当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常,成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
通常,成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。
クレアチニンクリアランス(CLcr)
投与方法
50mL/min以上
本剤1錠を1日1回投与
30~49mL/min
本剤1錠を2日間に1回投与
30mL/min未満又は血液透析患者
本剤は投与しない
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。
血清リンの検査を実施すること。
エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する。,,,,
クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の者への投与は推奨されない。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1)。
授乳を避けさせること。エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており2),テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)において,テノホビルの乳汁中への移行が報告されている。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
ジダノシン
ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。
アタザナビル硫酸塩
アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。
ロピナビル・リトナビル
本剤による有害事象を増強するおそれがある。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。
アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等
これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。
尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。
ダルナビル+リトナビル
テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。
レジパスビル・ソホスブビル
腎毒性を有する薬剤,,,,
併用は避けることが望ましい。
腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。,,,,
血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。
2%以上
2%未満
頻度不明注1)
代謝及び栄養障害
食欲不振,食欲亢進,食欲減退
高脂血症,体脂肪の再分布/蓄積,体重減少,高コレステロール血症,高血糖,低リン酸血症,低カリウム血症,高尿酸血症,糖尿病
精神障害
うつ病,神経過敏,不安,リビドー減退,睡眠障害,感情不安定
神経系障害
頭痛(2.7%)
浮動性めまい,不眠症,傾眠
錯感覚,異常な夢,ニューロパチー,末梢性ニューロパチー,前庭障害,思考異常,味覚異常,振戦
呼吸器,胸郭及び縦隔障害
気管支炎,鼻炎,呼吸困難,咽頭炎
胃腸障害
悪心(10.9%),下痢(7.0%)
嘔吐,鼓腸,腹部膨満,口内乾燥,腹痛,上腹部痛
消化不良,便秘,胃炎,胃腸障害,口臭,アフタ性潰瘍,おくび
肝胆道系障害
脂肪肝,肝炎,肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
皮膚色素過剰(2.3%)
発疹
そう痒症,皮膚変色,多汗症,皮膚乾燥,脱毛症,湿疹,ざ瘡,脂漏,帯状疱疹,単純ヘルペス,皮膚良性新生物
筋骨格系及び結合組織障害
筋肉痛,関節痛,骨障害,背部痛,側腹部痛,筋痙攣,骨軟化症,ミオパチー,骨粗鬆症
一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労(3.1%)
発熱,ほてり
無力症,疼痛,倦怠感,悪寒,胸痛,末梢性浮腫
臨床検査注2)
血中アミラーゼ増加(7.5%),CK増加(7.1%),血中トリグリセリド増加(4.3%),AST増加(2.8%),好中球数減少(2.8%),ALT増加(2.0%),血尿(2.0%)
Al-P増加,血中ブドウ糖増加,尿糖
リパーゼ増加,血中ビリルビン増加,血中リン減少,血小板数減少,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加
その他
白血球減少症,血管拡張,感染,頻尿,インフルエンザ症候群,視覚異常,多尿,アレルギー反応,高血圧
エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。
エムトリシタビン製剤:エムトリシタビンの血漿中濃度は,エムトリシタビン製剤(200mg)単回経口投与後1~2時間後にCmaxに達した。エムトリシタビン製剤(200mg)経口投与後のエムトリシタビンの血漿中半減期は約10時間であった(外国人における成績)(表1)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤:テノホビルの血清中濃度は,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)経口投与後1.0±0.4時間後にCmaxに達した。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回経口投与後のテノホビルのβ相半減期は約17時間であった(外国人における成績)(表1)。
エムトリシタビン
テノホビル
空腹時の生物学的利用率(%)注3)
92(83.1-106.4)
25(NC注4)-45.0)
β相半減期(hr)注3)
10(7.4-18.0)注5)
17(12.0-25.7)
Cmax(μg/mL)注6)
1.8±0.7注5)
0.30±0.09
AUC(μg・hr/mL)注6)
10.0±3.1注5)
2.29±0.69
CL/F(mL/min)注6)
302±94
1,044±115
CLrenal(mL/min)注6)
213±89
243±33
健康成人志願者39例を対象として空腹時単回投与により検討した結果,本剤1錠と,エムトリシタビン製剤(200mg)1カプセル及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)1錠の併用とは生物学的に同等であった(外国人における成績)。
本剤を高脂肪食(784kcal,約58%が脂肪由来)と共に服用した場合,テノホビルのTmaxは約0.75時間延長し,AUCは約35%,Cmaxは約16%上昇した。また,本剤を軽食(373kcal,約20%が脂肪由来)と共に服用したときも同様の変化(Tmaxが約0.75時間延長,AUCが約34%上昇,Cmaxが約14%上昇)が認められた。また,本剤を高脂肪食又は軽食と共に服用した場合,エムトリシタビンのAUC及びCmaxは,影響を受けなかった(外国人における成績)。
エムトリシタビン:ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.02~200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった(外国人における成績)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:ヒト血漿蛋白に対する結合率は0.01~25μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず0.7%未満であった(外国人における成績)。
エムトリシタビン:ヒト肝ミクロソームを用いた各種検討において,2%未満の代謝物が検出された。14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された(外国人における成績)4),5)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:経口投与後,速やかにテノホビルに代謝され,その後,細胞内でテノホビル二リン酸に代謝された。in vitro試験において,テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示された(外国人における成績)6)。
エムトリシタビン:日本人健康被験者に本剤1錠を空腹時に経口投与したところ,エムトリシタビンの投与48時間後までの累積尿中排泄率は79±6%であった3)。外国人健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の86%は尿中に,14%は糞中に回収された5)。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された7)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:日本人健康被験者に本剤1錠を空腹時に経口投与したところ,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の活性成分であるテノホビルの投与48時間後までの累積尿中排泄率は21±3%であった3)。外国人HIV-1感染症患者にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg 1日1回食後反復経口投与したところ,投与量の32%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に排泄され,テノホビルを静脈内投与した場合は,投与量の70~80%が72時間までに,テノホビルとして尿中に排泄された8)。腎クリアランスは推定クレアチニンクリアランスを超えていると考えられたことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送による腎排泄が示唆された9)。
本剤による腎不全患者を対象とした臨床試験成績は得られていないため,エムトリシタビン製剤(200mg)又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)の単独投与での成績を示す。クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者では,エムトリシタビンとテノホビルのCmaxとAUCがそれぞれ上昇した(外国人における成績)(表2,3)。なお,エムトリシタビン製剤(200mg)単回投与時には,投与1.5時間以内に開始した3時間の血液透析(血液流量400mL/min,透析液流量600mL/min)により投与量の約30%が除去された。また,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回投与時には4時間の血液透析(テノホビルの除去率は54%)により投与量の約10%が除去された。,,,,,
CLcr(mL/min)
例数
投与前のCLcr平均値(mL/min)
Cmax(μg/mL)
AUC(μg・hr/mL)
CL/F(mL/min)
CLrenal(mL/min)
>80
6
107±21
2.2±0.6
11.8±2.9
213.3±89.0
50-80
59.8±6.5
3.8±0.9
19.9±1.1
168±10
121.4±39.0
30-49
40.9±5.1
3.2±0.6
25.1±5.7
138±28
68.6±32.1
<30
5
22.9±5.3
2.8±0.7
33.7±2.1
99±6
29.5±11.4
透析を必要とする末期腎不全患者<30
8.8±1.4
2.8±0.5
53.2±9.9
64±12
-
平均値±標準偏差算出不能:-
Cmax(ng/mL)
AUC(ng・hr/mL)
3
335.5±31.8
2,184.5±257.4
1,043.7±115.4
243.5±33.3
10
330.4±61.0
3,063.8±927.0
807.7±279.2
168.6±27.5
8
372.1±156.1
6,008.5±2,504.7
444.4±209.8
100.6±27.5
<30(12-28)注7)
11
601.6±185.3
15,984.7±7,223.0
177.0±97.1
43.0±31.2
平均値±標準偏差
本剤による薬物相互作用試験は実施されていないため,エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による成績を示す。エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用投与と,両製剤の単独投与とを比較したところ,エムトリシタビン及びテノホビルの定常状態の薬物動態に変化は認められなかった。
臨床使用量で血漿中に認められた濃度の14倍まで濃度を上昇させても,エムトリシタビンはヒトチトクロームP450分子種(CYP1A2,CYP2A6,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6及びCYP3A4)によるin vitro薬物代謝を阻害しなかった。エムトリシタビンはグルクロン酸抱合を担う酵素(ウリジン-5’-二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼ)を阻害しなかった。これらのin vitro実験結果及び確認されているエムトリシタビンの排泄経路を考慮すると,ヒトチトクロームP450を介するエムトリシタビンと他の薬剤との相互作用が生じる可能性は低い。健康成人志願者を対象にエムトリシタビンとテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩,インジナビル,サニルブジン及びジドブジンとの併用における薬物動態の評価を行った(外国人における成績)。併用薬がエムトリシタビンの薬物動態に及ぼす影響及びエムトリシタビンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表4,5に示す。
併用薬
併用薬の用量
エムトリシタビンの用量
他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
Cmax
AUC
Cmin
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
300mg1日1回7日間
200mg1日1回7日間
17
⇔
↑20(↑12~↑29)
インジナビル
800mg1回
200mg1回
12
サニルブジン
40mg1回
ジドブジン
300mg1日2回7日間
27
上昇:↑,不変:⇔,算出不能:-
他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
↑17(↑0~↑38)
↑13(↑5~↑20)
In vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において,テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4,CYP2D6,CYP2C9又はCYP2E1)を阻害しなかったが,CYP1Aをわずかに(6%)阻害した(外国人における成績)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤と主な薬剤との併用による,薬物動態への影響を下表に示す(表6,7)。また,表8にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシンとの相互作用を示す。
他剤併用時/非併用時のテノホビルの薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
アバカビル
300mg1回
ラミブジン
150mg1日2回,7日間
15
ジダノシン(腸溶剤)
400mg1回
25
ジダノシン(制酸剤含有)
250あるいは400mg注8)1日1回,7日間
14
800mg1日3回,7日間
13
↑14(↓3~↑33)
400/100mg1日2回,14日間
24
↑32(↑25~↑38)
↑51(↑37~↑66)
エファビレンツ
600mg1日1回,14日間
29
アタザナビル
400mg1日1回,14日間
33
↑14(↑8~↑20)
↑24(↑21~↑28)
↑22(↑15~↑30)
アデホビルピボキシル
10mg1回
22
200mg1日1回,7日間
ネルフィナビル
1,250mg1日2回,14日間
サキナビル・リトナビル
1,000/100mg1日2回,14日間
35
↑23(↑16~↑30)
300/100mg1日2回
↑24(↑8~↑42)
↑22(↑10~↑35)
↑37(↑19~↑57)
レジパスビル・ソホスブビル注9)
90/400mg1日1回,10日間
↑47(↑37~↑58)
↑35(↑29~↑42)
↑47(↑38~↑57)
レジパスビル・ソホスブビル注10)
23
↑64(↑54~↑74)
↑50(↑42~↑59)
↑59(↑49~↑70)
レジパスビル・ソホスブビル注11)
90/400mg1日1回,14日間
↑79(↑56~↑104)
↑98(↑77~↑123)
↑163(↑132~↑197)
レジパスビル・ソホスブビル注12)
↑32(↑25~↑39)
↑40(↑31~↑50)
↑91(↑74~↑110)
レジパスビル・ソホスブビル注13)
↑61(↑51~↑72)
↑65(↑59~↑71)
↑115(↑105~↑126)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,未算出:-
↑12(↓1~↑26)
↓24(↓34~↓12)
経口避妊薬
エチニルエストラジオール・ノルゲスチメート1日1回,7日間
20
↓11(↓30~↑12)
30
34
↓21(↓27~↓14)
↓25(↓30~↓19)
↓40(↓48~↓32)
アタザナビル・リトナビル
300/100mg1日1回,42日間
↓28(↓50~↑5)
↓25注14)(↓42~↓3)
↓23注14)(↓46~↑10)
リバビリン
600mg1回
M8代謝物
サキナビル
32
↑22(↑6~↑41)
↑29(↑12~↑48)
↑47(↑23~↑76)
リトナビル
↑23(↑3~↑46)
ダルナビル
↑16(↓6~↑42)
↑21(↓5~↑54)
↑24(↓10~↑69)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔,算出不能:-
ジダノシンの用量/投与方法注15)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の投与方法注15)
ジダノシン空腹時400mg投与時に対する薬物動態パラメータ変化率(%)(90%信頼区間)
制酸剤含有製剤400mg注16)1日1回,7日間
空腹時ジダノシン投与後1時間
↑28(↑11~↑48)
↑44(↑31~↑59)
腸溶剤
空腹時400mg,1回
食後ジダノシン投与後2時間
26
↑48(↑25~↑76)
↑48(↑31~↑67)
食後400mg,1回
ジダノシンと同時投与
↑64(↑41~↑89)
↑60(↑44~↑79)
空腹時250mg,1回
28
↓11(↓22~↑3)
↑14(0~↑31)
食後250mg,1回
↓29(↓39~↓18)
↓11(↓23~↑2)
上昇:↑,低下:↓,不変:⇔
抗レトロウイルス薬による治療を未経験者の患者511例を対象とし,エファビレンツにエムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤又はジドブジン・ラミブジン配合剤を併用した多施設非盲検試験を実施した10)。患者の平均年齢は38歳,86%が男性であり,59%が白人,23%が黒人であった。試験開始時の平均CD4リンパ球数は,245cells/mm3,血漿中HIV-1 RNA量の中央値は5.01log10copies/mLであった。試験開始時のCD4リンパ球数が<200cells/mm3の患者は41%,血漿中HIV-1 RNA量が>100,000copies/mLの患者は51%であった。試験開始時にエファビレンツ抵抗性を有していなかった患者の試験開始後48週の結果を表1に示す。
結果
エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群(244例)
ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群(243例)
有効例注17)
84%
73%
無効例注18)
2%
4%
再上昇例 無反応例 他剤変更例
1%0%1%
3%0%1%
死亡例
<1%
1%
有害事象による中止例
9%
その他の理由による中止例注19)
10%
14%
また,試験開始後48週の血漿中HIV-1 RNA量が<50copies/mLであった患者の比率は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で80%,ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で70%であった。さらに,試験開始後48週のCD4リンパ球数の平均増加量は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で190cells/mm3,ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で158cells/mm3であった。試験開始後48週でCDC分類のカテゴリーCの事象を発現した症例は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で7例,ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で5例であった。副作用発現頻度は,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で32.7%(84/257例)であった。主な副作用は,悪心10.9%(28/257例),下痢7.0%(18/257例)及び疲労3.1%(8/257例)であった。
エムトリシタビン:エムトリシタビンは,シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり,細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となる11)。エムトリシタビン5’-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’-三リン酸と競合すること,及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後に,DNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β,ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するエムトリシタビン5’-三リン酸の阻害作用は弱い12)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は,アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には,ジエステルの加水分解が必要であり,その後細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる13)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い14)。
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:エムトリシタビンとテノホビルの併用により抗ウイルス活性を評価した試験では,相乗的な抗ウイルス作用が認められた。エムトリシタビン:ヒトリンパ芽球様細胞株,MAGI-CCR5細胞株及び末梢血単核細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は,0.0013~0.64μMの範囲であった15),16)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を,ヒトリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのEC50値は,0.04~8.5μMの範囲であった。
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:エムトリシタビンとテノホビルのin vitroでの併用により,両剤に対する感受性が低下したHIV-1株を選択した。これらの分離株での遺伝子型解析の結果,ウイルス逆転写酵素遺伝子にM184V/I及び(あるいは)K65R変異が認められた。934試験において,試験開始後144週までに血漿中HIV-1 RNA量が>400copies/mLとなりウイルス学的失敗となった症例又は試験中止となった症例から分離したHIV-1株の遺伝子型解析を行った。その結果,エファビレンツ関連変異が最も高頻度に認められたが,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群とジドブジン・ラミブジン配合剤投与群との間に差は認められなかった。エムトリシタビン及びラミブジンに関連した変異であるM184Vが,エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群では19例中2例(11%)に,ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群では29例中10例(34%)に認められた。K65R変異は試験開始後144週まで通常の遺伝子型解析で認められなかったが,さらに投与期間を延長した場合については不明である。エムトリシタビン:In vitro及びin vivoにおいてエムトリシタビン耐性HIV-1株を得た。これらの分離株の遺伝子型解析により,エムトリシタビンに対する感受性の低下と,HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異との間に関連性が認められた17)。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルに対する感受性が低下したHIV-1分離株をin vitro試験により選択した結果,これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており,テノホビルに対する感受性が3~4倍低下していた。抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者では,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による144週までの治療でK65R変異を持つHIV-1株が8例に認められたが,そのうち7例は48週までに,1例は96週までに検出された。また,治療を経験した患者では,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の治療によるウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ,HIV-1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:これまでに一部の核酸系逆転写酵素阻害薬の間には交差耐性が認められている。エムトリシタビンとテノホビルの併用でin vitroにおいて選択されたM184V/I及び(あるいは)K65R変異は,テノホビルとラミブジンあるいはエムトリシタビンの併用による治療,アバカビルによる治療,あるいはジダノシンによる治療に失敗した患者由来のHIV-1分離株からも認められている。したがって,これらの変異の両方あるいは一方を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。エムトリシタビン:エムトリシタビン耐性株(M184V/I)はラミブジン及びザルシタビンに対して交差耐性を示したが,ジダノシン,サニルブジン,テノホビル,ジドブジン及び非核酸系逆転写酵素阻害薬(デラビルジン,エファビレンツ及びネビラピン)に対してはin vitroで感受性を維持した。アバカビル,ジダノシン,テノホビル及びザルシタビンによりin vivoで選択されるK65R変異を有するHIV-1分離株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された。ジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F,K219Q/E)又はジダノシン関連変異(L74V)を有するウイルスは,エムトリシタビンに対する感受性を維持した。非核酸系逆転写酵素阻害薬耐性と関連づけられるK103N変異を有するHIV-1は,エムトリシタビンに対して感受性を示した。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルで選択されるK65R変異は,アバカビル,ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV-1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから,K65R変異を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。また,平均3ヵ所のジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1臨床分離株(20例)では,テノホビルに対する感受性が3.1倍低下していた。さらに,T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても,テノホビルに対する感受性は低下していた18)。
エムトリシタビン(Emtricitabine)
4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
C8H10FN3O3S
247.25
白色~帯黄白色の粉末であり,水,メタノールに溶けやすく,アセトニトリルに溶けにくく,酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
約155℃
-0.43(オクタノール/水)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(Tenofovir Disoproxil Fumarate)
Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl){[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phosphonate monofumarate
C19H30N5O10P・C4H4O4
635.51
白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール,エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
114~118℃
1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
開栓後は,湿気を避けて保存すること。
30錠/瓶[乾燥剤入り]
1) 社内資料:1278-005試験(VAD承認年月日:2004.3.25) [TVD-001]
2) Benaboud S. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 2011;55(3):1315-1317. [TVD-002]
3) 古家英寿,他. 新薬と臨牀 2006;55(10):1515-1528. [TVD-003]
4) 社内資料:15396試験(EMT承認年月日:2005.3.23) [TVD-004]
5) 社内資料:FTC-106試験(EMT承認年月日:2005.3.23) [TVD-005]
6) Kearney B.P. et al. Clin Pharmacokinet. 2004;43(9):595-612. [TVD-006]
7) 社内資料:FTC-101試験(EMT承認年月日:2005.3.23) [TVD-007]
8) 社内資料:901/701試験(VAD承認年月日:2004.3.25) [TVD-008]
9) Ray A.S. et al. Abstract. Antimicrobial. Agents and Chemotherapy. 2006;50(10):3297-3304. [TVD-009]
10) Gallant J.E. et al. N. Engl. J. Med. 2006;354(3):251-260. [TVD-010]
11) Paff M.T. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1994;38(6):1230-1238. [TVD-011]
12) George R.P. et al. Drugs Future. 1995;20(8):761-765. [TVD-012]
13) Robbins B.L. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1998;42(3):612-617. [TVD-013]
14) Cihlar T. et al. Antivir. Chem. Chemother. 1997;8(3):187-195. [TVD-014]
15) Jeong L.S. et al. J. Med. Chem. 1993;36(2):181-195. [TVD-015]
16) Schinazi R.F. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1992;36(11):2423-2431. [TVD-016]
17) Tisdale M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 1993;90(12):5653-5656. [TVD-017]
18) Miller M.D. et al. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2001;20(4-7):1025-1028. [TVD-018]
ギリアド・サイエンシズ株式会社メディカルサポートセンター
〒100-6616 東京都千代田区丸の内一丁目9番2号グラントウキョウサウスタワー
フリーダイアル 0120-506-295FAX 03-5958-2959受付時間:9:00~17:30(土・日・祝日及び会社休日を除く)
**本剤はHIV-1感染症の治療目的で使用した場合にのみ保険給付される。
ギリアド・サイエンシズ株式会社
東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.