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ポテリジオ点滴静注20mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ポテリジオ点滴静注20mg

添付文書番号

4291422A1021_1_17

企業コード

230124

作成又は改訂年月

2020年9月改訂(第2版)
2020年2月改訂

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤

承認等

ポテリジオ点滴静注20mg

販売名コード

YJコード

4291422A1021

販売名英語表記

POTELIGEO Injection

承認番号等

承認番号

22400AMX00660

販売開始年月

2012年5月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃に保存

有効期間

36箇月

規制区分

一般的名称

モガムリズマブ(遺伝子組換え)

1. 警告

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される患者にのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  2. 1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の全身症状を伴う重度の皮膚障害が報告されていることから、本剤投与開始時より皮膚科と連携の上、治療を行うこと。また、以下の事項に注意すること。
    • 重度の皮膚障害が本剤投与中だけではなく、投与終了後数週間以降も発現することが報告されているため、観察を十分に行うこと。
    • 皮膚障害発現早期から適切な処置(副腎皮質ホルモン剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の使用等)を行うこと。重度の皮膚障害が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ポテリジオ点滴静注20mg

有効成分モガムリズマブ(遺伝子組換え)   20mg
添加剤グリシン   112.5mg
ポリソルベート80   1mg
塩酸   (適量)
水酸化ナトリウム   (適量)
クエン酸水和物   2.0~2.5mg
容量  1バイアル5mL

本剤の有効成分モガムリズマブ(遺伝子組換え)は、チャイニーズハムスター卵巣細胞で生産される。

3.2 製剤の性状

ポテリジオ点滴静注20mg

pH5.2~5.8
浸透圧比約1(生理食塩液対比)
色・性状無色澄明の注射液

4. 効能又は効果

  • CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫
  • 再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫
  • 再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 5.1 本剤投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行うこと。
  • 〈CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)、再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)〉
    1. 5.2 CCR4抗原は、フローサイトメトリー(FCM)又は免疫組織化学染色(IHC)法により検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。,,
  • 〈CCR4陽性のATL〉
    1. 5.3 臨床試験に組み入れられた患者の病型及び予後不良因子の有無等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。,
  • 〈再発又は難治性のCCR4陽性のPTCL、再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)〉
    1. 5.4 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。,

6. 用法及び用量

  • 〈CCR4陽性のATL〉

    通常、成人には、モガムリズマブ(遺伝子組換え)として、1回量1mg/kgを1週間間隔で8回点滴静注する。
    他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人には、モガムリズマブ(遺伝子組換え)として、1回量1mg/kgを2週間間隔で8回点滴静注する。
    なお、化学療法未治療例に対しては他の抗悪性腫瘍剤と併用すること。

  • 〈再発又は難治性のCCR4陽性のPTCL〉

    通常、成人には、モガムリズマブ(遺伝子組換え)として、1回量1mg/kgを1週間間隔で8回点滴静注する。

  • 〈再発又は難治性のCTCL〉

    通常、成人には、モガムリズマブ(遺伝子組換え)として、1回量1mg/kgを1週間間隔で5回点滴静注し、その後は2週間間隔で点滴静注する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 本剤投与時にあらわれることがあるInfusion reactionを軽減させるために、本剤投与の30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行うこと。Infusion reactionを認めた場合は、直ちに投与の中断や投与速度の減速を考慮すること。投与再開する場合は、必要に応じて投与速度を減じて慎重に投与すること。また、投与再開後にInfusion reactionが再度発現し投与を中止した場合には、本剤を再投与しないこと。,
    2. 7.2 本剤は2時間かけて点滴静注すること。
  • 〈化学療法未治療のCCR4陽性のATL〉
    1. 7.3 本剤単独投与での有効性及び安全性は確立していない。
    2. 7.4 本剤を含むがん化学療法は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、選択すること。
  • 〈再発又は難治性のCCR4陽性のATL又はPTCL、再発又は難治性のCTCL〉
    1. 7.5 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤投与は、重度のInfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。Infusion reactionは初回投与時の投与後8時間以内に多く認められるが、それ以降や2回目投与以降の本剤投与時にもあらわれることがあり、また、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても、重度のInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。,
  2. 8.2 本剤投与前にB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、適切な処置を考慮すること。,
  3. 8.3 重度の血液毒性があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  4. 8.4 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、血液毒性が増強されることがあるので、頻回に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、感染症の発現に注意すること。必要に応じて、G-CSF製剤や抗生剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
  5. 8.5 本剤投与後に腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  6. 8.6 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症を合併している患者

    好中球減少により感染症が増悪するおそれがある。,

  2. 9.1.2 心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者

    本剤投与中又は投与後に不整脈、心不全等を悪化又は再発させるおそれがある。

  3. 9.1.3 重篤な骨髄機能低下のある患者

    好中球減少及び血小板減少を増悪させ重症化させるおそれがある。

  4. 9.1.4 肝炎ウイルス、結核等の感染又は既往を有する患者

    本剤の治療期間中及び治療終了後は、継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。肝炎ウイルスの感染を有する患者に本剤を投与した場合、ウイルスの増殖により肝炎があらわれるおそれがある。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、本剤の投与により、B型肝炎ウイルスの増殖による劇症肝炎又は肝炎があらわれることがある。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた動物実験(サル)において、妊娠期間中に本剤を投与した場合の妊娠動物及び胚・胎児発生に及ぼす影響等は認められなかったが、本剤は胎児へ移行することが報告されている。また、出生児に及ぼす影響は検討していない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    不活化ワクチン

    ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。

    ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。

    生ワクチン又は弱毒生ワクチン

    接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。

    ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 Infusion reaction(40.9%:単、44.8%:併)

      発熱、悪寒、頻脈、血圧上昇、悪心、低酸素血症、嘔吐等があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、重度のInfusion reactionを認めた場合は直ちに投与を中断し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うこと。また、異常が認められた場合には、全ての徴候及び症状が完全に回復するまで患者の状態を十分に観察すること。,

    2. 11.1.2 重度の皮膚障害

      中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明:単・併)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.4%:単)、薬疹(3.0%:単)、発疹(1.9%:単、3.4%:併)、丘疹性皮疹(0.4%:単、20.7%:併)、紅斑性皮疹(0.4%:単、6.9%:併)等が本剤投与中又は投与終了後にあらわれることがある。皮膚障害発現早期から適切な処置(副腎皮質ホルモン剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の使用等)を行うこと。

    3. 11.1.3 感染症(23.9%:単、58.6%:併)

      細菌、真菌又はウイルスによる感染症があらわれることがあり、重篤な感染症として帯状疱疹が報告されている。本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    4. 11.1.4 B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎(頻度不明:単・併)、肝炎(0.4%:単)

      異常が認められた場合は、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。,

    5. 11.1.5 腫瘍崩壊症候群(1.1%:単、20.7%:併)

      異常が認められた場合は直ちに投与を中断し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。

    6. 11.1.6 重度の血液毒性

      リンパ球減少(71.3%:単、96.6%:併)、白血球減少(5.7%:単、100%:併)、好中球減少(5.7%:単、100%:併)、血小板減少(2.3%:単、89.7%:併)、発熱性好中球減少症(0.8%:単、89.7%:併)、貧血(1.1%:単、96.6%:併)及びヘモグロビン減少(0.4%:単)があらわれることがある。,,,

    7. 11.1.7 肝機能障害

      ALT上昇(12.9%:単、37.9%:併)、AST上昇(10.6%:単、27.6%:併)、Al-P上昇(9.1%:単、17.2%:併)、LDH上昇(5.3%:単、24.1%:併)、高ビリルビン血症(2.7%:単、13.8%:併)、γ-GTP上昇(1.9%:単、6.9%:併)及び肝機能異常(0.8%:単、13.8%:併)等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

    8. 11.1.8 間質性肺疾患

      間質性肺炎(0.4%:単、10.3%:併)、肺臓炎(0.4%:単、3.4%:併)等があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合は、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

    9. 11.1.9 高血糖(2.3%:単、37.9%:併)
    注)発現頻度は、単:本剤の単独投与時、併:本剤の併用投与(VCAP/AMP/VECP療法)時に基づく。

    11.2 その他の副作用

    • 単独投与

    10%以上

    5~10%未満

    5%未満

    精神・神経系

    頭痛

    味覚異常、感覚鈍麻、錯感覚、末梢性ニューロパチー、不眠症

    霧視

    血液

    好酸球増加、赤血球減少、ヘマトクリット減少

    循環器

    血圧上昇、頻脈

    血圧低下、ほてり、潮紅、左室機能不全、心拍数増加、心室性期外収縮、心電図QT延長、急性心筋梗塞

    呼吸器

    低酸素血症、咳嗽、口腔咽頭痛、呼吸困難、鼻閉、胸水、喘鳴

    消化器

    悪心

    下痢

    便秘、嘔吐、口内炎、口内乾燥、腹痛、腹部不快感

    泌尿器

    蛋白尿、クレアチニン上昇、尿中血陽性、急性腎障害、血中尿素増加、尿中ウロビリノーゲン増加

    皮膚

    そう痒症、脱毛症、多汗症

    筋・骨格系

    筋骨格痛、関節痛、筋痙縮、背部痛、四肢痛、筋力低下、頚部痛

    代謝

    電解質異常(ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロール、マグネシウム)

    低アルブミン血症

    高尿酸血症、低リン酸血症、総蛋白減少、尿中ブドウ糖陽性

    その他

    発熱、疲労、悪寒

    食欲減退、浮腫、倦怠感、体重増加、無力症、めまい、体重減少、CRP上昇、低体温、サイトカイン放出症候群

    • 併用投与(VCAP/AMP/VECP療法)

    40%以上

    20~40%未満

    20%未満

    精神・神経系

    頭痛

    味覚異常、末梢性ニューロパチー

    振戦、不眠症、感覚鈍麻

    血液

    赤血球減少、ヘマトクリット減少

    循環器

    血圧上昇、血管炎、血管障害、心電図QT延長、駆出率減少、血圧低下、心拍数増加、ほてり

    呼吸器

    口腔咽頭痛

    咳嗽、鼻出血、酸素飽和度低下、口腔咽頭不快感

    消化器

    悪心、便秘、口内炎、嘔吐

    下痢

    腹痛、口腔内出血、口唇炎、口内乾燥、痔核、歯肉痛、口腔障害、消化不良、腹部不快感

    泌尿器

    クレアチニン上昇、蛋白尿、排尿困難、血中尿素上昇、腎障害

    皮膚

    脱毛症

    紫斑

    筋・骨格系

    四肢痛、背部痛

    代謝

    電解質異常(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)、低アルブミン血症

    低リン酸血症

    総蛋白減少、脱水

    その他

    発熱、食欲減退、体重減少、倦怠感

    浮腫、悪寒

    CRP上昇、体重増加、注入部位血管外漏出、めまい、胸痛、疼痛、注射部位反応

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 バイアルは振盪しないこと。また、激しく攪拌しないこと。
    2. 14.1.2 本剤投与時には必要量を注射筒で抜き取り、日局生理食塩液200~250mLに添加する。
    3. 14.1.3 調製時には、日局生理食塩液以外は使用しないこと。
    4. 14.1.4 添加後は静かに混和し、急激な振盪は避けること。
    5. 14.1.5 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。
    6. 14.1.6 他の薬剤との混注はしないこと。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    1. 15.1.1 国内外の臨床試験において本剤に対する中和抗体の産生が報告されている1),2)
    2. 15.1.2 本剤を造血幹細胞移植前に投与した患者では、本剤を投与しなかった患者と比較して、造血幹細胞移植後の重篤な急性移植片対宿主病の発現割合が高かったとの報告がある3),4),5),6)

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      CCR4陽性ATL患者、CCR4陽性PTCL患者又はCCR4陽性CTCL患者に本剤0.01~1mg/kg1)を単回静脈内投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)

      単回静脈内投与したときの血漿中濃度推移
      (平均値+標準偏差、各採血時点での被験者数n=2~6)
      単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータ

      対象患者

      投与量
      (mg/kg)

      Cmax
      (ng/mL)

      Ctrough
      (ng/mL)

      AUC0-7days
      (μg・h/mL)

      CCR4陽性ATL患者
      又は
      CCR4陽性PTCL患者
      又は
      CCR4陽性CTCL患者

      0.01
      (n=3)

      206.0
      ±23.1

      41.0
      ±39.0

      14.9
      ±7.7

      0.1
      (n=4)

      1831.7
      ±334.1

      254.9
      ±447.4

      87.6
      ±93.7

      0.5
      (n=3)

      8353.2
      ±1993.4

      2985.0
      ±605.8

      761.9
      ±130.8

      1
      (n=6)

      21758.0
      ±3495.4

      7544.2
      ±3008.8

      1901.2
      ±466.6

      平均値±標準偏差

    2. 16.1.2 反復投与

      CCR4陽性ATL患者、CCR4陽性PTCL患者又はCCR4陽性CTCL患者に本剤1mg/kgを1週間間隔で8回反復静脈内投与2)したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった8),9)

      1週間間隔で8回反復静脈内投与したときの血漿中濃度推移
      (平均値+標準偏差、各採血時点での被験者数n=3~27)
      1週間間隔で8回反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータ

      対象患者

      投与量
      (mg/kg)

      Cmax
      (ng/mL)

      Ctrough
      (ng/mL)

      AUC0-7days
      (μg・h/mL)

      t1/2
      (h)

      CCR4陽性ATL患者

      1
      (n=5)

      42943.2
      ±14239.5

      33638.3
      ±10572.2a)

      6297.4
      ±1812.5a)

      422
      ±147

      CCR4陽性PTCL患者
      又は
      CCR4陽性CTCL患者

      1
      (n=9)

      45940.7
      ±9251.2

      29017.4
      ±13328.6

      平均値±標準偏差
      a)n=4

    1) 本剤の承認用量は1回量1mg/kgである。
    2) 本剤のCTCLに対する承認用量は、1回量1mg/kgを1週間間隔で5回点滴静注し、その後は2週間間隔で点滴静注である。

    16.3 分布

    1. 16.3.1 分布容積

      CCR4陽性ATL患者、CCR4陽性PTCL患者又はCCR4陽性CTCL患者に本剤0.01~1mg/kgを1週間間隔で4回反復静脈内投与したときの分布容積は102.7~115.8mL/kgであり、おおむね血液容量に相当した7)

    2. 16.3.2 体組織への分布

      125Ⅰ標識したモガムリズマブ1mg/kgを雄性カニクイザルに単回静脈内投与したとき、血漿と血液を除く組織への放射能の分布量は最大で投与量の4.86%であり、血漿中濃度に対する組織中濃度比は最大で0.26(脾臓)であった10)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈CCR4陽性のATL〉
      1. 17.1.1 国内第Ⅱ相試験

        前治療としての化学療法によって寛解に到達しなかった治療抵抗例を除く、急性型、リンパ腫型又は予後不良因子(LDH高値、BUN高値及びアルブミン低値)を有する慢性型のCCR4陽性3)の再発・再燃ATL患者27例を対象に、本剤1mg/kgを1週間間隔で8回、点滴静注を行った。有効性解析対象26例を対象とした奏効率は50.0%(95%信頼区間:29.9〜70.1%)であった。26例の内訳は、急性型14例、リンパ腫型6例、予後不良因子を有する慢性型6例であり、病型別での奏効率は、急性型42.9%(6/14例)、リンパ腫型33.3%(2/6例)、予後不良因子を有する慢性型83.3%(5/6例)であった8)
        副作用の発現は、27例全例に認められた。主な副作用は、リンパ球数減少96.3%(26/27例)、注入に伴う反応88.9%(24/27例)、発熱85.2%(23/27例)、白血球数減少66.7%(18/27例)、悪寒59.3%(16/27例)、好中球数減少、血小板数減少及び発疹 各51.9%(14/27例)、ALT増加40.7%(11/27例)、AST増加及び血中LDH増加 各37.0%(10/27例)、頻脈及びヘモグロビン減少 各29.6%(8/27例)、血圧上昇及び血中Al-P増加 各22.2%(6/27例)であった。

        対象
        被験者数

        完全
        寛解

        不確定
        完全寛解

        部分
        寛解

        奏効
        被験者数

        奏効率
        (95%信頼区間)

        26

        8

        0

        5

        13

        50.0%
        (29.9~70.1%)

        本試験において、本剤8回投与を完遂し奏効に至った後に再燃した1例に本剤が再投与され、部分寛解を認めた。また、副作用は、Infusion reaction、リンパ球減少、白血球減少、頻脈、AST上昇、ALT上昇、発熱及び体重増加であった。
        なお、本試験では造血幹細胞移植実施例は対象から除外した。,

      2. 17.1.2 国内第Ⅱ相試験

        急性型、リンパ腫型又は予後不良因子(LDH高値、BUN高値及びアルブミン低値)を有する慢性型のCCR4陽性3)の化学療法未治療ATL患者54例を対象に、化学療法(VCAP、AMP、VECP療法)と化学療法+本剤を比較する第Ⅱ相試験を実施した。化学療法は、VCAP療法(ビンクリスチン硫酸塩、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、プレドニゾロン:Day1)、AMP療法(ドキソルビシン塩酸塩、ラニムスチン、プレドニゾロン:Day8)及びVECP療法(ビンデシン硫酸塩、エトポシド、カルボプラチン、プレドニゾロン:Day15)の他、シタラビン、メトトレキサート及びプレドニゾロンの髄腔内投与(2、4コース:Day-2~1)を4週(Day28)1コースとして合計4コース行った。化学療法+本剤は、化学療法に加え本剤1mg/kgをVCAP療法投与開始日(1コース目はVCAP投与日の翌日(4日後まで可)に投与し、2コース目以降はVCAP投与日の前日(3日前まで可)に投与)及びVECP療法投与開始日(VECP投与日の前日(3日前まで可)に投与)を基準として2週間間隔で8回、点滴静注を行った。有効性解析対象53例を対象とした完全寛解率は、化学療法+本剤が51.7%(15/29例)(95%信頼区間:32.5~70.6%)、化学療法が33.3%(8/24例)(95%信頼区間:15.6~55.3%)であった。病型別での完全寛解率は、化学療法+本剤及び化学療法の順に、急性型が55.0%(11/20例)及び29.4%(5/17例)、リンパ腫型が50.0%(3/6例)及び42.9%(3/7例)、予後不良因子を有する慢性型が33.3%(1/3例)及び該当被験者なしであった11)

        投与群

        対象
        被験者数

        完全寛解

        不確定
        完全寛解

        完全寛解
        被験者数a)

        完全寛解率
        (95%信頼区間)

        化学療法+本剤

        29

        9

        6

        15

        51.7%
        (32.5~70.6%)

        化学療法

        24

        5

        3

        8

        33.3%
        (15.6~55.3%)

        a)完全寛解被験者数:完全寛解+不確定完全寛解

        副作用の発現は、化学療法+本剤において29例全例に認められた。主な副作用は、好中球数減少、血小板数減少及び白血球数減少 各100%(29/29例)、貧血及びリンパ球数減少 各96.6%(28/29例)、発熱性好中球減少症89.7%(26/29例)、発熱82.8%(24/29例)、脱毛症79.3%(23/29例)、食欲減退72.4%(21/29例)、体重減少65.5%(19/29例)、悪心及び便秘 各62.1%(18/29例)、口内炎55.2%(16/29例)、嘔吐及び倦怠感 各44.8%(13/29例)、頭痛及び丘疹性皮疹 各41.4%(12/29例)、ALT増加、高血糖及び味覚異常 各37.9%(11/29例)、下痢及び血中アルブミン減少 各34.5%(10/29例)、浮腫、AST増加、血中ナトリウム減少及び末梢性ニューロパチー 各27.6%(8/29例)、悪寒、血中カリウム減少、血中LDH増加、口腔咽頭痛及び紅斑性皮疹 各24.1%(7/29例)、発疹20.7%(6/29例)であった。,,

    • 〈再発又は難治性のCCR4陽性のPTCL及び再発又は難治性のCTCL〉
      1. 17.1.3 国内第Ⅱ相試験

        前治療としての化学療法によって寛解に到達しなかった治療抵抗例を除くCCR4陽性4)の再発・再燃PTCL患者29例及びCTCL患者8例(合計37例)を対象に、本剤1mg/kgを1週間間隔で8回、点滴静注を行った。有効性解析対象37例を対象とした奏効率は35.1%(13/37例)(95%信頼区間:20.2~52.5%)であった9),12)
        副作用発現頻度は、97.3%(36/37例)であった。主な副作用は、リンパ球数減少81.1%(30/37例)、白血球数減少43.2%(16/37例)、血小板数減少及び好中球数減少 各37.8%(14/37例)、発熱29.7%(11/37例)、ALT増加及び血中Al-P増加 各21.6%(8/37例)であった。

        対象被験者数

        完全
        寛解

        不確定
        完全寛解

        部分
        寛解

        奏効
        被験者数

        奏効率
        (95%信頼区間)

        合計:37

        4

        1

        8

        13

        35.1%
        (20.2~52.5%)

        PTCL:29

        4

        1

        5

        10

        34.5%
        (17.9~54.3%)

        • 末梢性T細胞リンパ腫-非特定型:16

        1

        0

        2

        3

        18.8%

        • 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫:12

        3

        0

        3

        6

        50.0%

        • 未分化大細胞型リンパ腫、未分化リンパ腫リン酸化酵素陰性:1

        0

        1

        0

        1

        100.0%

        CTCL:8

        0

        0

        3

        3

        37.5%
        (8.5~75.5%)

        • 菌状息肉腫:7

        0

        0

        2

        2

        28.6%

        • 皮膚原発CD30陽性T細胞リンパ増殖異常症:1

        0

        0

        1

        1

        100.0%

        本試験において、本剤8回投与を完遂し奏効に至った後に再発又は再燃した6例に本剤が再投与された。6例のうち3例(PTCL2例及びCTCL1例)は再投与を含め治験を完了し、うち2例に部分寛解を認めた。また、副作用は、リンパ球減少及び丘疹性皮疹(各2例)、Al-P上昇、そう痒症、電解質異常(カリウム)、多汗症、白血球減少、好中球減少、紅斑性皮疹及び血小板減少(各1例)であった9)
        なお、本試験では造血幹細胞移植実施例は対象から除外としたが、化学療法後の自家造血幹細胞移植療法実施例は対象とし、該当症例は2例(いずれもPTCL)であった。,

    • 〈再発又は難治性のCTCL〉
      1. 17.1.4 国際共同第Ⅲ相試験

        前治療として全身療法を1レジメン以上受けた菌状息肉腫患者及びセザリー症候群患者372例(うち日本人患者15例)を対象に、本剤とボリノスタットを比較する国際共同第Ⅲ相試験を実施した。本剤は4週(Day 28)を1コースとして、1コース目は1mg/kgをDay 1、8、15、22、2コース目以降はDay 1、15に静脈内投与した。ボリノスタットは400mgを1日1回経口投与した。投与期間は、疾患進行、薬剤不耐性若しくは忍容できない有害事象が認められるまで、又はその他の中止基準に該当するまでとした。Intention-to-treat解析対象372例(本剤群:186例、ボリノスタット群:186例)における治験責任医師判定による無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目とした。Kaplan-Meier法で推定されるPFS中央値は、本剤群が7.70ヵ月(95%信頼区間:5.67~10.33ヵ月)、ボリノスタット群が3.10ヵ月(95%信頼区間:2.87~4.07ヵ月)、ハザード比は0.53(95%信頼区間:0.41~0.69)、P<0.0001(層別ログランク検定)であり、本剤はボリノスタットと比較してPFSを有意に延長した13)
        副作用発現頻度は、本剤群において84.8%(156/184例)であった。主な副作用は、注入に伴う反応33.2%(61/184例)及び薬疹22.8%(42/184例)であった。

    3) CCR4抗原検査はFCM又はIHC法により実施することが規定され、いずれの検査法も用いられた。
    4) CCR4抗原検査は原則としてIHC法により実施し、セザリー症候群で末梢血に異常リンパ球が多い場合はFCM法による検査も可能としていた。本試験ではセザリー症候群の患者は登録されなかったため、FCM法による検査の経験はない。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    モガムリズマブは、主に抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を介して、CCR4陽性細胞を傷害すると考えられる14),15)

    18.2 抗腫瘍作用

    1. 18.2.1 in vitro試験
      1. (1) モガムリズマブは、CCR4陽性のヒトATL由来細胞株(TL-Om1、ATN-1及びATL102)及びCTCL由来細胞株(HH及びHut78)(ターゲット細胞)に対して、ヒト末梢血単核細胞(エフェクター細胞)存在下でADCC活性を示した14)
      2. (2) モガムリズマブは、ATL患者由来のCD3陽性細胞5)(ターゲット細胞)に対して、同一患者由来のCD3陰性細胞(autologousなエフェクター細胞)存在下でADCC活性を示した。更に、モガムリズマブは、PTCL-NOS患者由来のCD3陽性5)(ターゲット細胞)に対して、健康成人由来のCD3陰性細胞(allogeneicなエフェクター細胞)存在下でADCC活性を示した15)
    2. 18.2.2 in vivo試験

      モガムリズマブは、CCR4陽性のヒトATL由来細胞株(TL-Om1)及びCTCL由来細胞株(HH)を皮下移植した重症複合免疫不全マウスモデルにおいて腫瘍増殖抑制作用を示した16)

    5) CCR4陽性細胞を含む。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    モガムリズマブ(遺伝子組換え)
    (Mogamulizumab(Genetical Recombination))

    分子量

    約149,000

    本質

    ヒトCCケモカイン受容体4に対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体である。チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される449個のアミノ酸残基からなる重鎖2分子及び219個のアミノ酸残基からなる軽鎖2分子で構成される糖タンパク質である。

    20. 取扱い上の注意

    外箱開封後は遮光して保存すること。

    21. 承認条件

    *医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    1バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    協和キリン株式会社 くすり相談窓口

    〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2

    電話 0120-850-150
    受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    協和キリン株式会社

    東京都千代田区大手町1-9-2

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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