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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人には、エボカルセトとして1回1mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。患者の状態に応じて開始用量として1日1回2mgを経口投与することができる。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回1~8mgの間で適宜用量を調整し、経口投与するが、効果不十分な場合には適宜用量を調整し、1日1回12mgまで経口投与することができる。
通常、成人には、エボカルセトとして1回2mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。患者の血清カルシウム濃度に応じて開始用量として1回2mgを1日2回経口投与することができる。以後は、患者の血清カルシウム濃度により投与量及び投与回数を適宜増減するが、投与量は1回6mgまで、投与回数は1日4回までとする。
血清カルシウム濃度
対応
処置
検査
増量・再開
本剤の投与
8.4mg/dL未満
原則として本剤の増量は行わない。(必要に応じて本剤の減量を行う。)
カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮する。
血清カルシウム濃度を週1回以上測定する。
心電図検査を実施することが望ましい。
増量する場合には、8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、増量すること。
7.5mg/dL以下
直ちに休薬する。
再開する場合には、8.4mg/dL以上に回復したことを確認後、休薬前の用量か、それ以下の用量から再開すること。
血清カルシウム濃度の検査は、本剤の薬効及び安全性を適正に判断するために、服薬前に実施することが望ましい。また、低アルブミン血症(血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満)の場合には、補正値注1)を指標に用いることが望ましい。
段階
用法・用量
1日投与量
1
2mg 1日1回
2mg
2
2mg 1日2回
4mg
3
4mg 1日2回
8mg
4
6mg 1日2回
12mg
5
6mg 1日3回
18mg
6
6mg 1日4回
24mg
低カルシウム血症を悪化させるおそれがある。,,,
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性、死産児率の高値、出生率の低値、出生児の体重低値等が認められている。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。動物実験(ラット)で出生児に発育遅延等が認められている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。
デノスマブ
ビスホスホネート系製剤
リセドロン酸ナトリウム水和物
ミノドロン酸水和物
イバンドロン酸ナトリウム水和物
ゾレドロン酸水和物 等
カルシトニン
副腎皮質ホルモン
デキサメタゾン 等
血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。
本剤の血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。
テオフィリン
テオフィリンの作用が増強するおそれがある。
機序は不明であるが、テオフィリンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤とテオフィリン併用時に、テオフィリンのCmax及びAUC0-tが増加した。
ジギトキシン
ジアゼパム 等
本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。
血漿蛋白結合率が高いことによる。
低カルシウム血症に基づくと考えられる症状(QT延長、しびれ、筋痙攣、気分不良、不整脈、血圧低下及び痙攣等)があらわれた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。,,,,,
1%以上
0.5~1%未満
0.5%未満
頻度不明
腹部・消化器
悪心、嘔吐、腹部不快感、下痢、食欲減退
胃腸炎、腹痛、便秘、逆流性食道炎、口内炎、歯肉炎、腹部膨満
消化管潰瘍、消化不良、腸炎、便潜血
循環器
不整脈
期外収縮、狭心症・心筋虚血、高血圧、動悸
**精神・神経
眩暈、感覚鈍麻
頭部不快感、振戦
頭痛
筋骨格
筋骨格痛、筋痙縮
肝臓
肝機能異常[AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇]
眼
眼乾燥、視力障害
皮膚
そう痒症
発疹
**内分泌
PTH減少
副甲状腺機能低下症
血液
貧血
代謝
CK上昇、痛風
呼吸器・胸郭及び縦隔障害
胸痛、胸部不快感
呼吸困難
その他
シャント閉塞
Al-P上昇、浮腫
低カルシウム血症を発現させると考えられる。
低カルシウム血症の徴候及び症状を観察し、低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。なお、本剤は血液透析により除去されない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人に本剤1、3、6、12及び20mg注2)を絶食下単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血漿中エボカルセトのCmax及びAUC0-∞は、投与量に比例して増加した1)。
投与量
Cmax(ng/mL)
tmaxa)(h)
AUC0-∞(ng・h/mL)
t1/2(h)
1mg(n=6)
58.8±13.2
1.501.00~3.00
601.6±170.3
19.77±13.82
3mg(n=6)
217±24
2239.7±269.5
17.32±6.74
6mg(n=6)
376±54
1.501.00~2.00
4038.5±1154.7
14.76±2.74
12mg(n=6)
867±109
2.001.00~3.00
8855.8±991.2
12.98±4.91
20mg(n=6)
1400±240
15307.4±4442.1
18.89±8.95
平均値±標準偏差
a)中央値、最小値~最大値
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に本剤1、4及び12mg並びに腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に本剤1mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者における本剤単回投与後の血漿中エボカルセトのCmax及びAUC0-∞は、投与量に比例して増加した2),3)。
血液透析:血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者、腹膜透析:腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者
透析の種類
1mg(n=29)
血液透析
61.9±21.6
4.001.95~11.88
1288.5±954.9
20.86±13.07
4mg(n=28)
210±98
4.082.02~12.07
5267.8±5818.7
22.42±16.89
12mg(n=26)
706±208
4.000.88~11.92
14680.4±8473.0
22.52±12.24
1mg(n=9)
腹膜透析
104±49
4.030.93~24.07
2040.5±938.5b)
33.58±11.62b)
b)n=7
健康成人に本剤6及び12mgを食後に1日1回反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。いずれの投与量でも反復投与開始後速やかに定常状態に到達し、顕著な蓄積は認められなかった1)。
Day
AUC0-24(ng・h/mL)
393±118
4.003.00~4.00
3447.1±721.3
‐
8
394±97
4.002.00~4.00
3860.6±643.3
18.50±3.76
12mg(n=5)
898±182
8517.8±2599.6
1050±250
3.002.00~8.00
10836.3±4690.7
16.30±5.24
副甲状腺癌における高カルシウム血症患者、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者に本剤を下表の投与量で反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった4)。
Cmaxa)(ng/mL)
tmaxa,b)(h)
2mg 1日2回(n=4)
184±29
1.931.00~2.00
4mg 1日2回(n=4)
479±43
0.980.50~1.03
6mg 1日2回(n=4)
1100±644
1.411.02~2.83
6mg 1日4回(n=4)
1080±658
0.770.47~2.90
平均値±標準偏差a) 投与後0.5~3時間までの採血時点における最高血漿中濃度をCmax、最高血漿中濃度到達時間をtmaxとした。b) 中央値、最小値~最大値
外国人健康成人にエボカルセト1mgを単回経口投与及び14C-エボカルセト4μgを静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは62.7%であった5)。
健康成人に本剤2mgを食後に単回経口投与したとき、絶食下投与に比べて、Cmaxは約20%の低下が認められたが、AUC0-tに影響は認められなかった6)。
in vitroでのヒト血球移行率は5.2~9.2%であり、ヒト血漿蛋白結合率は97.8~98.4%であった。血漿中の主結合蛋白はアルブミン及びα1-酸性糖蛋白であった。また、健康成人及び肝機能障害患者での血漿蛋白結合率は97.9~98.2%と同程度であった7),8)。
14C-エボカルセトを雄性ラット(アルビノ及び有色ラット)に単回経口投与したとき、放射能はほぼ全身に分布し、アルビノラットで高い放射能が認められた組織はハーダー氏腺及び肝臓であった。有色ラットにおいて、眼球の放射能濃度はアルビノラットより高かった。更に、有色ラットの眼球、有色皮膚及びブドウ膜の放射能の消失は緩やかであり、14C-エボカルセト由来物質がメラニンに対して親和性を有することが示唆された9)。
外国人健康成人に14C-エボカルセト1mgを単回経口投与したとき、投与後264時間までに、糞及び尿中にそれぞれ投与放射能の32.7%及び61.2%が排泄された。糞中には未変化体として投与放射能の8.6%が排泄され、尿中には未変化体は認められなかった5),11)。
軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害患者に本剤1mgを単回経口投与したとき、健康成人と比較して、AUC0-∞はそれぞれ2.18倍及び1.28倍高かった。Cmaxはそれぞれ1.10倍及び0.91倍であり、顕著な差が認められなかった8)。
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1及び4mgを経口投与した後の、透析器の動脈側及び静脈側から同時採血して得られた血漿中エボカルセト濃度を比較した結果、透析による除去は認められなかった。また、腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1mgを経口投与した後の透析排液中エボカルセト濃度から算出された排泄率は2.33%以下であり、透析排液への排泄はほとんど認められなかった3),12)。
健康成人にテオフィリン100mg(1日目及び18日目に経口投与)と本剤6mg(4~20日目に1日1回反復経口投与)を併用した結果、テオフィリンのCmax及びAUC0-tは、単独投与時と比較してそれぞれ1.15倍(90%信頼区間:1.10~1.20)及び1.26倍(90%信頼区間:1.19~1.33)であり、AUC0-tの90%信頼区間の上限値が基準値1.25を上回った13)。
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象に、本剤は1~8mg(開始用量:1mg;ただしintact PTH濃度500pg/mL以上の場合は2mg)、実対照薬(シナカルセト塩酸塩)は12.5~100mg(開始用量:25mg)の間で用量を調整し、1日1回30週間経口投与した。その結果、投与開始28~30週のintact PTH濃度平均値が60pg/mL以上240pg/mL以下の目標を達成した被験者割合は、本剤では72.7%(184/253例)、シナカルセト塩酸塩では76.7%(204/266例)であった。達成した被験者割合の差(本剤-シナカルセト塩酸塩)(差の両側95%信頼区間)は、-4.0%(-11.4~3.5%)(非劣性マージン:-15%)であり、本剤のシナカルセト塩酸塩に対する非劣性が示された14)。副作用発現頻度は、本剤投与群で44.8%(142/317例)であった。主な副作用は、補正カルシウム減少11.7%(37/317例)、悪心5.0%(16/317例)、嘔吐4.4%(14/317例)、血中カルシウム減少及び低カルシウム血症 各3.5%(11/317例)、下痢及び腹部不快感 各3.2%(10/317例)、食欲減退2.5%(8/317例)であった。
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者137例を対象に、本剤を1mgより開始後(ただし、intact PTH濃度500pg/mL以上かつ血清補正カルシウム濃度9.0mg/dL以上の場合は2mgより開始)、1~12mgの間で用量を調整し、1日1回52週間経口投与した。投与開始後52週では、intact PTH濃度が60pg/mL以上240pg/mL以下の目標を達成した被験者割合は72.3%であった15)。副作用発現頻度は35.0%(48/137例)であった。主な副作用は、補正カルシウム減少7.3%(10/137例)、悪心及び腹部不快感 各5.1%(7/137例)、嘔吐及び血中カルシウム減少 各3.6%(5/137例)、下痢、便秘、腹痛及び胸部不快感 各1.5%(2/137例)であった。
腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者39例を対象に、本剤を1mgより開始後(ただし、intact PTH濃度500pg/mL以上かつ血清補正カルシウム濃度9.0mg/dL以上の場合は2mgより開始)、1~12mgの間で用量を調整し、1日1回52週間経口投与した。投与開始後30~32週のintact PTH濃度平均値が60pg/mL以上240pg/mL以下の目標を達成した被験者割合は71.8%であった16)。副作用発現頻度は46.2%(18/39例)であった。主な副作用は、補正カルシウム減少17.9%(7/39例)及び血中カルシウム減少5.1%(2/39例)であった。
副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者18例を対象に、本剤2mgを 1日1回より開始後(ただし血清補正カルシウム濃度が12.5mg/dLを超えている場合は1回2mg1日2回より開始することを可とした)、1回2~6mgを1日1~4回の間で用法・用量を調整し、52週間経口投与した。その結果、投与開始24週までに血清補正カルシウム濃度が10.3mg/dL以下に2週間維持された被験者数及び被験者割合(95%信頼区間)は、14例及び77.8%(52.4, 93.6%)であり、95%信頼区間の下限が、設定した閾値である11%を上回った4)。副作用発現頻度は44.4%(8/18例)であった。認められた副作用は、悪心11.1%(2/18例)、腹部不快感、消化不良、嘔吐、ウィルス感染、味覚異常、咳嗽、湿疹及び高血圧 各5.6%(1/18例)であった。
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血中PTH濃度を低下させる17),18)。
本剤は、正常ラット及びマウス並びに部分腎摘ラットへの単回及び反復経口投与により血中PTH及びカルシウム濃度を低下させた17),18)。
エボカルセト(Evocalcet)
2-{4-[(3S)-3-{[(1R)-1-(Naphthalen-1-yl)ethyl]amino}pyrrolidin-1-yl]phenyl}acetic acid
C24H26N2O2
374.48
白色の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく、アセトニトリル及びエタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
約177℃(分解)
logP=1.00
[PTP、乾燥剤入り]100錠(10錠×10)
1) Akizawa T, et al. : Clin Drug Investig. 2018; 38: 945-954
2) Shigematsu T, et al. : Clin Pharmacol. 2018; 10: 101-111
3) 社内資料:腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした第Ⅰ相臨床試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.6)
4) 社内資料:副甲状腺癌及び副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者を対象とした第Ⅲ相非盲検試験(2019年12月20日承認、CTD2.7.6.1)
5) 社内資料:健康成人男性を対象としたマスバランス試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.4)
6) 社内資料:健康成人を対象とした食事の影響試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.1)
7) 社内資料:血漿蛋白結合及び血球移行性(in vitro)(2018年3月23日承認、CTD2.6.4.4.2)
8) 社内資料:肝機能障害患者を対象とした臨床薬理試験(2018年3月23日承認、CTD2.7.6.7)
9) 社内資料:ラットにおける組織分布(2018年3月23日承認、CTD2.6.4.4.1)
10) 社内資料:代謝に関与する酵素(2018年3月23日承認、CTD2.6.4.5.4)
11) 社内資料:In vivo代謝プロファイル(2018年3月23日承認、CTD2.7.2.2.1.5)
12) Shigematsu T, et al.:Clin Exp Nephrol. 2019; 23: 258-267
13) Narushima K, et al. : Clin Transl Sci. 2019; 12: 20-27
14) Fukagawa M, et al. : Kidney Int. 2018; 94: 818-825
15) Yokoyama K, et al.:Sci Rep. 2019; 9: 6410
16) Tsuruya K, et al.: Clin Exp Nephrol. 2019; 23: 739-748
17) Kawata T, et al.:PLoS One. 2018; 13: e0195316
18) 社内資料:マウスにおける2週間反復経口投与による血漿中PTH及びCa濃度に対する作用(2018年3月23日承認、CTD2.6.2.2.3)
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