を考慮すること。
ホスタマチニブ及びR406はBCRPの阻害作用を有する。
必要に応じて電解質や腎機能検査を行い、患者の状態により止瀉薬の投与、補液などの適切な処置を行うこと。,
高血圧(21.2%)、高血圧クリーゼ(0.6%)があらわれることがある。必要に応じて降圧剤の投与などの適切な処置を行うこと。,,
好中球減少(5.6%)、発熱性好中球減少症(0.6%)があらわれることがある。,,
肺炎(1.1%)等の感染症があらわれることがある。患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合は、抗菌剤の投与などの適切な処置を行うこと。
ALT(8.4%)、AST(5.6%)、ビリルビン(2.2%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。,,,
10%以上
5~10%未満
5%未満
神経系
浮動性めまい
消化器
下痢(31.3%)、悪心
腹痛
皮膚
発疹
臨床検査
白血球減少
その他
胸痛、疲労
本剤はUGT1A1を阻害することから、本剤の投与により総ビリルビン及び非抱合(間接)ビリルビンの上昇が認められることがある。,,,,
PTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人健康被験者を対象に本剤100~150mgを空腹時に単回経口投与したとき、活性本体であるR406の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった1)。
用量
例数
tmax a)
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
t1/2
100mg
6
3 (1.5-6)
338 (39.8)
4150 (33.0)
15.9 (40.3)
150mg
12
1.5 (1-4)
626 (39.0)
5870 (27.6)
12.6 (34.9)
幾何平均値(幾何CV%)
a) 中央値(最小値-最大値)
日本人健康被験者を対象に本剤150mgを1日1回又は100mgを1日2回空腹時に7日間反復経口投与したとき、反復投与7日目のR406の薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。本剤100mgを1日2回投与したときのAUCτから算出した血漿中R406濃度の累積率は2.22倍であった1)。日本人健康被験者を対象に、本剤100mg又は200mgを1日2回空腹時に7日間反復経口投与したとき、反復投与7日目のR406のCmax(幾何平均値)はそれぞれ615~709及び1730~2360ng/mL、AUCτ(幾何平均値)はそれぞれ4610~5040及び14100~17100ng・hr/mLであり、本剤を1日2回投与したときの曝露は用量比を上回る増加を示した1),2)。
用法及び用量
tmax, ss a)
Cmax, ss
AUCτ
t1/2, ss
100mg 1日2回
2 (1.5-4)
615 (31.1)
4610 (31.0)
16 (35.1)
150mg 1日1回
11
4 (1-6)
643 (37.0)
5900 (33.5)
14.3 (30.6)
持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者を対象に本剤150mgを1日2回反復経口投与したとき、定常状態のR406の薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)(外国人データ)。
tmax, ss
AUCτ a)
150mg 1日2回
2.17 (2.33)
810 (289)
5450 (2210)
平均値(標準偏差)
a) 10例
本剤は小腸で速やかに代謝された後、活性本体であるR406として速やかに吸収される。健康被験者10例を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したときのR406の絶対的バイオアベイラビリティは54.6%であった4)(外国人データ)。ホスタマチニブの血漿中濃度はわずかであり、投与4時間後には検出されなかった1)。
健康被験者28例を対象に、本剤150mgを食後(高脂肪/高カロリー食)に単回経口投与したとき、空腹時と比べてR406のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ1.23倍及び1.15倍であった5)(外国人データ)。
R406のヒト血漿蛋白結合率は98.3%であった6)(in vitro)。精製ヒト血清アルブミン及び精製α1-酸性糖蛋白に対する結合率はそれぞれ96.3%及び75.5%であった6)(in vitro)。R406は赤血球に分布し、血液/血漿中濃度比は2.6であった6)(in vitro)。健康被験者を対象に[14C]R406 100μgを単回静脈内投与したとき、定常状態での分布容積(Vss)は256Lであった4)(外国人データ)。
本剤は小腸でアルカリホスファターゼにより活性本体であるR406に代謝される6)(in vitro)。R406は主にCYP3A4及びUDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A9)により代謝される6)(in vitro)。健康被験者6例を対象に[14C]ホスタマチニブ150mgを空腹時に単回経口投与したとき、血漿中では主にR406として存在し、R406の代謝物はわずかであった7)(外国人データ)。
健康被験者6例を対象に[14C]ホスタマチニブ150mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与された放射能の19.3%が尿中に排出された。主にR406のN-グルクロン酸抱合体として存在し、R406の尿中排泄はわずかであった。残りの放射能(80.0%)は糞中に排泄され、主にR406及びR406のベンゼンジオール体として存在していた7)(外国人データ)。
腎機能障害患者を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したとき、腎機能正常者8例と比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは中等度の腎機能障害患者8例(Ccr:30以上50mL/min未満)でそれぞれ0.78倍及び0.58倍、血液透析を要する末期腎不全患者8例(透析後投与)でそれぞれ0.74倍及び0.62倍であった。また、末期腎不全患者に本剤150 mgを透析開始2時間前に単回経口投与したとき、透析により除去されたR406量は投与量の1%未満であった。非結合形R406のAUC0-∞及びCmaxは腎機能障害患者と腎機能正常者で同程度であった8)(外国人データ)。
肝機能障害患者を対象に本剤150mgを空腹時に単回経口投与したとき、肝機能正常者8例と比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは軽度の肝機能障害患者8例(Child-Pugh分類A)でそれぞれ0.71倍及び0.89倍、中等度の肝機能障害患者8例(Child-Pugh分類B)でそれぞれ0.76倍及び0.87倍、重度の肝機能障害患者8例(Child-Pugh分類C)でそれぞれ1.06倍及び0.84倍であった。重度の肝機能障害患者における非結合形R406のAUC0-∞及びCmaxは、肝機能正常者と比べてそれぞれ1.7倍及び1.3倍であった8)(外国人データ)。
健康被験者8例を対象に本剤80mg注1)(単回投与)と強いCYP3A阻害剤であるケトコナゾール200mg(1日2回反復投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ2.02倍及び1.37倍であった9)(外国人データ)。
健康被験者15例を対象に本剤150mg(単回投与)と強いCYP3A誘導剤であるリファンピシン600mg(1日1回反復投与)を併用投与したとき、本剤を単独投与したときと比べて、R406のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ0.25倍及び0.41倍であった9)(外国人データ)。
健康被験者21例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とBCRP及びCYP3A基質であるシンバスタチン40mg(単回投与)を併用投与したとき、シンバスタチンを単独投与したときと比べて、シンバスタチンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.64倍及び2.13倍であり、シンバスタチン酸のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.66倍及び1.83倍であった10)(外国人データ)。
健康被験者23例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とP-gp基質であるジゴキシン0.25mg(1日1回反復投与)を併用投与したとき、ジゴキシンを単独投与したときと比べて、ジゴキシンのAUCss及びCmax,ssは、それぞれ1.37倍及び1.70倍であった11)(外国人データ)。
健康被験者21例を対象に本剤100mg(1日2回反復投与)とBCRP基質であるロスバスタチン20mg(単回投与)を併用投与したとき、ロスバスタチンを単独投与したときと比べて、ロスバスタチンのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ1.96倍及び1.88倍であった10)(外国人データ)。
同意取得の6ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬、リツキシマブ又はIVIG製剤)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた20歳以上の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)34例(本剤群22例、プラセボ群12例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg 1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg 1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg 1日1回~150mg 1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、下表のとおりであり本剤群でプラセボ群と比較して高かった15)。
副作用発現割合は、本剤群77.3%(17/22例)、プラセボ群8.3%(1/12例)であった。本剤群の主な副作用は、下痢31.8%(7/22例)、高血圧27.3%(6/22例)及び好中球数減少13.6%(3/22例)であった。中等度又は高度の出血関連の副作用は認められなかった。
ホスタマチニブ群 N=22
プラセボ群 N=12
n
達成割合
95%信頼区間
下限
上限
Stable platelet response達成
8
36.4%
17.2%
59.3%
0
0%
0.0%
26.5%
プラセボとの差
-
3.1%
上記の慢性特発性血小板減少性紫斑病患者34例のうち、二重盲検期で本剤群に割り付けられた22例において長期投与時(最大52週間)の有効性及び安全性を評価した。血小板数の維持期間(血小板数が28日以上連続で50,000/μL以上を達成した最初の測定日から28日以上連続して血小板数が50,000/μL未満となった最初の測定日までの期間)の中央値は、309日(範囲:113~358日)であった15)。
副作用発現割合は、77.3%(17/22例)であった。主な副作用は、下痢31.8%(7/22例)、高血圧27.3%(6/22例)及び好中球数減少13.6%(3/22例)であった。
3ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬又はIVIG製剤等)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた18歳以上の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)76例(本剤群51例、プラセボ群25例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg 1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg 1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg 1日1回~150mg 1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、本剤群17.6%(9/51例)及びプラセボ群0%(0/25例)であり、プラセボ群と比較し本剤群で有意に高かった(P=0.0261、群間差(本剤-プラセボ):17.6%、95%信頼区間:7.2%, 28.1%)。また、中等度又は高度の出血関連事象は本剤群11.8%及びプラセボ群20.0%、重篤な出血関連事象は本剤群5.9%及びプラセボ群12.0%であった16),17)。
副作用発現割合は、本剤群76.5%(39/51例)及びプラセボ群28.0%(7/25例)であった。
3ヵ月以上前にITPと診断され、少なくとも1種類のITP治療薬(副腎皮質ステロイド、TPO受容体作動薬又はIVIG製剤等)を使用しても十分な効果が得られなかった又は忍容性に問題があると考えられた18歳以上の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(血小板数が30,000/μL未満)74例(本剤群50例、プラセボ群24例)を対象に、ホスタマチニブ1回100mg 1日2回より投与を開始し、血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg 1日2回に増量して24週間経口投与した。血小板数及び安全性等に応じて、100mg 1日1回~150mg 1日2回の範囲で用量調整した。その結果、主要評価項目であるStable platelet response(投与14週から24週までの6回の来院のうち4回以上で血小板数が50,000/μL以上)の達成割合は、本剤群18.0%(9/50例)及びプラセボ群4.2%(1/24例)であった(P=0.1519、群間差(本剤-プラセボ):13.8%、95%信頼区間:0.5%, 27.1%)。また、中等度又は高度の出血関連事象は本剤群8.0%及びプラセボ群12.5%、重篤な出血関連事象は本剤群4.0%及びプラセボ群8.3%であった17),18)。
副作用発現割合は、本剤群39.2%(20/51例注2))及びプラセボ群26.1%(6/23例)であった。
海外第III相検証試験(C788-047試験及びC788-048試験)から移行した上記の持続性/慢性特発性血小板減少性紫斑病患者123例を対象に長期継続投与時の有効性及び安全性を検討した。その結果、57例が本剤の投与開始から12週以内に血小板数50,000/μL以上を達成し、血小板数維持期間(初めて血小板数が50,000/μL以上を達成した日から、4週以上間隔を空けた2回の来院で血小板数が50,000/μL未満となった最初の来院日までの期間)は127.0日(範囲:71~483日)であった。
副作用発現割合は54.5%(67/123例)であり、主な副作用は下痢24.4%(30/123例)及び高血圧10.6%(13/123例)であった3)。
本剤は生体内で活性本体であるR406に代謝され、脾臓チロシンキナーゼを阻害する。
R406は脾臓チロシンキナーゼを阻害することでマクロファージに発現するFcγ受容体を介したシグナル伝達を抑制し、抗血小板自己抗体が結合した血小板のマクロファージによる貪食及び破壊を軽減する19)。
また、B細胞に発現するB細胞受容体を介したシグナル伝達を抑制することで、B細胞の抗血小板抗体産生を抑制する可能性がある19)。
ヒト初代培養マクロファージにおいて、R406は抗IgG抗体により誘導されるFcγ受容体シグナルの活性化を抑制した19)(in vitro)。
ヒト初代培養B細胞において、R406は抗IgG抗体又は抗IgM抗体により誘導されるB細胞受容体シグナルの活性化を抑制した19)(in vitro)。
マウスに抗血小板抗体を投与して作製したITPモデルにおいて、本剤は血小板数の減少を用量依存的に抑制した19)。
血小板数が正常なマウスにおいて、R406は出血時間に影響を与えなかった19)。
ホスタマチニブナトリウム水和物(Fostamatinib Sodium Hydrate)(JAN)
Disodium (6-{[5-fluoro-2-(3,4,5-trimethoxyanilino)pyrimidin-4-yl]amino}-2,2-dimethyl-3-oxo-2,3-dihydro-4H-pyrido[3,2-b][1,4]oxazin-4-yl)methyl phosphate hexahydrate
C23H24FN6Na2O9P・6H2O
732.51
白色の結晶性の粉末である。pH 1.2の水性緩衝液にほとんど溶けず、水に溶けにくく、メタノールにやや溶けやすい。
本剤は吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、アルミピロー開封後はPTPシートの状態で保存すること。
〈タバリス錠100mg〉
60錠[10錠(PTP)×6]
〈タバリス錠150mg〉
1) 社内資料:白人及び日本人の健康成人を対象とした第I相臨床試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.9)
2) 社内資料:日本人の健康成人を対象とした第I相臨床試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.10)
3) 社内資料:特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした第III相継続投与試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.27)
4) 社内資料:バイオアベイラビリティ評価試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.1)
5) Flanagan T, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2017;73:185-195
6) 社内資料:薬物動態試験(2022年12月23日承認、CTD 2.6.4)
7) Sweeny DJ, et al.:Drug Metab Dispos.2010;38:1166-1176
8) Martin P, et al.:Clin Ther. 2015;37:2823-2836
9) Martin P, et al.:Drugs R D.2016;16:81-92
10) Martin P, et al.:Drugs R D.2016;16:93-107
11) Martin P, et al.:Clin Ther.2015;37:2811-2822
12) 社内資料:薬物相互作用試験(ミダゾラム)(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.14)
13) Baluom M, et al.:J Clin Pharmacol. 2011;51:1310-1318
14) Martin P, et al.:Clin Pharmacol Drug Dev. 2016;5:170-179
15) 社内資料:特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした本剤の国内第III相臨床試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.23)
16) 社内資料:特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした本剤の海外第III相臨床試験1(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.24)
17) 社内資料:海外第III相臨床試験(2022年12月23日承認、CTD 2.7.3.2)
18) 社内資料:特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした本剤の海外第III相臨床試験2(2022年12月23日承認、CTD 2.7.6.25)
19) 社内資料:薬理試験(2022年12月23日承認、CTD 2.6.2)
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