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劇薬
処方箋医薬品注)
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
HIV-1感染症
通常,成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
クレアチニンクリアランス(CLcr)
投与方法
50mL/min以上
本剤1錠を1日1回投与
30~49mL/min
本剤1錠を2日間に1回投与
10~29mL/min
本剤1錠を1週間に2回投与
血液透析患者
本剤1錠を1週間に1回投与注1)又は累積約12時間の透析終了後に本剤1錠を投与
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。
血清リンの検査を実施すること。
本剤の血中濃度が上昇する。,,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1)。
授乳を避けさせること。テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2),動物実験(ラット)において,乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
逆転写酵素阻害剤
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。
ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。
HIVプロテアーゼ阻害剤
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。
アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。
本剤による有害事象を増強するおそれがある。
テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。
抗HCV剤
抗ウイルス化学療法剤
抗サイトメガロウイルス化学療法剤
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により,排泄が遅延し,これらの薬剤又は本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
腎毒性を有する薬剤
,,,,
併用は避けることが望ましい。
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。,,,,
血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。類薬(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。
2%以上
2%未満
頻度不明注2)
代謝及び栄養障害
食欲減退(3.2%),体重減少(2.1%),体脂肪の再分布/蓄積(2.1%)
高コレステロール血症,高脂血症
低リン酸血症,低カリウム血症,糖尿病,高尿酸血症
精神障害
うつ病,睡眠障害,リビドー減退,神経過敏,不安
神経系障害
頭痛(5.6%),錯感覚(3.7%),浮動性めまい(3.4%)
不眠症,末梢性ニューロパチー,味覚異常,異常な夢,傾眠,ニューロパチー,思考異常,振戦
感覚鈍麻
呼吸器,胸郭及び縦隔障害
気管支炎,鼻炎,咽頭炎
呼吸困難
胃腸障害
悪心(10.5%),下痢(9.1%),腹痛(5.2%),嘔吐(4.4%),鼓腸(3.0%),消化不良(2.3%)
口内乾燥,胃腸障害,便秘,アフタ性潰瘍,胃炎,おくび,腹部膨満
肝胆道系障害
肝炎
脂肪肝,肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
発疹(3.3%)
そう痒症,多汗症,脱毛症,湿疹,ざ瘡,皮膚乾燥,単純ヘルペス,皮膚良性新生物
筋骨格系及び結合組織障害
骨障害(2.1%)
筋肉痛,関節痛,背部痛,側腹部痛,筋痙攣
骨軟化症,ミオパチー
一般・全身障害及び投与部位の状態
無力症(6.3%),疼痛(2.4%)
倦怠感,胸痛,発熱,悪寒,末梢性浮腫
臨床検査注3)
CK増加(12.3%),血中トリグリセリド増加(7.8%),血中アミラーゼ増加(7.5%),AST増加(5.1%),ALT増加(4.3%),好中球数減少(2.4%),尿糖(2.1%),血中ブドウ糖増加(2.0%)
血中ビリルビン増加,血中リン減少,Al-P増加,血小板数減少
リパーゼ増加,血尿,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加
その他
頻尿,視覚異常,多尿
アレルギー反応,高血圧
本剤は血液透析により一部除去される。
マウスを用いたがん原性試験(2年間)において,臨床用量におけるヒトの全身曝露量の16倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
本剤を軽食とともに服用した場合の薬物動態は,空腹時投与に比較し有意な変動はなかったが,高脂肪食(約700~1,000kcal,40~50%が脂肪由来)摂取後に本剤を服用した場合には,テノホビルのAUC及びCmaxは,それぞれ約40%及び約14%上昇した。本剤300mgを1日1回食後反復投与した場合の,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ326±119ng/mL及び3,324±1,370ng・hr/mLであった(外国人における成績)。
テノホビル1.0mg/kg及び3.0mg/kgを静脈内投与後の定常状態での分布容積は,それぞれ1.3±0.6L/kg及び1.2±0.4L/kgであった。テノホビルのヒト血漿及び血清蛋白結合率(in vitro)は,0.01~25μg/mLのテノホビル濃度範囲においてそれぞれ0.7%未満及び7.2%未満であった(外国人における成績)注4)。
本薬は活性成分をテノホビルとするジエステル化プロドラッグであり,経口投与後,速やかにテノホビルに代謝され,その後細胞内でテノホビル二リン酸に代謝される。また,in vitro試験から,テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示されている(外国人における成績)。
本剤300mgを空腹時に経口投与した際,投与後48時間までのテノホビルの尿中排泄率は24±4%であり,CLrenalは287±64mL/minであった(日本人における成績)3)。本剤300mgを1日1回食後反復経口投与した際,投与量の32±10%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に回収された。また,テノホビルを静脈内投与した場合は,投与量の70~80%が72時間までに,テノホビルとして尿中に回収された。テノホビルは,糸球体濾過と尿細管への能動輸送により腎排泄される(外国人における成績)。
腎機能障害を有する患者を対象に,本剤300mgを単回投与した場合,クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者において,テノホビルのCmax及びAUCが上昇した(外国人における成績)(表1)。,,,,,
CLcr(mL/min)
例数
Cmax(ng/mL)
AUC(ng・hr/mL)
CL/F(mL/min)
CLrenal(mL/min)
>80
3
335.5±31.8
2,184.5±257.4
1,043.7±115.4
243.5±33.3
50‐80
10
330.4±61.0
3,063.8±927.0
807.7±279.2
168.6±27.5
30‐49
8
372.1±156.1
6,008.5±2,504.7
444.4±209.8
100.6±27.5
<30(12‐28)注5)
11
601.6±185.3
15,984.7±7,223.0
177.0±97.1
43.0±31.2
平均値±標準偏差
なお,血液透析による除去率は54%で,本剤300mg単回投与時には4時間の血液透析により投与量の約10%が除去された。
In vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において,テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4,CYP2D6,CYP2C9又はCYP2E1)を阻害しなかったが,CYP1Aをわずかに(6%)阻害した。本剤と主な薬剤との併用による,薬物動態への影響を下表に示す(表2及び表3)。また,表4に本剤とジダノシンとの相互作用を示す。
併用薬
併用薬の用量
他剤併用時/非併用時のテノホビルの薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
Cmax
AUC
Cmin
アバカビル
300mg1回
⇔
-
ラミブジン
150mg1日2回,7日間
15
ジダノシン(腸溶剤)
400mg1回
25
ジダノシン(制酸剤含有)
250あるいは400mg注6)1日1回,7日間
14
インジナビル
800mg1日3回,7日間
13
↑14(↓3~↑33)
ロピナビル・リトナビル
400/100mg1日2回,14日間
24
↑32(↑25~↑38)
↑51(↑37~↑66)
エファビレンツ
600mg1日1回,14日間
29
アタザナビル
400mg1日1回,14日間
33
↑14(↑8~↑20)
↑24(↑21~↑28)
↑22(↑15~↑30)
アデホビルピボキシル
10mg1回
22
エムトリシタビン
200mg1日1回,7日間
17
ネルフィナビル
1,250mg1日2回,14日間
サキナビル+リトナビル
1,000/100mg1日2回,14日間
35
↑23(↑16~↑30)
ダルナビル+リトナビル
300/100mg1日2回
12
↑24(↑8~↑42)
↑22(↑10~↑35)
↑37(↑19~↑57)
レジパスビル・ソホスブビル注7)
90/400mg1日1回,10日間
↑47(↑37~↑58)
↑35(↑29~↑42)
↑47(↑38~↑57)
レジパスビル・ソホスブビル注8)
23
↑64(↑54~↑74)
↑50(↑42~↑59)
↑59(↑49~↑70)
レジパスビル・ソホスブビル注9)
90/400mg1日1回,14日間
↑79(↑56~↑104)
↑98(↑77~↑123)
↑163(↑132~↑197)
レジパスビル・ソホスブビル注10)
↑32(↑25~↑39)
↑40(↑31~↑50)
↑91(↑74~↑110)
レジパスビル・ソホスブビル注11)
↑61(↑51~↑72)
↑65(↑59~↑71)
↑115(↑105~↑126)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,未算出:-
他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
↑12(↓1~↑26)
↓24(↓34~↓12)
経口避妊薬
エチニルエストラジオール・ノルゲスチメート1日1回,7日間
20
↓11(↓30~↑12)
30
34
↓21(↓27~↓14)
↓25(↓30~↓19)
↓40(↓48~↓32)
アタザナビル+リトナビル
300/100mg1日1回,42日間
↓28(↓50~↑5)
↓25注12)(↓42~↓3)
↓23注12)(↓46~↑10)
リバビリン
600mg1回
↑20(↑12~↑29)
ネルフィナビルM8代謝物
⇔⇔
サキナビル
32
↑22(↑6~↑41)
↑29(↑12~↑48)
↑47(↑23~↑76)
リトナビル
↑23(↑3~↑46)
ダルナビル
↑16(↓6~↑42)
↑21(↓5~↑54)
↑24(↓10~↑69)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,算出不能:-
ジダノシンの用量/投与方法注13)
本剤の投与方法注13)
ジダノシン空腹時400mg投与時に対する薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
制酸剤含有製剤400mg注14)1日1回,7日間
空腹時ジダノシン投与後1時間
↑28(↑11~↑48)
↑44(↑31~↑59)
腸溶剤
空腹時400mg,1回
食後ジダノシン投与後2時間
26
↑48(↑25~↑76)
↑48(↑31~↑67)
食後400mg,1回
ジダノシンと同時投与
↑64(↑41~↑89)
↑60(↑44~↑79)
空腹時250mg,1回
28
↓11(↓22~↑3)
↑14(0~↑31)
食後250mg,1回
↓29(↓39~↓18)
↓11(↓23~↑2)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔
抗レトロウイルス薬による治療を経験した患者550例を対象とし,継続中の抗レトロウイルス薬による治療に本剤(300mg 1日1回投与)又はプラセボを併用した多施設二重盲検試験を実施した4)。患者の試験開始時の平均CD4リンパ球数は427cells/mm3,血漿中HIV-1 RNA量の中央値は2,340copies/mLであり,HIV-1感染症に対する前治療歴は平均5.4年であった。また,患者の平均年齢は42歳,85%が男性であり,69%が白人であった。試験開始後48週までの血漿中HIV-1 RNA量の経時的変化(log10copies/mL)を図1に示す。なお,本試験では試験開始後24週目よりプラセボ投与群は,全て本剤投与へと変更された。
試験開始後24週及び48週の血漿中HIV-1 RNA量が<400copies/mLであった患者の比率は,本剤投与群で各々40%及び28%であり,プラセボ投与群では24週後で11%であった。さらに試験開始後24週の血漿中HIV-1 RNA量が<50copies/mLであった患者の比率は,本剤投与群で19%,プラセボ投与群で1%であった。また,試験開始後24週のCD4リンパ球数の平均変化量は,本剤投与群及びプラセボ投与群で各々+11cells/mm3及び-5cells/mm3であり,本剤投与群の試験開始後48週の変化量は+4cells/mm3であった。
抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者600例を対象とし,ラミブジン及びエファビレンツに本剤(300mg 1日1回投与)又はサニルブジンを併用した多施設二重盲検試験を実施した。患者の試験開始時の平均CD4リンパ球数は279cells/mm3,血漿中HIV-1 RNA量の中央値は77,600copies/mL,血漿中HIV-1 RNA量が>100,000copies/mLの患者は43%,CD4リンパ球数が<200cells/mm3の患者は39%であった。患者の平均年齢は36歳,74%が男性であり,64%が白人であった。試験開始後48週及び144週の結果を表1に示す。
結果
48週評価
144週評価
本剤投与群(299例)
サニルブジン投与群(301例)
有効例注15)
79%
82%
68%
62%
無効例注16)
6%
4%
10%
8%
再上昇例 無反応例 他剤追加例
5%0%1%
3%1%1%
8%0%2%
7%0%1%
死亡例
<1%
1%
2%
有害事象による中止例
13%
その他の理由による中止例注17)
7%
14%
15%
本試験における試験開始後144週のHIV-1 RNA量が<50copies/mLであった患者の比率は本剤投与群で62%,サニルブジン投与群で58%であった。また,CD4リンパ球数の平均増加量は,本剤投与群で263cells/mm3,サニルブジン投与群で283cells/mm3であった。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は,アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には,ジエステルの加水分解が必要であり,その後細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる5)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い6)。
HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を,ヒトリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのIC50値は,0.04μM~8.5μMの範囲であった。
テノホビルに対する感受性が低下したHIV-1分離株をin vitro試験により選択した結果,これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており,テノホビルに対する感受性が3~4倍低下していた。
本剤を他の抗レトロウイルス薬と併用した患者から,テノホビルに対して感受性が低下したHIV-1株が分離された。治療を経験した患者では,本剤による試験開始後96週までのウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ,HIV-1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。また,抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者に対する本剤+ラミブジン+エファビレンツの3剤併用療法では,試験開始後144週までのウイルス学的失敗例47例のうち,8例からテノホビル耐性株が確認された。
治療経験を有する患者を対象として,本剤投与前におけるウイルス遺伝子型が本剤のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(222例)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の94%に1ヵ所以上のNRTI変異が検出され,また,評価した患者の大部分において,プロテアーゼ阻害薬又は非核酸系逆転写酵素阻害薬に関連した変異が認められた。特定の変異あるいは変異数とHIV-1 RNA量の変化との関係を表1に示した。
試験開始前のジドブジン関連変異数注18)
HIV-1 RNA量の変化注19) (例数)
本剤300mg
プラセボ
なし
-0.80(68)
-0.11(29)
あり
-0.50(154)
0(81)
1‐2
-0.66(55)
-0.04(33)
M41LあるいはL210Wを含む3個以上の変異
-0.21(57)
+0.01(29)
M41LあるいはL210W以外の3個以上の変異
-0.67(42)
+0.07(19)
本剤投与により,M41L又はL210Wを含む3個以上のジドブジン関連変異を伴う場合にウイルス学的効果は低下したが,プラセボと比較した場合には効果が認められた。一方,M184V(ラミブジン+エムトリシタビン+アバカビル関連変異)の変異は本剤のウイルス学的効果に影響を与えず,M184V変異があってもジドブジン関連変異が無ければ,プラセボ群と比較し0.84log10copies/mL減少した。また,K65Rの変異により本剤のウイルス学的効果が減少する傾向が認められた。
治療経験を有する患者を対象に,本剤投与前におけるウイルス表現型が本剤投与のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(100例)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の本剤に対する感受性と本剤のウイルス学的効果とには相関が見られ,その関係を表2に示した。
試験開始前の本剤感受性注20)
HIV-1 RNA量の変化注21)(例数)
≦11<~≦33<~≦4
-0.74(35)-0.56(49)-0.3(7)
≦4>4
-0.61(91)-0.12(9)
903試験におけるウイルス学的失敗例から分離したHIV-1株では,エファビレンツ関連変異及びラミブジン関連変異が最も高頻度に認められ,本剤投与群とサニルブジン投与群との間に差は認められなかった。K65R変異は試験開始後144週までに本剤投与群の8例及びサニルブジン投与群の2例から分離したHIV-1株に認められたが,本剤投与群の8例のうち,7例では48週までに,1例では96週までに発現した。K65R以外にテノホビル耐性に関連する変異は認められなかった。
テノホビルで選択されるK65R変異は,アバカビル,ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV-1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから,K65R変異を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。ジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1分離株に対するテノホビルの活性をin vitroで評価した。20例から分離した複数(平均3ヵ所)のジドブジン関連変異を有するHIV-1臨床分離株において,テノホビルに対する感受性は3.1倍低下していた。また,T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても,テノホビルに対する感受性は低下していた7)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(Tenofovir Disoproxil Fumarate)
Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl){[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phosphonate monofumarate
C19H30N5O10P・C4H4O4
635.51
白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
114~118℃
1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
開栓後は,湿気を避けて保存すること。
30錠/瓶[乾燥剤入り]
1) 社内資料:1278-005試験(VAD承認年月日:2004.3.25) [VAD-001]
2) Benaboud S. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 2011;55(3):1315-1317. [VAD-002]
3) 中道昇,他. 新薬と臨牀. 2005;54(8):941-948. [VAD-003]
4) Squires K. et al. Ann. Intern. Med. 2003;139(5):313-320. [VAD-004]
5) Robbins B. L. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1998;42(3):612-617. [VAD-005]
6) Cihlar T. et al. Antivir. Chem. Chemother. 1997;8(3):187-195. [VAD-006]
7) Miller M. D. et al. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2001;20(4-7):1025-1028. [VAD-007]
ギリアド・サイエンシズ株式会社メディカルサポートセンター
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