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特例承認医薬品注)
処方箋医薬品注)
SARS-CoV-2による感染症
臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、以下の患者を対象に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。,
通常、成人及び体重40kg以上の小児にはレムデシビルとして、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。通常、体重3.5kg以上40kg未満の小児にはレムデシビルとして、投与初日に5mg/kgを、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注する。なお、総投与期間は10日までとする。
**添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムの尿細管への蓄積により、腎機能障害が悪化するおそれがある。非臨床試験でレムデシビルに腎尿細管への影響が認められている。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラット及びウサギを用いた胚・胎児への影響に関する試験で、レムデシビル20mg/kgまでを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の4倍に相当)、胚・胎児発生に対する影響は認められなかった。雌ラットを用いた受胎能及び初期胚発生への影響に関する試験において、レムデシビル10mg/kgを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の1.3倍に相当)、黄体数・胚着床数・生存胚数の減少が認められている。
*治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。レムデシビル及び代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524)がヒト乳汁中に移行することが報告されている20),21)。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。28日齢未満の小児等を対象とした臨床試験結果は得られていない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多くみられる。
ヒドロキシクロロキン硫酸塩
クロロキン(国内未承認)
レムデシビルの抗ウイルス活性が低下する可能性がある。
レムデシビルの活性代謝物の生成及び抗ウイルス活性をクロロキンが阻害する可能性がある。
シクロスポリン
レムデシビル及び中間代謝物(GS-704277)の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
シクロスポリンの強力なOATP1B1/3阻害作用による。
ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は検査値異常(抱合型ビリルビン、ALP又はINRの異常)が認められた場合には、投与を中止すること。
低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある。
1%以上4%未満
0.1%以上1%未満
頻度不明
血液およびリンパ系障害
貧血
心臓障害
徐脈
胃腸障害
悪心
嘔吐、便秘、下痢
一般・全身障害および投与部位の状態
注入部位疼痛、疲労、発熱、悪寒
肝胆道系障害
高トランスアミナーゼ血症、高ビリルビン血症
臨床検査
ALT増加、AST増加
プロトロンビン時間延長、肝酵素上昇、肝機能検査値上昇、糸球体濾過率減少、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加、トランスアミナーゼ上昇、ヘモグロビン減少
代謝および栄養障害
高トリグリセリド血症
筋骨格系および結合組織障害
関節痛
神経系障害
頭痛、浮動性めまい
精神障害
不眠症
皮膚および皮下組織障害
発疹、そう痒症、斑状皮疹
血管障害
静脈炎
体重(kg)
初日の投与量(mg)
バイアル数
希釈後のバイアルから抜き取る量(mL)
生理食塩液に添加後の全量(mL)
3.5
17.5
1
25
4
20
5
7.5
37.5
50
10
15
75
100
125
2
25(20+5)
30
150
30(20+10)
35
175
35(20+15)
250
体重40kg未満の小児における維持用量(mg)
8.8
1.8
12.5
2.5
18.8
3.8
62.5
87.5
SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1)では、プロトロンビン時間延長又は国際標準化比(INR)増加の発現割合はプラセボ群と比較して本剤投与群で高かった。なお、両投与群間で出血イベントの発現に差は認められなかった。
アカゲザルを用いた7日間静脈内投与試験の20mg/kg/日群で腎毒性に伴う死亡、5mg/kg/日以上の群で血中尿素窒素・クレアチニンの増加等の腎機能障害、腎尿細管の組織傷害性、ラットを用いた14又は28日間静脈内投与試験において、臨床曝露量未満(10mg/kg/日以上)で血中腎機能マーカー異常・尿素窒素及びクレアチニンの増加、並びに尿中電解質・タンパク異常、腎尿細管の組織傷害性が認められた。なお、カニクイザルを用いた28日間静脈内投与試験で、最高用量10mg/kg/日群で腎毒性は認められていない。
外国人健康成人被験者に3mgから225mgの用量範囲でレムデシビルを2時間かけて単回静脈内投与したとき注5)、レムデシビルは線形の薬物動態プロファイルを示した。外国人健康被験者に、レムデシビルを投与初日は200mg、2~5日目又は10日目に100mgを1日1回30分間かけて反復静脈内投与したときのレムデシビル、代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524)及び中間代謝物(GS-704277)の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
用量(mg)
例数
測定対象
測定日
Cmax(ng/mL)
AUCa)(ng・h/mL)
t1/2b)(h)
200
28
レムデシビル
1日目
4378(23.5)
2863(18.6)
0.90
26c)
5日目及び10日目
2229(19.2)
1585(16.6)
0.96
ヌクレオシド類似体d)
143(21.5)
2191(19.1)
-
26
145(19.3)
2229(18.4)
27.4
中間代謝物e)
370(29.3)
698(25.9)
1.27
246(33.9)
462(31.4)
1.23
平均値(CV%)、-:該当なし
a)1日目:AUC0-24h、5日目及び10日目:AUCtau
b)中央値
c)AUC及びt1/2は25例
d)GS-441524
e)GS-704277
健康成人被験者並びに成人及び小児のSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした試験の併合データを用いて構築した母集団薬物動態モデルにより推定した、成人患者(147例)での本剤の静脈内反復投与後のレムデシビル及びその循環血中代謝物[ヌクレオシド類似体(GS-441524)及び中間代謝物(GS-704277)]の薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人のデータ)。
ヌクレオシド類似体b)
中間代謝物c)
2700(2440-2990)
143(135-152)
198(180-218)
AUCtau(h*ng/mL)
1710(1480-1980)
2410(2250-2580)
392(348-442)
幾何平均値(95%信頼区間)
a)本剤を30分間かけて最長3日間静脈内投与したときの母集団薬物動態推定値(GS-US-540-9012試験)
b)GS-441524
c)GS-704277
投与初日に本剤200mgを、2及び3日目に本剤100mgを1日1回静脈内投与した。
In vitro試験において、レムデシビルのヒト血漿蛋白に対する結合率は88~93%であった。ヌクレオシド類似体(GS-441524)のヒト血漿蛋白に対する結合率は低かった(2%)。外国人健康成人に14C標識したレムデシビル150mgを単回静脈内投与したとき注6)、総放射能の血液/血漿比は投与開始15分後で約0.68であり、時間の経過とともに上昇し、投与5時間後では1.0であった。レムデシビル及び代謝物は、血漿又は血液中の細胞成分に対して異なる分布を示す。
レムデシビルは主にカルボキシルエステラーゼ1(CES1)により加水分解され、一部カテプシンA(CatA)やCYP3Aにより代謝される。加水分解により生成された中間代謝物(GS-704277)は主にヒスチジントライアドヌクレオチド結合タンパク質1(HINT1)により代謝される。中間代謝物はホスホルアミダートの分解とそれに続くリン酸化により活性型三リン酸(GS-443902)となる。一方、脱リン酸化により、効率的に再リン酸化されないヌクレオシド代謝物(GS-441524)が生成される。
外国人健康成人被験者に14C標識レムデシビル150mgを単回静脈内投与したとき注6)、投与量の平均総回収率は92%を超え、尿中及び糞中排泄率はそれぞれ約74%及び約18%であった。尿中に回収された大部分は、代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524、49%)であり、10%がレムデシビルであった。
健康成人被験者並びに成人及び小児のSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした試験の併合データを用いて構築した母集団薬物動態モデルにより推定した、GS-US-540-5823試験における体重3.0kg以上の28日齢以上18歳未満の小児患者(50例)での本剤の静脈内反復投与後のレムデシビル及び代謝物(ヌクレオシド類似体[GS-441524]及び中間代謝物[GS-704277])の薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人のデータ)。
コホート1:12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上(12例)
コホート2:28日齢以上18歳未満かつ体重20kg以上40kg未満(12例)
コホート3:28日齢以上18歳未満かつ体重12kg以上20kg未満(11例)
コホート4:28日齢以上18歳未満かつ体重3kg以上12kg未満(10例)
コホート8:12歳未満かつ体重40kg以上(5例)
3910(3140-4870)
5680(4660-6930)
5530(4240-7210)
4900(3790-6340)
3920(2270-6790)
2470(1940-3150)
3500(2570-4780)
3910(2140-7160)
2930(1900-4520)
2280(1200-4300)
197(123-316)
181(132-248)
158(116-215)
202(171-238)
162(57.4-458)
3460(2010-5960)
2870(2020-4080)
2400(1740-3320)
2770(2230-3450)
2640(772-9030)
307(212-443)
423(309-578)
444(336-585)
390(305-500)
278(145-532)
815(474-1400)
754(547-1040)
734(513-1050)
691(494-966)
537(203-1420)
a)本剤を30分間かけて最長10日間静脈内投与したときの母集団薬物動態推定値(GS-US-540-5823試験)
コホート1(12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上)及びコホート8(12歳未満かつ体重40kg以上)では、投与初日に本剤200mgを、以降最長10日目まで本剤100mgを1日1回投与した。コホート2から4では、投与初日に本剤5mg/kgを、以降最長10日目まで2.5mg/kgを1日1回投与した。
注)国内では、体重3.5kg以上の小児に対する用法・用量が承認されている。
腎機能正常被験者に対する腎機能障害被験者(軽度、中等度、重度の腎機能障害及び末期腎不全)における単回投与時のレムデシビル及び代謝物(ヌクレオシド類似体[GS-441524]及び中間代謝物[GS-704277])の薬物動態パラメータ比は以下のとおりであった(外国人のデータ)。
eGFRb)区分(mL/min/1.73m2)
60以上90未満(10例)
30以上60未満(10例)
15以上30未満(10例)
15未満
血液透析前(6例)
血液透析後(6例)
血液透析なし(3例)
Cmax
0.96(0.71-1.31)
1.20(1.01-1.42)
0.97(0.83-1.13)
0.89(0.67-1.18)
1.13(0.79-1.60)
0.94(0.65-1.35)
AUCinf
1.00(0.75-1.32)
1.22(0.98-1.52)
0.94(0.83-1.07)
0.80c)(0.59-1.08)
1.08c)(0.72-1.63)
0.89(0.55-1.43)
1.07(0.90-1.26)
1.44(1.12-1.85)
1.68(1.28-2.20)
2.26(1.72-2.99)
3.07(2.21-4.26)
3.00(2.63-3.42)
1.19(0.97-1.47)
2.02(1.57-2.62)
3.26(2.39-4.46)
4.97c)(3.65-6.77)
6.22c)(4.44-8.71)
7.87(6.49-9.53)
2.25(1.20-4.20)
1.83(1.34-2.49)
1.27(0.96-1.68)
1.43(1.00-2.05)
1.23(0.84-1.80)
1.76(1.18-2.61)
1.39(1.13-1.71)
2.01(1.48-2.73)
1.78(1.27-2.49)
2.18c)(1.61-2.95)
2.06c)(1.42-2.97)
2.81(1.79-4.43)
a)腎機能正常被験者に対する腎機能障害被験者の薬物動態パラメータを比較、幾何平均値の比
b)eGFRはModification of Diet in Renal Disease式を用いて算出した。
c)AUC0-72h
腎機能障害被験者を対象とした第Ⅰ相試験(GS-US-540-9015試験)のノンコンパートメント解析を用いて曝露量を推定した。腎機能障害被験者と性別、BMI(±20%)及び年齢(±10歳)でマッチングした腎機能正常被験者(eGFR≥90mL/min/1.73m2)を組み入れ、腎機能障害被験者及び腎機能正常被験者に同量のレムデシビル(最大100mg)を単回投与した。
母集団薬物動態モデルにより推定した、本剤を国内承認用法・用量で投与した場合のスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムの曝露量(Cmax及びAUCtau)は、クレアチニン・クリアランスの低下に伴い上昇した。末期腎不全患者(クレアチニン・クリアランスが15mL/min以下)では、腎機能正常被験者と比較してAUCtauが投与初日、5日目及び10日目でそれぞれ8倍、18倍及び20倍高かった(外国人のデータ)23)。
肝機能正常被験者に対する中等度又は重度(Child-Pugh分類B又はC)肝機能障害被験者における単回投与時のレムデシビル及び代謝物(ヌクレオシド類似体[GS-441524]及び中間代謝物[GS-704277])の薬物動態パラメータ比は以下のとおりであった(外国人のデータ)22)。
中等度肝機能障害(10例)
重度肝機能障害(6例)
1.10(0.75-1.60)
1.03(0.70-1.51)
1.21(0.87-1.67)
1.56(1.20-2.03)
1.09(0.86-1.38)
1.48(1.17-1.86)
0.90(0.69-1.17)
1.31(0.93-1.84)
1.29(0.54-3.08)
1.07(0.70-1.63)
1.38(0.92-2.07)
2.41(1.70-3.42)
a)肝機能正常被験者に対する肝機能障害被験者の薬物動態パラメータを比較、幾何平均値の比
肝機能障害被験者を対象とした第Ⅰ相試験(GS-US-540-9014試験)のノンコンパートメント解析を用いて曝露量を推定した。肝機能障害被験者と性別、BMI(±20%)及び年齢(±10歳)でマッチングした肝機能正常被験者を組み入れ、肝機能障害被験者及び肝機能正常被験者にレムデシビル100mgを単回投与した。
妊娠していない女性(22例)に対する妊婦(21例)でのレムデシビル及び代謝物(ヌクレオシド類似体[GS-441524]及び中間代謝物[GS-704277])の薬物動態パラメータ比は以下のとおりであった(外国人のデータ)19)。
1.1(0.7-1.7)
0.9(0.8-1.1)
1.0(0.9-1.2)
AUCtau
1.0(0.7-1.4)
0.9(0.7-1.1)
a)妊娠していない女性に対する妊婦の薬物動態パラメータを比較、幾何平均値の比
妊婦及び妊娠していない女性を対象とした第Ⅳ相試験(CO-US-540-5961試験)のノンコンパートメント解析を用いて曝露量を推定した。妊婦及び妊娠可能だが妊娠していない女性に対して、投与初日にレムデシビル200mgを、投与2日目以降はレムデシビル100mgを1日1回5日間(最大10日間)投与した。
レムデシビルはOATP1B1及びP-gpの基質である。また、CYP3A、UGT1A1、OATP1B1、OATP1B3及びMATE1に対し阻害作用を示す。中間代謝物(GS-704277)はOATP1B1及びOATP1B3の基質である。
薬物相互作用試験の結果を以下に示す(外国人のデータ)。
併用薬
併用薬の投与量
レムデシビルの投与量
レムデシビル及び代謝物の薬物動態パラメータ比(90%信頼区間)
シクロスポリン14)
400mg単回
100mg単回
9
1.49(1.38-1.60)
1.89(1.77-2.02)
ヌクレオシド類似体a)
1.17(1.12-1.22)
1.03(0.99-1.08)
中間代謝物b)
2.51(2.26-2.78)
2.97(2.75-3.20)
カルバマゼピン14)
300mg1日2回
8
0.87(0.78-0.97)
0.92(0.83-1.02)
0.97(0.88-1.07)
0.83(0.78-0.89)
0.96(0.84-1.10)
0.98(0.92-1.05)
a)GS-441524
b)GS-704277
18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者(1,062例、うち15例は国内試験実施施設において登録された)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に本剤100mgを1日1回、又はプラセボを静脈内投与した3)。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。治験薬投与に加えて各国のSARS-CoV-2による感染症治療に関するガイドライン等に従った標準療法の実施が可能とされた。主要評価項目は、無作為化後28日目までにおける回復(8点順序尺度注7)のスコア1~3に該当)までの時間であった。その結果、回復までの時間(中央値)について、本剤投与群で10日、プラセボ群で15日であり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められた(ハザード比:1.29、95%信頼区間:1.12~1.49、p<0.001、層別ログランク検定)。
なお、本試験の主な選択・除外基準は下表のとおりであった。
選択基準
1. SARS-CoV-2による感染症が示唆される症状で入院中
2. 以下のいずれかに該当しており、PCR等によりSARS-CoV-2感染が確認されている
3. 少なくとも以下のいずれか1つが認められる患者
除外基準
1. AST又はALTが基準範囲上限の5倍超
2. 推定糸球体ろ過量(eGFR)が30mL/min未満(血液透析又は血液ろ過を受けている患者を含む)
3. 妊婦又は授乳婦
4. 72時間以内に退院又は転院予定
副作用注8)が認められた被験者の割合は、本剤投与群で8%(41/532例)であり、主な副作用はプロトロンビン時間延長2%(9/532例)であった。
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上、及び18歳以上の重症のSARS-CoV-2による感染症患者(397例、なお、日本人被験者は組み入れられなかった)を対象とした無作為化非盲検並行群間比較パートにおいて、5日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~5日目に100mgを1日1回静脈内投与、10日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に100mgを1日1回静脈内投与した4),5)。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。いずれの投与群も標準療法の併用を受けた。主要評価項目は、無作為化後13日目に7点順序尺度注9)で評価した臨床状態とされた。臨床状態の改善について、5日間投与群に対する10日間投与群の比例オッズ比は0.75[95%信頼区間0.51, 1.12]であった。
スコア
5日間投与群(200例)
10日間投与群(197例)
16(8.0)
21(10.7)
17(8.5)
33(16.8)
3
8(4.0)
10(5.1)
19(9.5)
15(7.6)
12(6.0)
12(6.1)
6
3(1.5)
7
120(60.0)
103(52.3)
比例オッズ比[95%信頼区間]a)
0.75[0.51, 1.12]
例数(%)
a)投与群、ベースライン時の臨床状態を共変量とした比例オッズモデル
1. 無作為化前4日以内に実施したPCR検査においてSARS-CoV-2感染が確認されている
2. 入院中
3. スクリーニング時に、SpO2が94%以下(室内気)又は酸素吸入を要する
4. 画像上、肺浸潤影が認められる
1. 多臓器不全
2. 人工呼吸器(V-V ECMOを含む)を5日間以上使用、又はV-A ECMOを使用(使用期間を問わない)
3. ALT又はASTが基準範囲上限の5倍超
4. クレアチニン・クリアランスが50mL/min未満(18歳以上の場合はCockcroft-Gault式、18歳未満の場合はSchwartz式を用いて算出)
5. 妊娠検査陽性
6. 授乳中
副作用が認められた被験者の割合は、5日間投与群及び10日間投与群でそれぞれ17%(33/200例)及び20%(40/197例)であった。主な副作用は、ALT増加(5日間投与群で2%(4/200例)、10日間投与群で7%(14/197例))、AST増加(5日間投与群で3%(5/200例)、10日間投与群で6%(11/197例))及び悪心(5日間投与群で5%(9/200例)、10日間投与群で3%(5/197例))であった。
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上、及び18歳以上の中等症のSARS-CoV-2による感染症患者(584例、なお、日本人被験者は組み入れられなかった)を対象とした無作為化非盲検並行群間比較パートにおいて、5日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~5日目に100mgを1日1回静脈内投与、10日間投与群では、投与初日に本剤200mgを、2~10日目に100mgを1日1回静脈内投与し、標準療法群と比較した6),7)。なお、退院した場合は治験薬投与を中止することとされた。いずれの本剤投与群も標準療法の併用を受けた。主要評価項目は、無作為化後10日目に7点順序尺度注9)で評価した臨床状態とされた。臨床状態の改善について、比例オッズモデルに基づく標準療法群に対する各本剤投与群の比例オッズ比[95%信頼区間]は、5日間投与群で1.65[1.09, 2.48, p=0.017]、10日間投与群では1.31[0.88, 1.95, p=0.18]であった。
5日間投与群(191例)
10日間投与群(193例)
SOC群(200例)
0
2(1.0)
4(2.0)
1(0.5)
5(2.6)
7(3.5)
7(3.7)
12(6.2)
11(5.5)
38(19.9)
44(22.8)
46(23.0)
9(4.7)
134(70.2)
125(64.8)
SOC群に対する比例オッズ比[95%信頼区間]a)
1.65[1.092, 2.483]
1.31[0.880, 1.952]
p値b)
0.0174
0.1826
例数(%)、-:該当なし
a)投与群を共変量とした比例オッズモデル
b)試験全体の有意水準を両側5%、仮説検定の多重性を調整する方法としてBonferroniの方法を用いて各比較における有意水準を両側2.5%とした。
2. 入院中であり、COVID-19に対する治療を要する
3. スクリーニング時に、SpO2が94%超(室内気)
1. スクリーニング時に人工呼吸器の使用を要する
2. ALT又はASTが基準範囲上限の5倍超
3. クレアチニン・クリアランスが50mL/min未満(18歳以上の場合はCockcroft-Gault式、18歳未満の場合はSchwartz式を用いて算出)
4. 妊娠検査陽性
5. 授乳中
副作用が認められた被験者の割合は、5日間投与群及び10日間投与群でそれぞれ19%(36/191例)及び13%(25/193例)であった。主な副作用は、悪心(5日間投与群で7%(13/191例)、10日間投与群で4%(7/193例))であった。
12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上又は18歳以上の重症化リスク因子を一つ以上有するSARS-CoV-2による感染症患者(562例)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、投与初日に本剤200mgを、2及び3日目に本剤100mgを1日1回、又はプラセボを静脈内投与した13)。治験薬投与に加えて各国のSARS-CoV-2による感染症治療に関するガイドライン等に従った標準療法の実施が可能とされた。主要評価項目は、無作為化後28日目までのSARS-CoV-2による感染症に伴う入院又は死因を問わない死亡(イベント)が認められた被験者の割合とされた。その結果、イベントの発現割合は、本剤投与群で0.7%(2/279例)、プラセボ群で5.3%(15/283例)であり、本剤投与群における無作為化後28日目までのSARS-CoV-2による感染症に伴う入院又は死因を問わない死亡が認められた被験者の割合は、プラセボ群と比較して87%低下した(ハザード比:0.134、95%信頼区間:0.031~0.586、p=0.0076)。いずれの投与群でも無作為化後28日目までに死亡は認められなかった。
本剤投与群(279例)
プラセボ群(283例)
イベント発現
2(0.7)
15(5.3)
プラセボ群に対するイベント発現低下率
87%
ハザード比a),b)[95%信頼区間]b)
0.134[0.031, 0.586]
0.0076
a)療養施設への入居状況、年齢、地域により調整
b)療養施設への入居状況、年齢、地域を共変量としたCox回帰モデル
1. 18歳以上又は12歳以上18歳未満かつ体重40kg以上で、次のSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を少なくとも一つ有する
又は、60歳以上で重症化リスク因子の有無を問わない
2. スクリーニング前4日以内に実施した分子診断(核酸検査[例:PCR]又は抗原検査)においてSARS-CoV-2感染が確認されている
3. ランダム化前7日以内にCOVID-19による症状(発熱、咳、疲労、息切れ、咽喉痛、頭痛、筋肉痛・関節痛など)が少なくとも一つ確認されている
4. 酸素吸入を要しない
5. 入院(24時間以上の急性期治療)を要しない
1. COVID-19による入院(24時間以上の急性期治療)歴
2. SARS-CoV-2に直接作用する抗ウイルス活性を有する又はその可能性がある他の薬剤を投与、若しくはSARS-CoV-2(又はCOVID-19)ワクチンを接種
3. スクリーニング時又はスクリーニング前90日以内のALT又はASTが基準範囲上限の5倍超
4. 18歳以上の場合は、スクリーニング時又はスクリーニング前90日以内のクレアチニン・クリアランスが30mL/min未満(Cockcroft-Gault式を用いて算出)、18歳未満の場合は、スクリーニング時又はスクリーニング前90日以内に推定糸球体ろ過量(eGFR)が30mL/min/1.73m2未満(Schwartz式を用いて算出)
副作用が認められた被験者の割合は、本剤投与群で12.2%(34/279例)であり、主な副作用は悪心6.5%(18/279例)及び悪寒2.2%(6/279例)であった。
28日齢以上18歳未満のSARS-CoV-2による感染症患者(53例)を対象とした単群非盲検試験(12歳以上かつ体重40kg以上[12例]、12歳未満かつ体重40kg以上[5例]、28日齢以上かつ体重20kg以上40kg未満[12例]、28日齢以上かつ体重12kg以上20kg未満[12例]、28日齢以上かつ体重3kg以上12kg未満[12例])において、体重40kg以上の被験者では投与初日に本剤200mgを、以降最長10日目まで本剤100mgを1日1回静脈内投与し、体重3kg以上40kg未満の被験者では投与初日に本剤5mg/kgを、以降最長10日目まで2.5mg/kgを1日1回静脈内投与した18)。本剤を最長10日間静脈内投与した結果、10日目におけるベースラインからの臨床状態の変化の中央値(第1四分位[Q1]、第3四分位[Q3])は、7段階の順序尺度注9)で2.0(1.0, 4.0)ポイントの改善であった。62%の患者が10日目までに回復注10)し、回復までの期間の中央値(Q1、Q3)は7(5、16)日であった。また、60%の患者が10日目までに退院した。3名の被験者が本試験期間中に死亡した。
1. 18歳未満で以下の体重基準のいずれかを満たす
2. PCR検査においてSARS-CoV-2感染が確認されている
3. 入院中であり、COVID-19に対する治療を要する
1. 治験薬投与前24時間以内にSARS-CoV-2に直接作用する抗ウイルス活性を有する又はその可能性がある他の薬剤を投与
3. 1歳以上の場合は、eGFRが30mL/min/1.73m2未満(Schwartz式を用いて算出)
4. 1歳未満の場合は、クレアチニンが以下の閾値以上
実年齢
クレアチニン値(mg/dL)
28日齢以上2ヵ月齢未満
0.6*以上
2ヵ月齢以上1歳未満
0.5*以上
*クレアチニン値が97.5パーセンタイル又は年齢に対する上限以上
5. スクリーニング時の妊娠検査で陽性(妊娠可能な女性のみ)
6. 腎代替療法による治療中(間欠的血液透析、腹膜透析、持続的腎代替療法)
副作用(全グレード)が認められた被験者の割合は15.1%(8/53例)であった。5%以上でみられた主な副作用は、ALT増加5.7%(3/53例)であった。
レムデシビルはアデノシンヌクレオシド類似体のプロドラッグである。レムデシビルは、細胞内に分布し、加水分解による代謝を経て、最終的にリン酸化されて薬理学的に活性を有するヌクレオシド三リン酸型の活性代謝物を生成する。活性代謝物はアデノシン三リン酸(ATP)の類似体として、SARS-CoV-2 RNA依存性RNAポリメラーゼによって新たに合成されるRNA鎖に天然基質ATPと競合して取り込まれ、ウイルスの複製におけるRNA鎖の伸長反応を取り込みから少し遅れて停止させる。活性代謝物は、ヒト由来のDNAポリメラーゼα、β及びRNAポリメラーゼⅡ、並びにミトコンドリアDNAポリメラーゼγ及びミトコンドリアRNAポリメラーゼに対する阻害作用(IC50値)はいずれも>200μMであった。
レムデシビルは、SARS-CoV-2の臨床分離株に対して、薬剤添加48時間後におけるヒト初代培養気道上皮細胞での50%有効濃度(EC50)は9.9nMであった。また、継代培養ヒト肺上皮細胞株Calu-3及びA549-hACE2でSARS-CoV-2の複製を阻害し、EC50は薬剤添加72時間後及び48時間後でそれぞれ280nM及び115nMであった8),9)。なお、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼを構成するNsp12のアミノ酸置換P323Lを含むSARS-CoV-2変異体の臨床分離株(alpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、epsilon株(B.1.429系統)、kappa株(B.1.617.1系統)、lambda株(C.37系統)、iota株(B.1.526系統)、zeta株(P.2系統)及びomicron株(B.1.1.529/BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.2.75、BA.4、BA.4.6、BA.5、BF.5、BF.7、BQ.1、BQ.1.1、CH.1.1、XBB及びXBB.1.5系統))に対するNタンパク質ELISAアッセイでは、これら臨床分離株のEC50は初期のSARS-CoV-2の系統(A系統)と比較して0.15~2.3倍であった(A549-ACE2-TMPRSS2細胞株)10)。
培養細胞系では、レムデシビルに対する感受性が低下したSARS-CoV-2分離株が確認された。GS-441524(レムデシビルの代謝物であるヌクレオシド類似体)を用いた耐性発現試験において、レムデシビルに対する耐性変異としてNsp12のアミノ酸置換V166A、N198S、S759A、V792I、C799F及びC799Rが同定された。各置換を導入した組換えSARS-CoV-2では、レムデシビルに対して1.7~3.5倍の感受性低下を示した11)。Nsp12のアミノ酸置換P323Lを有するSARS-CoV-2分離株を用いたレムデシビルによる耐性発現試験では、Nsp12のアミノ酸置換V166Lが同定された。P323L単独又はP323L+V166L重複置換を導入した組換えSARS-CoV-2では、レムデシビルに対してそれぞれ1.3倍及び1.5倍の感受性変化を示した12)。げっ歯類CoVのマウス肝炎ウイルスを用いたレムデシビルのin vitro耐性解析では、RNA依存性RNAポリメラーゼで全てのCoVに保存された残基において、2カ所の変異(F476L及びV553L)が確認され、レムデシビルに対して5.6倍の感受性低下を示した。この変異体はin vitroでウイルス複製能が低下した。同様の変異(F480L及びV557L)をSARS-CoVに導入したとき、培養細胞内でレムデシビルに対して6倍の感受性低下を示し、SARS-CoV感染マウスモデルにおいてウイルスの病原性が減弱した。また、Nsp12にF480L及びV557Lの各変異を導入した組換えSARS-CoV-2では、レムデシビルに対して2倍の感受性低下を示した11)。
NIAID ACTT-1試験では、ベースライン及びベースライン後におけるSARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼの塩基配列データが得られた本剤群31例のうち、12例で本剤投与後にアミノ酸置換が認められた。本剤群の12例で認められたアミノ酸置換は24種類であり、このうちV792I及びC799F(各1例)はin vitro耐性発現試験で既にレムデシビルに対する耐性変異として特定されており、それぞれ2.2-3.2倍及び2.5-3.5倍の感受性低下を示した11),16)。GS-US-540-9012試験では、ベースライン及びベースライン後におけるSARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼの塩基配列データが得られた本剤群115例のうち、8例で本剤投与後にアミノ酸置換が認められた。本剤群の8例で認められたアミノ酸置換は7種類であり、このうちA376V(1例)は、レプリコンアッセイにおいて12.6倍の感受性低下を示した17)。
SARS-CoV-2接種12時間後のアカゲザルSARS-CoV-2感染モデルに、投与初日はレムデシビル10mg/kgで1日1回、その後は5mg/kgで1日1回を静脈内ボーラス投与したところ、溶媒対照と比較して、呼吸器系疾患の臨床徴候が改善し、肺病理像及び肺病変所見並びに肺ウイルスRNA量が減少した。
レムデシビル(Remdesivir)
2-Ethylbutyl N-{(S)-[2-C-(4-aminopyrrolo[2,1-f][1,2,4]triazin-7-yl)-2,5-anhydro-D-altrononitril-6-O-yl]phenoxyphosphoryl}-L-alaninate
C27H35N6O8P
602.58
白色~微黄白色又は黄色の固体
138℃
log P=3.2
メタノール、テトラヒドロフランに溶けやすく、エタノールにやや溶けやすく、酢酸イソプロピルに溶けにくい。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル
1) FACT SHEET FOR HEALTH CARE PROVIDERS EMERGENCY USE AUTHORIZATION(EUA)OF REMDESIVIR(GS-5734TM)
2) 社内資料(レムデシビル治験薬概要書)
3) 社内資料(NIAID ACTT-1試験)
4) 社内資料(GS-US-540-5773試験)
5) Goldman JD, et al. N Engl J Med. 2020;383(19):1827-1837
6) 社内資料(GS-US-540-5774試験)
7) Spinner CD, et al. JAMA 2020;324(11):1048-1057
8) Pruijssers AJ, et al. Cell Rep. 2020;32(3):107940
9) Xie X, et al. Nat Commun. 2020;11(1):5214
10) *社内資料(PC-540-2026試験、PC-540-2034試験、PC-540-2038試験、PC-540-2039試験、PC-540-2044試験、PC-540-2046試験)
11) 社内資料(PC-540-2028試験)
12) 社内資料(PC-540-2029試験)
13) Gottlieb RL, et al. N Engl J Med. Published online December 22, 2021. doi:10.1056/NEJMoa2116846
14) 社内資料(GS-US-540-9013試験)
15) 社内資料(REP-22251 In-Use安定性試験)
16) 社内資料(PC-540-2033試験)
17) 社内資料(PC-540-2040試験)
18) 社内資料(GS-US-540-5823試験)
19) *社内資料(IMPAACT 2032[CO-US-540-5961試験])
20) *Bertrand K et al. Concentrations of remdesivir and its metabolite GS-441524 in human milk from lactating individuals diagnosed with COVID-19, Abstract, APHA Annual Meeting & Expo 2022
21) *Wada YS, et al. J Hum Lact. 2022;38(2):248-251.
22) *社内資料(GS-US-540-9014試験)
23) **社内資料(GS-US-540-5912試験、GS-US-540-9015試験、CTRA-2022-1068、QP-2023-1074)
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